2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[567] 2006年03月21日(火)
「あぶくま洞」

先日、車検のタイミングで車のタイヤを新品に交換した。
中古で購入した車であるから、せめてタイヤは新品から乗りたいと思っていたのである。高速道路を走行する割合も高いため、タイヤに不安があると困る。

さて、タイヤが新品になったわけであるが、運転フィールがどれほど変わるかを体験する必要があると考えた。
一般道での走行はあまり違いを感じないが、高速道路ではどうだろう?
そこで、高速道路を使った日帰り旅行を考えた。

運転経験が極めて少ないことから、やはり家族を同乗させることは避けたい。
もちろん、新品に換えたことによって少なくとも性能が悪くなるということは無かろうが、古いタイヤでしか運転したことがないというのは不安材料のひとつである。
それに、週末は疲れを癒す時間も少ないため、なるべく自分のペースで運転出来るように、我輩一人で行くことにしたい。

さて、ドライブは決まったものの、どこに行くかは直前まで迷った。
我輩にとって、目的の無いドライブほど疲れるものは無い。逆に、目的さえ決まればどんな困難があろうとも達成しようとする気持ちが疲れを忘れさせる。

本来ならば、蔵王へ行ければ良い。しかし、4月までは雪のために道が閉鎖されており到達不可能。
次に興味のある火山地形「吾妻小富士」も、やはり雪のため道路が未開通。
山に行くとなると、この時期であれば雪の問題にブチ当たる。火山地形ならば箱根あたりもあるのだが、我輩の気持ちとしてはぜひ東北の道を走りたいのだ。

色々と迷った挙句、福島県の鍾乳洞「あぶくま洞」へ行くことにした。
ここは比較的規模の大きな鍾乳洞のようだ。しかも駐車場が広く、雄大な石灰岩の岸壁をバックに車の写真も撮れそうなのが良い。

「あぶくま洞」は当初から候補に挙がっていたのだが、単にそれだけのために長い道をドライブするには、やはり目的として弱い。
周辺地域を調べてみたものの、「入水洞」という難易度の高い冒険型の鍾乳洞があるのみ。
(冒険型の鍾乳洞は千仏鍾乳洞で懲りた:参考雑文294
結果的に、通り道としていわき市の「アクアマリンふくしま」という水族館も目的地に加えることにした。

ウェブ上から得た事前情報によれば、あぶくま洞は連休中や夏休み時期になると、駐車場に入る前の道路から行列が出来るらしい。
ただし今はまだ寒い季節のためそこまで混むことは無かろうが、狭い通路のある鍾乳洞での撮影を考えると、なるべく人の少ない平日に行ったほうが無難。
ちょうど金曜日に休暇が取れたため、土日に繋げて3連休とした。
この日の天気予報は、夕方から少し雨が降るとのこと。雨の日の高速走行を試すには良いかも知れない。

金曜日、朝5時に目が覚めた。
本当は6時に起きるつもりだったが、眠気が無いのでそのまま用意して車に乗った。
毎度のことだが、出掛ける間際に荷物の用意をした。カメラはブロニカSQ-Ai。鍾乳洞や風景では広角レンズ40mmを使い、車の撮影は準望遠の110mmを使うつもり。
車を利用することから、三脚や魚眼カメラ、そして一眼レフ型とコンパクト型のデジタルカメラ2機種も入れた。

外はまだ夜中の雰囲気。蔵王行きの時もそうだったが、暗い時間に家を出発するのは気分が盛り上がる。
ETCカードを刺し、カーナビゲーションを設定。あぶくま洞まで3時間半かかるようだ。

一般道ではダンプカーが多く多少緊張を強いられたが、高速道路に乗ると安心したのか少し眠気が出てきた。そのため、パーキングエリアに何度も立ち寄り、朝食を摂ったり仮眠したりした。5分でも目をつぶるとかなり違う。


−車載ビデオ映像−

しばらく走っていると、空が明るくなり走り易くなってきた。
茨城県から福島県へ入ると、もう車はほとんど走っていない。ただし、片側1車線の区間が多くなってくる。


−車載ビデオ映像−

常磐自動車道から磐越自動車道へ入り、小野インターチェンジから降りたのは9時近かった。
福島の一般道は初めて走ったが、右左折時に直前までウィンカーをつけない車が非常に多く感じた。右折レーン先頭で止まっている車やT字路の下側で信号待ちをしている車など、ウィンカーが出ていないため次の動きが読めずに戸惑う。

我輩は信号待ちごとにデジタルカメラ「RICOH GR-D」で交差点を撮影した。後で運転の参考にするためである。
こんな時は起動の早いデジタルカメラは重宝する。
ただし、連続撮影では待ち時間が長いのが気になる。そこそこ速いメモリを購入したつもりだったが、やはりカメラ側の性能が弱いのか?

ジグザグの山道を登りあぶくま洞に到着すると、広大な駐車場に10数台の車が一箇所に集まって停まっていた。
我輩もその集団に加わって駐車すべきか考えたが、石灰岩の岸壁をバックに撮影するには位置が不適当だと判断し、皆と離れた場所にポツンと停めた。

エンジンを止めると、静寂に包まれた。人の気配がしない。
空は曇り空で寒々としている。
しかし我輩は車でぬくぬくとしているので気が沈むことは無い。


−あぶくま洞第二駐車場−

とりあえず車の写真を撮る。
110mmを使い、5メートルほどの距離から撮影。三脚を出そうかと思ったが、まあ、大丈夫だろう。
その後荷物をまとめ、必要最小限の装備をして鍾乳洞に向かう。本番撮影用にブロニカと40mm広角レンズ、露出計用としてデジタルカメラGR-Dである。

鍾乳洞の中は、外に比べて暖かく感ずる。そのためか洞内に入ってすぐにレンズとアイピースが曇った。
急いでレンズのフィルター表面をハンカチで拭いたがまた曇る。仕方無く、しばらくハンカチを当てたまま体温で暖めて対処した。

意外にも洞内で人と出会うことが無い。そのため、撮影にはゆっくりと時間をかけることが出来る。細い通路に陣取って長時間露光をしても誰の迷惑にもならない。
ただし、センサー式の照明があるため、撮影に時間がかかると自動的に消灯されるのがやっかいである。そういう時は再びセンサーのある場所に戻って照明を点灯させねばならぬ。人通りが多ければ消灯するヒマも無いのだろうが・・・。

途中、探検コースと一般コースの分岐点にさしかかった。
そこには係員のオイちゃんが1人座っており、探検コースに進む場合に200円を追加徴収するとのこと。
事前情報で検討した際、探検コースはあまり撮影するものも少ないように感じていたため、考えることなく一般コースを選んだ。

続いて長い階段を上って行くと、天井の高い大広間に出た。
そこにも係員のオバちゃんが一人いて、照明ボタンがそれぞれにあることを説明してくれた。
我輩は大広間で見える鍾乳石を撮影して回った。テーブル三脚を手すりにかけて長時間露光。ブロニカのバシャッ!という豪快な音がした後にパチンと小さなシャッター閉じの音がする。

「フラッシュの撮影ですか?」
オバちゃんが我輩に声をかけた。
「えっ?」
少し離れた場所だったため、あまり聞き取れなかった。
「フラッシュがどうのと言っているようだな・・・。そう言えばここは撮影禁止という情報がどこかのウェブサイトに出ていたような気がする。訪問者たちの撮影した写真が多くあったため、まさかそんなことはあるまいと思っていたが、少なくともフラッシュ撮影は禁止ということか? 恐らく、暗黒の世界で長い時間をかけて作られた鍾乳石にフラッシュの強い光が影響を与えるというのだろう。」

我輩は、フラッシュ撮影ではないことをオバちゃんに言った。
これで撮影がダメなら、非常に残念であるが従うしか無い。
ところがオバちゃんは、「フラッシュ使わないと写りませんよ。」と言うのだ。なんだ、そういう話か。
しかし、至近距離の鍾乳石を撮るなら別だが、こんな広い場所を小型のストロボで照明するのは不可能(※)。結局は長時間露光しか方法が無い。
(※シャッターを開きっぱなしで複数回発光させる方法もあるが、それは完全暗黒中でなければムリ。小型ストロボのチャージ時間を考えると、2〜3回発光させる間に定常光側の露光が完了してしまう。)

それにしてもこのような大きなカメラを使って撮影している我輩に撮影のアドバイスを行うオバちゃんの感覚には参った。普通ならば、大きなカメラを使っているというだけで「タダモノではない」あるいは「モノ好きな奴」と考えるはず。少なくとも写真の素人とは思うまい。
それなのに「フラッシュ使わないと写りませんよ。」と言われてしまっては我輩の立場が無い。
まるで、水戸黄門が印籠を出しているのに「おじいちゃん危ないよ」と言われているようなものだ。

「8秒でF5.6の露光を与えているから大丈夫です。」
我輩はヘタに説明するのが面倒だったため、わざとこのように言った。少なくとも、考えがあってやっているということが伝われば良い。
オバちゃんは「そうですか。」と言った。
(もしかしたら、ブロニカとハッセルブラッドの違いが分かるオバちゃんだったりするかも知れない。その場合は、「そうですか。」という言葉の含みが重いわけだが・・・。)


−あぶくま洞−

鍾乳洞も終わりに近付いてきた。
それにしても変だ。駐車場には10数台の車が停まっていたはずだが、他の訪問者と全く出会わない。
出口を抜けると、ちょうど売店の裏側に出てしまった。売店を必ず通って帰るようになっているようだ。観光地はどこも同じだな。
我輩は豚児とヘナチョコ妻用に土産を幾つか買った(特に豚児は、土産を買って帰ると踊り出すので楽しみではある)。

それにしてもこの周囲は、面白いことに色々と石灰岩が利用されている。例えば、手洗い場や休憩コーナーのテーブルなどは、磨かれた石灰岩である。


−石灰岩の利用−

駐車場に戻る途中、10数台停まっている車を見た。皆、いわきナンバーの軽自動車だった。恐らく、これらのほとんどがあぶくま洞職員の車なのだろう。そう考えると訪問客と出会わないことの納得がいく。

車に戻り、向かいにある「星の村天文台」の駐車場に移動し、展示を見て回った。やはり誰もいない。
プラネタリウムが上映されるようだが、タイミングが悪くあと2時間待たねばならないようなので諦めた。
その後、あぶくま洞の駐車場に戻り、コンビニエンスストアで買い込んだ弁当を車中で食べ、一休みした。

次は、元来た道を下って水族館に行く。
高速道路でいわき湯本インターチェンジまで戻り、そこから海辺の水族館「アクアマリンふくしま」へ。
ここも平日のためか客入りは少なかったが、大学生のカップルのように見える組み合わせは多くいたように感ずる。


−アクアマリンふくしま−

ここではさすがに動いている魚に長時間露光は出来ないため、ビデオカメラとデジタルカメラをメインに使うことにする。
デジタルカメラは感度を400に上げたのだが、コンパクトタイプの「RICOH GR-D」ではノイズが多く、「Canon EOS D-30」を主に使用することにした。しかしながら、バッテリーが弱いため(参考:雑文566「ビルオーナーの気持ち」)すぐに撮影不能に陥った。仕方無いのでGR-Dを使っていたが、800万画素もあるカメラにメモリを514MBしか入れておらず画像満杯でこちらも撮影不能。ちまちまと不要画像を消しながら何とか最後まで撮影した。

帰り路、暗くなってライトを点灯した。
そして高速道路に入ると予報通りに雨が降り出した。間欠ワイパーを作動させる。高速道路でワイパーを動かすのは、去年の夏以来か(参考:雑文549「夏の帰省2005」 )。あの時は、走行中にワイパーブレードのゴムが剥がれてどうなるかと思った。

しばらく走っていると、今回の旅が試験運転であることを思い出した。
そう言えば、この車のホーン(クラクション)を鳴らしたことが無い。やるのであれば、他の車が前後にいない今やってみよう。
ステアリング中央を軽く押すと、「プー」と鳴った。ラッパのような気の抜けた音だった。
次に、ライトをハイビームにしてみた。しかしあまり変わったように思えない。対向車が来たのですぐに戻した。
ハイビームは帰宅後にチェックの必要有り。


−車載ビデオ映像−

福島県から茨城県に入ると、車の数が増えてきた。暗くなってきたのでライトを点灯して走ったのだが、途中、我輩に併走してクラクションを激しく鳴らしてくる車が現れた。
その車は前に割り込んできてブレーキランプをパカパカ点滅させ速度を落としてくる。車線を変更して抜こうと思ったがその車も車線を変更して抜かせようとしない。

「ん? ライトがハイビームになっていたか?」
そう思ってスイッチをチェックしたが、ハイビームになっていない。

「不気味な老婆が車の屋根にしがみついているとか?」
まさかな・・・。

「気に障る運転をしてしまい逆恨みでもされたか?」
しかし、いくら考えても無理な車線変更をしたつもりも無いし、ここまで来れば片側3車線もあるから進路妨害になることも無い。

そのうち、その車が横に並んで窓から腕が出てきた。中指立てているとこちらも引くに引けなくなってしまうため、前を向いて完全無視を決め込んだ。煽りに乗ってしまって双方事故を起こした事例を幾つか知っている。この場合、無視が一番。
それが功を奏したか、その車はスピードを上げて我輩の視界から消え去った。

念のため、次のパーキングエリアに入って車の周囲をグルリと回ってみた。
特に何も無い。
「老婆が屋根にしがみついていなくて良かった・・・。」
我輩は、そのまま帰宅した。

後日、気になったので車の操作説明書を読んでみた。
すると、我輩がハイビームのスイッチだと思っていたのは実はフォグランプのスイッチで、ハイビームのスイッチはライトのスイッチとは離れた場所にあったことが判明。
推測するに、車検のライトチェックの際にハイビームにしたまま戻さなかったのであろう。

まあ、今回それに気付いたということで、試験運転の意味があったわけだ。