2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[585] 2006年10月09日(月)
「蔵王のお釜(7)」

雑文に書いた撮影記録は、我輩自身の今後の撮影計画に大いに参考になっている。
九州帰省はその一つの例で、カメラ・写真とは直接関係無いと思われるような細かい記述まで意外と役に立つ。

先日は蔵王のお釜に行ったのだが、これも去年行った時の記録が大いに役に立った。
もちろん今回も、今後のために同じようなパターンで蔵王のお釜へ行った記録を残すことにした。


さて、今年は梅雨明けが遅く、蔵王のお釜に行くタイミングを見ていたがなかなかチャンスは巡ってこなかった。
何しろ片道5時間の距離であるから、事前に天気予報が「快晴」とならなければ動けない。
しかも1500メートル以上の場所であるから、完璧に晴れている状態でなければ下界で晴れていようとも山では雲に没していることも十分あり得る。
行き帰りに3万円ほどのコストがかかり、さらには運転の疲労も加わるため、行ってみてダメでしたというのは絶対に避けねばならぬ。

今回は蔵王のお釜だけでなく、吾妻小富士や一切経山のある浄土平にも寄る計画とした。
浄土平は福島県にあるため、蔵王への行き帰りの途中に寄れると考えた。
そうなると1泊2日で行動したほうが良いだろう。1日目を蔵王のお釜、2日目を浄土平にすれば、帰りが1時間ほど短くなり運転も楽になる。

しかしながら7月はチャンスが無く、8月は九州帰省のためしばらくは運転を休み、9月からの晴れを狙っていたが、これがまたタイミングが合わなかった。

やはり、2日間に渡って晴れが続くような状況は難しい。まさか、日帰りで2箇所巡るか?
週間天気予報を見て計画を立てるのだが、1週間も経つと予報が全く変わってくるのが痛い。これはもう、直前に決断するしか無い。
そう思って待ち構えていたのだが、金曜日に同僚と飲みに行って遅くなり結局快晴にも関わらず行けなかったこともあった。

そして9月も終わりに近付いた頃、ようやくチャンスが巡ってきた。

我輩は9月22日(金)に休暇を取って土日と合わせて3連休とする予定だった。どれか連続2日間の晴れを期待していたのである。
ところが例のT課長がまた「23日のソフトボールの試合に来てちょんまげ!」と言ってきた。
前回は予選敗退したはずだったが、勝ったチームが選手のやりくりが出来なくなってしまい、繰り上げでT課長のチームが大会に出場することになったそうだ。
23日に行くと、3連休が真ん中で分断されてしまう。
「みんなにも撮影に来るからって言ってあるし、バイト代5千円出すから、ヨロピク!」と押し切られ、結局23日は午前中限定の約束でソフトボールの試合に行くことになってしまった。

そこで我輩は、悩んだ挙句に22日(金)の休暇を25日(月)へシフトさせることにした。これで少なくとも2連休にはなる。
T課長は、休暇の変更に対しては最大限の配慮を示した。まあ、当然と言えよう。

23日は雲が多いながらも晴れ、ソフトボールの大会は予定通り行なわれた。
成り行き上、豚児も連れて行ったのだが、重量級望遠レンズを着けた「Nikon D200」をずっと構えて撮影したため疲労はかなり大きかった。しかも、豚児がおんぶをせがんだりして余計な負荷もかかることもあった。

さて、帰宅後に天気予報をチェックすると、翌24日(日)の蔵王の天気は快晴のようだった。
一方、浄土平のほうは25日(月)が快晴らしい。
これほど条件が揃った天気は珍しい。これを逃すともうチャンスは無かろう。

しかしながら、浄土平の情報収集などで余計な時間がかかり、就寝時間が22時くらいになってしまった。
また、昼間のソフトボール大会の疲れもあったため、午前2時に起きるつもりが寝過ごして4時に起きてしまった。
高速道路のETC深夜割引も狙っていたため、この時間ではもう遅い。

結局この日は諦めた。
そうなると1泊2日の計画が立たないため、次の25日(月)も中止である。

夕方、少し考えた。
「もう少し早く出発して蔵王登山を午前中に終わらせれば、午後は浄土平に行けるのではないか?」
実際、去年は午前中までに終わっている。

急遽、25日(月)に出発することとした。
再び情報収集し、荷物をまとめた。
カメラは当然ながら「BRONICA SQ-Ai」。露出計として「MINOLTA α-707Si」でマルチスポット測光を行なう。
また、車の走行距離記録のためにデジタルカメラ「RICOH GR-D」、そして走行シーンの撮影のためにソニーのデジタルビデオカメラを使う。

さらに今回は、蔵王の五色川の水を沸かしてカップ麺を食べる計画を立てた。
アルコールバーナーとケトル(やかん)を用意してある。意外と忘れがちなフォークも荷物に入れた。

もっと早く寝るつもりだったが、布団に入ったのは21時過ぎになっていた。
起床目標は午前1時。
しかし、目が冴えて眠れない。というのも、まだ蔵王と浄土平のことを迷っていた。どちらか一方だけにしたほうが無理が無いというのは分かっている。しかし、蔵王にも行きたいが、浄土平も初めてであるからぜひ行きたい。
やはり無理を承知で両方行くか・・・?
思考が堂々巡りして結論が出ない。そして、眠れない。
時計を見ると、もう23時にもなっていた。

我輩は、布団を出て着替え始めた。
「どうせ眠れぬのならば、もう出発したほうが良かろう。早めに出ればそれだけ行動の選択肢が広がる。昨日のように出遅れれば、結局何も出来ずに終わってしまうからな。」

車に乗った時、23時半だった。後で知ったが、それはちょうど、丹波哲朗氏が臨終した時刻だった。
車外温度計を見ると、23度を表示している。
片道5時間のドライブであるから、運転中はいつも回しているビデオカメラは、宮城県に入ってから撮影を始めることにした。

車のエンジンを始動させ、カーナビゲーション画面で目標を設定。ETCにカードを挿した。
ビリージョエルの曲をかけ、ライトオン。やはり暗い中での出発は気分が盛り上がる。
夜中とは言え23時半であるから、まだそれなりに交通量はあった。
高速道路に乗り、速度を上げた。

夏の九州帰省の時は、山陽自動車道を走っていると追い越し車線を走行中に割り込みをしたり、追い越し車線を低速のまま走り続ける車が無数に存在し、減速・加速を余儀なくされたものだが、今回はそういうことは皆無だったためスムーズに走ることが出来た。

車外温度計を見ると、北上するにつれてどんどん温度が下がってくる。
真夜中のためか、ほとんど大型トラックと長距離バスしか走っていない。
宮城県に近付くと、霧に包まれることが多くなり、フォグランプを点灯しスピードを落とした。トラックとの事故になれば大変なことになるため注意が必要。

白石インターチェンジで降りたのは4時頃であったが、まだ夜中のような暗さであった。
出発時には満タンだったガソリンも半分になっている。帰る前には給油が必要。

去年は、蔵王のお釜が見渡せる刈田岳山頂までは車で登らず、手前の刈田駐車場に停めてそこから足で登った。なぜなら、山頂まで車で行くと料金ゲートを通らねばならないばかりか駐車場も未舗装で狭い。
しかしこの有料道路(蔵王ハイライン)は夜から早朝にかけては無料になるため、今回は車で上まで登ることにした。

この時間では、車がほとんど走っていない。
街灯も少なく、景色が全く見えないため、どの辺りまで走ったかというのが分かり辛い。
真っ暗な中に自分だけが車を走らせている。ただ、ビリー・ジョエルの音楽が聞こえるのみ。

刈田岳山頂の駐車場に着くと、空が微妙に明るくなっているような気がした。時間は4時55分。
車外温度計を見ると、7度と表示されている。ドアを開けると冷たい空気に触れた。
意外にもこんな早朝であっても、数台の観光バスが入って賑やかになった。

RICOH GR-D(トリミング)

コンビニエンスストアで調達した少し早めの朝食を車内で食べ、トレッキングシューズを履く。さすがに寒いためコンパクトジャケットを着た。

車を離れたのは5時半頃。
慣れた道を歩いて行くと、前方にお釜が見えた。いつ見ても大きなスケールに圧倒される。
先程の観光バスの乗客は、レストハウスにあるトイレに行った後はバスに戻っているようで、お釜のほうには誰一人いないように見えた。

空を見ると、空が明るくなってきた。
しかし足元が少し暗いので、注意しながらガレ場を降りる。そしていつものように柵を越えて急な崖を下って行った。
日頃の運動不足のためか、不覚にも脚がだんだん震えてきた。脚の運びが適切でなかったため膝に負担がかかったのかも知れぬ。

風が冷たく、コンパクトジャケットのフードを被る。喉の辺りが冷え、マフラーが欲しいくらいであった。鼻水も少し出た。視界が狭くなるが仕方無くフードの開口部を絞った。

下まで降りると風が無くなり、シーンとした静寂に包まれた。
時間は6時くらい。空はかなり明るくなってきたが、太陽は見えない。恐らく、日の出時刻は過ぎているものの、周囲の山々に遮られているのであろう。

今回、お釜を一周するつもりは無い。
主な目的はお釜水面に近い場所を水際に沿って歩くことと、五色川の水でカップ麺を食べることである。
もちろん、要所要所での写真撮影は言うまでも無い。

早速、お釜のデルタ(三角州)まで降り、そこから左回りに水際を歩く。
上方を見ると、崖が迫っており緊張感が走る。ここは最近、大規模な崩落があった地点である。確かにその崖にはポッカリとした窪みが見えた。
自分でも分かっているが、我輩は危険な場所を歩いている。しかし、好奇心には勝てない。足元を見ると、足跡が幾つかあった。我輩と同じような人間が他にもいたようだった。

MINOLTA α-707si/24mm

少し歩くと、上のほうからチョロチョロと水の音がした。
見上げると、壁面から水が染み出している。
硫黄の臭いが漂っているような気がしたため足元を見ると、硫黄を含んだ岩石が多く転がっており驚いた。何しろ、蔵王のお釜で硫黄を見付けたのは初めてである。改めて壁面の上方を見上げると、硫黄を含んでいると思われる地層が出ていた。恐らく、そこから崩落したものが足元に転がっている岩石であろう。
これらは、まるで霜降り牛肉のようで印象的であった。

一つくらい資料として持ち帰りたいと思ったが、国定公園内の岩石は持ち出すことは許されない。第一、そんな重量物を運搬するだけの体力を用意していない。
そんな時、詳細を写し込むことの出来る中判カメラの出番である。写真であれば、現物を持ち帰ることなく複製を持ち帰ることが出来るのだ。
(参考:雑文213「お持ち帰りの風景」

BRONICA SQ-Ai/40mm

途中、荷物が重く感じ、その場にザックを置いてカメラだけを持ち先を進んだ。
しばらく歩いて振り返ると、デルタ側からずいぶん進んだことが判った。
空はかなり明るくなったものの、湖面にはまだ陽が差さないため撮影は出来ない。これ以上はもう進めないという場所まで行き、しばらく太陽を待つことにした。

BRONICA SQ-Ai/40mm

冷たい岩に腰掛け、シーンとした湖面を眺めながら考え事をしていた。
そのうち、腕時計のチャイムが鳴り、7時を知らせた。
顔を上げてみると、陽が湖面に差し込んできていた。薄暗い湖面が端から急速に明るくなっていく。

BRONICA SQ-Ai/40mm

その時、五色岳(お釜頂上)のほうで雷の音がした。
「ゴロゴロゴロドドーン!!」
一瞬、肝が冷えた。
空は快晴のまま。しかし、五色岳の向こう側に雷雲が迫っているのかも知れぬ。お釜は山形方面から雲が駆け上ってくることが多いのだ。山の雷は横から放電するため、極めて危険である。

ところがよく見ると、お釜の内側壁面を土砂が崩れ落ちて行くのが見えた。土砂は下の斜面にぶつかり散らばった。
そう言えば、前回来た時も「ゴー」という地鳴りのような音が聞こえたが、あれもやはり土砂崩れだったに違いない。

MINOLTA α-707si/135mm(トリミング)

やはり、この辺りは危険である。
とりあえずは元来た道を戻りながら写真を撮っていった。

BRONICA SQ-Ai/40mm

再びデルタに出て、改めて周囲を見渡した。
それにしても、デルタの地形は訪れる度に変わって見える。水位の変化もその一つの理由であろうが、流れ込む川の水路も全く違う。写真に撮って定点観測しなければハッキリしたことは言えないが、雨などで大きな侵食・堆積が起こっているのだろうか。もしそうだとしたら、お釜の底が短期間のうちに浅くなり、水も溜まらなくなるのではないかと心配する。

今度は、右回りに水際を歩いて行った。先程の土砂崩れの跡を近くで見ようと思ったからだ。
幸い、こちら側の壁は傾斜がなだらかで、ある程度までは危険が無さそうに思える。土砂崩れの真下まで行かずとも、ある程度近付けば十分に観察は可能である。
ただ、まだ陽がそこまで差していなかったため、しばらく座って待っていた。

MINOLTA α-707si/135mm(トリミング)

時計を見ると8時を過ぎていた。
朝食が早かったためか、腹が空いてきた。昼食用としていたカップ麺をここで食べてしまうか。
水は五色川から調達するのだが、出来るだけきれいな水を得るために川を遡上した。

五色川は、お釜を取り囲む外輪山の山肌から湧き出ている。
我輩はその近くに荷物を降ろし、水を汲んで湯を沸かした。多少風が出てきたため、アルコールバーナーの周囲を岩で囲う。
湯は10分で沸騰。
早速、持参したカップ麺に湯を注ぎ、岩に腰をおろして一気に食べた。
山で食べるカップ麺は、ことのほか旨かった。

MINOLTA α-707si/24mm(トリミング)

食後、再びデルタに出て撮影した。
9時近くにもなると、日も高く昇って写真的にも都合が良い。
五色川がお釜に流れ込む辺りには大規模な侵食跡があったが、それによって地層が顔を出しており、我輩はそれを興味深く眺めた。
特に、白く柔らかい粘土層が目に入り、写真にも撮影した。これは火山活動によって堆積した昔の火山灰であろうか。ある期間の中でまとまって堆積したように思えるため、お釜に日常的に堆積している層とは考えにくい。

BRONICA SQ-Ai/40mm

10時近く、そろそろ上に上がろうと思い、歩き始めた。
次の目的地である浄土平までの移動時間は1時間半くらいと見込んでおり、午後からの行動時間を確保するには程よい頃かと思う。

上りでは、下りの時よりも気が楽ではあるが、脚の疲労が残っており再び脚が震えてきた。
前回は時間制限がないためゆっくりと上ったのだが、今回は後の予定があるためあまりノンビリ出来ない。汗も出てきたのでコンパクトジャケットを脱ぎ、袖を捲り上げた。

ようやく柵のある場所まで辿り着いたのだが、月曜日のためか観光客はほとんどおらず、山歩きの中高年がチラホラ見えるだけだった。

改めてお釜のほうを見た。
今まで来た中では最も晴れ渡った日であった。この様子を写真に撮ろうと思い、このまま車に戻らずに馬の背(外輪山)を歩いてお釜全景を撮影することにした。

BRONICA SQ-Ai/40mm

馬の背はそれなりに起伏があり、ベストポジションにまで行って帰るだけで小一時間かかる。
途中、テレビかビデオの収録などをやっている一団がいた。若そうな面子ばかりだったため、どこかの映像学生の課題撮影か何かであろうか。

MINOLTA α-707si/135mm(トリミング)

撮影を済ませた後は、駐車場に戻る。
時間は11時を回っていた。日が照っているため、車内温度もそれなりに上昇していた。
靴を履き替え、レストハウスに行って土産物を買った後、車を発車させて山を降りた。

途中、コンビニエンスストアで弁当を買って食べ、そしてガソリンスタンドに行って給油し、白石インターチェンジから高速道路に乗った。
思いのほか脚が疲労しており、時々アクセルを踏む脚がつりそうになり焦った。

今回は、浄土平への寄り道はやめておこう。
これはもう、時間的な問題というよりも体力的な問題である。一切経山へ登ることを考えると、その後運転して帰る自信が無い。
我輩は、降りる予定だった福島西インターチェンジを通過した。
高速道路は単調なため、車載カメラも途中で止め、撮影については全てを終了した。あとは帰るのみ。

昼間であるから、高速道路はそれなりに車の量は多かったが、流れそのものは悪くない。
ただ、追越し車線を走ると後ろから速い車が追い付いてくるので気が抜けない。そういう時は走行車線に戻ってやり過ごすのだが、走行車線では少し遅く感ずるため、すぐに追越し車線に戻った。

そういうことをしているうち、黒塗りのセダンが我輩の後ろに付いた。少し距離があったものの、気になるので少しスピードを上げた。しかしなかなか引き離せない。どうやらこちらの速度に合わせている様子。
おかしいなと思ったと同時だった。その車が赤い回転灯を出した。
スピード違反で29キロオーバー(129km/h)で捕まってしまった。反則金1万8千円。
妙なことに、我輩は覆面パトカーを引き離す為にスピードを上げたはずだった。恐らくもっと出ていたと思うが・・・?

それにしても、こういう時に限って車載カメラで撮影していないのが悔やまれる。
パトカーの車内でも撮影出来そうな隙はあったものの、GR-Dを持っていないことに気付いて落胆した。
自分の車に戻った際にカメラを取り出そうとしたが、パトカーはすぐに発進してインターチェンジを降りてしまった。

家に帰り着いたのは17時くらいだった。
さすがに疲れは隠せない。前の日は寝ていないこともあり、目の疲れは相当なもの。

ガソリン価格の高騰やスピード違反のリスク、そして疲労のことを考えると、次回は鉄道の利用に戻ることも視野に入れることにしたい。
新幹線の中であれば、寝不足でも寝ていられる。

それにしても、明日は会社か・・・。