2000/04/05
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カメラ雑文

[559] 2006年01月05日(木)
「スクロール鑑賞のすすめ」

以前、撮影会にてリバーサルフィルムで撮影していた時、他の参加者に「それって現像代もかかるし、それに全部プリントしたらかなりお金がかかるだろうな〜!」と言われたことがあった。
確かにデジタルカメラと違い、リバーサルフィルムはフィルム代や現像代がかかる。
しかしながら、全部をプリントするという発想には驚いた・・・。

デジタルカメラを使ったことのある者ならば解ると思うが、デジタルカメラは銀塩カメラよりもシャッターを押す頻度が高くなる。
デジタルカメラのメモリは銀塩フィルムと異なり、何度も再利用が可能である。撮れるだけ撮ってもコストは変わらない。そのため、撮影前に色々と吟味してようやくシャッターを切るという銀塩カメラの撮影スタイルに対し、デジタルカメラでは色々と写した後に取捨選択するという撮影スタイルとなる。撮影カットが多くなるのは当然。

ネガカラーフィルムの同時プリントが主流だった頃は、撮影カットは全てプリントすることが常識であった。しかし、パソコンとデジタルカメラの普及が進んだ今日、パソコン上で撮影画像を選んで必要分だけをプリントするという意識が芽生えた。撮影枚数が以前とは比較にならないほど多いのであるから、全てプリントしてしまうとコストや手間が大変なことになる。

しかしそうは言っても、圧倒的に大量に増え続けるデジタル画像であるから、いくら取捨選択しようが、残る画像の量は桁違いである。
しかも、メモリは容量が年々増え続け、しかも価格が下がっていくのであるから、何の心配も無くバシャバシャと撮影出来る。
(雑文032「ハイブリッドカメラ」では、メモリの限界について触れたが、それから6年近く経った現在では大容量メモリも手軽に手に入れることが可能となった。1GBメモリを使えば、その1枚でまかなえることもあろう。)

さて、それらの画像を全てプリントするとなれば、コストや手間は枚数分かかる。
かといって、選んだ画像の中からさらに選び絞ることになれば、結局は不要な画像が多数残る。
もっとも、プリントせずともパソコンのディスプレイで鑑賞し楽しむというのであれば無問題なのだろうが、その場合、撮影画素数が大きければディスプレイ表示からハミ出すので見辛かろう。縮小表示(元ファイルはそのままで閲覧時に縮小表示するもの)は大抵の場合に画質が悪くなるため意味が無い。仮に巧く縮小出来たとしても、パソコンのディスプレイの解像度は100〜200dpiの範囲であるから、あまり画素数の恩恵は得られない。

パソコンの中に閉じこめられたデジタル画像、いつかそれが日の目を見ることはあるのだろうか?

将来的に、パソコンのディスプレイの解像度が向上すれば良いのだが、仮に技術的に可能であったとしても、200dpi以上のディスプレイは文字表示が小さくなり過ぎるため特殊用途以外では供給されないだろう(OSやアプリケーションソフトが対応すれば可能だがニーズがあるかどうかは不明)。

現状としては、せいぜい等倍表示で画像の一部分を表示させ、スクロールさせて脳内で画像を再構築することくらいである。しかしこのようなスクロール鑑賞でも、慣れるとそこそこ高画質に感ずるようになる。

元々、人間の視力というのは視線の中心部のみが高くなっており、全体を詳細に観察するには視線を動かして走査(スキャン)する必要がある。スクロール鑑賞はそれと似ていなくもない。
ただ、肉眼で見る場合には全体を見渡しながら詳細を観察しているため、スクロール鑑賞は慣れないと違和感を持つ。だから、多少の慣れや訓練は必要となるのだ。

しかしいずれ、そのようなことを拒絶するのは旧い人間だけのことになるだろう。
現在の携帯電話では、パソコンと比較にならぬほど小さな液晶画面でメールや写真、動画までも閲覧出来るようになっている。そういった機器に慣れた新しい世代には、高速スクロールで全体を見渡すことなど造作もないこと。

そうは言っても我輩は、全体を見渡しながら緻密で深い色の映像を鑑賞することの出来るリバーサルフィルムのほうが素直に楽しめるので、スクロール鑑賞が出来なくとも何の問題も無いのだが。

デジカメ使う者、木を見て、森を見ろ。