2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[275] 2001年06月14日(木)
「一度目の失敗」

結婚披露宴にて、その日のために奮発して購入した大きなズームレンズを使った者がいた。その場の雰囲気を写せるように、明るいズームを使おうと思ったのだろう。
だが、式場は予想外に暗く、仕方無くカメラの内蔵ストロボも使うことにした。少々ストロボ光が弱くとも、大口径ズームレンズでカバー出来る・・・、そう思った。
だが、結果はそれ以前の問題であった。
大口径ズームレンズは、そのデカさゆえ、内蔵ストロボの光を遮り、ほとんど全てのカットでケラれてしまっていた。

これは他人の失敗談であるが、使い慣れていない機材をいきなり本番で使うのはリスクが伴う。しかし一口に「使い慣れる」とは言うものの、それは単純に操作が慣れていないことだけが原因ではない。
確かに、新しく導入した機材は使い勝手が違うだろう。慣れないと操作がおぼつかない。操作手順が今までと少し違うということが失敗の原因となることも考えられる。
だが、一定以上の写真歴の持ち主ならば、新しい機材でも大抵の製品はそつなく使いこなすに違いない。
それでも、思わぬ失敗は起こり得る。なにゆえか。


それぞれ個々の機材やテクニックに問題が無くとも、それらの組み合わせが失敗を作り出すことがある。概してそのような食べ合わせの問題は、頭で考えただけではなかなか気付きにくい。
先に紹介した結婚式写真の場合、「暗い状況で内蔵ストロボを焚く」ということと、「暗い状況で大口径レンズを使う」ということをそれぞれを独立して考えていた。それらは、何の問題も無い、ごく当たり前の対処である。
だが実際にその状況を組み合わせると、巨大レンズがストロボの光を遮ることとなった。過去にそのような失敗をしていない者にとって、それは青天の霹靂以外の何ものでもない。

「失敗しないに越したことはない」と思っている者もいるかも知れぬが、我輩は「失敗は、許される時にやり尽くしておくべきだ」と考える。実際に色々な撮影をやって色々な失敗を重ねる。それは、頭の中だけで考えても辿り着かないような問題点を現場で洗い出すことである。
月並みな言い方で申し訳ないが、大事なのは同じ失敗を繰り返さないということだ。一度目の失敗は、失敗であって失敗でない。「こういうことをすれば、こういう結果になるんだな」ということを知る大事なプロセスである。一度目の失敗により、二度目以降の失敗が防げると考える。

「若いうちの苦労は買ってでもしろ」
この言葉は、最初の失敗経験が如何に重要かということを端的に表している。
若いうちは、当然ながら全ての場面が初めてのことである。だからそこでの失敗は、全てが「一度目の失敗」ということになる。失敗を恐れずそれを乗り越える苦労をする。「何でもいいから苦労せよ」という話では決してない。
よく耳にする言葉だけに、あまり深く受け止めないこともあるかも知れない。
今一度、この言葉を残した先人の気持ちを想い、自らの内にその気持ちを再生させよう。