2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
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5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
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10.アンケート
11.その他企画

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カメラ雑文

[622] 2008年02月24日(日)
「Nikon D200の修理について」

去年の年末、我輩は屋外でストロボ撮影していた。
35mmカメラと中判カメラを交互に使い、同じライティングで撮り分けていたのだ。そのため、シンクロコードを刺したり抜いたりを繰り返した。

しばらくすると、どうもストロボが発光していないような気がしてきた。
一眼レフカメラというのは撮影時にミラーがスイングアウトすることにより、撮影の瞬間はファインダー内で確認出来ない。そのため、発光したかどうかというのが確認が難しい。特に我輩は、片目を閉じてファインダーを覗くので尚更判りづらい。

日中屋外であるから、発光に気付きにくい事情もあろう。恐らく気のせいだとは思いながらも、念のために、ファインダーから少し眼を離して発光するかどうか注意してみることにした。
すると、本当にストロボは発光していなかった。

ストロボ側のシンクロコネクタをいじってみたが特に変化無し。
カメラ側コネクタのほうをいじってみると、今度は光った。しかし、手を離すととたんに不発に戻る。

コードを外してみようとすると、なぜか接点部がグラグラと動くではないか。見ると、シンクロコネクタの中心接点部分が陥没していた。
そう言えば、シンクロコード側の接点が少しキツめだった気がする。若干、無理にネジ込んだような感じもあったが、それが原因か・・・。

正常なシンクロコネクタ
正常なコネクタ
中心接点の陥没したシンクロコネクタ
中心接点の陥没したコネクタ

それにしても、シンクロコネクタがこんなに脆弱だとは思ってもみなかった。
いずれにせよ、その場の撮影は完了せねばならぬ。結局、ホットシュー経由でシンクロコードを繋ぎ、何とかやり過ごした。

さて、修理に出すにしてもその代わりになるカメラが無く、しばらくはホットシュー経由で使用を続けていた。それでも、頭からコードが出ているのは何とも使いづらい。それに、不具合のあるまま放っておくわけにもいくまい。シンクロ関係なだけに、カメラ内部でヘタにショートでもして不具合を増やすのも困る。
まあ、コネクタの小さな部品交換であるから、工賃5千円程度で済むはず。

それに、標準ズームの前面にあるドーナツ形の樹脂シートが少し破れてめくれ始めていたため、こちらもついでに貼り替えてもらいたい。
他にも、マニュアルフォーカスでピントが合わない点も見てもらうことにする。

それぞれの不具合は撮影が不可能になるような重大なものではないことから、今回のように幾つも不具合が出てからでないと重い腰が上がらない。
会社帰りの夜、ヨドバシカメラ秋葉原店の故障窓口で修理の依頼をした。シンクロコネクタがどのように接点陥没を起こしたのかという興味もあったため、交換部品は返却するようにしてもらった。我輩が構造を少しでも理解すれば、破損するような使い方も避けられるだろうという期待もある。

さて、1週間ほど経った頃、職場のPHSに「イストテクニカルサービス」という会社から電話がかかってきた。
どうやら、実際に修理作業をするのはこの会社らしい。以前、ブロニカSQ-Aiを修理してもらった会社である(参考:雑文419)。様々なメーカーのカメラを手がけていることから、恐らく技術力がある会社なのだろう。

電話の相手は、ハキハキしゃべる早口の若い女性である。
「D200の修理見積りですが、トップカバー交換で18,900円になります。」
我輩はビックリした。
「えっ、悪いのはシンクロ接点なんですけど!」
出し抜けに言われて、シンクロコネクタとトップカバーとの関連が理解出来ない。手元にD200が無いため、頭の中で思い返してみた。
「シンクロコネクタは・・・、トップカバーに組み込まれているんだっけか・・・?」

Nikon D200のコネクタ位置
Nikon D200のコネクタ位置

女性は少し何かを読んでいるような気配だったが、改めて
「えーと、はい、トップカバー交換になります。」と答えた。

我輩は「なしてそうなるんじゃ!」と心の中で叫びながらも、静かに再確認した。
「ストロボ用のコードを接続する接点が不良なので、そこだけ交換すればいいだけの話じゃないんですか・・・?」
女性はしばらく何か紙をめくって読んでいたようだったが、
「確認してきますので少々お待ち下さい。」と言って保留音が流れた。

「うーむ、技術力のある会社にしては、変な見積りするわ・・・。」
我輩は、少し冷や汗をかきながらPHSから流れる保留音を聞き続けた。

2分ほど待たされ、ようやく女性が戻ってきた。
「やっぱりトップカバー全体を交換するようになってるみたいです。」
なんということだ、結局、答えは変わらなかった。
我輩は諦めてそれを受け入れることにした。せっかく15万円で買ったカメラだ、機能を回復させねばそれこそもったいない・・・。

続いて、レンズの前面樹脂シートカバーの件についての見積りを聞いた。
これが何と、8千円近くもかかるとのこと。
「シールをペリペリと貼り直すだけと違うんか!」
しかしこれも心の叫びとして声には出さず、こちらの作業はキャンセルとした。

そしてマニュアルフォーカスの調整については、視度が合っているかについて確認されたが、そんなことはどうでも良い。我輩としては、原因がどうであれ、そして不具合があろうが無かろうが、不安払拭のためにメーカー(今回はイスト社)で点検してもらいたいだけなのだ。
修理と点検という概念がゴチャ混ぜになっている者を納得させることはなかなか難しい。

その電話から2週間後、修理が完了したD200が手元に戻った。
驚いたことに、修理をキャンセルしたレンズ前面の樹脂シートが貼り替えられていた。しかも、明細にはその記載は全く無い。サービスか?

また、マニュアルフォーカスについては「調整の結果ズレはありませんでした」とのことだった。
視度補正レンズを装着し、カメラ側のノブで微調整して改めてマニュアルフォーカスしてみたが、やはり自分の感覚ではズレていた。恐らく、フォーカスエリアと実際の焦点面はズレている構造なのだろう。我輩はフォーカスエリアを目印にしてピントを合わせているのだが、そのやり方はマズイようだ。

一方、トップカバーはやはり丸ごと交換されており、事前に知ってはいたものの改めて驚いた。
「こんな小さな破損のために、これ全部を取り替えたとは・・・、本当に無駄が過ぎるな・・・。」

交換されたNikon D200のトップカバー
交換されたNikon D200のトップカバー
交換されたトップカバー

見れば見るほど、トップカバーには多くの部品が付いていた。
メイン/サブの電子ダイヤル、ペンタ部内蔵のリトラクタブルストロボ、シャッターボタン、メインスイッチ、軍艦部液晶パネル、ストラップ金具、測光切替ノブ、巻上げモードダイヤル、ホットシュー、電子基板、その他9個のボタン。
それらのうちどれか一つが不具合を起こせば、また同じようにトップカバー丸ごと交換なのだ。
ただ一つ不思議なことに、液晶パネルの透明カバーが剥がされ、両面テープがむき出しになっていた。この部品だけは違うのか・・・?

それにしても、ここまで大きな単位のユニットで交換するのが、果たして「修理」と言えるのか?
イストテクニカルサービスでなくても、このユニットさえ別送してくれれば我輩にも交換出来そうに思う。

「ヘタすると、最近のカメラは上・中・下の3つのユニットで出来てるのかも知れんな・・・。」

我輩は、交換されたトップカバーを手に、空を見上げた。