2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[081] 2000年 7月10日(月)
「写真の情報量」

1989年、北海道大雪山で「SOS事件」が報道された。山中で、白樺の白い倒木で組まれたSOS文字が発見されたという、あの事件。

その付近は過去に何度か航空写真で撮影したことがあったそうで、その文字が発見された後、その地点の写真を引伸ばして調べてみたところ、確かにその文字が確認できたという。我輩はその航空写真をテレビ報道で見たのだが、確かに「SOS」という文字が、拡大された写真の粒子の中に現れている。
広範囲を写した航空写真の、こんな小さな「SOS」の文字など、言われなければ気付かない。それでも、写真には写っていた。それはまるで、世間で騒ぎ出した時に、「俺は前から知ってたよ・・・」と、その写真がポツリと言っているかのように見えた。


当時のTV報道より

「写真というのは、ゴチャゴチャ写るから面白いんですよね。」
以前、職場で隣の部署の課長が言った言葉を思い出した。広角レンズなどを使って画面の全てにピントを合わせて写真を撮る。そうすると、目の前の全てがフィルムに固定される。肉眼では全てに視線を配ることなどできないが、出来上がった写真を丹念に眺めていくと、色々な発見があるのだ。人混みを写せば、肉眼では単なる「人混み」でしかないが、写真に撮ることによって1人1人の姿が浮かび上がってくる。

米大統領ジョン・F・ケネディがダラスで暗殺された時、その瞬間の映像がいくつか残されている。そこには、第二、第三のスナイパーが写っていると指摘する声もある。中には、「大統領を乗せた車の運転手が振り向きざま銃を向けている」という者さえいる。画像は粗く、そう言われればそう見えなくもないが・・・。
とにかく、その画像に記録されている粗い粒子の中から、懸命に真実を読みとろうとする努力が続いているのは事実だ。写真というものはそれほど、普段は気付かないような情報を秘めている。

我輩が初めてスライドプロジェクターでスライドを投影させた時に、撮影時には気付かなかったような多くの発見をした。以来、その写真を見るたびに新しい発見をする。
「発見」というと、大したことのように聞こえるが、そうではなく、前回見た時には自分の目に入ってこなかった情報があるということだ。
それは、自分に新たな知識が加わって初めて認識できる情報ということもある。そういった「掘り起こし」をすること自体が面白かったりする。
写真を構成する粒子の中に、「幽霊の顔」が潜んでいるのか、「SOSの文字」が潜んでいるかは分からない。ただ、写真には撮影者でさえ知りえない情報が写り込んでいるということだけは確かだ。