2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[549] 2005年08月24日(水)
「夏の帰省2005」

●はじめに

  • 今回、例年のように夏の帰省について雑文に書くが、あまり分割してタイトルが増えても意味が無く、長文となっても1つにまとめることにした。
  • 日頃書いている豚児日記をベースにカメラや撮影に関する記述を加えた文章のため、かなり冗長になっている。
  • カメラや撮影に関する記述については、区別し易くするためこのように着色した。

●事前計画

今年の盆休みも、去年のように九州の実家に帰ることを計画した。
現在、実家のほうでは路線バスも廃止され、主な移動手段はタクシーとなっている。しかしバスであろうとタクシーであろうと、荷物の積み降ろしがその都度大変である。それが仮にレンタカーであっても、結局は同じこと。
どんなに荷物が車に積めようとも、最終的には人間が持てる範囲でまとめねばならない。もちろん、土産品の余力も計算に入れての話である。

ところが今回は自家用車がある。出発地から目的地まで、荷物は車に載せたままで良い。積めるだけ積もうが問題無い。
そういう意味で、今回は荷物に苦しめられたこれまでの帰省とは異なるものとなろう。ダジャレにすれば「帰省概念を変えるもの」と言うところか。

カメラについては、今までの帰省では軽量レンジファインダーカメラである「New MAMIYA-6」しか考えられなかったが、今回は持ち運びの苦労が無いため一眼レフカメラの「BRONICA SQ-Ai」と何本かの交換レンズを持って行こう。その気になれば、予備の中判カメラさえ持って行ける。

さて、九州まで正直に車で走ろうとすれば、片道で1千kmを超えてしまう。
独身時代、大学時代の友人ヤスと車で松本市から九州まで車で走ったことがある。我輩は助手席で運転しなかったものの、それでもかなり疲れた。その苦労のため、九州の道路に入った時には感動したほどだ。

しかし今回はなるべく疲労を抑えたい。そうなると、フェリーか。
そう思い立った時、ちょうど出発予定日の2ヶ月前だった。フェリーの予約は2ヶ月前からのため、今予約を取らねばならぬ。
慌てて九州航路のフェリー会社に電話を掛けてみると、午後の時点で予約は全て埋まっていた。
「しまった!今回ばかりは出遅れたか・・・。」
さすがに東京発のフェリーは競争率が高いのか。仕方無く別のルートを探すことにした。

「待てよ、災い転じて福と成す・・・か?」
そもそも、東京から直接フェリーで九州を目指すと、丸2日を洋上で過ごさねばならぬ。もし船旅が合わない場合、途中下船出来ない洋上2日間はツライものとなる。
仮にこれを、例えば大阪までは車で走るとすれば、洋上は1日で済むことになる。全行程をフェリーとするよりも、むしろこちらのほうが良いのではないか。

ただし大阪でも少し遠いと思うため、他に無いかと探してみた。
すると、新潟県の直江津から博多まで行く便があることが分かった。直江津までは、蔵王までと距離的には同じである。これを考えた時点ではまだ蔵王には車を走らせてはいなかったが、いずれはこれくらいの距離は走ることになるという気持ちがあったため現実的だと思われた。

直江津−博多のフェリーは「ニューれいんぼう・べる」と「ニューれいんぼう・らぶ」という姉妹船が2隻運行されており、総トン数1万トン、全長190m、速力25ノットとかなりのものである。
ここまで大きく速いと、揺動もほとんど無いと予想された。
個室設備がわずかにあるようだが高価である。残りすべてが2等寝台で、4人部屋となっている。まあ、雑魚寝の非寝台よりはかなりマシである(他にトラックドライバー用の部屋もあるが、一般客には提供されない)。

早速フェリー会社に電話を掛けてみると、空きがあったので予約を入れた。
ところが、往復割引があるとのことで、復路は2ヶ月前でなくとも予約が入れられることもあり、復路で狙った日は予約がいっぱいだった。仕方無く空いている日に予約を入れたのだが、九州での行動時間がかなり少なくなってしまった。
とりあえず、フェリーの予約から日程を割り振ると、以下のようになった。

8月13日(土) 三郷→黒姫高原→直江津港22:00発(フェリー泊)→
8月14日(日) →博多港18:30着→小倉(泊)
8月15日(月) 小倉→スペースワールド→京都郡(泊)
8月16日(火) 京都郡→別府地獄めぐり→別府スギノイパレス→京都郡(泊)
8月17日(水) 京都郡→親戚めぐり→小倉→博多港22:00発(フェリー泊)→
8月18日(木) →直江津港18:30着→三郷

早速、フェリーに乗ることを実家に連絡したところ、フェリーだと大変ではないかとの反応があった。しかしながら「夏の日本海を航行する大型船であるから揺れはほとんど無い」と説得し、何とか了解を得た。
むしろ、寝台特急や新幹線のように狭い空間に閉じこめられた状態よりものびのびとしており、暴れざかりの豚児も自由に走り回れるのが良い。

ただし天候によっては、大型船であろうとも大きなうねりによって揺動が激しくなる恐れがある。


●8月13日(土) 1日目
 <三郷→黒姫高原→22:00直江津港(フェリー泊)>


この日は朝5時過ぎに家を出た。
通常であれば直江津までは4時間くらいの行程であり、フェリー乗り場まで20時までに着けば良いのだが、帰省ラッシュの影響を考えて早めに出たのである。

ヘナチョコ妻の知人家族の体験によれば、ゴールデンウィークに軽井沢まで車で行こうとしたところ渋滞で12時間もかかってしまったという。
まさかそこまで・・・という気持ちはあったが、もしフェリー手続きに間に合わなければ全ての計画が狂ってしまう。
仮に杞憂に終わり早めに着いてしまったとしても、途中で黒姫高原に寄り時間を調整出来るように考えておいた。

朝から雨が降り始めていたが、風はそれほど強くないように感じた。
高速道路は三郷JCTで乗ったが、関越自動車道に乗ると途中で渋滞につかまった。ノロノロ運転だけでなく、完全に停止することも多かった。
ふと見ると、ワイパーのブレードのゴムが途中で剥がれているのが見えた。
「くそ、このままワイパーを使い続けるとゴムが完全に剥がれるかも知れん・・・。」
渋滞での低速、そしてトンネルの多さに助けられ、何とか間欠ワイパーでやり過ごした。

途中、渋滞を抜けると雨が止み、陽が射してきた。片道1車線の区間が多くなったが、車の数も減ってきてスムーズに流れている。
そんな調子で黒姫高原に着いたのは13時近くであった。
ひとまずコンビニエンスストアに急ぎ、瞬間接着剤でワイパーのゴムを補修。その一瞬後、ビックリするくらいの土砂降りとなり、慌てて車に飛び乗った。まさに間一髪の補修であった。

その後コスモス園に行き、のんびりと食事をしてコスモスを眺めていた。
食事中から「BRONICA SQ-Ai」と超広角40mmで写真を撮り始めたのだが、スピードグリップを装着していたためストロボも装着可能で取り回しが楽である。
また、スポット測光可能なAEプリズムファインダーも装着している。これはアイレベルでの撮影が可能なため、豚児の素早い動きにも十分対応出来る。何しろ、アイレベルでは両眼で被写体を追うことが出来るが、ウェストレベルでは片眼でしか追えぬ。


このような重装備ではあっても、去年使用した「MAMIYA RB67」を思うと非常にコンパクトで操作性が良いと感ずる。ピント合わせも巻き上げもファインダーから眼を離すこと無く行える。
比べるとすれば、まさに天と地。手持ち撮影カメラとして考えると最強と言える。
(参考:雑文503「夏の帰省日記(1)」


雨はしばらく止んでいたのだが、コスモス畑に行こうとしたところまた雨が降り、行く手を阻まれた。
コスモス園で土産物売り場を物色していたが、さすがにそれだけでは間が持たず、16時前に出発して道の駅「しなの」に寄ったりしたが、そこは基本的に物産店で居場所が無く、結局、高速道路に乗って直江津を目指した。

直江津市街へは17時過ぎに到着。
フェリー船内のレストランは出航するまで開店しないのだが、出航時間は22時であるため、フェリーで夕食を摂ろうとすると遅くなってしまう。そこで、イトーヨーカドー直江津店で夕食の惣菜を調達し、車中で食すことにした。
ところが狭い道の多い初めての街のため、カーナビゲーションシステムの画面を見落として道を間違えてしまい、グルグルと1時間近く走り回ってようやく到着した。時間的余裕があって良かったと言える。
そこでは餃子と稲荷寿司を購入。特に餃子は、独身時代にいつも近くのイトーヨーカドーで買って食べていたので懐かしい。

搭乗手続きは、出港2時間前の20時となっている。
イトーヨーカドーを出た時点では19時だったが、間が持たずそのまま乗り場へ向かうことにした。
港には貨物トレーラーなどが多くあり、徐行しながらフェリー乗り場を探した。
しかしライトアップされた巨大な船が建物の陰から現れたため、迷うことは無かった。豚児に「あの船に乗るぞ」と言うと、「早く乗ろう!」と騒ぎ出した。

フェリー乗り場近くには駐車スペースがあるようなのでそこに車を停めた。場所としてはかなり広いのだが、駐車用のラインがかすれて消えかかっており、本当にそこに停めて良いのかと一瞬思ったのだ。
しかし他の車も停まり始めたのでここで良いのだろう。
ちなみに自宅からここまでの走行距離は376km。黒姫高原や直江津市内等の寄り道があるため若干距離数が多い。

我輩はフェリー案内所で手続きを済ませ、チケットを受け取った。本日の搭乗船は「ニューれいんぼう・べる」とのこと。
そして、指示どおりに車のルームミラーに「博多行き」という荷札を外から見えるようにくくりつけた。
受付者の説明では、21時になると運転者は車を運転してフェリーに誘導され、一方同乗者は別に用意された連絡バスに乗ってフェリー登場口まで行くことになっているという。

フェリーの前に行って記念撮影しようと思ったが、その場の雰囲気が関係者以外立入禁止のような感じである。そのため、手早く撮ろうと三脚は用意せず手持ちで2秒のスローシンクロ撮影を行った。
もちろん、被写体が画面に占める面積が小さいことから、調光オートではなくマニュアル発光(フラッシュマチック)である。また、定常光の測光はデジタルカメラによるものである。


BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

とりあえず車内で夕食を食べることにした。
狭い車中だが、家族水入らずという感じは悪くない。
豚児に餃子を食べさせたが、一個頬張るごとに踊り出すので("美味い"というポーズらしい)あまり落ち着かなかった。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

食後はやることが無いのでしばらくフェリー案内所に行ってみたり、そこで写真を撮ってみたりした。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

しばらくして「あと30分で搭乗だな」という頃に車へ戻ると、誘導員がそれぞれの車を回って「車を移動させて下さい。」と言った。
「そうか、やはりここは搭乗車の駐車スペースではなかったのだな」と思った。

我輩はヘナチョコと豚児を乗せて車を誘導されるままフェリー後部へ移動させた。
しかし雰囲気が違う。例えるならば、レースが始まる前にエンジンをかけて待機しているような状態である。もしかしてこのまま搭乗するのか?同乗者もいるというのに・・・。

急いで誘導員を呼び止めて確認すると、やはりこのまま乗り込むらしい。後部座席のヘナチョコと豚児のことを言うと、「えっ、同乗手続きを取ってあるんでしょう?」と言った。なに?手続きをすれば同乗出来るのか。しかし手続きをしていない旨を伝えると、誘導員たちは色々と話し合った後に「連絡入れておきますのでこのまま搭乗して下さい。」と言ってくれた。
帰りの便では、同乗手続きをすることにしようか。

しばらくして前の車が発進したため、慌ててエンジンを掛けて後に続いた。
フェリーの中は立体駐車場という感じで、あまり違和感は無かった。我輩の車は第3甲板に誘導された。
指定場所で停止しエンジンを止めると、係員が車止めを施していった。

フェリーに搭乗する機会もあまりないと思うため、船室に入る前に車の撮影を行うことにした。
そうは言っても、荷物も抱えている慌ただしい中ではデジタルカメラによる測光をするヒマが無く、定常光はAEファインダーの値を参考にして決定。ストロボは光が足りないためとりあえずフル発光を行い、不足分は恐らく定常光で補えるだろうと判断した。ただ、シャッタースピードが1/8秒と低速のため、手ブレには十分注意した。
引きが無いため撮影距離が近く、遠近感が強く出るのは仕方無い。


BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

車から降り、フェリーに持ち込む荷物を抱えてエレベータを使ってホールへ上がった。
そしてそこから寝台番号65と66に到着した。その部屋には寝台が4つあり、我々の寝台は窓際に近いほうにあった。
我輩は何となく寝台番号66に入ったのだが、今思えば66判を連想させて興味深い。
この部屋には、我々の他に女性が1人入った。残りの寝台1つには誰も入らなかった。

我輩は、部屋に荷物を置いてすぐに豚児と大浴場に入った。
インターネットからの前情報によれば、風呂は出航前から開いているため、乗船してすぐに行けば空いているのである。
さすがにトラックドライバーが乗っているだけあり、背中にイレズミをした爺さんも入っていた。

風呂から上がって部屋に戻り、豚児には歯磨きをさせて寝かした。いつもよりも遅い時間のため、一瞬で眠りに落ちた。
我輩はPDA(携帯端末)を取り出し、キーボードを繋いで文章を打ち始めた。実はこの文章のうち半分くらいは船内で書いたものである。

その後間もなくして船全体が唸り出し、出航のアナウンスが流れた。
外を見ると、真っ暗な中に浮かんだ転々とした明かりがゆっくりと移動してゆく。
予想通り、揺れは全く感じない。ただ、エンジンによる振動が響いていた。


●8月14日(日) 2日目
 <→18:30博多港→小倉(泊)>


朝、7時くらいに目が覚めた。
寝台のカーテンを開けて窓の外を見ると、水平線が見えた。それ以外には何も見えない。
現在地点が全く分からないので、パーソナルGPSのスイッチを入れて計測してみる。すると、島根県沖を航行中であることが判明。隠岐の島が近くにあるはずだが目視出来ない。双眼鏡を使ってみたがやはり見えなかった。
速度を計ると44.8km/h(約24ノット)と出た。

空調はかなり効いており、暑がりの我輩ですら寒く感じ、クシャミ・鼻水も少し出た。
朝食はとりあえず、部屋に持ち込んだレーズンロールパンを3人で食べた。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

しかし前日の疲れからか再び寝入ってしまい、我輩と豚児は午前中をワープした。

昼近く、アナウンスがあり目が覚めた。食堂が開いたとのこと。営業時間は12時〜14時である。
すぐに行くと混んでいるかと思ったため、13時くらいに行った。

食堂は食券を買えばすぐに厨房に伝わるシステムで、料理が出来ると食券番号で呼び出される。
我々は、とんこつラーメンとカツカレー、そして魚フライ定食を注文した。
味と値段はそこそこであった。普通の食堂と何ら変わらない。

ここで、食事の様子を撮影してみた。画面の中心が抜けているので調光オートではなくマニュアル発光である。1/15秒でのスローシンクロであるが、座って撮影しているため安定が良い。
豚児の座っている正面に海が見えており、しきりに窓を指さして「見て、見て」とうるさい。


BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

食後、甲板に出てみた。
天気も良く気分が晴れたが、風は非常に強かったため豚児の手を放すわけにはいかなかった。
我輩が双眼鏡を使っていると豚児が見せろとうるさいので貸してやると、対物レンズ側から覗いて「見えた見えた」と喜んでいた。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

夕方になると、かなり九州に近付いてきた(GPSでの確認)。
船がゆっくりとした周期で横揺れ(ロール)しているのに気付いた。船室は船の中心から外れているため、上下に動いているような感覚である。歩いていると気付かないような小さな揺れだが、今まで全く揺れていなかったために少し気になる。大きなうねりがあるのだろうか。
少し頭が重いような気がするが、軽い船酔いなのかあるいは船室の寒さによるものかは区別出来ない。豚児は相変わらず元気に走り回っている。

18時近く、博多港接岸が近くなり、荷物をまとめて船室を出た。
船を出る時は、同乗者も一緒に車に乗ることになっているそうだ。そしてそのまま港を走り去ることになる。
この日は小倉に一人住まいしている我輩の母親と合流し、夕食を摂ることになっている。

19時近くにフェリーから出て、西九州自動車道、九州自動車道、北九州都市高速を通り、小倉の宿泊予定ホテルを目指した。
予定では1時間かからない行程なのだが、ホテルのチェックイン予定時刻は余裕を持たせて21時としてある。まあ、早めにチェックインしても問題無かろう。

陽は落ち、照明があまりない高速道路はかなり暗かった。多少渋滞もあり、予想以上に時間がかかりそうだった。また、出口付近に近付くと分岐や合流が複雑で(道を知っていても大胆なレーンチェンジをせねばならない)予定の経路を外れてしまい、到着が若干遅れた。結局、ホテルのチェックインは21時となり、ちょうど良い時間で逆に驚いた。

ホテルで母親と会い、そこから紫江's(紫川のほとり)の中華料理店で食事をした。
母親は我輩に「夕食くらいカメラ置いときー」と言っていたが、自分は自分でデジタルカメラで豚児の写真を撮っていたのが笑えた。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH


●8月15日(月) 3日目
 <小倉→スペースワールド→京都郡(泊)>


朝起きてしばらくすると、我輩の母親が宿泊ホテルの部屋に朝食と豚児用のオモチャを持ってきてくれた。
この日は最終的に母親を車に乗せて京都郡(みやこぐん)の実家へ帰るつもりだが、その前に我々3人だけでスペースワールドへ行くことにした。この時期、スターウォーズ展もやっているようだ。

チェックアウトした後に車で母親をマンションまで送り、スペースワールドを目指した。
10年近く前、ヘナチョコと2人で正月のスペースワールドへ行ったことがあったが、かなり空いており、あるパビリオンでは我々2人だけの入場というものもあり寂しいものだった。今回はどうだろう。

駐車場へ着くと、そこは広大なスペースでどこに停めれば良いか迷うほど。まあ、朝なのでまだ客入りが少ないのだろうが、もしかしたら終日空いているのか・・・?
とりあえず入場してみると、早速スターウォーズグッズの売店があった。しかし展示会場は中央部にあるので売店をパスして会場へ直行。
会場はかなり混んでおり、人の流れを遮ってしまう記念撮影も素早く行わなければならず大変であった。落ち着いてスローシンクロ出来なかったのが残念。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

我輩はここで、映画館で資金不足で買えなかった書籍を買った。
スターウォーズコミックと、スターウォーズメカの図解本である。それなりに高価だったが、旅行気分のために思い切って購入した。

この日は快晴でかなり暑く、汗だくで体力消耗も激しい。休憩も兼ねてレストランで食事を摂ることにした。
15分ほど並んで席に案内され、我輩はカメラをテーブルに置いた。カメラは小型軽量とは言うものの、やはり35mmカメラに比べるとやや大柄である。1本柱のテーブルに考え無く置くと安定が悪いので気を遣う。

食後、何か乗り物にでも乗ろうと歩いていると、脇を物凄い音を立ててジェットコースターが走り抜けた。乗っている者たちの「キャーキャー」と叫んでいる声も聞こえた。このコースターは宙返りをしながら実物大スペースシャトルの前を駆け抜けるものである。結構な高低差でスリル満点。
豚児はそのジェットコースターを指さして「あれに乗ろうか」と言ったので慌てて子供用の乗り物へ連れて行った。

子供用の乗り物は幾つかあり、そこでヘナチョコと豚児の写真を何枚か撮ったのだが、全体の様子を写しながら同時に詳細を写し込む中判写真ならではの撮り方が役立つ。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G

他にも色々と乗り物に乗せた後、強い日差しに疲れてきたので、観覧車に乗って帰ることにした。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

観覧車のゴンドラ内は非常に暑く、備え付けのウチワで扇ぎっぱなしだった。しかしなかなか眺めが良く、洞海湾や若戸大橋なども見渡せた。数年前に登った皿倉山も背後に見えた(参考:雑文293「定点撮影」)。

地上に降りた後、駐車場に向かって行くと、朝にはガラ空きだった駐車場に車がビッシリと埋まっていた。なかなか凄い光景だった。
あまりに暑い日差しゆえに、車内に残していたカルピスウォーターがカルピス湯になっており、飲むと不味かった。

小倉の母親のマンションに行き、そこで皆で夕食を食べ、そして4人で車に乗り京都郡の実家に向かった。
さすがに田舎のほうは国道であっても夜が暗い。そのため、馴染みの道に気付かず曲がり道を行き過ぎ、多少大回りして町内へ入った。この町は街灯も少なく信号機すら無いのでスピードを落として注意して走行。ようやく、実家に着いた。

実家ではバアちゃんが出迎えた。豚児の曾祖母である。
夕食は済ませてきたが、巨峰や梨が大量に出てきてそれを食べて風呂に入った。
風呂から上がって部屋の中で気配を感じて振り向くと、壁に3cmくらいの小さなアシダカグモが歩いていた。いくら3cmとは言え、成長すれば大人の掌(てのひら)くらい大きくなる大型のクモである。我輩は少しビックリしてちょっと反応すると、そのクモは物凄い速さで走り去った。

その後トイレに行こうとしてスリッパを履こうとするとスリッパの下から何か黒いものが走り去ってどこかに消えた。我輩は動けず、しばらくして念のためにスリッパを踏んづけて様子をみた後にようやくトイレに入った。
寝るのが恐いな・・・。


●8月16日(火) 4日目
 <京都郡→別府地獄めぐり→別府スギノイパレス→京都郡(泊)>


この日は別府に行く予定だった。
別府には「地獄めぐり」や「スギノイパレス」があり、アットホームな観光地としてぜひ豚児にも体験させようと考えた。我輩の母親も久しく別府に行っていなかったとのことで、今回の別府行きに同行することになった。

朝9時頃に家を出て、まず椎田有料道路を走った。途中料金所があったが、窓口を探すと無人であることが分かった。自動販売機のような受け口に小銭をジャラジャラ流し込み、ゲートを通過。そして国道10号線を経由し宇佐別府道路から別府入りし、まず地獄めぐりの龍巻地獄(間欠泉)、そして血の池地獄を廻った。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

その後、少し離れた鉄輪(かんなわ)まで車で移動し、山地獄、海地獄を見た。
山地獄ではゾウ、ラマ、フラミンゴ、サル、カバその他動物が飼育されており、小さな動物園という雰囲気である。
一方、海地獄ではオオオニバスや温室があり植物園という感じがする。
暑い日差しさえ無ければ、ゆっくりと散歩するように巡るのもまた良かろう。

海地獄の土産物店では、豚児が気に入った黄色いTシャツを我輩の母親が買ってやった。クマの絵柄がプリントされたもので、豚児は喜んでしきりに「クマさーん」と連呼していた。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

写真を撮る際、日差しは強いものの光量は安定しているため、定常光はいったん設定してしまえばそれほど頻繁に変える必要は無い。帽子や日傘の陰になっている顔を照らすための日中シンクロストロボ光を調整するのみ。
広角レンズにより主要被写体の画面に占める面積が小さくなるため、調光オートではなく距離に応じて発光量をマニュアル調節するのが確実。
(※中判カメラでは35mmカメラのように被写体に接近しなくとも十分な情報量が得られるため、広角だからと言ってあまり主要被写体に近付き過ぎないほうが良い。そもそも被写界深度の浅い中判では、近付き過ぎは広角の情報量をスポイルしてしまう。)


さて、海地獄を出る頃にちょうど昼食時となった。
海地獄の脇にある食事処に入り、我輩は大分名物のだんご汁のセットを注文した。豚児もこのだんご汁が気に入った様子だった。
豚児は、先ほど買ってもらった黄色いTシャツに着替えたいと言い出し、仕方無いので着せてやると「ほら見て!クマさーん」とかなり喜んでいた。母親も、買ってやった甲斐があったというものだ。

午後は、スギノイパレスへ行った。
ここはスギノイホールというホールにて出し物があり、例えば演歌ショーやマジックショーが行われており、なかなか家庭的で田舎っぽいところが心休まる(参考:雑文228「マジック・ショー」)。
また、土産物売り場も多く、ここで土産物のほとんどを仕入れた。

スギノイホールは、ちょうどショーが終わった直後で、残念ながら観ることは出来なかったが、ホールは休憩所でもあるので観客のほとんどが出ていったあとに寝そべってしばらく休憩した。
豚児は広い場所が嬉しいのかそこら辺を走り回ったり、寝ている我輩の上に飛び乗ったりしていた。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

しばらくして落ち着いた頃、2階にある「スギノイボウル」に寄ってボウリングをすることにした。
ここは子供用レーンがあり、ガーターにならないよう両脇にガードが設置してある。そのため、豚児でもそこそこ点数を稼いで楽しんだ。

豚児はボウリング初体験だったため、写真撮影には気合いを入れた。
光が足らずスローシャッターとなったが、手ブレの無いカットが1枚でも撮れるよう何枚もシャッターを切った。
これでうまく写真が撮れれば、良い想い出となるに違いない。


BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

夕方になって帰路についた。途中で食事処を見付けてそこで夕食を摂った。
やはり実家に戻ったのは暗くなってからである。そういう意味では、近所の様子を明るいうちに見られないのは少し残念。


●8月17日(水) 5日目
 <京都郡→親戚めぐり→小倉→22:00博多港(フェリー泊)>


この日は博多港からフェリーに乗って帰る予定だが、来た時と同じように夜の出航であるため、日中は親戚めぐりをすることにした。

最初に、バアちゃんの兄の家に行くことにした。もう実家には戻らないため車には荷物を全て積んだ。そして、我輩とヘナチョコ、豚児、母親、バアちゃんの5人が車に乗った。
今考えると結構な重量だと思うが、運転特性がそれほど変わらなかったのはさすがに普通車である。軽自動車ではかなりツライだろう。
ここでも何枚か写真を撮ったが、室内では超広角40mmレンズが役立った。「New MAMIYA-6」の広角50mmレンズでは画角的に厳しいシーン。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

その後、去年も訪れた叔母の家に行った(参考:雑文504「夏の帰省日記(2)」)。
ちょうど、叔母の娘(つまり我輩の従兄弟)が第二子を産んだとのことで、良い機会だと考えた。
豚児は、赤ん坊を不思議そうに見ていたが、「ちょっとつついてみな」と促すと、「あかちゃーん」と少し喜んだ。

豚児は主に上の子と遊んでいたが、その子がトミカやチョロQを持ち出して遊び始めたので我輩も混ざって遊んだ。チョロQはオシリにコインを挟んで走らせるのが慣わしだが、その子はそれを知らなかったようで、ウィリーや回転し始めたのを見て「すごいすごい」と喜んだ。

最後はその子と豚児の友情の握手をしたところを写真に撮った。地理的に離れた子供同士であるから、お互いに別々の場所で成長した後のことを考えると、これも良い記録となろう。
撮影としては、開けた場所ではないため普通に調光オートで撮影した。


BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

さて、バアちゃんはそのままタクシーで実家に帰り、我々3人と我輩の母親は小倉に出て伊勢丹で昼食を摂ることにした。
地下駐車場に車を停め、去年も行った同じ所で食事をした(参考:雑文503「夏の帰省日記(1)」)。

食後、オモチャ売り場に行き、我輩の母親が豚児にトミカのセットを買ってやった。我輩もそれに便乗して1台トミカを買ってもらった。もちろんこれは、シンちゃんのミニカーのように保存用である。

オモチャ売り場の前には子供の遊び場があり、そこでしばらく豚児を遊ばせることにした。
そこには他にも子供がおり、子供同士で遊具の静かな縄張り争いや駆け引きを見ることが出来、なかなか興味深かった。
撮影時はフラッシュマチックだが、距離が常に一定になるよう位置を移動しながら撮影した。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

16時過ぎ、フェリー乗船前に車内で食事するための総菜を伊勢丹の食品売り場で購入。
この頃になると、帰る雰囲気が漂い寂しい気持ちになる。
そして17時頃、母親をマンションまで送り届けて別れ、そこから博多港を目指して高速道路を走った。

ところが福岡市内には入ったものの、カーナビゲーションには存在しない新しい道を通ってしまい、道の判断を誤り市街へと迷い込んでしまった。ナビゲーションが新しい道を示すものの、かなり強引な車線変更を強いられる道のため2度も同じ場所を回ってチャレンジしてようやく博多港に着いた。
余計な時間を食ったものの、余裕を持たせていたため到着は19時であった。乗船手続きは20時に間に合えば良い。

乗船手続き時には、同乗者の申請もしてみた。小さい子供と荷物のため、一緒に車で乗り込みたいという理由を付けた。
すると、あっさりとOKの返事。ただし、それだけ。何か証明書をもらったりメモをしたり連絡をしたりする様子も無い。その程度の問題だったのか・・・?

夕食は、来た時と同じように車内で食べた。
豚児は自分の食べたいものだけを指さして食べさせてもらおうとするが、旅行中なので大目に見てやった。何も食べないよりはマシ。 そのおかげで、豚児の食べないものを選んで食べるのが手間だった。

今回乗船する船は、「ニューれいんぼう・らぶ」だった。
係留されている場所が見通しが良かったため、少し離れて三脚を立てて長時間露光にて撮影した。デジタルカメラを用いて撮影結果を確認。シャッタースピードは4秒となった。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G

チケットを見ると、前と同じく寝台番号65と66だった。往復で買うと同じ寝台番号になるのだろうか。あるは偶然だろうか。同じ寝台が空いているとは限らないため、人為的に同じ番号を割り振るのも難しいと思うのだが・・・。

今回は船の前のほうから乗船することになった。特に同乗者の確認も無かった。車でタラップを上り、更にその先にある急な坂を上って指示される場所に駐車した。そして、荷物を抱えてエレベーターで船室に移動した。
部屋には2人の初老の夫婦がおり、気楽に話しかけてきた。子供が好きなようで、その点はこちらも気が楽に思った。オイちゃん(デニス・ホッパー似)のほうは豚児に色々と話しかけてきたが、豚児は知らない人間には警戒心が強く、表情が硬くなり我輩の脚に抱きついてきた。

荷物を置いて一段落する間も無く、豚児を連れて大浴場へ急いだ。やはりこの時間では空いていた。 我輩は自分と豚児を良く洗って風呂に入った。すると、風呂には同室のオイちゃんが入っており、「ちょっと水でうめてあげよう」と豚児のために蛇口を開けて水を入れてくれた。

やはり風呂上がり後間もなくフェリーは出航した。
空調は往路に比べて今回は寒くはなかった。正直、もう少し温度を下げてくれないかと思ったが、下着姿になればまあ涼しい。
疲れのため、この日は早めに寝た。


●8月18日(木) 6日目
 <→18:30直江津港→三郷>


朝、起きてGPSを確認すると、島根県沖を航行中というのが分かった。
そう言えば昨夜は横揺れ(ロール)を感じたが、この時点では気にならなくなっていた。九州辺りにはうねりがあるのだろうか。

朝食は持ち込んだパンを食べ、昼まで寝台でゴロゴロしたり、前日買ったトミカで豚児と遊んだりした。
そして昼になると食堂で食事をし、ラウンジのテレビで「フランダースの犬」を観た。

部屋に帰る途中、甲板に出てみようと思った。洋上は風が強いだろうと思ったが、意外にそれほど風は無く、豚児も広い場所が嬉しいのかメチャクチャに走り回った。
我輩はその姿を写真に撮ろうとしたのだが、撮影距離を固定したフラッシュマチック撮影のため、一定距離を保つよう自分自身が豚児の動きを同調させて走らねばならなかった。
もちろん、ピントリングにてフォーカスの微調整は行うが、一眼レフカメラの素早いピント確認が強みである。もし例年のように「New MAMIYA-6」などのレンジファインダーカメラを使っていたならば、画面中心部にしかピントが合わせられず、動体撮影は困難を極めたはず。


BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

その後しばらく寝台で昼寝をした後、夕方に目を覚まし、荷物をまとめたりしてダラダラ過ごした。夕方になればまた車で高速道路を走ることになるため、船内にいる間は頭のスイッチを切っている状態とも言える。
豚児は豚児で暢気に歌を歌ったりして同室のオイちゃんに「歌が上手いねー」などと褒められた。オイちゃんは船旅が好きな様子で、ことあるたびに「船は列車のように揺れることが無いので快適だ、船はいいねー。」と言っていた。

GPSの画面を見ていると、視覚的にあとどれくらいかということが分かって面白い。現在の船の状況が手に取るように把握出来るため、心の準備もしやすい。
18時頃、接岸直前に我々は同室の夫婦と別れ、車に乗り込んだ。車の中は蒸し暑かったが、閉じた空間のためアイドリングをすると排気ガスが充満するように思い、エンジンは発車直前までかけなかった。まあ、カーフェリーであるから換気設備などはありそうな気はするが。

車の中で豚児は「オジさんはー?」と言っていた。最初はオイちゃんを警戒していた豚児だったが、今頃になって慣れたらしい。見ると、斜め左のワゴン車にオイちゃんが乗っていた。
「オイちゃんはあそこにいるぞ。バイバイしろ。」
まあ、手を振ろうが何しようが、前方にいるオイちゃんの視界には入るわけがないのだが。

フェリーから出るのが少し遅れたことと、カーナビゲーション設定やガソリン給油などで多少時間がかかり、直江津で高速道路に乗ったのは19時であった。計算では、順調に走っても自宅に到着するのは23時以降になる。
そういうわけで、途中のどこかのサービスエリアで食事することにした。事前に調べておいた情報によれば、21時までやっているレストランが東部湯の丸サービスエリアにあるようだ。だが、レストランのオーダーストップが21時よりも早いと困るのでもっと早く着きたい。
ただそうは言っても、道路は明かりも少なく、しかも片側1車線であるためスピードを上げるのは危険である。道路の白線が消えかかっているところもあり、先の道路がどのように伸びているかが分かりづらい。

それでも、東部湯の丸サービスエリアには20時40分くらいに着いた。いちおう間に合った。
見ると、豚児は車内で眠っていた。今叩き起こしたとしてもボーっとしている状態で食べるスピードは確実に遅くなるだろう。それを思うと、レストランは諦めて隣の24時間営業のスナックコーナー(軽食コーナー)に入ることにした。スナックとは言っても、うどんやドンブリ物がある。

食後、引き続き夜の高速道路を走った。
関東に近付くにつれ、車線が少しずつ増え、片側3車線となった。照明も増えて走り易い。ただ、他の車も増えてきた。
途中、2度ほどサービスエリアに入って時間調整をし、午前0時からのETC深夜割引を狙ったのだが、「時間調整もしたいが、家にも早く帰り着きたい」という微妙な調整を見誤り、新座料金所では午前0時をわずか2分前で通過してしまった・・・。

途中、食料品の買い出しをしたため、自宅に到着したのは日付が変わって1時近くであった。
ところで荷物については、車だから大丈夫だと思っていたのだが、駐車場から自宅までは50メートルほど離れているため、その間を何度も往復せねばならないのは最後の苦労である。
豚児も熟睡しており、荷物の一つになってしまった。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E-100G/FLASH

車のトリップメーターを見ると、「119km」と表示されている。高坂辺りで通算1千kmを超えたことにより、いったんゼロに戻ったたためだ。つまり、今回の旅で車で走った距離は1,119kmということになる。九州までの片道分に相当する。
それでも、フェリーを使わねば3千km近くにはなっていただろう。なぜなら、行き帰りの行程があるのはもちろんながら、フェリー出航時間に縛られることが無いために現地での走行距離も多くなっていたはずだからだ。

我輩は、最後の荷物を取り出してドアをロックした後、駐車場でエンジンがゆっくりと冷えていく車を見て、「ワイパーなどは危なかったがよく走ってくれた」と心から感謝した。


●まとめ

<フェリーについて>
今回の旅に於いて、大型フェリーでの移動は快適であることが分かった。主機によるビリビリ振動があるものの、列車のようなガタ揺れは無い。条件さえ良ければ、揺動は全く感じない。
ただし、天候に恵まれなければその評価は一変することになろう。最悪の場合、欠航により予定が大幅に狂う危険性も孕(はら)んでいることは忘れてはならぬ。
それでも、広いラウンジや食堂施設、休憩所、ゲームコーナー、売店、大浴場などもあり、リラックスした旅はフェリーでなければ得られまい。しかも車を持ち込めることは何よりの利点と言えよう。

<車について>
車の運転は危険と疲労を伴うが、大量の荷物を委ねられることと時刻表に縛られない運用が便利である。特に現地移動では重宝する。ただし裏を返せば、時間が読めないということでもある。渋滞に巻き込まれれば為す術が無い。
もし天候に恵まれるならば、フェリーで丸2日かかるとしても、もう少し自宅から近い場所で乗れる便で乗船したいところ。
ちなみにワイパーブレードは、BOSCH製新品を手に入れて交換した。接着剤補修ではブレードが片方向に寝てしまうため、ワイパー戻り時に刃が立ち異音がして拭きムラが出るが、新品に交換したことでスムーズになった。

<カメラについて>
今回、中判の一眼レフカメラ「BRONICA SQ-Ai」を用いたが、非常に使い勝手が良く、出番も多かった。フィルム消費も120フィルム19本(224カット)と撮影可能時間が短いわりには(例えば運転中は撮影出来ないため撮影可能時間は必然的に短くなる)撮影枚数が多い。
今まで旅行で使ってきたレンジファインダーカメラ「New MAMIYA-6」の場合、カメラの重量自体は軽く取り回しは楽であるものの、ファインダーの端でもピント合わせが可能な一眼レフの速写はレンジファインダーカメラでは不可能。最短撮影距離の長さの問題もあるためそれまでは撮影を諦めていたようなシーンでも、今回は積極的にシャッターを押させた。
スピードグリップとAEファインダーを装着したSQ-Aiは、まさに速写カメラとして我輩に最適なカメラであることを痛感した。
(※ただし35mm判のような被写界深度の深いカメラはパンフォーカスやゾーンフォーカスが使えるため、レンジファインダーカメラのほうがスナップや動体撮影に向いている場合がある。一方、中判では魚眼レンズでさえピンボケの可能性があるため、パンフォーカスなど余程絞らねば無理な話。)
また集合写真がある撮影では、ある程度シャッター音が大きくなければタイミングが取りづらい。その点、一眼レフの作動音は明瞭なのが良い。自然な表情をジャマするという意見もあるが、子供はそのうち慣れてしまうものであるから心配無用。タイミングを取ろうとした時に取れないのは問題である。