2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[727] 2011年07月12日(火)
「Nikon D700導入後1年の感想」


我輩が「Nikon D700」を中古で入手してから1年が経った(参考:雑文698「EOS 5D Mk2の売却金が何に化けたか」 )。
ここで、これまで使って感じた点を書いてみようと思う。
これは我輩の使用に限った話なので、一般には参考にならない問題も含まれている(特にストロボの項目など)。
しかし我輩自身が、いずれ登場するであろう「D700後継機(D800?)」の導入を考えるようになった時に、ここでの記述が参考になるに違いない。

<我輩所有のNikon D700>
我輩所有のNikon D700


●ビデオ撮影機能は無くても良い

我輩がデジタル一眼レフカメラに求めるビデオ撮影機能はクオリティであるため、下手なビデオ機能であれば無くとも良い。それは「PENTAX K-x」を使ってみて思ったことである。東日本大震災の際に緊急的に使ったものの、クオリティ的に少々不満が残った。
デジタル一眼レフカメラでのビデオ撮影の問題は、ミラーが上がった状態でどうやってAFを動作させるかということである。位相差式であればミラーを降ろさねばならないので、測距のたびにビデオ撮影は中断する。

もし連続的にAFを動作させるには、イメージセンサーを使ってコントラスト式に測距せねばならないだろう。
コントラスト式の課題は合焦が遅いことだが、Panasonicの「DMC-GH2」では位相差式を上回る最速AFを謳うほどの高速合焦が可能になったのであるから、もちろんマイクロフォーサーズならではという問題はあるとしても、APSやフルサイズでも速度改善の余地があろうかと思う。
とは言うものの、ビデオ撮影を考慮されていないAFレンズでビデオ撮影を行なうと、AF動作がギクシャクして使い物にならないのも事実。やはり本気でビデオを撮るとすれば、ビデオ撮影に対応したレンズが用意された「Panasonic DMC-GH2」などを導入するしか無い。

●内蔵ストロボは意外に使う場面は少ないが、無いと困ることもあるのは確か

内蔵ストロボが必要な場面は、純粋にメモ撮影のためである。
ある程度、写り具合を気にするような撮影では、最初から外付けのクリップオンストロボを用いている。煩雑に使っている記憶が無いものの、「Canon EOS 5D-Mark2」を使っていた時のように、無ければ無いで不便に思うことは間違いない。
内蔵ストロボの光量はプラスマイナスで調整可能だが、見た目バランス良く発光させるのなかなかは難しい。

<あると絶対に便利な内蔵ストロボだが、思い通りにコントロールするのは難しい>
あると絶対に便利な内蔵ストロボ


●画素数が少ない

正直言って1,200万画素は少な過ぎる。
以前使っていた2,000万画素の「Canon EOS5D-Mark2」では問題無かった資料撮影でも、「D700」では小さな文字の潰れがあるので2枚に分けて撮影することも多い。
これではせっかく高性能超広角レンズ(ナノクリスタル14-24mm)を導入したのに活かせない。
最近はパソコンディスプレイも大画面高解像となり、画面表示のうえでも1,000万画素級は時代に追いついていない気がする。今後4Kディスプレイが安価に出てくるようになったとしたら確実に小さく感ずることになるだろう。

●図体が大きく重い

図体の大きさは欠点でしか無かろう。
かつては小型カメラに分類されたこともある35mm判カメラであったが、同じサイズのイメージセンサーを持つこのカメラではとても小型とは言えないほどに肥大化している。

一方、質量については、欠点でもあり、利点でもある。重いということは、それだけシャッターブレが抑えられることを意味するからだ。
しかしズームレンズを装着した状態で片手撮影をするには少々ツライものがある。もちろん、基本は両手でしっかりホールドして撮るべきだが、シチュエーションによってはそうはいかないこともあるのだ。
またある時、14-24mmズームを装着した「D700」のストラップを肩にかけて前かがみになったのだが、背中に回したカメラがズリ落ちてきたのでとっさに腕で止めようとしたところ、当たった腕に予想以上の衝撃があり激痛が走った。1週間経った今でも痛みが残っているのだが、まさか骨にヒビでも入ったか?

●厚みのあるTYPE-2のコンパクトフラッシュが入らないので、SDカード変換アダプタが使えない。

「D200」では問題無く使えていたTYPE-2の厚さのコンパクトフラッシュが、「D700」では使えない。
我輩の手元にSDカードやmicroSDカードを使う機器が増えてきたので、それらのカードを流用出来るならばこれに越したことは無い。
確かにコンパクトフラッシュはSDカードのように世代(SD・SDHC・SDXC)ごとの互換性の問題が無いのが良いが、価格が最近SD系に負けている気がするので、貧乏人対策としてTYPE-2の厚さが入るようになれば助かる。

<左側がTYPE-2のSDカード変換アダプタ>
左側がTYPE-2のSDカード変換アダプタ


●シンクロソケットにコードが接続しにくく抜け易い

我輩は人工光では定常光を使う趣味は無いため、室内ライティングでは必ずストロボを用いる。
しかしストロボ撮影では欠かせないシンクロコードの接続には難がある。

まず何より、コネクタのカバーが完全に外れず、単にめくれるだけの構造になっているため、接続のジャマになる。我輩としてはこのカバーを切り取りたいくらいだが、不可逆な改造をやってしまうと商品価値が下がってしまい売却する際に不利になるので実行出来ない。全くイライラする。

コード接続については、汎用コードを接続して撮影するとすぐにコードが抜け落ちてしまう。
特に、縦位置・横位置を変えるとすぐにコードが落ちる。だから、コードを指で押さえながら撮影することになるのだが、非常に効率が悪い。コード側の金属端子を少し曲げてキツくなるようにしてみたのだが、あまり改善されたようには思えない。かなり思い切り曲げないとダメなようだ。

変わりに使い始めたのがNikon純正のスパイラルコードである。
こちらのコードは端子がオス−オスなので少々使いづらい(ストロボから出ているオス端子がそのまま接続出来ない)のだが、アダプタを介して使うことにした。
このコードの利点は、さすがにNikon純正だけあってカメラ側の端子と抜け防止ネジで固定出来ることである。これならば、単純に引っ張っただけで抜けることは無い。
ところが、これでも問題は解決されなかった。というのも、ネジは端子の回転をも固定してしまうため、縦位置・横位置を繰り返すと端子に回転力が加わり、必ずネジが緩んでしまうのだ。

「D200」を使っていた頃、最初はコードの接続はちょうど良いと感じていた。ところがカメラ側の端子が陥没して修理となってしまった(参考:雑文622「Nikon D200の修理について」 )。
しかし交換されたシンクロソケットは緩くなっており、すぐにコードが抜け落ちる。これは「D700」でも引継がれたようで同様の傾向。

このような仕様では、スタジオ撮影の業務使用には耐えられないに違いない。
ところが先日、某スタジオを訪問した際、自動車カタログ用の撮影現場を見学したことがあったのだが、ストロボではなく定常光で撮影しており驚かされた。自動車専用のスタジオながら、ストロボ装置は1台も無いという。
デジタルカメラが主流となっている現在、その高感度のおかげで大光量は必要無いのだろう。
「D700」では、ストロボ撮影は主流ではないという設計思想を感ずる。

<抜け防止ネジ付きではあるが回転に弱い>
抜け防止ネジ付きではあるが回転に弱い


●最低感度が高過ぎる

最低感度がISO200というのは、あらためて不便に思う。
特に、多灯ストロボ撮影のような大光量下では、最小絞りを使ったとしても厳しい。仕方なく拡張感度を使うのだが、諧調に問題があるという理由で"拡張"なのだろう。この感度ではあまり使いたくは無い。
そういうわけで最近のデジタル撮影では、大型ストロボやモノブロックストロボではなく、サンパック製小出力のクリップオンストロボを多用するようになった。
しかしクリップオンストロボは電池仕様のため撮影効率は下がる。サンパック用のACアダプタ(今は手に入らない)を1台持っているものの、多灯照明になるとそれでは足りずに単三電池が必要で、充電池を使ったとしても充電の手間があって大変になる。
出来れば最低感度ISO100、拡張感度でISO50があれば、ACストロボが心置きなく使えるのだが。

●ファインダーが見づらい

フルサイズのせいでファインダーが見易いという評判があるようだが、実際にはそれほどではない。MFカメラを基準として考えると、決して見易いものではないということが解るだろう。色々な機能を詰め込んだカメラの光学的な制約で仕方ない面もあろうが、だとすればユーザーでファインダーが交換出来る自由度も欲しいと思う。
もし、フィルムカメラのFシリーズのようにファインダー交換システムがあったならば、我輩は迷わず6倍ルーペの高倍率ファインダーを手に入れて愛用する。このファインダーの威力は、実際に使った者でなければ解らないだろう。広大な視野の広がるこのファインダーを一度でも使えば、「一眼レフ」というカメラ形式の革新性を肌で感じることが出来るはずだ。
背面液晶でピントを確認するのは手間があるだけに、光学ファインダー上でハッキリ確認出来るほうが撮影効率が上がる。

<Nikon F3の高倍率ファインダー>
左側がTYPE-2のSDカード変換アダプタ


●バッテリーの保ちは普通

「D200」を使っていた時と比べると、バッテリーの消費は少ないほうだとは思うが劇的ではない。ただ500枚程度の撮影ではバッテリー1個で十分撮れる。
「D200」とは同じバッテリーが使えるので、「D200」を手放し残された予備バッテリーをそのまま「D700」の機材へ編入させた。

●AF/MF切替レバーの位置が良くない

Nikon製AFカメラに共通することだが、カメラ側のAF/MF切替レバーの位置が良くないせいか、知らぬ間に動いていることがある。
その際、シングルモード(ワンショットモード)ではツマミが飛び出ているので、ツマミが倒れる位置のコンティニュアスになっていることが多い。ロック機構好きのNikonにしては、誤作動を許す造りが意外に思う。

<誤って触れると"C"の位置になることが多い>
誤って触れると


●シャッターの感触がCanon系よりも良い

シャッター音として、切れの良い上等な(高級な)音質が良い。
だが、音量としては中途半端に感ずる。消音撮影には向かないし、逆にもう少し音量が大きければ威圧感があって良いのだが・・・とも思う。
結局、全ての使用者に対して公平に妥協を強いるものということか。

●画像消去がやり易い

カメラボディ側での消去が削除ボタンの2回押しですぐに消せるのが良い。
他のメーカーでは削除ボタンを押しても[OK/Cancel]の選択肢が出るわけだが、デフォルトでは[Cancel]が選択された状態になっているので、方向キーを使ってOKを選び、改めて実行ボタンを押さねばならない。
ただNikon方式では、消去し易いため調子に乗って消し過ぎるかも知れない。

<消去ボタン2回押しで削除可能>
消去ボタン2回押しで削除可能


以上。
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イラスト提供:シェト・プロダクション