2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[513] 2004年11月10日(水)
「ミリテクパワー」

最近はあまり聞かなくなったが、軍事用途に開発された技術のことを、ミリテク(ミリタリー・テクノロジー)と呼ぶ。
かつて、軍事技術は最先端のものであったため、それを民間転用(スピンアウト)することにより、優れた製品が生まれた。

今ではそれとは逆に、民生の精密技術を利用して兵器開発が行われることも多くなっており、ミリテクの重要性は以前ほど大きいというわけでも無い。
(幾つかの日本製電気製品が特定国への持ち出しを禁じているのは、仮想敵国による軍事転用を防止するためである。)

しかしながら、いくら民生技術が向上しようとも、実戦経験を基にした技術開発は難しい。

日本は幾つかの戦闘機についてアメリカからのライセンス生産を行っており、有事の際には部品調達に支障無いようにしている。また、日米共同開発のF2支援戦闘機についても、出来合いの戦闘機を輸入するよりはるかに割高ながらも、日本の技術を育てる目的のために実行されたと言われる。

そうは言っても、ジェットエンジンやアビオニクス(航空電子)については国内での開発は実現していない。ユニットをそのままアメリカから輸入して組み込んでいる。

それらのものが国内で開発出来ない理由は幾つかあり、政治的な問題(開発が許されない)や、費用面での問題(開発資金が莫大になる)、そしてノウハウ不足(実戦経験が無い)ということが挙げられる。
特に、アビオニクスに載せるソフトウェアは、実際に戦争で血を流した経験が大きくモノを言う。

例えば、パイロットが格闘戦(ドッグファイト)を行う際、心理的な影響により火器のトリガーを引くタイミングが早過ぎることがある。それを、条件によって適切な遅延を挟んで調整しているらしい。
こういう話以外にも、もっと複雑なことを制御しているに違いないが、そのような貴重な情報はなかなか漏れて来ない。

ソフトウェアはそういったノウハウそのものである。
実戦を経験し、多くの犠牲の上で作られたものであるため、アメリカ側もソフトウェアを公開することはしない・・・。



先日、雑文にも書いたとおり我輩は撮影会に参加した。
撮影会は今回が初めてというわけではないが、それなりに細々(こまごま)とした困難に直面した。

事前に「このように測光し、このような光量比でストロボ光を当てて撮影しよう」と計画していたのだが、実際に撮影するとなると、様々な制約により実現困難であることを思い知った。
これは、経験でしか分からない。
(参考:雑文275「一度目の失敗」

撮影会にも様々なパターンがあり、それが撮影時の制約となる。
ある撮影会では楽に行えたことであっても、別の撮影会では難しかったり、またその逆の場合もある。

そういった困難は、多くの場合、失敗写真として手元に残る。これらの写真は我輩に強烈な教訓を与え、次に同じ失敗をしないよう働きかけるのである。
事前の理屈がどれほど正しかろうとも、その時その場で実現出来なければ意味が無い。
これこそまさに、実戦経験と言える。

我輩は日頃、成長を続ける豚児の撮影をしているのだが、最初のうちはまだ豚児も幼虫状態であり撮影も楽だった。必要なノウハウも、"静物写真"と同じものであった。
しかし成長するに従い、"静物写真"が"動物写真"へと変わった。素早く撮影準備を整え、素早く測光するのは大変なことで、準備をしているうちにシャッターチャンスを逃すことも多い。

そんな時、撮影会に参加して慌ただしい撮影に臨み、失敗を繰り返してその解決法を試行錯誤することを始めた。
最初のうちは結果が非常に悪く(参考:雑文451「大撮影会」)、あまりのことにショックを受けたのだが、その後も撮影会に参加し続けて試行錯誤を繰り返し、何とか人並みの写真を得ることが出来るまでに改善した。

これは、我輩にとっての戦争でもあった(参考:雑文278「身近な先生」)。
女性モデルも厳選し、高い費用をかけ、短い時間に集中する。これで上手くいかねばショックが大きく、次にどうするかを真剣に考えたものだ。
これは、膨大なコストをかけた写真撮影のミリテクと言っても良かろう。

ふと見ると、その経験がいつの間にか豚児撮影にも活かされていることに気付く。豚児写真については以前よりも安定した撮影結果を残すことが出来るようになり、新しい試みにも挑戦する余裕が出来た。
撮影条件としては、寧ろ豚児撮影のほうが楽である。制限時間内で撮り切らねばならないということも無い。

ミリテクは、貴重な経験によって得られるもの。
今までの撮影会への参加は、我輩に日常撮影に転用可能な大きな技術を残した。