[053] 2000年 6月12日(月)
「我輩が買う写真雑誌」
カメラ・写真雑誌はいくつかある。扱う記事中、ハードウェア(カメラ)とソフトウェア(写真)の比率はそれぞれ違う。
手頃な総合誌という意味合いで言えば、「月刊カメラマン」や「CAPA」が思い浮かぶ。ハードとソフトの割合は、ほぼ半々といったところか。学生時代はこの2つを購読していた。しかし、この手の雑誌というのは、数年経つと同じような内容がまた出てくる。これは、新しい読者が入り易くするためにはやむを得ないことだ。
我輩が現在購入している雑誌は、「写真工業」である。
恥ずかしながら、学生時代はこの雑誌の存在を知らなかった。というのも、「写真工業」は限られた書店にしか無く、あったとしても、店頭に並べられる部数に限りがある。田舎暮らしの学生が気付くような雑誌ではなかったのだ。
就職で東京に出てきて、まず神田の本屋街へ赴いた。そしてそこで手に入れた本の中に「写真工業」が含まれていた。これが最初である。
「写真工業」はかなり専門的だ。その場で読めるような記事は限られている。派手さがなく、パッと見た目、面白みがない。しかし、必要とする時に、必要以上の情報が得られるというのは素晴らしい。新製品の紹介でも、編集部による客観的な分析はもちろん、開発者によるレポート(ほとんど学会の論文のような内容)も掲載される。
広告もほとんどなく、雑誌全体がシュリンクされている印象を受ける。
カメラを考える時、この「写真工業」というのは資料として欠かせない存在だと思う。そう考えると、我輩がこの雑誌と出会うのは遅すぎた。
失われた時を埋めるため、以後、古本屋巡りをして過去のナンバーを探し歩いた。神田の古本屋はもちろん、上野の「じゅらく」の階下にある古本市では、掘り出し物の「写真工業」が多数あり、両手に抱えて持ち帰ったこともあった。とにかく、金に糸目を付けずに探したものだ。しかし、600冊以上あるはずの全てが揃うはずはない。集まったのは、それから比べるとほんの一部である。
今では、そのほとんどは10数枚のCD−Rへ移されている。各目次から検索項目となるものを登録し、パソコン上から条件検索ができるようにした。もっとも、記事はイメージ収録なので、全文検索ができないのが残念ではある。
いずれにせよ、この資料は我輩にとっては欠かすことができない。
大判写真入門の連載記事もあり、将来その部分を遡って読むことを楽しみにしている。
それは、近い将来のことか、リタイアした後のことか、それとも死ぬまで無いのか。その時にならなければ判らない。
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