昨日は「従来ダイヤル式」と「電子ダイヤル式」について述べた。
今日は、その2種類の形態を製品ラインナップ上でどのように展開すべきかを考えてみようと思う。
以前、ニコンでは「F601」と「F601M」という兄弟カメラがあった。「F601」はAFと内蔵ストロボを持っていたが、「F601M」はMFカメラであった。しかし、ニコンは「F601M」のほうを早々に見切りを付け、「F601」1本とした。恐らく「F601M」はそれほど売れなかったのだろう。中古市場を見ても、「F601M」はそんなに目に付かない。
製品のラインナップはできるだけシンプルにしたほうがコストの面からも有利に違いない。それは外部の人間が考えても容易に想像できることだ。そう考えると、昨日書いたように、何も考えずに「従来ダイヤル式」と「電子ダイヤル式」の2種類のラインナップを揃えることは難しいことだと思う。
では、一眼レフお得意の「システム化」をするというのはどうだろう?
現在のカメラは、高度に電子化され、以前はシャッターユニットに機械接続していたシャッターダイヤルでさえも電気接点が摺動する部品となった。
撮影者側は「従来ダイヤル式」や、「電子ダイヤル式」、「プッシュボタン式」、「スライドレバー式」など、それぞれの違いを感じるが、その操作によって送られてくる電気信号はカメラ本体側では同じように見える。パソコンに例えるなら、マウスで操作しようがキーボードで操作しようが、操作感は違っても得られる結果は同じであるということだ。
それならば、パソコンと同じように、操作部を交換式にしてはどうだろうか。あたかも、パソコンのマウスやトラックボール、スライドパッドを使い分けるかのように、カメラにも使用者の要求に応じた入力デバイスが用意されてもいいと思う。それでこそ、カメラが電子化されるメリットがあるというものだ。
以下の図は、我輩が勝手に作った「軍艦部交換式カメラ」の構想図である。細かいことは議論する余地があるだろうが、ここでは基本的なアイデアについてのみ、見て頂ければと思う。
(fig.1) 従来のダイヤル式カメラの形態。巻上げレバーは用意されているが、巻上げ用モーターは従来通り巻取り軸内に内蔵されているため、自動巻上げも可能。
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(fig.2) 軍艦部とカメラ本体とは、ニコンF3の交換ファインダーと同様に脱着可能。接続面は、手動巻上げ用のカップリング以外は、電子接点のみとする。
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(fig.3) オプション軍艦部により、電子ダイヤルと液晶表示が使用可能となる。
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このような提案をしても、メーカーからはなかなか良い回答は得られないだろう。実際、我輩は様々なアイデアをカメラメーカーに封書で送ってはいるが、全ては黙殺されている。
(ミノルタフラッシュメーターの電子ダイヤル採用については、我輩は同じ提案をしたことがあるが、その意見が取り入れられた結果なのかは分からない。)
技術的に、またはコスト的に無理だということはあるだろう。しかし、そんなことを言い訳にしているようでは進歩はあり得ない。「そんなこと無理だ」と頭から決めつけ何も工夫せず、いざ他社が成功すると「やっぱり主流はコレだよ」と裏返る。
できるできないについては、日本人は必ず否定的だ。実際にモノを作って見せるまでは、誰も見向きもしない。存在証明が無ければ日本のメーカーは動かない。だから「日本は独自の発明が無い」と罵られる。「マネばかりするな」と反感を買う。
それにしても、ミノルタはAF特許侵害訴訟で米ハネウェル社にどれほど和解金を払った? 166億円だと? 金を払うということは、マネしたと認めることだ(勝ち目は無いと自分で判断しているわけだからな)。そんな金があるんだったら、もっと新しいことができたろうに。我々が苦労して買ったミノルタのカメラの代金をそんなくだらないことに使うな。
しかも、図に乗ったハネウェルは他のメーカーにも金を払わせた。もし、こんな訴訟が無ければ、巡り巡って「ニコンF3/T」の生産中止も1ヶ月くらい先になっていたかも知れないじゃないか。
新しいことを先頭を切ってやり遂げることは重要だ。リスクはあるが、人真似をして166億円も捨てるよりは有意義である。
それとも日本の企業は、専門バカの、プライドの無い腰抜けばかりか?