2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[840] 2015年05月16日(土)
「2015年ゴールデンウィーク伊豆車中泊」


●事前計画
我輩は今年4月から横浜で勤務している。以前は川崎勤務だったが、横浜勤務になってから通勤距離が10km伸びたことになる。
ところが通勤時間については、同じタイミングで東京上野ラインが開通したことで、川崎通勤と同じ時間で済むのが好都合。反面、往復4時間はほぼ座れなくなり、通勤だけでも疲労(精神的及び肉体的)が貯まる(※現状4路線を乗り継いでいるので、仮に座れることがあってもすぐに乗り換えねばならない)。
そんな状態のため、以前にも増して電車嫌いとなり、休日にはクルマでなければ絶対に外出は考えない。

さて、そうこうしているうちにゴールデンウィークが近付いてきた。
新しい職場では、以前の職場とは違い、ゴールデンウィークに有給休暇を加えなくとも自動的に長期連休となっている。今年は4月29日(水)〜5月6日(水)の8連休。
これは車中泊一人旅の良い機会と考えた。電車通勤の疲労を中和させるため、ぜひとも車中泊の計画を立てたい。前半は世間的に平日が混ざるので混雑も少なかろう。

もちろん、家族への配慮も考えた。豚児は学校がカレンダー通りなので休みが合わない。もちろんこれは言い訳だが、豚児とヘナチョコ妻は旅行を特にしたいという感じでもなく、結局は我輩が全ての計画を立てることになる。そうなると、いくら配慮しても我輩興味の観光スポットにどうしても偏りがちで、2人を連れ回す形としかならない。結果的に全員が疲れてしまう。
そういうわけで、例年通り車中泊一人旅ということが前提となる。

では行先はどうするか。
ゴールデンウィークとなれば暖かくなり、場合によっては夏日となる危険性もある。車中泊では寒ければ着込めば済むが、暑い場合は対処の方法が無い。だからどうしても北上することを考えるわけだが、いっそ3度目の北海道というのはどうだろう?

しかし連休まで2週間前と時間が無かった。
フェリーの予約状況を見ると、今すぐにでも決定せねばならぬ。しかし車中泊のためには拠点となる道の駅とそこから近い範囲にある安い銭湯の情報収集が必要で、しかも銭湯の営業日のチェックも欠かせない。

そのためにはまず、目的の観光スポットを地図上にプロットし、各スポットでの時間配分や移動時間を考慮してルート化する必要がある。その結果、車中泊の曜日が銭湯の休館日に当たると別の銭湯を探さねばならなくなる。
広い北海道で今からその作業は無理と判断し、今回は北海道は諦めた。

ならば福島辺りではどうかと思ったが、1年半前に行ったので新鮮味が無い(参考:雑文801)。

では北陸辺りなら良いかも知れない。ここならば前回行ったのは5年前で、当時は低画質のデジタルカメラ「Nikon D200」での撮影であったし、再訪には良かろう(参考:雑文690)。
しかし良く考えると、北陸新幹線が開通したという騒ぎで観光客が多いことが予想される。のんびり気ままに旅したいので、少なくとも今年行くのは時期が悪かろう。

埒が明かないので、書店で旅行ガイドでも買おうか。
しかし旅行ガイドはどれもこれもグルメ情報ばかり。出版社が違っても同じような内容のガイドでイライラする。
もっとも、これは需要と供給として行き着いた状態であろうから、出版社を責められまい。責めるべくはグルメ情報しか関心の無い一般大衆なのだ。おまえら、食うことしか頭に無いのか?

そんな時、通販サイト「アマゾン」で偶然にも「伊豆ジオパークトレッキングガイド」というガイド本を見付けた。確か、「あなたにおすすめ」か「**を買った人はこんな本も買っています」に出ていたと記憶している。
ちょうど地質巡検の本が欲しかったので、今回の旅に使うという意識も無く購入した。

<「伊豆ジオパークトレッキングガイド」 静岡新聞社>
「伊豆ジオパークトレッキングガイド」 静岡新聞社
(※断裁スキャニングでPDF化したため現在冊子は手元に無く、ここではPFDデータから表紙画像をPhotoshop加工して擬似的に冊子画像を作成したものを掲載した。)

読んでみると、伊豆の各ジオサイトごとのモデルコースが地図付きで紹介されており、何も考えず示されたルート通りに行動すれば良いという構成となっている。余計なグルメ情報など全く無いところが良い。

だったら今回、伊豆巡りはどうか。
南下する点は心配だが、1週間前となって週間天気予報を見れば少々天気が悪いようで、暑くて寝られないということは無かろう。
時間も無いこともあり、伊豆ジオガイドブックのモデルコースをベースに行動することとする。

いずれにせよ車中泊は道の駅が基本なので、取り急ぎ伊豆の地図上に道の駅を書き込み、その場所から近いところにある代表的な銭湯を調べてそれも書き加えた。
その上で、考えられる行動エリアを重ね、そこからルートを考えることとした。

<計画マップ>
計画マップ

日程は4月29日〜5月2日の4日間を想定。
最終日には、車中泊一人旅ではいつもやっているように映画を観て、旅の想い出をパッケージしたい。

映画については、以前伊豆へ行った時には小田原で観た(参考:雑文744)。そこで今回もそうしようかと思うのだが、検索してみると観たい映画が全く無かった。期待させる映画でなくとも良いが、明らかにジャンルが自分向きでないものは選べない。今回は映画無しか。

ただそれにしても、千葉から伊豆へは都内を通過せねばならないのが気掛かり。スパッと一直線に通過出来るような道は無く、また夜間は無法走行のタクシーに気を使う。まるでシューティングゲームの雑魚キャラの如くタチが悪い。

日程的に考えると、4月28日の勤務が終わった後、夜中に出発することとなろう。
しかし横浜から千葉の自宅に戻り、そしてまた数時間後に横浜方面へ戻るのも何ともムダな話。もちろん、本当に必要な走行ならばそれくらい距離が増えるのは構わんが、これはムダな往復でしか無いので気が滅入る。
特に、月末は伝票処理の大詰めのため退社時間が遅くなることが予想される。そんな疲労状態で通勤電車に乗って帰れば、出発のエネルギーも削がれよう。

そこで思い付いたのが、4月28日にクルマで横浜に出勤し、その日の業務を終えてそのまま伊豆方面へ向かうというプラン。
これならば、千葉−横浜往復分4〜5時間を節約出来るし、無駄な往復をすることの精神的疲労も軽減する。そして何より、退社時間が遅くなっても安息の場所が近くにあるという気楽さが良い。そこまで遅くはならないとは思うが、終電すら気にする必要が無くなる。

ただ、クルマ出勤についての問題は下記3点。
(1)駐車場 : 職場周辺に安価に1日停める場所があるか?
(2)出発時刻 : 渋滞の影響を加味した出発時刻は?
(3)事前準備 : 荷物の積み込みは28日朝に完了するか?

(1)の駐車場については、職場最寄では1日最大料金1,500円となっており高い。職場からの距離と値段のバランスを考えながら決めた場所は、職場から歩いて10分のところで1日1,000円のところ。まあ妥当なところか。

(2)の出発時刻については、以前川崎職場にクルマ通勤した実績を参考とした。当時は決算期の繁忙でありながら同僚が病欠で1ヶ月不在となり、我輩は死ぬ思いで業務をこなしていたが、その時に1度だけクルマを使ったのだ。川崎までの距離は40km程度だが、平日朝7時出発のため渋滞にハマり10時着となった。つまり3時間かかった。今回は横浜なので50kmの距離となるわけだが、5時半くらいに出れば渋滞にも当たらず2時間くらいで着けるのではないかと予想する。7時半着は早過ぎるものの車中泊の準備があるので、職場始業時間までは車内で寝ておれば良い。

(3)の事前準備について、積み込みの順番としては布団を最初に積み込んでその上に色々と載せていく関係上、布団を積み込まないと他の荷物が積みこめない。しかし布団は前の晩まで使っているので、結局は直前にならなければ積み込みが出来ない。
28日(火)朝の出発となれば、クルマへの積み込みが平日27日(月)の夜となるため、この日の帰宅が遅くなれば致命的となる。

実は、クルマ出社は前日まで迷いに迷った。
出発前日の帰宅が遅くなれば、積み込みが忙しいばかりか、疲労が癒えぬまま翌朝早く出発し、気の使う都内走行を強いられる・・・。
余計なことを心配するより、通常通り電車通勤とするか?

結局、27日(月)は帰宅が22時半となった。そしてその時、我輩は決意した。
「明日も遅くなるのだから、今踏ん張らないと伊豆行きそのものが危うくなる。やはりクルマ出勤しよう。」

明日朝の出発目標は5時半。となれば起床は5時か。
我輩は急いで夕食を食べて風呂に入り、必要な荷物をリビングルームに山積みとした。これらは布団を積み込んだ後にならないと積み込めない。勝負は、明日起床する5時からの30分間。

0時頃、目覚まし時計を5時にセットして布団に飛び込んだ。
いつもならばこういうギリギリの選択での行動は緊張があってなかなか寝付かれないものだが、疲労が貯まっているせいかストンと眠りに落ちた。

●4月28日(火)

朝5時、目覚まし時計のアラームが鳴って目を覚ました。
電波時計のクロックなので極めて正確。

起き上がったその身体で布団を丸めて抱え、そのまま玄関まで持って行った。
朝食としてコーンフレークを食べ、そして着替える。むろん、これから出勤なのでスーツを着込む。

車庫が狭く、布団の積み込みでは汗が出た。気温も少々高いか。
ベッドメイキングが終わると、今度は荷物の積み込み。着替えや洗面具、そして撮影機材。もちろん、通勤カバンも忘れてはならぬ。

荷物を再確認した後、いよいよ運転席に乗り込み、エンジン始動。
いつもならば夜中出発で暗い中にメーターの光が浮かび上がり緊張感が高まる。今回は既に明るくなっている早朝なのだが、「出社時間に間に合うか」という別の緊張感がある。まあ、多少遅れても伝票処理の山場は午後から夜にかけてである。何とかなろう。

まずはガソリンスタンドに寄って満タンリセット。さすがに早朝は閑散としている。
ところがその後大通りに出ると、すぐに渋滞にハマった。我輩は時計を何度も確認しながら、「なぜこの時間帯でこんな渋滞にハマるのか?」と疑問と焦りを感じた。

しかも、通勤渋滞が起きるのはボトルネックとなる橋の付近であるのに、今回の渋滞はその5km手前から始まっている。理由が分からない。
いや、もしかして我輩と同じ計画を持つ者がこんなにいるということかも知れぬ。皆、横浜勤務の伊豆行き希望か?

<早朝に大渋滞>
早朝に大渋滞
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/200sec.

そうこうしているうち、時刻は6時を過ぎた。いつもならばこの辺りは7時くらいに電車で通る。もし7時までこの状態が続くならば、どこかの駅近くのコインパーキングにクルマを置いて電車通勤とするしかあるまい。

しばらくすると、前方路上に白煙が見えてきた。赤い光も見える。発炎筒のようだ。警官が誘導しているのも見えた。
どうやら事故が起きたようだ。
かなり大きな事故のようで、乗用車が左前輪を引きちぎられた状態でレッカーされようとしているところだった。

<事故渋滞だった> (※トリミング掲載)
事故渋滞だった
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F6.3/Tv=1/320sec.

事故地点を過ぎると、いきなり流れが良くなった。
いつものボトルネックもスムーズに通り過ぎ、都内に入る。しかし安心してはいられない。もう30分以上もロスしている。

東京スカイツリーを過ぎ、浅草駅を過ぎ、品川を過ぎ、川崎辺りまで来た。
カーナビゲーションの画面では、到着予定時刻が8時15分となっている。始業時間は8時45分なので、この予測が正しければ間に合うことになる。しかし油断大敵。出来る限り余裕が欲しい。

横浜が近付いてくると、見慣れた風景が見えてきた。そして通勤者が多く歩いているのが見えた。昨日はこの中に我輩もいたわけだ。今は路上でクルマに乗って見ているのが不思議な感じがする。

<無事に横浜入り>
無事に横浜入り
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F6.3/Tv=1/320sec.

目的のコインパーキングに入ったのは8時15分。
5分ほど休憩し、クルマを降りて歩いて10分。職場に着いたのは、始業15分前の8時半、いつも通りであった。あまりに時間ピッタリで我ながら驚いた。もし少しでも渋滞が長引いたりすればこうはならなかったろう。

この日の勤務は確かに月末月初の処理があって忙しかったのだが、思ったほどでもなく20時半には退社することが出来た。
いよいよ横浜を出発ということになる。クルマに戻り、これからどうするかを少し考えた。

<いよいよ横浜を出発>
いよいよ横浜を出発
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/2.5sec.

食事はどうにでも都合付くだろうが、風呂はどうする? その件については事前に調べておいたのだが、横浜近辺で駐車スペースのある安い銭湯は見付からなかった。あるのは1,500円くらいのスーパー銭湯。さすがにここまで金をかけるつもりはない。
風呂はダメか。

とりあえず伊豆方面に向かってクルマを走らせた。目的地は道の駅「伊東マリンタウン」とし、途中でコンビニエンスストアで夕食の弁当でも買おうと思う。

なお、夜とは言っても夜中ではないので、高速道路のETC深夜割引は適用されない。だから節約するため一般道を走ることとした。横浜出発ならば一般道でも何とかなろう。
カーナビゲーションは2つあり、クルマ本体のナビは地図が旧いのでルート全体を表示させておき、もう1つのポータブルナビのほうは詳細画面を表示させてある。長距離走行では「どれくらいまで走ったか」というのが励みになるので、常に全体が見られるこの方式は便利。

さて、夜間のせいか一般道にしてはペースは良く、また途中、まるで高速道路のように流れの速い道路も走った。一般道なのでこの速度は少々怖かったが、流れに乗らないほうが逆に危険と思い、敢えてアクセルを踏んだ。

<流れの速い一般道>
流れの速い一般道
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/4sec.

熱海にさしかかったのが22時半頃。何度か来ているので、馴染みの風景にホッとする。
信号待ちをしていると、ファミリーレストラン「ジョナサン」の看板が目に入った。「ジョナサン」には我輩のお気に入りメニューがあり、ファミリーレストランに行くなら「ジョナサン」と決めている。この店舗は24時間営業となっているようなので、急遽ハンドルを切って入店した。

<熱海の「ジョナサン」>
熱海の「ジョナサン」
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/10sec.

店内はさすがにこの時間では閑散としており、我輩のほかに2組くらいしか客がいない様子。
いつも食べるメニューは2種類しか無いので、席につくなり注文。「料理が出てくるまでヒマだ、雑誌を持って来れば良かった」などと思っていると、5分程度で料理が出て驚いた。
それにしてもスーツ姿で熱海で食事というのも今までに無いパターン。
夜の風景を眺めていると、さっきまで職場で働いていたというのが昨日のことのように思える。

食後店を出て、せっかくなので夜の熱海市内を散策撮影することとした。
今回メインで使うカメラは新しく入手した「OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2」で、5軸手ブレ補正が性能アップしているそうだ。だから夜の撮影でもISO200で撮ろうと思う。F2.8の明るい標準ズームの力も借り、これまでに無い鮮明な夜景写真が得られることを期待した。

<夜の熱海散策撮影>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
夜の熱海散策撮影
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F2.8/4sec.

夜の熱海散策撮影
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F2.8/1/10sec.

夜の熱海散策撮影
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F2.8/1/4sec.

散策経路は熱海駅までの往復で、時間にして45分程度。
「ジョナサン」に停めてあるクルマに戻ると24時15分で、そろそろ宿営地の道の駅で落ち着きたい。カーナビによれば40分程度の距離。

途中、コンビニエンスストアに寄って翌朝の朝食を調達し、24時50分に道の駅「伊東マリンタウン」に到着。
エンジンを切ってしばらく休んだ後、スーツから部屋着スウェットに着替えた。風呂に入ってサッパリしたいところだがこの時間では仕方無い。
トイレに行って顔を念入りに洗い脂気を取ると少々スッキリした。そして後部座席のベッドに潜り込む。
酸欠が心配なので、クルマの窓はバイザーに隠れる1cmほど下げておいた。

夜中、脚が痒くなり目が覚めた。耳を澄ますと「プーン」と羽音がする。4月末でもう蚊が出るか。
薄闇の中、わずかな羽音を頼りにエイッと宙を叩いたら、てのひらに血が付いたのがボンヤリ見えた。ラッキーなことにやっつけることが出来たらしい。
しかし窓をこのままにしておくとまた蚊の餌食になるので、酸欠が心配だがやむなく窓を完全に閉めた。

●4月29日(水・祝)

朝、6時過ぎに目が覚めた。酸欠で死ななかったようなので安心した。

<朝の目覚め>
朝の目覚め
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F4.5/Tv=1/80sec.

運転席に移り、昨夜に途中のコンビニエンスストアで買ったザルそば弁当を食べた。空を眺めると層積雲が覆っており、雨が降ることを予感させる。だが、ここ最近は雨中撮影を好んでいた我輩なので、雨が降ろうが何ら問題は無い。

<層積雲>
層積雲
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO400/Av=F7.1/Tv=1/500sec.

この日の予定としては、まず伊東から近い伊豆高原へ行き、城ヶ崎海岸ポットホールの撮影をしたい。
このポットホールは以前2回訪れているが、いずれも自然光のみの撮影でライティングは成り行きであった。今回はラジオシンクロのストロボを活用し、物撮りに準じたライティングをしたい。何しろ球体のライティングは物撮りの習作でもあり、今回の旅では力を入れたい撮影の1つと言える。

ここでのライティングの狙いは、「質感描写」と「不自然な風景」。ポットホール内にある巨大なドリルストーンの質感をクッキリと描写し、かつ、自然風景としては不自然なほどの人工的照明を感じさせる写真としたい。自然風景であっても、手の届く範囲ならば我輩の世界。我輩はその世界の神となる。

城ヶ崎海岸の駐車場に到着したのは7時半。道の駅から30分程度だった。
事前に干潮時刻を調べており、この時間は干潮であることを確認してある。抜かりは無い。

クルマを降りて撮影機材を担ぐ。ストロボを設置したポールを杖のようにして歩いた。
城ヶ崎海岸は海岸地形がダイナミックで興味深いが、今回の目的はポットホールのみなので、寄り道せず目的地へ進む。
ポットホールは溶岩地形の間隙にあるため、日光が射し込むことはあまり無い。それに今回は曇り空の低照度。ストロボのライティングでガラリと雰囲気を変えられよう。
途中、浜辺案内表示をストロボ撮影で試し撃ちした。よし、今日もストロボの調子が良い。

<ストロボ試し撃ち>
ストロボ試し撃ち
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/320sec./FLASH

ポットホールのライティング、まず考えたのがトップライトで照らすこと。それには、岩の間隙の上にストロボを1つ配置すれば良かろう。
ところが現地へ行ってみると、ポットホール上部の足場は想像以上に不安定で、しかも高いので肝が冷える。高い所が苦手なのでとても先に進めない。まあ、トップライトは下に降りても可能か。

<岩場の間隙>
岩場の間隙
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/160sec.

早速、間隙の中に降りてみたところ、干潮であるはずがやけに波が打ち付ける。干潮でこれならば、満潮時には近付けないのだろうか?
ポットホールに近付いてカメラを構えたが、気を付けていないと大きな波が来てズブ濡れになる。だから大きな波が来そうな様子があれば、すぐに後退してやりすごさねばならない。

<波が来たら退避>
波が来たら退避
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F7.1/Tv=1/125sec.

こんな状況では、ライティングも難しい。瞬間的な退避が必要なのでストロボを固定設置出来ず、手に持ってライティングせざるを得ない。だから撮るたびにライティングが変わってしまう。もはやライティングの出来は偶然に頼るしか無くなった。とにかく何枚も撮り、自宅でゆっくり取捨選択して最適なカットを得るしか無い。
・・・この環境下では神になれなかったな。

しばらく撮っていると、これ以上撮影してももうバリエーションが出ないと感じ始めたので撮影を終了。150カットほど撮った。見ればストロボはかなり濡れており、慌てて拭き取った。電気製品に海水は禁物。
城ヶ崎海岸にはこれ以上用は無いので、そのまま駐車場に戻った。そして今撮影した画像をカメラの背面液晶で確認したが、正直言って「もう少し何とかしたかった」と思わずにはいられない。

<カットごとに変わる今回のライティング(例)>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
カットごとに変わる今回のライティング(例) カットごとに変わる今回のライティング(例)

さて次は、伊豆高原駅のほうへ行ってみようかと思う。
そこは駅近くに観光客向け駐車場があるのでアクセスが良く、駅周辺散策や海岸地形散策にも都合が良い。確か、近くにスーパーマーケットがあったので、食糧も調達するのも良い。

ところが城ヶ崎海岸を出発したところ、周辺は迷路のように道が入り組んでおり、カーナビゲーションの通りに進んだつもりだったが行き止まりに遮られ、あとは勘で抜け出すしか無かった。

伊豆高原駅の駐車場にクルマを停めたが、少々目の疲れがあったので、後部座席の布団に入って1時間ほど仮眠。こういう時、クルマは便利に思う。
窓を閉め切るとさすがに暑く、窓を少し下げるとちょうど良い。やはり車中泊は限界ギリギリの時期か。

<駅裏駐車場で仮眠>
駅裏駐車場で仮眠
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F5.6/Tv=1/250sec.

休憩後、駅へ向かう。以前も来ているので懐かしい風景。ただ、ドンヨリ曇っているので写真映えしないのが残念。

<伊豆高原駅>
伊豆高原駅
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F7.1/Tv=1/250sec.

駅には足湯コーナーがあり、前日に風呂に入れなかったこともあって足湯に入った。前回来た時もそうだったが少々熱い。まあそれくらいでなければ、この浅さでは冬場はすぐに冷めてしまうだろう。

<足湯>
足湯
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F7.1/Tv=1/200sec.

なお、駅には伊豆のジオパーク関係の案内などがあるようで、こういうのは以前には無かった。

駅からの帰り道、近くのスーパーマーケットを観察。チェックポイントは2つ、「駐車場」と「レジ袋」。
駐車場は無料のようなので、後でここにクルマを駐車して買い物をしよう。レジ袋については、地域によってはくれる場合とそうでない場合があるので、くれない場合は持参せねばならない。
見てみると、客は店のレジ袋を手に提げているように見える。

再びクルマに戻り、今度は海岸のほうへ行ってみる。前回は夏頃に訪れた時はユリの花などが咲いていたので、別の花が咲いているかも知れないと思い、改めてストロボを持って出た。
途中、喉が渇いたので自動販売機で500ミリリットルペットボトルの麦茶を140円で購入。今回は仕方無いが、この調子で自動販売機で飲料を買っていると割高になるから、後でスーパーマーケットで安いのを買っておこうか。

川沿いに歩いて海岸へ出、大淀・小淀の海岸地形を観察。誰もいないので気ままに移動して撮影して回る。

<大淀・小淀>
大淀・小淀
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F5.6/Tv=1/125sec.

大淀・小淀は単なる潮溜まりであるが、大淀のほうはかなり大きいので海藻や魚の影も見え、それ自体海の一部のよう。興味深いので撮影しようと思ったが、水面が反射して良く見えない。偏光フィルターがあれば良いが、ここではストロボで照らして疑似偏光フィルター効果を得ることとした(参考:雑文820の下のほう)。

<疑似偏光フィルター効果を利用して撮影した大淀>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
疑似偏光フィルター効果を利用して撮影した大淀
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mmF4.0/ISO200/F5.0/1/250sec./FLASH

ちなみに小淀のほうは小さいせいか、汚く濁ってゴミが浮いている状態のため、接近して撮るには不適当。

その後、吊り橋のほうへ行ってみると、迂回路の矢印が見えたので敢えて吊り橋を渡らず陸側の森の中へ入った。観光情報誌に載っているような、吊り橋を横から見た写真が撮れるのではないかと期待したためであるが、確か思った通りの光景が現れた。ただし天気がパッとしないので発色は良くない。

<横から見る吊り橋>
横から見る吊り橋
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/250sec.

なお、この先には目ぼしいスポットが無さそうなので引き返そうかと思うのだが、森の奥への道しるべがあるのでそこに入ってみることにした。我輩は同じ道を戻ることに精神的疲労を感ずるタチであるから、出来れば別の道を通って戻りたい。

森の中は樹海とも言えるほど鬱蒼としていたが、比較的確かな道があるので不安は無い。しかし観光客は来ない道だろうとは思われた。
我輩はポータブルナビを見ながら歩いており、画面上では駅方面に向かっている様子。しかも、途中で駅方向への道しるべが出てきた。それにしてもこんな樹海の中で道しるべとは不思議な光景。

<樹海の中に現れた道しるべ>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
樹海の中に現れた道しるべ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mmF4.0/ISO200/F4.0/1/15sec./FLASH

森を抜けると人家が現れ、ポータブルナビの示す道を歩いて駐車場まで辿り着いた。時刻はちょうど12時頃。そろそろ昼食とするか。
クルマに乗ってエンジンをかけ、数百メートルの距離だが駅前スーパーマーケットの駐車場にクルマを停めた。

<伊豆高原駅前スーパーマーケット>
伊豆高原駅前スーパーマーケット
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F6.3/Tv=1/320sec.

店内に入り惣菜コーナーへ行くと、379円のにぎり寿司弁当があった。これにしよう。前回伊豆へ行った時に入った回転寿司屋が一皿350円くらいだったことを考えると非常に割安(参考:雑文766)。
それから、2リットルの麦茶が93円だったのでそれも購入。500ミリリットルペットボトルに継ぎ足しながら消費すれば割安。
レジではレジ袋ばかりか割りバシも付けてくれた。割りバシは車中泊用に用意してあるが使わなくとも済む。

<379円のにぎり寿司弁当>
379円のにぎり寿司弁当
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/200sec.

クルマに戻って車内で寿司を食べていると、隣のクルマの持ち主の女性が戻ってきて同じように車内で昼食を食べ始めた。それはそれで良いのだが、我輩が食べ終わってクルマを出そうとエンジンをかけたら、すぐさま隣もエンジンをかけた。妙なシンクロに居心地が悪い。

次に向かったのは下田の爪木崎海岸地形。
地図上では距離があるように見えたので早めに移動しておこうと考えた。夕方着となれば、本格的な下田での行動は翌日を考えている。
ところが1時間ほどで到着し、まだ14時なのでそのまま散策することとした。雨がポツポツと降っているが、まあ、気にするほどでもない。カメラも防塵防滴なので大丈夫。

ちなみに、爪木崎の先端に駐車場があるがそこは一般車500円の有料。その数百メートル手前に無料駐車場があるのでそちらに停めている。

<爪木崎無料駐車場>
爪木崎無料駐車場
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F4.5/Tv=1/200sec.

無料駐車場の奥のほうに散策路があったので歩いてみる。途中、妙に馴染みのある雑草があったので写真に撮った。妙にコンニャクに近い植物に見える。もしかしてこれは、最近我輩が追っているウラシマソウではないか?

<コンニャク系の植物か?>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
コンニャク系の植物か?
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/F3.2/1/100sec./FLASH

そのまま海岸に歩いて行くと、ウラシマソウに間違いない花を見付けた。これも撮影。
ところがさらに海岸に沿って歩いていると、ウラシマソウの群生に行き当たった。どれも堂々たる立派な茎を伸ばし葉を広げている。こんな群生に比べれば、途中のウラシマソウなどゴミみたいなものだった。

<ウラシマソウの群生>
ウラシマソウの群生
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F4.5/Tv=1/20sec./FLASH

だが改めて見てみると花の時期は過ぎているようで、どれも萎んだものばかり。我輩はその中から1つだけしっかりした花を探し出し、それだけを撮影した。

<ウラシマソウの花>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
ウラシマソウの花
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/F4.5/1/60sec./FLASH

雨はいつの間にか止み、少し空が明るくなってきたように思う。
海岸線に沿った散策路を歩いているのだが、海岸線とは言っても水際ではなく少し高い崖の上を歩いている。だがそのまま歩いていると下り坂となり、水際まで降りてきた。
本格的ゴールデンウィーク前であるし天気もパッとしないせいか、ほとんど人影も見えない。

<ひと気の無い海岸>
ひと気の無い海岸
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/250sec.

海岸風景を独り占めしながら歩き、ぐるりと回って爪木崎先端の有料駐車場まで出てきた。非常に閑散としており、駐車料金徴収所に人気も見えなかったが、1台のクルマが近付くと料金徴収所から人が出てきたのでクルマは反転して帰って行った。

散策路はさらに先のほうまで続いているようで、明日そこを歩いてみようと思う。ただしその先へ行っても須崎港の辺りで散策路は終わり、帰りは同じ道を戻ることになるので気が重い。まずバスで須崎港へ行き、そこから駐車場まで戻りながら散策出来れば良いのだが。
そう思って爪木崎バス停の時刻表を見てみたところ、昼を中心に1日4便しか無いことが分かった。バス利用は難しい。

<爪木崎バス停>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
爪木崎バス停
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO200/F8.0/1/160sec./FLASH

有料駐車場から無料駐車場まで歩いて行くと5〜6分程度の距離だった。登り坂で少々疲れる。
クルマに戻ってこれからどうするか考えたが、15時半を回っていたのでもう生活時間に入ろうかと思う。とりあえずは道の駅「開国下田みなと」へ行ってみる。爪木崎からは近く、約10分で到着した。

<道の駅「開国下田みなと」>
道の駅「開国下田みなと」
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/200sec.

順番としては、銭湯に行ってから食事、そして宿営となるわけだが、まだ明るいうちに宿営地を見ておいたほうが良いと考えた。
ただ、なぜか腹の調子が悪く、トイレにしばらく入ることになった。

ここの駐車場は特徴的で、建物1階部分が柱で立っており、その1階部分が駐車場となっている。もちろん建物を離れた場所にも駐車スペースはあり、そこは屋外のトイレに近い。車中泊するならそちらとなろう。
またこの道の駅は港が隣接しており、そこには海上保安庁の巡視船と、観光船の黒船が係留してあった。

<観光船の黒船>
観光船の黒船
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/200sec.

しばらく周辺を歩いて状況を見た後、銭湯に行くことにした。あまりノンビリしていると、出るのが億劫になる。
事前に調べておいたのは下田市街にある「昭和湯」。昔ながらの銭湯で低料金、駐車場もあるので便利。道の途中でスーパーマーケットが目に入ったので、帰りはここで夕食を調達したい。駐車場も見える。

「昭和湯」は入浴料400円であった。事前情報では380円くらいだったと思うが、それでもまあ安い。
1日休んだ風呂なので、持参の石鹸で念入りに洗髪した。ヒゲも剃ってスッキリ。
湯は少々熱めで、3分程度浸かっただけで終わった。

<昭和湯>
昭和湯
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/125sec.

風呂の後は夕食の購入。クルマで先ほど見かけたスーパーマーケットに向かい、駐車場の矢印に沿って路地に入ると、そこには料金バーがあるではないか。無料駐車場だと思ったが違うのか?
しかし駐車場側にハンドルを切って半ば入り込んでいるので今さら引き返すのも難しく、そのまま進んで駐車券を取り入場した。
「くそ、1,000円くらい買い物しないと無料にならないかも知れん」と思って駐車券の裏を見てみると、「最初の1時間は無料」と書いてあった。ならば問題無し。

<下田のスーパーマーケット>
下田のスーパーマーケット
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/100sec.

惣菜を買う時、レジ近くに電子レンジがあることを確認。これで安心して割引の冷えた弁当が買える。
クルマに戻る時、ふと見ればすぐそばにロープウェイが見えた。寝姿山のロープウェイとのこと。改めて見渡すと夕暮れ時の良い雰囲気なので、近くにある伊豆急下田駅まで散策してみよう。こういう撮影は「E-M1」よりも手ブレに強い「E-M5 Mark2」が適している。

駅前には、観光地らしく土産物屋やバスターミナルがあり、近くのビジネスホテルからは誰かがカーテンを開けて夕暮れの街を眺めているのが見える。旅情を感じさせる雰囲気にしばし浸った。

<伊豆急下田駅>
伊豆急下田駅
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F4.5/Tv=1/80sec.

駐車場の無料時間が終わる前にクルマに戻り、再び道の駅へ。時刻は18時頃とちょうど夕食時。
食後、後部座席の布団に入り、この日撮った写真を眺めていた。城ケ崎海岸のポットホールはまるで昨日のことのように思うが、考えてみれば今朝のことである。とてもそうは思えない。

換気のため窓はほんのわずかに下げていたところ、すぐに蚊が飛んで来て隙間に取りついたので慌てて閉めた。1匹だけだったので偶然かとは思うが、少しでも窓を開けておくとまた蚊の餌食になるか。油断ならぬ。

それにしても目が疲れてきたので少し寝ることにした。
もちろん部屋着でないし歯も磨いていないので、あまり本格的には眠らずウツラウツラの状態。

20時頃、前の席に移って少し考えた。夜の下田市街を散策してみようかと。
ただ、市街でクルマを停める場所が考え付かない。いっそここから歩いて行ってみるか。しかしどうせ散策するなら昼間のほうが良くないか?
寝起きで考えているとなかなか結論が出ない。
それでも、写真という土産が出来ることを考えると、夜の散策も悪くない。そう決めた時にはもう21時になっていた。

外に出ると、道の駅は夕刻とはまた違った雰囲気があった。少し空気が冷たいが、多少歩き回っても汗が出ないこれくらいがちょうど良い。
夜道では手に持ったポータブルナビの光が少し眩しい。

所々で撮影をすると、さすがにISO200では5軸手ブレ補正でもブレ頻発。ISO400に上げて撮影していたが、下田市街では寺が多く、そこは照明がほとんど無いので、散策の後半ではISO1600まで上げて撮影した。マイクロフォーサーズでISO1600はさすがにノイズ的にキツかろう。いずれにせよ夜なので本当の暗闇は写せない。歴史的なスポットも多いようなので、真面目な記録は明日昼間に来て撮るしかない。夜景は夜景として、旅情重視という位置付けとしたい。

<夜の下田の街>
夜の下田の街
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO400/Av=F2.8/Tv=1/8sec.

夜の下田の街
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO400/Av=F2.8/Tv=1/8sec.

途中、観光案内コーナーがあり、無料のガイドマップが置いてあったので、何かの参考にと1枚拝借した。何しろ、我輩の持参したガイド本はジオサイトに特化しており、歴史的観光スポットの情報が全く無い。

市街を一回りして道の駅まで戻ると22時半。少し身体が冷えた。まあ、寒い方が寝る分には良い。
歯を磨いて部屋着に着替え、本格的に寝ることとした。
窓は全て閉めるつもりだが、その前にドアを大きく開けて風を入れ、酸欠にならぬよう十分に換気をしておくことにした。もちろん、ドアを開けたこの状態で蚊が入ってくると困るが、換気で二酸化炭素を追い出すなら蚊は車内には入るまい。

●4月30日(木)

早6時頃に目が覚めた。窓は閉め切っていたが特に息苦しいということはない。
空を見れば相変わらずドンヨリ曇り空。
朝食として買っておいたレーズンパンを食べ、着替えをした。

さて、今日の予定はどうするか。
昨日、途中まで歩いた爪木崎海岸地形散策路の続きだが、爪木崎から須崎港へ片道をバスで移動する件については10時台にならないとバスが出ないことが分かっている。中途半端なスタートになるので、朝はとりあえず下田散策とするか。
昨夜、観光案内コーナーで入手したガイドマップを見ていると、色々と歴史的な見所があることを知った。せっかくなので、そういう所にも寄ってみたい。

7時15分頃、クルマを降りて昨夜と同じように下田市街へ歩いて行った。
昼間見ると、街並みが非常に懐かしい気がする。大通りはそうでもないが、路地などは我輩の実家近くの行橋市街に良く似ている。電々公社のパラボラアンテナ塔が見える風景もそっくりで驚いた。

<まるで行橋の街>
まるで行橋の街
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO1600/Av=F10/Tv=1/800sec.

途中、坂本竜馬ゆかりの寺の正面を撮影。手作り感のある坂本竜馬像が妙な存在感がある。茶色なので木像なのかと思ったがそれにしては木質感は無い。

<坂本竜馬ゆかりの寺>
坂本竜馬ゆかりの寺
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO1600/Av=F7.1/Tv=1/400sec.

その後、かつてペリーが歩いたという街並みも歩いてみた。少々小雨がパラついてきたものの、傘を必要とするほどでもない。
大砲の遺物が民家の脇に野ざらし展示されているのが面白い。

引き返す経路にて、干物店が目に入った。魚を開いて網の上に乗せているところがいかにも漁港の風景という感じがする。
その時、店から猫が出てきたのでふと見れば、干物を1つくわえているではないか。我輩は猫と一瞬目が合い、互いに一瞬止まった。我輩は手に持った「OM-D E-M5 Mk2」を向け、スイッチを入れようとしたが、左手側にあるスイッチのせいで一瞬遅れ、しかもスイッチを入れてもなかなか撮影状態とならない。
猫はその間に悠々と立ち去ろうとしているので焦った。

結果的に撮影出来たのは下のカットだが、かろうじて干物をくわえた猫が写っているものの、決定的瞬間の店から出てくるところは撮れなかったのは非常に残念。

<干物をくわえた猫> (※トリミング掲載)
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
干物をくわえた猫
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO1600/F8.0/1/500sec.

もしこの時、「OM-D E-M1」を持っていたたならば、決定的瞬間は確実に撮れていたはず。もちろん「E-M1」もスイッチの位置が左手のほうにあり、起動が必ずしも早いとは言えない部類だが、それでも十分な間はあった。それを逃すくらいだから、「OM-D E-M5 Mk2」の起動の遅さは大問題。先日のファームウェアバージョンアップにて多少起動が早くなったはずだったが、それでも実用的になったとは思えない。
基本的にこのカメラはスナップには向かない・・・と言い切りたいが、強力な手ブレ補正能力がスナップ用途としては捨て難く、ケースバイケースで使うしかあるまい。

早朝散策を終えてクルマに戻ったのが8時半頃。
爪木崎海岸地形の散策について検討するためジオガイドブックを見てみたが、昨日の散策で十分ではないかと考えた。特別変わった地形があるならばまだしも、他と変わらぬ柱状節理だけならば、続きは省略してしまおうか。

そこで、次の目的地である石廊崎(いろうざき)へ向かうこととした。
ここには柱状節理の地形があるが、特徴的なのは、ここの柱状節理にはマグマの通り道だったと言われる大穴があるという。ガイド本はこのような地形を「火山の根」と呼んでいる。城ヶ崎海岸のポットホールに続いてビジュアル的なインパクトを感じさせるので、我輩としても写欲が湧く。

地図で見ると石廊崎は小さな港のようで、駐車スペースがどうなっているかよく分からないが、事前にインターネットで検索してみると港に広い駐車場があるとのこと。夏は有料となるそうだが、今は夏ではないので無料だろうと期待する。
現地に行ってみるとクルマで30分程度で、駐車場は思った通り無料だった。

<石廊崎の駐車場>
石廊崎の駐車場
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F6.3/Tv=1/400sec.

クルマを降り、ガイド本に載っているルートを現場の風景で確認すると、確かに海岸線沿いに道がある。
我輩はカメラとストロボを持ってそこに向かった。昨日の城ヶ崎海岸ポットホールでは落ち着いてライティング出来なかったが、今度はうまくやってみたい。ポットホールよりも大きな相手なのでストロボが太刀打ち出来るか分からないが、2台あれば何とかなろう。

途中、柱状節理の絶壁が物凄い迫力で、見上げるとめまいを感じた。低い場所から見上げているのに、高い所から見下ろす恐怖感に似ている。巨大なものが視野いっぱいに覆いかぶさると足下がふらつきそうだ。

さて、肝心の火山の根は、散策路の折れ曲がったすぐ先にあった。
柱状節理に囲まれ、ぽっかりと丸い穴が開いている。しかしトンネルのようにずっと穴が続いているわけではなく、ほら穴状になっている。恐らくこの辺り一帯がマグマで、冷えて固まる際に柱状節理の繊維の中心となった部分が海蝕によって丸く崩落したのであろう。
それにしてもビジュアル的に面白い。

<石廊崎の火山の根>
石廊崎の火山の根
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/800sec.

早速ストロボを配置してライティングしてみたが、やはり大物相手は難しい。少なくとも日中は余程シンクロスピードの速いカメラでなければ無理だろう(なんとなれば、ストロボ光が相対的に弱いためTv値によって定常光を大幅に減ずる必要がある)。
そういう意味で、ここはシンクロスピード1/250秒の「E-M5 Mk2」ではなく、1/320秒の「E-M1」とした。そんなに大差無いとも言えるが、このわずかな差が日中シンクロでは大きく感ずる。

ここでのライティングの狙いとしては、まず1台のストロボで全体を横から照らして発色とコントラストを正し、もう1台のストロボで穴の奥を照り起こす。これにより、人工的な印象が出て我輩らしい写真となろう。

ところが実際に撮影したところ、なかなかイメージ通りにライティングするのは難しいことが分かった。
外側全体を照らそうにもストロボの絶対的な光量が足らず定常光に負けている。もっとストロボの台数があれば良かったが、ストロボの数が増えるとセッティングが大変な手間。まさかストロボの数だけスタンドを用意するわけにもいかぬ。複数のストロボを1つのスタンドに集約設置するようにしなければなるまい。
それから、穴の中を照らす光が少々硬い。ディフューズさせたほうが良いのだが手持ちの道具が足りない。

<ストロボが非力で外側全体が照らせない>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
ストロボが非力で外側全体が照らせない
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/F4.0/1/250sec./FLASH

なお、撮影した画像を背面液晶で見ると、下手に広角レンズで撮っているだけにギュッと凝縮されて小さく見えてしまい、写真では実際の大きさが伝わらないことに気が付いた。広角レンズの画角に頼り過ぎなのかとは思うが、撮影位置は限定されているので致し方ない。

結局、ベタな方法だが我輩自身を写り込ませることでスケール感を導入することとした。WiFiリモート撮影であり、右手にコントロール用のタブレットを持っているのが分かるだろう。
もちろん、この写真は決して観光の記念として撮ったわけではない。

<自分自身をスケールとした撮影>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
自分自身をスケールとした撮影
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/F4.0/1/400sec./FLASH

ちなみに撮影データのうちTv値が1/400秒となっておりシンクロスピードを超えているが、これは設定ミスである。ただ、このカメラのシンクロ上限の1/320秒をほんのわずか越えただけであるし、ストロボ成分も少ないので目立たない。ラッキーだった。

撮影後、クルマに戻ると10時過ぎ。体感的には昼頃かと思ったが錯覚か。
ここでの目的は果たしたので、次の目的地「雲見の烏帽子岩」へ行くことにした。

道は全般的に空いており、最初はスムーズに走っていたが、途中、ゆっくりペースのスポーツカーが前方に現れ、我輩もペースを落とした。以前、箱根でゆっくりペースのクルマがいたおかげでネズミ取り検問に引っかからずに済んだことがある。(参考:雑文766)。急ぐような距離でも無し、今度も無理せず車間を空けて付いて行くことにした。
だがそれにしても、制限速度よりも明らかに遅いので疲れた。

雲見地区へ着いたのは11時頃。
事前調査では、海岸に駐車場があるそうだが、海水浴シーズンは有料であるものの通常は無料らしい。ところが実際に行ってみると「有料」の看板があり、少々ためらったが有料でも仕方無かろうと入ってみた。

<海岸の駐車場>
海岸の駐車場
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F5.6/Tv=1/400sec.

有料であれば駐車整理員が来て徴収に来るのだろうが誰も来ない。昼食代わりのパンを食べながらそのまま10分ほど車内に待機したが付近はひっそりして動きが無く、そのままカメラ一式を持ってクルマを降りた。

まずは、釣り客を相手にした民宿が軒を連ねる漁村の風景を撮影。こういう風景はなかなか良い。自宅に戻ってから画面上で拡大して隅から隅まで眺めるのが楽しみである。

<民宿が軒を連ねる風景>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
民宿が軒を連ねる風景
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F6.3/1/320sec.

その後、路地を抜けて烏帽子岩への登り口を目指す。烏帽子岩の頂上は見えているので、方向に迷うことは無い。

<烏帽子岩>
烏帽子岩
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F6.3/Tv=1/400sec.

登り口には無料駐車場があり、数台のクルマが停まっている。そしてこれから烏帽子岩を登ろうとしている者たちがいた。我輩も最初からここに停めれば良かったか。

ジオガイド本によれば、烏帽子岩頂上へは20分ほどかかると書かれている。しかし見上げた高さを考えると、早くても30分はかかるのではないかと思われた。なぜこんな時間が書かれているのだろう。

まず、鳥居をくぐって普通の石段を上って行く。しかしこの上り角で行ってもその延長線が烏帽子岩の頂上に繋がるように思えない。

<烏帽子岩への登り口>
烏帽子岩への登り口
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/60sec.

途中、年配の女性が下りてくるところをすれ違った。
「お気をつけて」と声を掛けられ、「あ、はい、どうも。」と応えた。

しばらく石段を上ると神社の社殿に行き当たり、その脇から別の階段が続いていた。そちらは先ほどの階段よりも急で、しかもその先は弓なりに角度が大きくなっているではないか。
我輩はその階段に足を掛けたが、踏みしろが狭くて難儀した。かかとが大きくハミ出る。しばらく行くと手摺りがあるのだが、確かに手摺りを掴まねば上れないほどの急角度。まさに上るというよりも登るという状態。
振り返ってみれば、肝が冷えるほどの高さ。階段がこれほど怖いと思ったことは無い。
この時、「お気をつけて」と声を掛けられたことの意味を理解した。

<急角度の石段>
急角度の石段
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F4.5/Tv=1/100sec.

途中、石段の脇にウラシマソウが幾つか生えているのに気付いたが、この状態では撮影どころではない。
とにかくこの階段を克服することに努め、ようやくひと段落する場所まで上り切った。振り返って階段を覗きこむと、本当にめまいがする。降りる時はもっと怖そうだ。降りられるのか不安になるが、上ってしまったものは仕方無い。どうにかなろう。

ふと気付くと、下の方に30代くらいの男女が上ってくるのが見えた。
「後ろから追われると非常に落ち着かないので、ここでやり過ごすか」
我輩はこの場所に留まって景色を眺めるふりをして待機、男女が上ってくるのを待った。しかし2人はワーキャー言いながらなかなか上がってこない。なんだ、これなら追われる心配は無かったか。

そうこうしているうち、2人が上がってきた。そして我輩と同じように景色を眺め始めたので、我輩はその先を行くことにした。
その先には石段は無く、ゴツゴツとした岩が剥き出しの山道が九十九折り(つづらおり)となって上に続いてる。

<山道>
山道
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/40sec.

だが我輩は登山には慣れているので、むしろ踏みしろの狭い石段よりもこういった山道のほうが登り易い。それに、ガレ場登山ではグラグラするような浮石に足を掛けると転落する恐れがあるので慎重に歩くのだが、この山道の岩は地面にガッチリ固定されているので、ポンポン跳ねるように登って行ける。もしかしたらそれぞれの岩は地中で繋がっている一枚岩かも知れない。
最終的に、登り口鳥居の所から烏帽子岩頂上まで、休憩時間を除けば17分で登り切った。暑くて汗が出る。

頂上には社が建っており、「よくこんな高所まで建材を運び込んだものだ」と感心した。
そこからは雲見の集落が見渡せ、我輩のクルマも見えた。

そしていよいよ、最頂部である岩の上に登ることにした。
階段としてはそれほどでもなく、2階に上がるような感覚なのだが、ここに登った途端、周囲に遮る物が何も無くなり、吹きっさらしの状態となった。これは怖い。
我輩は腰が引けた状態で手摺りを持ち、片手で何とかカメラを突き出した。
景色はもう最高。これは是非とも写真に撮らねばと思う。しかし脚が震えてどうにもならぬ。

<最頂部から必死に撮影>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
最頂部から必死に撮影
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/F7.1/1/200sec.

この最頂部にいたのはほんの1分ほどだったと思う。落ち着いて眺めていられない。シャッターだけ切って逃げるように階段を降りた。
ほんの数メートルの違いしか無いが、こんなに恐ろしいとは思わなかった。まあ、超広角レンズで写真に撮ったので、自宅の安全な場所でゆっくり鑑賞しよう。

さて戻ろうかと思った時、例の男女2人がヒイコラ言いながら登ってきた。意外に早かったな。
我輩は2人をやり過ごすと、岩場をピョンピョン跳びながら降り始めた。下りは早い早い。浮石が無いことが分かっているので怖くない。もちろん常に2〜3歩先の岩を見ており、万一滑ったり岩が転げたりすれば、すぐさま第2、第3の岩に移動出来るよう重心移動の調整もしている。

ただし、やはり難所は急な石段。
真直線に続く急勾配は視覚的にインパクトがあり恐怖感を覚える。手摺りに掴まりながら慎重に降りるしか無かった。
それでも最終的に、頂上から下の鳥居まで10分であった。ほぼ半分の時間で降り切ったことにガッツポーズ。
ん・・・待てよ、これは何かの競争だったのか?

ちなみに、降りたところでウラシマソウの見事な株を見付けたので、神社の雰囲気とともに撮影しておいた。

<神社のウラシマソウ>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
神社のウラシマソウ
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F4.5/1/50sec./FLASH

その後、とりあえず下から烏帽子岩を撮ろうと思い、眺めの良い場所に移動して標準ズームレンズを望遠側にして撮った。
だが35mm換算80mmでは少々拡大率が足らない。クルマに置いてある望遠ズームに換えるか。
クルマまでの往復が手間ではあるが、せっかく登った烏帽子岩を是非撮っておきたいので、いったんクルマに戻ってレンズを交換して再度撮影。
よくあんな恐ろしい場所まで行ってきたなあと改めて思った。

<烏帽子岩頂上>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
烏帽子岩頂上
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/40-150mmF2.8(テレコンバータ使用)/ISO1600/F9.0/1/1600sec.

さて、時刻は間もなく13時。
次の目的地は堂ヶ島のトンボロ(陸繋島)。ただし駐車場情報が不明だったので、カーナビゲーションの目的地はその先の戸田(へだ)にある御浜岬へセットしておいた。
案の定、駐車場が見付からない。店の横に大きく「無料駐車場」と書いてあるものがあったが、無料とはいかにも怪しいので停められなかった。まあいい、トンボロはそれほど珍しくないのでこの地域はパスしよう。
我輩は緩めたアクセルを再び踏み込んだ。

14時頃、戸田の御浜岬へ到着。
岬の突端には「戸田造船郷土資料博物館」というものがあり、博物館マニアの我輩は以前からここに行ってみたかったのだ。

<御浜岬>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
御浜岬
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F6.3/1/400sec.

駐車場にクルマを停めて博物館のほうへ歩いていると、道の脇に馴染みのある葉が茂っているのが見えた。ウラシマソウだった。意外にこの伊豆周辺はウラシマソウが多いな。ただし花の時期が過ぎているのか萎んでいるものが多い。

そうこうしているうちに博物館に近付いた。妙にひっそりした雰囲気なので不安になる。もしかして博物館は潰れたか?
正面入り口とみられるところに回り込むと、ガラス越しにカーテンが閉まっているのが見えた。見れば、「休館」という札が掛かっているではないか。一般的に博物館は月曜が休館というのが定番だったので、このような事態は全く想定していなかった。
我輩はしばし脱力した。

<休館日だった戸田造船郷土資料博物館>
休館日だった戸田造船郷土資料博物館
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/1000sec.

しかしせっかく来た岬なので、周囲を散策することにした。
この御浜岬は、そこから少し北に位置する大瀬崎と共に、海に半島状に張り出した砂嘴(さし)と呼ばれる地形。大きな半島は一目で見渡せないが、このような砂嘴は一目で見渡せる規模なので面白い。

その内面は弓状の砂浜が広がり、海水浴には気持ち良さそうに見える。もっとも、シーズン中は混み合って本当に楽しめるかは疑問ではある。
ただこの時は気付かなかったが、帰宅後に岬全体を見渡せるポイントが山の上にあるようだった。次回は必ずこの光景を写真に収めたいと思う。
なお、海からの風が結構強く、ウラシマソウの群生が大きく揺さぶられていた。

さて、これからどうするか。
時計を見れば14時40分。博物館が休みで、砂嘴も小さくすぐに散策が終わった。ちょうど伊豆半島も一周した状態で、次の目的地となれば帰路にある丹那断層辺りを考えていたが、今からでは中途半端な探索となってしまう。
生活時間には少々早いが、今夜の宿営予定地の道の駅「伊豆のへそ」へ行って落ち着くか。

ここまで海沿いの道を走ってきたが、ここからは山側の道を走った。ただ、途中の分岐を誤ってしまい、当初のルートを外れてまた海側へ向かった。引き返したほうが良いのでは?と心配したが、カーナビゲーションの地図によれば、どちらの距離も大差無いようなのでそのまま進むことにした。

道の駅「伊豆のへそ」へは15時半に到着。西陽が強く、ジリジリと暑い。

<道の駅「伊豆のへそ」>
道の駅「伊豆のへそ」
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/2500sec.

駐車場で一息ついていると、少し離れた所に黒色のメルセデスベンツCクラスが停まり、運転手が出てきてこちらを見て「お?」という表情をした。我輩と同じ車種だが、こちらは早期にカタログ落ちしたボディカラーで、おまけにエレガンスという稀少タイプ。我輩自身、同じものを見たのは1度しか無い。見る者が見れば「お?」と思うのも無理もない。

さて、これから風呂に入るか?
しかしまだ暑いので、風呂から上がってもサッパリ感が続くまい。もう少し待つか。
ちなみにここに来るのは3度目なのだが、道の駅施設が営業中に来たのは今回が初めて。良い機会なので土産でも買ってみるか。

土産物売り場に入ると、店のオヤジが「干支のお守り、細かい字で彫ってあるよ」と話しかけてきた。
我輩の干支を聞かれたので、答えてやると、「だったらXX年生まれ?」と言われたのだが全然違う。我輩が返答に困っていると、オヤジも困ったようだ。我輩は見た目が若いということを自覚しているが、驚くことに今回は30代に見られたのである。我輩が女性なら飛び上がって喜ぶかもな。
今度は奥さんの干支も聞かれたので答えたら、これまた全然違う年を言う。困ったな・・・。

結局、隣の店で豚児の好きそうなカピバラのカスタード饅頭と、高級イカ燻製、そして高級ハチミツを購入。自宅に帰ってから「このハチミツ、秋田産と書いてあるよ」と指摘された。確かに伊豆土産らしくは無いが、おいしそうだったので良いじゃないか。

土産を購入後、何だか旅も終わったような気分になった。
今回は映画レイトショーを観る予定も無く、次の日の目的が丹那断層のみということで、わざわざ車中泊してまで滞在する必然性が感じられない。もう少し涼しい時期ならば良かったが、暑さで疲れも出てきた。もう家に帰ろうか。

時刻は16時半。
カーナビゲーションに自宅をセットしてルート探索。一般道では4時間ほどかかるらしい。「とりあえず小田原まで走って休憩でもするか」とクルマを出した。

途中、山道に入って良いペースで走っていたら、後ろから軽トラックが追い付いてきて後ろにピッタリ付いた。
我輩のスピードでも微妙なところなのに、それに追い付くというのは大幅な速度超過。下り坂だったのでスピードが乗っているのだろう。こちらは強力なエンジンブレーキがあるのでフットブレーキは全く使わない。そのせいか軽トラックのほうは調子が合わずに少し車間距離を開けてきた。そもそも、我輩は直線でスピードを抑え気味に、そしてコーナー中に加速する。これは直線のネズミ取りに引っかからないためと、コーナー攻めを楽しむためである。この挙動は、直線だけ速度を上げる軽トラックとは真逆であった。

その後、軽トラックとは道の分岐で分かれ、我輩のほうは熱海市街へ向かった。
熱海と言えば、往路でファミリーレストラン「ジョナサン」で食事したことを思い出す。帰着が21時くらいになりそうなので、またここで夕食とするかと考えた。
そこでふと「どうせならば、もう少し先に行って真鶴岬でキンメダイを食うか」とひらめいた。4年前、真鶴岬の「うに清」という活魚料理屋に行って巨大キンメダイの煮付を食べた。せっかくここまで来たのだから、ぜひ「うに清」へ行こう。

<どうせなら真鶴岬へ行こうか>
どうせなら真鶴岬へ行こうか
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/125sec.

真鶴岬へ向かって右に折れ、暗くなりつつある漁港の道を走る。所々に「うに清」の看板があって気分が高まる。

<所々に「うに清」の看板> (※トリミング掲載)
所々に「うに清」の看板
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/250sec.

現地到着したのは17時半。海の近くなので、クルマを降りてから海岸沿いを散歩しながら写真を撮った。磯の匂いがこれから食べるキンメダイの前菜のようなものだ。

10分ほど海岸で過ごした後、海岸から上がっていくと、そこにバス停があった。
「ここはバスの路線になっているのか」
今後の参考のために時刻表をメモ撮影しておこうとカメラのシャッターを切った。カメラの背面液晶で撮影した写真を確認すると、背後にちょうど「うに清」が写っていて良い構図だった。

「・・・ん? ちょっと待て!」
見れば、「うに清」の前に看板が置いてある。我輩はカメラの背面液晶から顔を上げ、改めて「うに清」を見た。そしてその場で脱力した。

<バス停を撮影したら、思わぬものが写っていた・・・>
バス停を撮影したら、思わぬものが写っていた・・・
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO1600/Av=F7.1/Tv=1/500sec.

何と、看板には「定休日」と書かれているではないか。ここまで来て定休日とは・・・。戸田の博物館と提携でもしているのか?
我輩は大きく溜息をつき、クルマに戻ることにした。

すると、「うに清」の隣にもう1つ「原忠」という店があることに気が付いた。パッと見た目、イタリアン料理店かと思ったが、よく見れば看板には「磯料理」と書いてある。メニュー看板もあり、キンメダイの煮付定食があるではないか。値段は「2,300円〜」と書いてある。「うに清」で食べた時と同じくらいの値段か。
そこで急遽、この店に入ることとした。

<「うに清」の隣にあった「原忠」>
「うに清」の隣にあった「原忠」
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO1600/Av=F2.8/Tv=1/60sec.

店に入ると2階へ案内され、階段を上ってみると客は1人しかいなかった。考えてみれば今日は平日の木曜日。
我輩は席に座るなりすぐさまキンメダイの煮付定食を注文した。
するとおばちゃんは済まなさそうに「ちょうど良い大きさのが無いので2,800円くらいになると思いますけどいいですか〜」と言う。大きさによって値段が違うとのこと。
まあそういうことなら、と了解した。

ところが後から「ちょうど良い2,300円の大きさのがありましたよ」と出されたキンメダイ、期待していたものよりも小ぶりであった。
「うーむ、高くても良いから大きいのが欲しかった・・・。」
もちろんこれは定食なので、キンメダイだけでなく飯や味噌汁などを加えるとそれなりにボリュームはある。しかし腹を叩いて満腹というほどでもない。やはりキンメダイで腹一杯にしたかった。

<期待を裏切る小ぶりなキンメダイの煮付定食>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
期待を裏切る小ぶりなキンメダイの煮付定食
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO1600/F3.5/1/100sec.

腹も満たされたので家路につこうとクルマに近付いた。ところが、ドアロックを解除しようとしたら、既に解除されているではないか。ロックし忘れたらしい。
慌てて車内の荷物を確認したが、特に盗られたものは無いようだった。助かった。

真鶴出発は18時40分。帰着予定は22時過ぎとのこと。まあ、一般道をのんびり行くか。
2車線の道路の左車線を走る。ペースメーカーとなる大型トラックの後ろに付き、単調に走り続けた。早く帰って画像をチェックしたい。ただそれだけを考えていた。

写真というものは、旅で最も大切な土産である。カメラの小さな背面液晶では分からないような描写を、パソコン画面で早く眺めてみたい。あの写真はどうなっているだろう、この写真はどうなっているだろう。
それはまるで、土産物の包みを開けるのが待ち遠しいような気持ちであった。

暗い車内にはラジオの音。とりとめのない話ばかりだが気が紛れる。
最初のうちは暑いので窓を開けていたが、外の音がうるさいのでエアコンのスイッチを入れて窓を閉め切り、ラジオに耳を傾けた。
2台のカーナビゲーション画面のうち、全体を映したものがだんだんと都内に近付くのが励みになる。

<夜の一般道をひた走る>
夜の一般道をひた走る
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO1600/Av=F2.8/Tv=1/60sec.

都内は無法なタクシーが多く注意が必要ではあるが、もう少し頑張れば家も近い。
しばらくするとスカイツリーも見えてきた。ここだけの話、スカイツリーは我輩自宅の門灯代わりなので、ここまで来るともう家に帰った気分になる。

<自宅の門灯が見えた>
自宅の門灯が見えた
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mmF2.8/ISO1600/Av=F2.8/Tv=1/20sec.

そして最後に、ガソリンを満タン給油してから自宅へ帰着。今回の旅を完了とした。
帰着の時刻は22時半だった。

●旅のまとめ
今回の旅に関する集計を下記のとおりまとめた。

●期間 2015年4月28日〜2015年4月30日(3日間)
●デジタル撮影総枚数 約1,400枚(ミスショットを除く)
写真撮影の方法としては邪道かとは思うが、ストロボ撮影は出た目の調整が多くなり、シーンに対するカット数が自ずと多くなってしまう。
●走行距離 516km
●消費ガソリン 47.18L
●平均燃費 11km/L
このクルマの過去7年間の実績では、一般道と高速道路を混在した条件で平均燃費11km/Lとなっている。今回は一般道のみとしたわりに燃費が同等と悪くない。
●費用 17,579円

<内訳>
・飲食代 :5,959円
・ガソリン代 :6,700円(@142円)
・駐車代 :1,000円
・入浴料 :400円
・土産代 :3,520円 


<ルート実績>
ルート実績


今回、撮影後に気付いたことが幾つかある。

まず、思わぬところに思わぬものが写っていた。これは写真の愉しみの1つと言えよう(参考:雑文081)。
下の写真は、下田の坂本竜馬ゆかりの寺で写したもの。

<坂本竜馬ゆかりの寺>
坂本竜馬ゆかりの寺

何の変哲も無い写真だと思っていたが、手作り感のある坂本竜馬像を丹念に見ていくと、足下に何かが写ってるのに気付いた。

<坂本竜馬ゆかりの寺> (※等倍トリミング)
坂本竜馬ゆかりの寺

それから下の写真は、戸田の御浜岬で撮ったもの。

<戸田の御浜岬>
戸田の御浜岬

これも拡大して見ていくと思わぬものが写っているのに気が付いた。

<戸田の御浜岬> (※等倍トリミング)
戸田の御浜岬

また、下の写真は爪木崎でウラシマソウの隣に咲いていたアザミである。

<爪木崎のアザミ>
爪木崎のアザミ

これを等倍拡大すると妙なものが写っていた。このアザミは10枚近く撮っており、そのほとんどに写っている。

<爪木崎のアザミ> (※等倍トリミング)
爪木崎のアザミ

これは形状的にはハチかハエの仲間であろうが、配色が独創的でビックリする。まるでペンキで塗ったかのよう。さすがに新種では無かろうが、それでも自分の知らなかった世界を見ることが出来て感動する。

さて、次に気付いたことは、4月30日に撮影したものの中で妙に画像が粗いものがあるということだった。
最初はRAW現像ソフトの表示がおかしいのかと思ったが、撮影情報を見て仰天した。なんと、「E-M5 Mark2」で撮影したものが全てISO1600となっているではないか。
前日夜に感度を上げたまま戻すのを忘れていたらしい。ISO800くらいならばまだしも、よりにもよってISO1600を常用していたとは悔やまれる。
ドロボウ猫のカットもそれに含まれており非常に残念。

もちろん、ISO1600でも適正露出で撮れているものはノイズ感はそれほどではない。しかし露出不足となっているものをRAW現像時に持ち上げた場合には、さすがにマイクロフォーサーズのイメージセンサーではノイズが盛大に出る。RAW現像時のノイズ除去も限界があり、あまり強くすると塗り絵状態となるのでバランスが難しい。だから一律にノイズ処理は出来ず、1枚1枚の露出過不足具合を見ながらその画に最適なノイズ除去パラメータを設定していくしか無い。これは現時点でも作業中である。

●次回の課題
今回の旅を終え、以下のことを課題として挙げる

・撮影前に設定感度を確認すること
・城ヶ崎海岸のポットホールのライティングではストロボに防水などの対策をすること
・スナップではドロボウ猫に備えて起動の遅いカメラは使わぬこと
・戸田の御浜岬を俯瞰撮影すること
・石廊崎の火山の根のライティングは夕暮れ時に行なうこと
 (あるいはストロボの台数を増やして強力にすること)
・キンメダイの煮付を注文する際は最大のものを所望すること