つい先日、フルサイズ(2,110万画素CMOS)でありながらビデオ(ハイビジョン)が撮影可能な「Canon EOS 5D MarkII」が発表された。今年の11月下旬に発売されるもよう。価格は、ボディのみで約30万円となっている。
このカメラについて、我輩が注目する点は以下の4点である。
・フルサイズ
・2,000万画素
・ビデオ撮影可能(ハイビジョン)
・ビデオ撮影中にスチル撮影も可
まず、フルサイズ機にビデオ撮影機能が搭載されたという事実は非常に大きい。
前回の
雑文628「動画撮影機能搭載デジタル一眼レフ登場」で期待した、ビデオ撮影可能なフルサイズデジタルカメラがついに登場したのである。
これはつまり、ビデオ撮影機能がビギナークラスにとどまらないというCanonの意思表示であるからだ。Nikonのほうでも、「5D MarkII」の出現により方針転換を余儀なくされるに違いない。
次に、画素数の多さだが、2,000万画素はさすがに大きく、実用に十分と言わざるを得ない。
我輩は現在、1,000万画素のデジタルカメラを、一眼レフタイプとコンパクトタイプの2種類を使っているが、もう少し多ければなと思うことがある。
というのも、過去に数回、カメラを他人に委ねて撮影を頼むことがあったのだが、カメラ本体の操作を教えるのが精一杯で、ズーム操作までは教えられなかった。下手に教えて混乱させるよりも、カメラの操作だけを確実にやって欲しかったという事情もある。
案の定、それら全てのカットは高倍率ズームの広角側でしか撮られていなかった。そういった画像をトリミングで利用するにしても、1,000万画素では少々足りない。
ハイビジョンでビデオ撮影可能な点については、今後ハイビジョンが主流となることを考えると当然必要な機能と言えよう。
ハイビジョン記録媒体についても、ブルーレイ規格がHD-DVD規格に勝利したことにより、規格選択の迷いも無くなったという背景もある。
もちろんハイビジョンだけでなく従来のスタンダードでのビデオ撮影が可能というのは、「大は小を兼ねる」ということで当然と言えよう。
ビデオ撮影中のスチル撮影については、我輩がひそかに心配していた点である。
今度の「5D MarkII」では、ビデオ撮影中のスチル撮影は可能らしいが、その場合は絞り・シャッタースピードを任意に設定出来ないとのこと。しかし今後はそれも改善されよう(何度も言うが技術的課題はメーカーが考えることであり消費者の我輩が心配することではない)。
余談だが、銀塩時代にはタムロンから「Nikon F4」向けのビデオ撮影装置が発売されていた。交換ファインダー部でビデオ撮影しながら、通常の銀塩写真も撮影可能だった。
それにしても、「Nikon D700」が欲しいと思った気持ちが、完全に「Canon EOS 5D MarkII」のほうへ移ってしまった。今後、間違っても「D700」に手を出すことはあるまい。
デジタル時代のカメラ価格相場が高いおかげで(参考:
雑文627「金のかかる趣味」)、「D700」に飛び付くことが無いまま「5D MarkII」の発表を知ることになったわけである。もし資金が手元にあったら「D700」を掴まされて激しく後悔していたろう。
危なかった。
もちろん、「5D MarkII」の発表が近いことは噂されていたが、仕様の中身までは知らなかった。
今回の発表は、Nikonから初のビデオ撮影可能なデジタル一眼レフカメラ「D90」が発表されて間もないことから、ビデオ撮影機能の盛り込みはNikonに触発されたものではなく、Canonでも並行して開発されていたものと考えられる(発表時期は「D90」に影響されたとは思うが)。恐らく、他のメーカーでも同様な開発が現在行われているに違いない。そうでなければデジタルカメラとしてのトレンドに乗れず、メーカーとしてのブランドは維持出来まい。
今後、Nikonがどのようなビデオ撮影可能なフルサイズ一眼レフを出してくるかが見物。
我輩の個人的事情として、Canonを選んでも十分なレンズ資産が無い。そのためカメラボディ以上に金が必要となってしまう。だから、出来ればNikonのカメラを買いたいと思っている。
さてNikonとしては、これまで上位機種にビデオ撮影機能を盛り込むという方針が無かった場合には、今後は方針転換が必要となろう。そうなると新しいカメラの開発はこれから始まることになる。あるいは、現在進行中の上位機種カメラの開発に、急遽ビデオ撮影機能を盛り込むことになる。
そうなるとやはり、それなりの開発期間が必要であろう。
そもそも現時点では、「D3」と「D700」というフルサイズカメラがまだ新しいモデルとして存在する。ここからすぐに別のフルサイズカメラが投入されるというのも考えにくい。
まあ、我輩が資金を貯める間にゆっくり開発してくれればそれで良い。
5年以内には何とか買えるかも知れないな。