2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[862] 2016年03月02日(水)
「4,200万画素機導入その後」


我輩はつい最近まで、デジタルカメラのメインとしてマイクロフォーサーズ機を使っていた。
これはあくまでも、デジタルカメラのカテゴリの中でのメインという意味であり、カメラ全般で見るならば、我輩にとっての本来のメインカメラ、つまり制式カメラは中判フィルムカメラであった。

もちろん、中判の使用頻度は近頃は極端に低下していたため、この状況を例えるならば、戦闘に参加せずトラック島に停泊を続けた戦艦大和のような存在と言える。事実上、前線で戦っていたのは、デジタル機のマイクロフォーサーズカメラであったのは間違いない。
では、このマイクフォローサーズ機の画素数1,600万画素は、果たして前線で戦うに十分なものだったろうか?

現状、我輩のパソコン環境でそれら1,600万画素の画像を等倍表示したとしても、縦横それぞれに半分の長さが見えてしまっているので、スクロールする余地もあまり無い。この状態からトリミングでもしようものなら、まさに画面ジャストサイズになってしまう。

<現状での1,600万画素の等倍表示イメージ>
現状での1,600万画素の等倍表示イメージ

ところで、我輩は最近、これまで撮り貯めた植物写真をアルバム代わりにまとめようと、オンデマンド印刷(※)で書籍の形に仕上げるべく、版下をコツコツ作成している。
これまで撮った植物写真の集大成ということに加え、冊子として植物図鑑的なボリューム感が是非とも欲しいので、100頁くらいのものを考えている。しかしそうなると予算がオーバーせぬよう判サイズはA5判(148x210mm)に抑えねばならぬ。
(※オンデマンド印刷=少部数印刷に適した印刷方法。通常のオフセット印刷だと少部数ではかなり割高になってしまう。)

もちろん頁数を減らせば判サイズを大きくしても予算内に収まろうが、頁数が少ないと薄っぺらなパンフレットのようで安っぽくなる。それに、撮り貯めた多くの写真を収められない。
やはり図鑑を標榜するならば、判サイズは小さくとも情報量が詰まった感じのする厚みが必要。

そういうわけでA5縦判にて版下を作ろうとしたわけだが、印刷会社の指定によると350dpiの解像度で版下データを作れとのこと。もし紙面いっぱいに写真をレイアウトするならば、計算上は2,042x2,898ドット、裁ち落としの余裕を考えると約2,200x3,000ドットの写真が必要となる。
これまでのマイクロフォーサーズ1,600万画素で撮ったものは、縦画像で言うと3,456x4,608ドットなので、まあ、そこそこ余裕はある。縮小レタッチでピクセルの目を詰めれば画質向上も望める。

<A5縦に縦画像は余裕あり>
A5縦に縦画像は余裕あり

ところが実際に版下を組んでみたところ、横位置で撮った画像を縦紙面にレイアウトしたい場面も多くて苦労している。
紙面としては、文字ではなく写真がメインの構成なので、横位置画像も写真が紙面一杯になるようにレイアウトしたいところ。だが印刷側の縦3,000ドット長の要求に対して、横位置画像は縦3,456ドット長とほとんど余裕が無く、レイアウトの自由が利かないのだ。
「縦横2パターンで撮り分けておけば良かった」と思ったが、撮影時に印刷レイアウトまで想定するはずも無く、正方形の6x6中判のメリットを今さらながらに感じた。


<A5縦に横画像を使うと縦方向の余裕無し>
A5縦に横画像を使うと縦方向の余裕無し

小サイズのA5判でこれなのだから、もしA4縦判に縦画像を使おうとすれば、印刷で縦4,200ドット長の要求に対して元画像は縦3,456ドット長と、完全にショートする。そうなると、版下入稿データに合せるため、画質低下を承知で拡大させるしか無い。

<A4縦に横画像を使うと縦方向が完全にショート>
A4縦に横画像を使うと縦方向が完全にショート

以前、「8K高解像ディスプレイの普及により3,000万画素以下のデジタルカメラで撮った画像は用無しとなる」と書いた(参考:雑文811雑文815)。
そこでの論旨は、「印刷サイズを基準にして画素数がそれほど必要無いと主張する者がいるが、今の時代に印刷などするか?」というものだった。

ところが今回、いざ印刷用途に使おうとしたらこんな状況なのだ。くそっ、1,600万画素の画像など、印刷用途ですら不足があるじゃないか!
よく、「1,000万画素と2,000万画素のデータをプリントアウトして比べても違いが分かりませんでした」などというようなレポートを見るが、そういう問題ではなく、版下入稿データとして成立しないのだから困っている。

最近、我輩は中判フィルム撮影からデジタル撮影への乗り換えを公式に宣言し、デジタル側の受け皿として、4,200万画素機の「SONY α7RII」を選んだ(参考:雑文855)。
そこでこの4,200万画素の画像を使って版下レイアウトしてみると、縦であろうが横であろうがもはや自由自在。さすがに余裕があるなと感じさせる。計算上、A4縦判でも問題無い。

やはり、我輩が写真を撮るならば4,000万画素台が最低ライン。
単純にフィルム粒子をデジタル画素数に換算することは出来ないとは思うが、それでも長年フィルムスキャンをしてきた経験上、6x6判で4,000万〜5,000万画素は必要だと感じていた。だからデジタルカメラに乗り換えるとすれば、4,000万画素台のカメラが手に入らない限り不可能だったわけだ。

仮にそれ以下の画素数のデジタルカメラに乗り換えたならば、デジタル全盛の今まで引っ張ってきた中判撮影へのこだわりと苦労は何だったのかという話になる。それはもはや「中判からデジタルへの乗り換え」ではなく、単に「中判の廃止」でしかない。

というわけで、4,200万画素の運用開始により、めでたしめでたしで終わると思いきや、やはり課題もある。

まず、SONYのレンズラインナップ上、標準ズームは描写力が頼りないものしか無いという問題。
マイクロフォーサーズの時には、OLYMPUS製のコンパクトで高性能(防塵防滴、周辺部まで高解像)な標準ズーム「12-40mm F2.8 PRO(換算24-80mm)」を手に入れてから、他のレンズを使わなくなった。ヘタな単焦点レンズよりも画質が良く、「とりあえずこのレンズで撮っておけば間違いない」と安心出来たからだ。

一方、SONYのレンズはどうであろうか。もしOLYMPUSのように高性能な標準ズームがあれば、他のレンズなど買わずに済む。
しかし現実には、選択第一候補となる標準ズーム「カールツァイス24-70mm F4」の評判がすこぶる悪く手が出せない。カールツァイス銘のため実売10万円と高価で、試し買いするのも難しい。買った後で我輩の要求に満たないと分かるとダメージが大きく、やはり評判の悪さは無視出来ない。
結局、評判の良い広角ズーム「カールツァイス16-35mm F4」を中古入手して使っているが、やはり広角寄りなのでオールマイティには使いづらい。

そこで、最近発表された4月発売予定の超高性能レンズ「GMシリーズ24-70mm F2.8」に期待をかけた。このレンズの位置付けは、SONYのGレンズとしては最高峰であるとのこと。
下手なカールツァイス銘に頼らないことから、SONYとしても自社の威信をかけていると見た。現在予約販売であるが、評判も確かめずに買っても良かろう。

ところが発表されたその値段を見ると、税込で約30万円となっているではないか。
「これは普通には買えないな・・・。」と溜息をつきながらSONYストアのWebサイトを見てみると、税込27万円で予約販売中。なるほど、これが"実売価格"だな。しかしそれでも高い。

SONYストアには我輩のIDがあるので、試しにログインしてみると、いつの間にか10パーセントの割引クーポンが付いていることに気付いた。それに加えて「フォトライフサポート」というサービスに5千円払って加入するとレンズ購入が5パーセント安となるらしい。
これらを適用すると、結果的に税込23万円となる計算。
この値段ならば、もしかしたら手が届くかも知れん。

我輩は金策のためにマイクロフォーサーズ資産のうち優先度の低い「OLYMPUS OM-D E-M5 Mk2」と「M.ZUIKO 7-14mm F2.8 PRO」を売却してまとまった金額を得たが、そこから少々使ってしまい(※後述)購入するにはほんの8万円ほど足りない。いや、全然足りない。
発売が2ヶ月ほど先なので、2ヶ月分の小遣い2万円を全額投入すれば、差額は6万円に縮まる。
しかしそれでも、まだまだ足りない。

ただ、10パーセント割引クーポンは3月末までの使用期限なので、もし買う気ならばそれまでには決済せねばならない。そして、もし発売前に決済するのであれあば、どうせなら早いうちのほうが出荷の順番待ちも早くなろう。
金策問題は先送りにして、取り急ぎクレジットカードで予約購入手続きした。

それにしても、この高性能標準ズームは巨大に見える。
ミラーレスカメラであるがやはりフルサイズ用。しかも高画素に対応したものであるから、仕方無いのだろう。中判カメラから移行したカメラなのだから、これでもコンパクトに思わねばならぬ。

さて、メインカメラとしてのシステムはこの超高性能標準ズームの導入で完成となるわけだが、サブカメラのほうはどうする?
それも今回の課題となろう。

サブカメラの用法としては、単純にメインカメラを修理・調整に出した時の留守を預かること以外にも、撮影予定が特に無いような常備カメラとして通勤カバンなどに入れっ放しということがある。

サブカメラであるならば、同じSONY EマウントのAPS-Cミラーレス機が良いのではないかと考えたが、1,600万画素機と2,400万画素機がある。当然ながら、メインカメラの画素数に近いほうが足並みが揃って良かろうが、それでも4,200万画素に比べると2,400万画素では差が大きい。そもそもボディ側に手ブレ補正機能が無いのが困った。
高画素機をメインに据えると、サブカメラ選定がやっかいだな・・・。

だがウワサによると、そろそろSONYからAPS-Cミラーレス機の新型が出るようで、予想スペックは3,000万画素台の5軸手ブレ補正機能入りとのこと。これならばサブ機としてちょうど良いのではないか。

期待しながら数週間待っていたところ、結局出てきた新型APS-C機は画素数据え置きで手ブレ補正機能無し。動画機能が強化されただけだった。
これならば2,400万画素台の型落ちカメラでも同じか。中古価格も「α6000」は4万円、「NEX-7」ならば3万円と安い。だがやはり手ブレ補正機能は欲しいので、買うとすれば手ブレ補正機能付きのレンズも必要。そうなると標準ズームが一番候補となるが、中古でも7万円前後でボディと合せて10万円コース。

改めて考えると、1,600万画素と2,400万画素とは数字ほどの違いは無い。それなのに10万円も使うのかと考えると、途端に気が萎えた。
手ブレ補正機能もマイクフォローサーズの5軸手ブレ補正には敵わぬ。歩留りの高い1,600万画素と歩留りの低い2,400万画素、しかも金がかかるのだから、わざわざ乗り換える意味が無い。

当面のところ、通勤カバンにはマイクロフォーサーズ「E-M1」と「12-40mm F2.8」を常備することとした。このカメラ機材は使い込んでヤレているため、今さら換金も期待出来まいと売らずに置いてある。ここで再雇用ということで活用したい。

メインカメラ「α7RII」も軽量コンパクトなミラーレスなのでカバン常備でも不都合は無いが、予定も無いのに常時持ち歩いて故障のリスクを負いたくはない。何しろ33万円もしたのだから。

ただそれでも、事前に撮影予定のある時には「α7RII」に入れ替えることとする。カバンの空きが少ない場合を考え、コンパクトなフルサイズ用28mm単焦点レンズを中古4万円で入手し(※前述売却益の使途)、もしもの時に備えることとした。

<購入した単焦点レンズ 28mm F2.0 を装着>
購入した単焦点レンズ 28mm F2.0 を装着

なお、望遠レンズについては我輩としては使用頻度が極めて低く、新しいマウントへ移行したからと言って望遠レンズにまで手を出す予定は今のところ無い。今まで通り、マイクロフォーサーズで良かろう。望遠撮影ならば背景もボケて、情報量としては1,600万画素でも不足は無いはず。
いつか、カワセミ撮影やオオスカシバ撮影が再燃し、4,200万画素で撮りたいと思うようなことがあれば、その時にまた考えることとしたい。


<補足メモ>
●フィルム時代に中判カメラを選んだ理由
当時、中判を選ぶ"一般的な"理由として、「解像感」、「滑らかな諧調」、「浅い被写界深度」などが挙げられる。これらのうち、我輩は「解像感」を欲した。これは、35mm判でブツ撮りした結果が芳しくなかったせいである(参考:雑文813)。だから「浅い被写界深度」は我輩にとっては害悪でしかなかった。

●中判での苦労とは
中判での苦労とは、単純にカメラが大きいということではない。それだけならば苦労でも何でもない。
まず、機材入手のハードルが高いと言う点が挙げられる。35mm判に比べてニーズが少ないせいで単価が高く(デジタル全盛の今でこそ安くなったものの当時は高価だった)、しかもシフトレンズや魚眼レンズなどの特殊機材は、それを探す苦労も大きく、場合によっては世界に範囲を広げて探し出して個人輸入せねばならぬこともある。
撮影に於いても、被写界深度が浅いせいで絞りを目一杯絞らねばならないし、そうなるとストロボ機材も1,000ワット級の出力の大きなものを必要とする。
フィルムは一般的な120サイズがメインとなるが、66判では12枚撮りと少なく、ちょっと撮ってすぐにフィルム交換となるので忙しい。さすがにモデル撮影で使うならば220サイズ(24枚撮り)しか有り得ない。