2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

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カメラ雑文

[642] 2008年12月29日(月)
「次期デジタルカメラ、NikonかCanonか」

以前、雑文629「動画撮影機能搭載フルサイズデジタル一眼レフ登場」では、ハイビジョン撮影が可能なデジタル一眼レフカメラ「Canon EOS 5D Mark II」の登場について書いた。

発表当時の予想販売価格は約30万円だったが、販売開始から約1ヶ月後の現時点では最安値で25万円前後にまで下がってきた。夏頃に発売された「Nikon D700」がキャッシュバックキャンペーン中ということで実質18万円で手に入ることから、「5D Mark II」もいずれは20万円程度にはなろうかと思う。

現在我輩が使用しているデジタル一眼レフカメラは約1,000万画素の「Nikon D200」である。2年間使っているが、2,000万画素のカメラがチラホラ出てきたのは最近のことで、まだそれほど陳腐化したような印象は無い。半年前に出たフルサイズ機「Nikon D700」でさえ1,200万画素なのだ。

ところが我輩は、雑文638「自分の殻を破れ」雑文640「革命を応援してくれ」にも書いたように、一眼レフカメラベースのビデオ撮影映像に対して衝撃を受けた。あまりにも、従来の家庭用ビデオカメラとは映像が違い過ぎる。撮影条件によっては、数百万円もの業務用カムコーダですら撮れない映像が撮れてしまう。
スチルカメラマンには解ってもらえないだろうが、これは完全に革命的なものである。現状の製品では撮影操作に難があったり、撮影時間などの限定的条件があるようだが、他機では絶対に得られない映像(しかも安価に)がほんの少しでも撮れるのであれば、利用価値はかなり大きい。

そこで我輩は、画素数向上ではなく、ハイビジョン撮影という新機能の導入を図るために、この「5D Mark II」を購入出来ないかをヘナチョコ妻に打診してみた。ちょうど豚児の幼稚園お遊戯会で撮影したスタンダード画質の限界を感じた時だったため、ここで大きな飛躍を果たしたいということを力説したのである。
すると、その場ではハッキリとした答えは得られなかったものの、意外なことにビデオ機材の必要性についてはおおむね理解が得られた。恐らく、機材購入は容認されるだろう。

思いがけぬ購入計画に、我輩は早速購入計画を立てることにした。概算はヘナチョコに伝えてあるものの、具体的な選定をして予算を確定させねば先へ進められないからである。
まずはカメラボディであるが、どう考えてもフルハイビジョン撮影が可能なカメラは「Canon EOS 5D Mark II」しか無い。問題は、交換レンズである。

以前はEOS用交換レンズは潤沢にあったのだが、中判カメラやNikon MF機材への移行に伴い整理してしまった。手元にあるのは、売っても金にならないようなものしかない。そんなレンズでは2,400万画素の「5D Mark II」の性能が活かせない。
そうなると新規に購入せざるを得ないわけだが、そこで安物レンズを選ぶと新規購入の意味が無くなってしまうため、それなりの性能を要求してしまう。つまり、描写の細かいところがどんどん気になってくるのである。
今はインターネット上でメーカーだけでなくユーザーからの作例写真を見ることが出来る。そのためかえって情報過多になり、なかなか決められなくなってしまった。

しかし情報が我輩の頭の中で整理されていくうち、だんだんとNikonの新レンズ技術「ナノクリスタルコート」が気になってくるようになった。ユーザーの作例写真を見ても、逆光特性だけでなく各種収差も良好に補正されておりスッキリとした写真に見えた。確かに「ナノクリスタルコート」はコーティングとしての技術であるが、それを施す対象となるレンズはそれなりに基本性能が高いものであり、結果として「ナノクリスタルコート」のレンズは描写が優れているということになる。

しかし問題はハイビジョン撮影である。現状、ハイビジョン撮影は「Nikon D90」で可能ではあるが、フルハイビジョンには足りない。そもそも「D90」はエントリー機であるため、カメラそのものからして受け入れ難い。
ならば、今回はビデオ撮影機能は諦め、フルサイズの導入ということで「D700」を選ぶか?
いや、それではビデオ機材購入という名目を失ってしまう。与えられた金は、スチルカメラを買うためのものではない。

そこで苦肉の策として、現時点では存在しないNikonの新機種に期待するという作戦を立ててみた。
というのも、「Nikon D3」の普及版として「Nikon D700」が登場したわけだが、同様に、先日発売された2,400万画素の「Nikon D3X」にも普及版としての「Nikon D700X(仮称)」がいつか出てくると予想される。そうなると、ライバルの「Canon EOS 5D Mark II」でフルハイビジョンを搭載したことから「Nikon D700X(仮称)」もフルハイビジョンで対抗する可能性が高いと読む。

目の前にある「5D Mark II」にするか、あるいは未来の「D700X(仮称)」にするか。
この2つが同じメーカーの製品ならばこれほど迷わせることも無かったろう。何しろ、一眼レフカメラを選ぶことは交換レンズを含んだシステム全体の選定に関わる重大な決定であるからだ。MFシステムはNikon系で完結させたことは以前にも雑文で触れたが、AFシステムのほうは空白状態に近い。Nikon系かCanon系かを最初にしっかり決定しておかねば、軸がブレて余計な出費を招く。高価なレンズも怖じ気づいて買えまい。

我輩は3週間もの間、「Nikon」か「Canon」かという選択に揺れ動いた。基本的には、堂々巡りであった。

Nikonにした場合、ナノクリスタルコートの高性能レンズが使えるし、現在所有の「D200」との連携も取れる。未来の機種のことは分からないが、もしバッテリーが共有出来れば管理し易い。また、「D700」に準じてストロボ内蔵であればメモ用途としても完璧となろう。
ただ、ISOも「D700」に準じて200から始まるとなると使いづらくなろう。また、レンズも絞り環が無いGレンズを選ぶことになるため、フィルムカメラでも使おうと思うならF5やF80などを追加購入せねばならぬ。
そもそも最大の問題として、「D700X(仮称)」がいつ出るのか分からないという点が大きい。半年後か、1年後か。事前に知らされておれば待つ気にもなろうが・・・。

一方、Canonならばすぐにでも製品が手に入るのが強みである。実際、幾度か注文ボタンを押す寸前まで行ったほど。
ただ、ストロボ内蔵ではない点で引っかかった。もし「5D Mark II」がストロボ内蔵であったならば、今頃は手元にそのカメラがあったことだろう。
レンズも、魅力的に見えるものがあまり無い。どうしてもNikonのレンズと比較してしまい、ビデオ用途としてはともかくメモ用途(参考:雑文641「我こそ高性能デジタルカメラが相応しい」)に最適な性能とは思えなくなってくる。高画素で撮影した写真を等倍スクロールで鑑賞するには(参考:雑文559「スクロール鑑賞のすすめ」)、高性能レンズが不可欠となるのだ。

結局、悩みに悩んで、ナノクリスタルコートレンズのNikonにすることで心が決まった。特に「AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED」の描写は、作例を見ると素晴らしく思えた。超広角ズームで、しかも巨大・高価ではあるが、メモ用途として隅から隅まで写し込もうとするならばこれを使うのが理想であろう。
我輩のこれまでの使用実績を思い返してみると、通常はデジタルカメラは中判カメラのサブ用途として隙間を埋める存在であるが、メモとして使う場合はデジタルのみという場合も多かった。カメラ1台体制ならば、この巨大な「AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED」であっても常用レンズとして成り立つ。

そういうわけで今回、未来の「Nikon D700X(仮称)」に希望を託し、ひとまずレンズを先買いすることとした。
手元にあるAPSサイズの「D200」で使うにはレンズの性能を十分に引き出せないのが残念ではあるが、「Nikon D700X(仮称)」が出るまで何もせず待つより良かろう。

以上、NikonかCanonかでようやく決着がついたところで、次回の雑文では早速「AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED」を手に入れることにしたい。