[038] 2000年 5月24日(水)
「心のカギ」
人間の記憶の仕組みというのは、連想式である。
1個のニューロン(神経細胞)が1個の記憶に対応しているわけではなく、ニューロンのネットワークの形が、1つ1つの記憶を持っている。故に、ある1個のニューロンに注目すると、いくつもの記憶に関わっていることになる。これは、メモリベースのアーキテクチャとしての、脳の特徴的な性質と言える。
(※メモリベースアーキテクチャ=パソコンなどのようなノイマン型のプロセッサベースの処理系ではないメモリベースの処理系)
今書いたことは、「1つの事柄に関連して別の記憶を呼び覚ます」ということの、大脳生理学的な説明とされる。
例えば、ある音楽を聴くと昔の懐かしい想いがよみがえるとか、みそ汁を食べるとお袋の顔を思い出すとか、ある香水の匂いを嗅ぐと、昔の片想いの女性を思い出すとか。
それら関連付けは、各個人によって様々だ。しかし、1枚の写真が、見る者によって違う印象を与えるということは当然である。そういう意味で我輩は、見る者の心の扉を開けるきっかけとなる、「心のカギ」となるような写真を撮りたいと願う。
単にキレイな写真ではなく、心の奥に潜む、忘れられた記憶を、脳に直接働きかけて引き出すような写真---。
そういう写真は、具体的にはどんな作品になるのかは分からない。また、永遠に到達出来ないかも知れない。しかし、求める先には必ず存在するハズだと思っている。
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