2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
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 MZ-3
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OLYMPUS
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 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
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MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[851] 2015年11月25日(水)
「2015年夏帰省日記」


もう11月も下旬となってしまったが、今さらながらに8月の帰省日記をまとめた。
今回の帰省も単純に事実をそのまま羅列した記録であり、そのため冗長な記述となっているが、例によって記録という観点から敢えてそのままとした。

●計画
7月中旬の話だが、川崎勤務時代の仕事仲間2人と1泊群馬ドライブへ行った。うち1人はルノー製「ルーテシア」を運転し、また別の1人はスズキ製「ハヤブサ」にまたがるバイク乗りである。
ドライブ当日は7月というのに灼熱の暑さで、ただ移動するだけで体力を奪われてしまい、2日目の行程途中で予定を切り上げて解散・帰宅となった。本当に、殺人的な直射日光だった。

そんな過酷な旅が終わってすぐ、今年の九州帰省計画を立てることになった。何しろ、新幹線の指定席確保やレンタカー・ホテル予約などがあるので、8月の予定は7月に確定しておかねばならぬ。
群馬ドライブの直後では暑さ地獄の余韻が残っており、計画時点から大変気が重い。

まず決めたのが、ヘナチョコ妻は今回は連れて行かないということ。体調を崩し易い者を毎年厳しい季節に連れて行く必要はあるまい。
そういうわけで今回、豚児と2人旅となる。

以前はクルマで千葉を出発して大阪まで走り、大阪港から北九州までフェリーで行ったこともあった。
船旅はなかなか良いものだが、シーズン中は大阪までの走行が大変な苦行となることは避けられない。もし1人旅であれば夜中走行で問題無いのだが、豚児はクルマでは寝られないようなのでそれが原因で体調を崩し易い。かと言って昼間の走行は激烈な渋滞に突っ込むことになる。過去の例では、灼熱の中16時間もクルマを運転していたこともあった。16時間とは言うものの、もちろんトイレ休憩はあったが、エアコンを止めぬよう一瞬たりともエンジンを止めることは出来なかった。

そんなこともありここ数年、新幹線を使って北九州まで行き、現地でレンタカーを使っていたので、今年もそうする予定。
前回は確か、広島で途中下車して観光した。今回は・・・、そうだな、大阪で下車してみるか。

豚児はもう中学生であるから、さすがに旅の記憶は今後も残るだろう。大阪は代表的な都市であり観光場所なので、1度は訪れて話のネタとさせておきたい。
テレビだけで見た大阪と、実際に訪れた大阪では、風景は全く異なるであろうし、体験から得られる知識は身体に残るはず。友達との会話の中で大阪の話が出た時に、うわべだけの話ではなく実感のこもった話が出来よう。

そうなると、「いかにも大阪」という代表的な場所を選ぶ必要がある。
そこで選んだのが、「通天閣」、「道頓堀」、「海遊館」、「大阪城」か。それに我輩趣味として「万博記念公園」を加えたい。

それから九州では、去年我輩1人で訪れた博多の海の中道にある「マリンワールド」(参考:雑文809)へ豚児を連れて行こうかと思う。
ここではセイウチのハンドパペットを買ったのだが、これが豚児のお気に入りとなっており、「マリンワールド」へ行ったら売店でたくさん置いてあるのを見てみたいと言っている。

旅費については豚児はもう大人料金のため出費も嵩む。ただし中学校に申請して学割証明書をもらえば割安となる。それに加え往復割引も適用される。
指定券予約はWebサイトにて行ったのだが、迂闊なことに「東京←→新大阪」の往復としてしまった。「新大阪」は単に途中下車なので、本来ならば行きは「東京→新大阪」そして「新大阪→小倉」となり、帰りは「小倉→東京」としなければいけなかった。
過りに気付いたのはまだ指定券を受け取る前だったのでWeb画面上で変更出来たものの、変更可能なのはこの1回のみで、もし次に何かあればもう変更は出来ない。

さて、撮影機材としては、ここ最近はもうデジタル1本となっている。撮影枚数的に、そしてコスト的にもう仕方がない。もう帰省はメモ撮影という位置付けで良かろう。
電車移動であるから荷物は最小限とするため、カメラは1台のみ「OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2」とする。液晶画面が自由な角度に動かせ、しかも5軸手ブレ補正がOM-Dシリーズ中最も強力なためである。

レンズについては、高性能な標準ズーム「12-40mm F2.8PRO」は外せない。周辺部までシャープで明るく、ヘタな単焦点レンズよりも良い。画角も35mm判換算24-80mmで、大抵の広角撮影に事足る。

<OM-D E-M5 Mark2と12-40mm F2.8PRO>
OM-D E-M5 Mark2と12-40mm F2.8PRO

しかし敢えて超広角レンズも持って行こうか。コンパクトなPanasonic製「7-14mm F4.0」か、あるいは大柄だが明るいOLYMPUS製「7-14mm F2.8PRO」か。
先程も言ったように標準ズーム1本あれば事足ると思うので、超広角など出番は少なかろう。だからコンパクトなPanasonic製のほうを念のために持って行くという考えでいたが、やはり年に1度のイベントであるし、しかも夜の撮影もあろうからと明るいOLYMPUS製のほうに入れ替えた。

<M.ZUIKO 7-14mm F2.8PRO>
M.ZUIKO 7-14mm F2.8PRO

なお今回、ラジオスレーブのストロボと丸型ディフューズを用意した。
最近は植物撮影でストロボを多用しているわけだが、北九州にて植物園に行って撮ってみようかと考えている。特にカルスト台地の平尾台では、そこでしか見られない植物もある。

ところで豚児にもデジタルカメラを持って行くよう指示した。
写真は記憶そのものであるし、時刻が残るので記録ともなる。荷物が重くなることを避けるため、豚児用に与えたフォーサーズ一眼レフカメラ「OLYMPUS E-410」ではなく、ミラーレスカメラでは最小の「Panasonic DMC-GM1」を持たせた。このカメラは雑文803で追記したとおり、最近の中古価格下落に伴い手に入れたものである。

●8月8日(土)
新幹線は7時20分発。余裕をもって乗り場へ行ったので何も問題は無いが、やはり実際に席に座るまで落ち着かない。
我々2人が乗るのは最後尾の号車で、暑い中、長いホームを荷物を背負って端まで歩くのは少々予定外。

時刻表では、新大阪着は9時53分となっている。と言うことは2時間半か、速(早)いな。我輩の通勤時間と比べてそれほど変わらないではないか。
そういうわけで、新大阪まではあっという間。

新大阪駅は過去にも降りたことがあったが、どういう経緯だったかは覚えていない。プライベートか出張だったかも分からない。
しかし、タクシー乗り場が2階部分にあるのを見て、「確かにこの光景は目にしたぞ」と確信した。やはりテレビで見るだけよりも、実際にその場所へ行くことは重要なのだ。

映画「ダイ・ハード」で、主人公のジョン・マクレーン刑事がロサンゼルスからカリフォルニアに降り立つ場面がある。
そこでマクレーン刑事はロサンゼルスとの色々な文化の違いを目の当たりにし、その都度、「さすがカリフォルニアだぜ・・・」と呆れ半分につぶやく。

新大阪駅構内の売店の横を通り過ぎる時、1組の中年夫婦がいるのが見えたが、奥さんのほうがいきなり「冗談じゃねえよ!」と旦那さんに剣幕を立てて1人でツカツカ歩きだし、「ばっきゃろー!」と天井に向かって叫んで周囲の者たちを驚かせた。
またその先には子供連れがいたのだが、小学生低学年くらいの男の子が地べた座ってマンガを読んでいたので豚児と顔を見合わせた。
そして呆れ半分につぶやいた。
「さすが大阪だぜ・・・」

<さすが大阪だぜ・・・(by ジョンマクレーン)>
「さすが大阪だぜ・・・(by ジョンマクレーン)」
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F3.2/Tv=1/80sec. [2015/08/08 10:00]

ともあれ、まずはコインロッカーに当面使わない荷物を入れておこう。そのためにカバンは各々2つずつ持ってきた。
ロッカーを探すために駅構内をウロウロし、エスカレーターにも何度か乗った。ただ、エスカレーターに乗る時は注意せねばならない。なぜならば全国共通の作法としては左側に乗るのだが、大阪だけは右に乗るのである。この点は以前から知ってはいるが、やはり実際に体験すると不思議な感覚。豚児も右側にいるのは落ち着かない様子。逆に言えば、大阪に来たことを実感するポイントでもある。

<大阪特有の右乗りエスカレーター>
大阪特有の右乗りエスカレーター
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/13sec. [2015/08/08 10:37]

ロッカーに荷物を入れた後、身軽になった我々はそのまま水族館「海遊館」を目指して御堂筋線の電車に乗った。
こちらは独自のIC乗車カードがあるようだが、関東圏のIC乗車カード「SUICA(スイカ)」がこちらでも何ら支障無く使えた。

乗り換えは事前に調べてあるので迷いは無い。
「新大阪駅」から「本町駅」を経由して海遊館最寄の「大阪港駅」へ。駅の外に出ると、灼熱の太陽が肌に痛い。
11時になっていたので食事でもするかと豚児に言ってみたところ、「まだお腹が空いてないのでこのまま海遊館へ行こう」と言うのでそうすることにした。

海遊館では、チケット購入の行列が既に長く、気が滅入った。何しろその行列は炎天下で陽を遮るものが何も無い。
豚児には日陰に退避させ、我輩は15分ほどかけてようやくチケットを購入した。
しかしこの行列、館内の混雑を予感させる。

<海遊館>
海遊館
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F8.0/Tv=1/500sec. [2015/08/08 11:07]

案の定、館内に入ると最初はなかなか前に進まず、しかも人垣で水槽が見えない。
しばらく行くと長い上りエスカレーターがあり、延々と上がった。それは後から考えると、ジンベイザメのいる大きな水槽を上から下へ螺旋(らせん)状に降りながら見るためのスタートラインだった。

豚児は「GM1」で写真を撮ってたが、ブレが頻発してなかなか難しいようだったので、ISO感度を200から400へ変更して渡した。ちなみに「GM1」自体には手ブレ補正機能は無いが、キットレンズの「12-32mm F3.5-5.6」のほうにはある。しかしその補正量はあまり高くない。
我輩のほうはレンズがF2.8と明るく、手ブレ補正も強力ということもありISO200のままとした。ただ、泳ぎの速い魚に対してはISO感度を上げざるを得ない。

コウテイペンギンのいるコーナーでは、人工雪が上から降っており、暑い季節では見ているこちらが羨ましくなる。
その堂々とした佇まいが魅力でもあるコウテイペンギン、その中の1羽が、我々が見ている前で悠々と歩き始めた。そして濡れた斜面を降りようとしたその瞬間、ツルッと足を滑らせて後ろに仰け反ったが、慌てた様子で体勢を戻し、何とか転倒を免れた。突然のことに、見ているほうも思わず「うおっ!」と声が出てしまったが、本人は何事も無かったかのように振舞っていたのが笑えた。

<転倒しそうになったコウテイペンギン>
転倒しそうになったコウテイペンギン
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F3.5/Tv=1/125sec. [2015/08/08 12:13]

さて、最初のほうは混んでいた通路も、大きく螺旋状に下るに従って混雑も緩和され、余裕をもって見ることが出来るようになった。
ただそれにしても、やはり大きな水族館では見るのに時間がかかり、昼時も過ぎて腹が減ってきた。

13時半過ぎ、海遊館を出て食事処を探すことにした。大阪に来たからには、お好み焼きでも食べたい。
海遊館近くは客も多いだろうと駅方面へしばらく歩いたのだが、なかなかお好み焼き屋が見付からない。実は、駅を降りた時に目を付けていたお好み焼き屋らしき店があったのだが、改めて近付いてみれば、それはお好み焼き屋ではなく居酒屋だった。

炎天下の中、何もしなくとも汗が流れて体力が消耗する。我輩だけならばまだしも豚児がいるので、あまりのんびり探すわけにもいかない。やむなく手近な定食屋に入った。客も多そうだが仕方無い。
幸いなことに1テーブル空いており、我輩はカツ丼、豚児はザルうどんを注文。

<少々遅い昼食>
少々遅い昼食
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/15sec. [2015/08/08 14:13]

次の予定は「通天閣」。
海遊館ではずっと歩きっ放しで疲労もあった。心配なのは豚児であるが、食後に聞いてみれば「次に行きたい」と言う。
そこで予定通り「大阪港駅」から「堺筋本町駅」乗り換えで「恵美須町駅」へ。

地下から上がっていくと、階段の踊り場から通天閣がポッカリと見えた。

<ポッカリ見えた通天閣>
ポッカリ見えた通天閣
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F8.0/Tv=1/500sec. [2015/08/08 15:08]

地上に出てみれば、周囲の建物と絶妙にマッチしたタワーがレトロ風景的で見事である。我輩はモノクロ派ではないが、66判でモノクロ撮影し、バライタ紙で焼いて仕上げたいと思わせる風景。

我々2人は写真を撮りながら通天閣に向かった。
途中、アーケード商店街に折れて一瞬通天閣を見失ったものの、ふと振り返れば、大きく空に伸びるタワーの姿があった。とりあえずその場所で、豚児を入れて記念撮影とした。通天閣とのツーショットで、まさに大阪に来たという実感となろう。
なお、帰宅後に写真整理をしていて気付いたのだが、写真の脇に妙なものが写り込んでいた。このような非日常的なものが日常になっているのがまさに大阪。

<大阪の日常風景>
大阪の日常風景
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F9.0/Tv=1/250sec.(FLASH) [2015/08/08 15:17]

展望台へ昇ろうと入口へ向かうと、案内人がおり、現時点で待ち時間は40分とのこと。微妙な待ち時間にどうしようかと悩んでいると、後ろの家族連れが「えー、40分とか!」と驚いていたので、我輩たちも「暑さの疲れもあるからやめておくか」と諦めた。

それにしても暑い。喉が渇くのでジュースでも買うかと見渡した。
すると通天閣のすぐ近くに、昔懐かしの雰囲気を漂わせた喫茶店があった。我輩の子供の頃にタイムスリップしたかのような雰囲気。どうせならばここに入ってかき氷でも食べよう。
そこは、店内も外見同様レトロな雰囲気。そういう時代を知らぬ豚児はどう感じたろう。

<昔懐かしの雰囲気を漂わせた喫茶店>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
昔懐かしの雰囲気を漂わせた喫茶店
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/250sec. [2015/08/08 15:51]

<店内>
店内
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F9.0/Tv=1/40sec. [2015/08/08 15:37]

喫茶店でしばらく涼んだ後、今度は「道頓堀」へ向かうこととした。
駅へ向かう途中、ゴロゴロと雷の音が聞こえてきて空を見上げた。ビルに囲まれた空は狭く、黒い雲が迫っていても分からない。

「道頓堀」へは「日本橋駅」で降りた。
ポータブルナビを見ながら歩いて行くと、道頓堀川に行き当たった。ちょうど観光用の小舟が行き過ぎた。テレビで良く見るような「グリコ」の看板があるはずだが、その場所は少し離れているらしい。
賑やかな方向へ道頓堀川沿いに歩いてみることにした。

<道頓堀川>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
道頓堀川
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F5.6/Tv=1/320sec. [2015/08/08 16:29]

しばらく歩くと、小雨がポツポツと降ってきた。
テント傘のあるベンチがあったのでそこで5分ほど座って休んだものの、小雨が風に流れて肩が濡れるので先を進んだ。
ところがしばらく歩くと雨は止むどころか段々強くなり、雷鳴もゴロゴロと音がし始めた。我輩と豚児は雨をしのげるところを探しながら小走りし、ちょうど橋の下に数人退避しているのが見えたので、我々もそこへ逃げ込んだ。

雨はどれくらいで止むだろう。一雨過ぎて少し涼しくなってくれれば有難いが。
道頓堀川の水面を雨が揺らしているが、それが激しさを増し、やがてドザーっと豪雨となり水面が白く煙った。それと同時に閃光と雷鳴が轟き、近くのテントで屋台を出していた者たちもたまらず橋の下に逃げ込んだ。

<大雨を橋の下でやり過ごす>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
大雨を橋の下でやり過ごす
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/125sec. [2015/08/08 16:48]

見れば、道頓堀川を行き来している観光用の小舟が近付いてきた。乗客は船に座ったまま傘をさしているが、この大雨の中、船に水が溜まるのではと心配になった。
案の定、この雨では運行は無理と判断したようで、隣の橋の下で停まった。
稲妻の閃光と雷鳴の時間差が少ないので、かなり近い様子。時々、「ガラガラドカーン!」と間近に落雷したような大音響が響いて肝を冷やした。

<舟も避難中>
舟も避難中
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/250sec. [2015/08/08 16:43]

30分くらい待ったろうか、やがて雨は小降りとなり、空が明るくなってきた。
予定外の雨宿りだったが、元々余裕を持たせたスケジュールなので特に影響は無い。

橋の下から出て、改めて道頓堀の定番スポットとして有名な「グリコの看板」や「カニ道楽看板」を撮影した。まさにベタな観光的撮影で、大阪に来たという実感が得らる行為である。もちろん、豚児にも撮影させ、大阪の記憶とさせた。
ただ、初めて訪れる有名スポットでいつも感ずることだが、テレビで見る部分は見たそのままだが、その周囲の様子、つまりテレビに映らない部分は事前のイメージとは全く違っていた。

<大阪定番スポットの撮影>
大阪定番スポットの撮影
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F4.5/Tv=1/200sec. [2015/08/08 17:02]

予定ではこのまま散策を続けて夕食を食べてからホテルにチェックインするつもりだったが、やはり暑さで疲れが出たので早めにホテルに行くことにした。
ホテルは梅田近くだったが、事前にメモしておいた乗り換え経路が間違えて間違えており少々手間取った。馴染みが無いので大阪の路線図が全くイメージ出来ないのだ。それでも何とかホテルの最寄駅まで辿り着き、あとはポータブルナビの画面に従ってホテルに到達した。飲み屋街の中にあるホテルで、それは予想外だった。客引きもいる。まあ、ホテルの中に入ってしまえば何ということも無いが。

ホテル予約時、特に禁煙条件は考えず安い部屋ということで決めたのだが、室内に入るとタバコの臭いが少々キツかった。仕方無い、時間が経てば慣れるだろう。
部屋でしばらく休んだ後、外に出て近くのお好み焼き屋に入り夕食とした。

<お好み焼き屋で夕食>
お好み焼き屋で夕食
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F2.8/Tv=1/20sec. [2015/08/08 20:24]

帰りにコンビニエンスストアに寄り、飲料と翌朝の朝食を調達。夜にも飲むだろうから、500ミリリットルの麦茶では足るまい。しかしそうなると2リットルの大きいものとなるが、翌朝までに余った分は、空になっている手持ちの500ミリリットルペットボトルに補充すれば良い。そうすれば明日日中にも飲める。もちろん、それでも少し余りそうだが。

夜1時頃、豚児に「眠れない」と言って起こされた。そして吐き気がすると言ってトイレに何度も行く。なかなか吐けないので苦しいらしい。
夕食に食べたお好み焼きのせいか? しかし同じものを食べた我輩は何ともない。もしかしたらタバコ臭のせいかと思い、部屋にあった空気清浄器のスイッチを入れてみたが、あまり豚児の具合には変化が無かった。
夜中ではあるが、寝られないのであれば外の空気を吸わせてみようかと外を散歩することにした。しかし途中で吐きそうだと言い出してまた部屋に戻った。

豚児は「喉が渇いた」とお茶を何杯も飲む。最初は不思議には思わなかったが、2リットルペットボトルも残り少なくなってきて驚いた。
やはり病院に連れて行ったほうが良いか。

●8月9日(日)
結局、夜はほとんど寝られず、我輩もそれに付き合って2人とも寝不足状態。
この状態では大阪2日目は回れまい。
そこで急遽予定を変更し、朝から新幹線で小倉の母親のアパートへ行くことにした。病院に行くならそこから行くほうが良かろう。母親には早めに到着する旨をメールで連絡しておいた。

しかし豚児は「新幹線で酔うかも知れない」と言う。ならば酔い止めが必要か。
部屋に豚児を残して我輩1人で周辺を回った。当然ながら朝早い時間では薬局は開いておらず、コンビニエンスストアを回ったところ、風邪薬はあるものの意外と酔い止め薬が無い。3店目を回ってようやく置いてあるのを見付けた。助かった。

急いで部屋に戻って豚児に飲ませたところ、少し気分が良くなったとのこと。今のうちに小倉へ行こうと急いでホテルをチェックアウト。
最寄りの駅から新大阪へ行こうして路線図を確認すると2回くらい乗り換えねばならないようで、豚児への負担が心配に思う。いっそのことタクシーで行こうと考え、駅を出て外を歩いた。しかし駅を出たところは人通りも少なくタクシーは見当たらない。辺りを見渡したが、どちらの方角へ進めばタクシーに遭遇出来るのか分からない。

困った、体調の悪い豚児を連れてこの暑い中を歩くのは危険が大きい。今さらホテルに戻ってタクシーを呼んでもらおうにも距離が離れてしまった。
ポータブルナビを起動させ、大きな通りのほうへとにかく頑張って豚児を歩かせた。
大通りには出たものの、早朝なのでクルマの通りは少ない。タクシーは期待出来ないか・・・と思った瞬間、空車サインのタクシーがちょうど走ってくるのが見えたので、反射的に手を挙げたらタクシーが停まってくれた。助かった。豚児、お前は悪運が強いな。

タクシーに乗り込みドアが閉まると、車内は静かで涼しく、ようやく落ち着くことが出来た。後はもう、ほとんど歩く必要は無い。新大阪駅へ着けば、新幹線に乗るだけ。

8時25分に新大阪駅に着き、前日にロッカーに入れた荷物を取り出す。日をまたいだせいで追加料金500円が発生。

<タクシーで新大阪駅に到着>
タクシーで新大阪駅に到着
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F10/Tv=1/800sec. [2015/08/09 08:22]

指定券は夕方の指定席を取っていたので、午前中の便に乗るとすれば指定を変更せねばならないが、既に購入時に1回変更しているのでもう変更は利かない。
そういうわけで、自由席のほうに乗ることにした。新大阪からであれば席は空いていよう。ただ、都合良く2列席までは確保出来まい。豚児には「お互い少々離れても空いてる席に座れ」と指示した。

ホームに上がり、自由席の号車位置まで歩いた。並んでいる人数が少ない列を選ぼうと思うが、どこもそれほど長い行列ではない。その中でも3人くらいの列に並び、新幹線が入線するのを待った。
豚児に具合を聞くと、今のところ大丈夫だと言う。

新幹線がホームに入線してきたが、見たところ車内はそこそこ混んでいる様子。しかし主要駅のため降車客が多く、乗り込んでみるとポツポツと席は空いているのが見えた。さすがに2列では空いていないだろうから適当に分かれて座ろうかと通路を進んでいくと、3列席の2列が空いているのを見付けたので並んで座った。
豚児は我輩に似て悪運が強いようだ。

新大阪から小倉までは約2時間の予定。
「ちょっとした映画を観る程度だ」とか「おとーちゃんの通勤時間と同じだぞ」などと、すぐ着くかのように感ずるよう努めた。
一応、酔い止めの効果はあるようだが、すぐに効果が薄まるようで、薬も残り少ない。

11時前、長い長いトンネルに入った。本州と九州を結ぶ「関門トンネル」。もうすぐ小倉に着く。
トンネルを出ると、すぐに赤白の煙突のある工場地帯が姿を現した。煙突から白い煙がモクモクと出ている。その風景が「故郷に帰ってきた」という気持ちを高ぶらせた。

改札では我輩の母親が待っており、再会の挨拶もそこそこに母親のアパートに向かうことにした。
我輩がタクシー乗り場へ行こうとしたところ、母親が「小倉のタクシーは近いと怒られるけん、最近は乗りきらんちゃ。」と言う。中には「こっちも商売なんやけえ!」と説教してくる運転手も多いらしい。
そういえば我輩が乗った時も、行先を告げたとたんに無言で荒い運転をされ、よっぽど後ろから蹴ってやろうかと思ったほどだった。
まあ、革命でも起きれば小倉のタクシーは潰さねばなるまい。

こういう時、バスはなかなかやって来ない。暑い中バス乗り場で待っていると豚児の具合が心配になるが、今のところ元気そう。むしろ我輩のほうが疲れてきた。
母親のアパートに着いたのが11時40分頃。ようやく落ち付くことが出来た。
とにかくこの日は部屋の中でゆっくりしていようと思う。

ただ、豚児は体調が改善したように見えることから、試しに涼しい時間帯に出掛けてみることにした。ちょうど今の時期に「到津(いとうづ)の森」にて夜の動物園をやっているというので、バスで10分程度の距離だから行ってみよう。
この動物園の公式ウェブサイトに植物の紹介もあったので、我輩は植物をターゲットに訪れたい。我輩は植物撮影ではストロボでしか撮らないので夜の撮影でも支障無い。いやそれどころか、敢えて夜の撮影をしてみたかったところである。

夕方、3人でバスに乗って「到津の森」へ。
豚児は我輩の母親に任せ、我輩は植物を対象としているので単独行動とした。公式サイトには主な草花の場所が紹介されていたので、その場所を順に回ってみたい。

夏の夕方なのでまだ暗くは無いが、それでも普通ならば閉園時間を気にすべき雰囲気。それなのに、これから夜まで園内にいられるというのが面白い。

<到津の森>
到津の森
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F5.0/Tv=1/100sec. [2015/08/09 17:16]

早速園内を回ってみたところ、さすがに動物がメインなので植物は片隅的な存在であった。花を撮ろうにも、近付けない場所に咲いていたりすることがほとんどで、手持ちの標準ズームではとても足りぬ。

そんな中、ようやく手の届く位置に咲いている「ボタンクサギ」を見付け、ストロボを発光させようとしたところ、なんといきなりの電池切れ(電池はエネループ充電池)。
しかしスペアの電池を用意してあるので入れ替えて再度撮影を試みたところ、あろうことかこれまた電池切れであった。

よりにもよって、電池切れの8本ものエネループ充電池をわざわざ千葉自宅から持ってきてしまったらしい。自宅で荷物をまとめる時に「充電池だから、電池が切れれば小倉のアパートで充電すれば済む」などと真面目にチェックしていなかったせいだ。ところが肝心な充電器を持ってくるのを忘れている。ということは、この場面だけでなく、帰省中はずっとエネループは使えない状態ということ。まさに死荷重(持っているだけ損となる重量物)だった。

いずれにせよ、この場面を何とか切り抜けねばならぬ。もう陽が傾いているので、ストロボ無しには写真は撮れない。
我輩は園内の売店2ヶ所を回ってみたが、乾電池は置いていなかった。
仕方無く園外で電池を求めることとし、入口で再入場の札をもらって一時退場して近くのスーパーマーケットへ急いだ。

スーパーでは、単三電池は置いてあったものの、我輩の探している安売りアルカリ電池は無く、Panasonicのエボルタ高性能電池しか置いてなかった。これは使い捨て電池にしてはかなり高価。
だが選択の余地は無い。8本入りを購入し園内へ戻った。

陽が傾くと一気に暗くなり、ミラーレスカメラのコントラスト式AFではピントが合いにくくなった。それに、同じミラーレスカメラでも「E-M5 Mark2」は「E-M1」よりも暗いところのピント合わせが苦手なので苦労する。

結局のところ、園内で撮れた花は「ボタンクサギ」と「ランタナ」のみ。ハッキリ言ってどこでも見かける花ではあるが、夕方から夜間にかけて撮影する機会はあまり無いのでそういう意味では良かったか。

<ランタナとハナバチ>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
ランタナとハナバチ
ランタナとハナバチ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F3.2/Tv=1/80sec.(FLASH) [2015/08/09 19:01]

一通り撮影した後、母親たちと合流し、夜のムササビ紹介を見て楽しんだ。
さすがにこれを撮影するにはマニュアルフォーカスでなければ無理であった。

<ムササビ> ※写真では明るく見えるが、肉眼ではかなり暗い状況
ムササビ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO1600/Av=F2.8/Tv=1/5sec. [2015/08/09 19:39]

帰り際、「スピナ」というスーパーマーケットで買い物をした。
我輩と豚児は「お菓子でも買おうか」と売り場を物色していたところ、「くろがね羊羹」というものが目に入った。
そのパッケージはレトロ風で、ネーミングから濃い味が期待される。パッケージとしてはレギュラーサイズと1口サイズのものがあり、さすがに我輩にとっては未知の製品なので、試しに1口サイズのものを選んだ。もし気に入れば、改めてレギュラーサイズのものを求めよう。

<くろがね羊羹>
くろがね羊羹
Panasonic DMC-GM1/12-32mm F3.5-5.6/ISO200/Av=F3.5/Tv=1/50sec. [2015/08/13 09:33]
くろがね羊羹
[自宅撮影]

その後、寿司を食べたいという豚児の要望により、回転寿司店に入って夕食とした。

アパートに戻って早速「くろがね羊羹」を食べてみたところ、本当にイメージ通りの重厚な味がして驚いた。これは美味い。
母親の自宅ではインターネットにアクセス出来るので「くろがね羊羹」で検索してみたところ、八幡製鉄所(現新日鉄)で工員たちが疲れを癒すためにかじっていた羊羹だという。
よし、この羊羹の一口サイズを職場に土産物として配ろう。ありがちな気取った土産物よりも、こういう特徴のあるものが喜ばれよう。

ところで、豚児の体調は特に問題無さそうで、「明日、博多のマリンワールドに行けそうか?」と訊いたところ「行ける」と言う。
まあ、明日朝にもう一度確認してみよう。

●8月10日(月)
この日は博多の「マリンワールド」へ行く予定で、朝9時にレンタカー屋で「トヨタ・マーク2(白ボディ)」を借りることになっている。
レンタカーを予約する時、いつものようにリーズナブルなコンパクトカーを考えていたのだが、同じ値段で「マーク2」が空いていたので、どうせならば慣れているセダンタイプのほうが良かろうと考えたのだ。

豚児の具合は特に問題無いようだった。朝食も普段と変わらない様子で食べている。
朝食後、我輩は1人でアパートを出て歩いてレンタカー屋まで行き、手続きを済ませてクルマに乗り込んだ。ちょっとタバコの臭いが気になるが、そのうち慣れるだろう。
ダッシュボードにポータブルナビをセットして発車、大通りをグルリと回ってアパート前まで戻った。

クルマを停め、母親と豚児がクルマに乗り込むのを待っていたところ、なかなかこちらへ来ない。聞いてみると「こんな立派なクルマだとは思わなかったので気付かなかった」とのこと。このマーク2が立派? 我輩が見たところ白ボディに少々古さが感じられたので、立派なクルマだ言われたのは意外に思う。

<レンタカーのトヨタ・マーク2>
レンタカーのトヨタ・マーク2
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F5.0/Tv=1/30sec. [2015/08/10 19:02]

ともかく後部座席に母親と豚児を乗せ、改めて博多方面へ向かう。
加速感やエンジンブレーキの具合が自分のクルマとは違うが、悪くはない。しかし、しばらくすると途中で豚児が車酔いしたとのこと。サスペンションの柔らかい感じが影響したか、もしかしたら車内のタバコ臭のせいか? 途中、薬局へ寄って酔い止めを調達。

<博多方面へ>
博多方面へ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/5000sec. [2015/08/10 10:20]

その後何とか現地へ到着し、水族館の駐車場へ入った。駐車場は満車に近く、停めた場所は入場口から結構遠い。この日は猛暑で、エンジンを切った瞬間に温度が上がる。なるべく木陰を選びながら歩き、入り口で入場料を払った。前回も思ったことだが、入場料が高い。

<マリンワールド>
マリンワールド
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F10/Tv=1/800sec. [2015/08/10 11:54]

まず、入ってすぐの所にある売店に行き、セイウチのハンドパペットを探した。しかし残念なことにどこにも見当たらない。既に廃版になった様子。
その時点で目的の半分が終わったような気分だったが、気を取り直して水槽の魚を見て回ろう。

まずはロビーに行き、深海ザメ「メガマウス」の液浸標本を見に行った。
前回は企画展のため暗闇のフリークショー的展示に大変悩まされたが(参考:雑文809)、今回は通常展示のオープンスペースになっており、撮影するにも引き(奥行き)や明るさは申し分無かった。

<メガマウスの液浸標本>
メガマウスの液浸標本
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/160sec. [2015/08/10 12:06]

さて、改めて水槽を見て回ろうかと思ったが、レストランが近くにあったので、時間的に少しだけ早いが昼食時の混む前に食事することとした。
ただ、レストランとは言うが、傍目からもレトルト食品的な料理というのが分かる。だがここしかレストランが無いので仕方ない。
それにしても、料理の出るのが遅いのはどうしてか。その点では本物のレトルト食品ではないのかも知れないが、味はしっかりとレトルト食品的で、美味くも不味くもなく安定感はある。去年の「響灘緑地グリーンパーク」のような悪夢が無いだけマシ(参考:雑文824)。

<昼食>
昼食
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F2.8/Tv=1/500sec. [2015/08/10 12:34]

食後、レストランを出てすぐのイルカショー会場に行ってみた。まもなく始まるようで満席に近かったが、2人くらい座れそうな場所があったので、母親と豚児を座らせ、我輩は後ろのほうで立って見ていた。
ここは半屋内のため、直射日光は当たらないものの空気は暑くて汗が滲む。

<イルカショー会場>
イルカショー会場
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO400/Av=F2.8/Tv=1/3200sec. [2015/08/10 12:51]

15分ほど待ってショーが始まり、しばらくイルカたちの演技を見ていたところ、ショーが盛り上がってきたところで母親が豚児を連れて席を立った。このタイミングでどうした?
聞けば、豚児の体調が悪くなったというではないか。
我輩は驚いて、これからどうするかを母親と相談した。
大阪でも気分が悪かったことを考えると、これは一連の問題であることは明らかだった。これは熱中症ではないか? もしそうならば、せっかく入場したばかりではあるが、すぐに水族館を出て病院に連れて行ったほうが良かろう。

豚児を連れてクルマに戻り、ポータブルナビ画面から最寄の病院を検索すると、雁ノ巣あたりに「雁ノ巣病院」というのが見付かった。
5分くらい走ってナビゲーション画面を見ると、角を曲がればもう病院が見えるはずだった。ところが角を曲がったところ、ほとんどクルマが1台しか通れないような狭い道で少々驚いた。こんな小道の先に本当に病院があるのか疑われる。先のほうを見ると、診療所と思えるような小さな小屋があるようだ。まさかこの建物が病院ということは無いだろうな・・・?

そこから数十メートルほど行くと、建物に隠れていた左手が開け、そこに大きくモダンな病院が姿を現した。こんな立派な病院ならば心配は無用だろう。駐車場は広く、自動ゲートをくぐって停めた。
なお、最初に見えた小屋は倉庫か何からしい。

<雁ノ巣病院>
雁ノ巣病院
Panasonic DMC-GM1/12-32mm F3.5-5.6/ISO200/Av=F8.0/Tv=1/500sec. [2015/08/10 16:55]

駐車場にクルマを停めて豚児を連れて病院に入り、受付で熱中症の疑いがある旨を伝えたところ、簡単なプロフィールを記入してすぐに診察室の待合所へ案内された。そして待合所で簡単な問診を受け、10分くらいして診察を受けた。
診察の細かいやり取りは省くが、結果的に点滴を受けることとなり、別室へ移動して処置を受けた。

我輩は点滴を受けたことが無いので知らなかったが、1袋の点滴で1時間半くらいかかるとのこと。
実は念のためにポケットに「Panasonic GM1」を入れており、その様子を記録しておいた。今ここで撮影しておかなければ、こういったハプニングもいずれ忘れ去るに違いない。と言うのも、過去の帰省日記を読んでも、写真に残っていないものについては思い出せないことがほとんどで、「本当にこんなことがあったのか?」と自分の体験ながら半信半疑になる。だが写真にさえ残っていれば、かろうじて「ああ、そうだったな」と思い出せるのだ。

<点滴中の豚児>
点滴中の豚児
Panasonic DMC-GM1/12-32mm F3.5-5.6/ISO200/Av=F3.5/Tv=1/30sec. [2015/08/10 15:29]

さて、点滴は水分が多く入るせいか、点滴中にトイレに行くこともあったが、16時半頃にようやく終わった。処方箋を発行してもらい、隣接した薬局へ。その途中、電柱のてっぺんに妙な姿をしたカラスが見えたのでとっさに写真を撮った。ただし手元のカメラ「GM1」のズームレンズはテレ側が35mm判換算では64mmしかなく、小さくしか写せなかったのは残念。

<妙な鳥> ※トリミング掲載
妙な鳥
妙な鳥
Panasonic DMC-GM1/12-32mm F3.5-5.6/ISO200/Av=F11/Tv=1/500sec. [2015/08/10 16:45]

後日調べると、これは確かにカラスの仲間ではあるものの、「カササギ」という珍しい外来種の鳥だった。国内では九州北部にしかいないという。

<資料:カササギの剥製>
カササギの剥製
カササギの剥製
[茨城県自然博物館にて]

帰り道、我輩の運転するクルマは前方のクルマから少々離れて走っていた。豚児の状態を気遣い、無理のない速度で左レーンにいた。
ところが交差点にさしかかった時、反対車線の右折レーンから1台の軽自動車がUターンして我輩の前を走り始めた。恐らく、クルマが途切れたと思ってUターンしたのだろう。我輩は「かも知れない運転」をしていたので特に危険無く減速したのだが、Uターン車は速度が遅く、みるみる追い付いてしまった。そこで我輩は右レーンへ移り、そのままの速度でゆっくりとその軽自動車を追い抜こうとした。
しかしその軽自動車は、ほんのわずかな進路の乱れというか、何か道を探しているような挙動が感じられたので、追い抜かずに様子を見るか、あるいは早めに抜き去ってしまうかを考えた。

もしかしたら相手は、右レーンへ車線変更したいのだが、我輩が右レーン後ろから近付いているので追い抜くのを待っているのかも知れない。速度が遅いのもそのせいか?
そこで我輩は、そのままの速度でゆっくりと抜き去ることにした。

やがて相手の斜め直後に来た時、なんと、不意に相手が我輩側の右レーンに移ろうとしてこちらに被さってきた。
我輩はとっさにブレーキを強く踏んでハンドルを右に切ったものの、右は縁石があってハンドル回避には余裕が無い。しかし急ブレーキのタイヤが「キュッ!!」と鳴ったことで相手が気付いたせいか、相手がハンドルを戻して衝突は回避された。
我輩は改めてブレーキを緩めて追い抜きを継続し、横目で相手ドライバーの顔を見たところ、運転席で中年女性がポカンと口を開けてこちらを見ていた。
相手は、完全に単独走行だと思い込んで我輩の存在に気付かなかったようだ。もしこれで衝突しようものならば、相手は「向こうのクルマが突然現れた」と証言するに違い無い。

ちなみにその先では追突事故があった様子。我輩も一歩間違えればこういう状態になっていただろうが、豚児が乗っていたおかげで悪運に助けられたか。

<一歩間違えばこうなっていた>
一歩間違えばこうなっていた
Panasonic DMC-GM1/12-32mm F3.5-5.6/ISO200/Av=F7.1/Tv=1/160sec. [2015/08/10 18:33]

母親のアパートに戻ったのは19時過ぎ。
この季節ではまだ明るいので、夕方だと錯覚しがちである。

なお、帰省を終えて自宅で写真整理をしていて気付いたのだが、あらためてこの日水族館に着いた直後の豚児の表情を見ると、何となく目が疲れたような表情になっているように見える。この時点で熱中症を疑うことが出来れば良かったのだが、単なる乗り物酔いと考えてしまい、豚児には申し訳なく思う。

●8月11日(火)
この日の予定は、当初は実家近くの叔母さんに招かれて食事会をすることになっていたが、豚児の具合を考えて中止となった。
少なくとも1日屋内待機で母親のアパートで休養させる。もっとも、母親も孫と一緒に自宅で過ごせるので、これもこれで良かろう。
ただ、せっかくレンタカーを借りていることもあり、有料駐車場に丸一日置いておくよりも、豚児を母親に任せて我輩1人でも出掛けようかと考えた。

今回、植物を主にターゲットにしているので、近場の植物園か、あるいはカルスト地形の「平尾台」か。
ウェブ検索してみると、期待したほど植物園は見付からない。「響灘緑地グリーンパーク」が検索ヒットしたが、ここは我輩にとっては「行きたくない場所No.1」であることは以前に書いた(参考:雑文824)。

しかし検索していくうちに、門司区の「白野江植物館」と直方市の「福智山ろく植物園」が見付かった。
「白野江植物館」のほうは名前は知っていたが、「福智山ろく植物園」のほうは今回初めて知った。門司区は近いが直方市はそこそこ距離があるので、どうせ1人ドライブならば直方市のほうに行ってみようか。
そして、時間があればついでに「平尾台」にも行ってみようと思う。

8時半にクルマで出発し、直方市を目指す。
途中、前方の軽トラックが目に付いた。窓から腕を突き出して走っている。しかも両側から。ヘタをすると接触事故になりかねない。「よい子はマネをしないように」と言おうにも、実は北九州にはよい子は存在しないのだ。

<よい子ではないようだな>
よい子ではないようだな
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F5.6/Tv=1/800sec. [2015/08/11 08:42]

さて、直方市へは持参のポータブルナビの画面が指示する道を進む。使い慣れたカーナビゲーションなので戸惑いが無いのが良い。しかしながら、どんどん田舎道へ進んでいくので、本当にこんなところに植物園などあるのだろうかと不安になってきた。

<あと数百メートルで植物園に着くとは信じがたい風景>
あと数百メートルで植物園に着くとは信じがたい風景
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F5.6/Tv=1/2000sec. [2015/08/11 09:25]

9時半頃、だだっ広い駐車場に到着。ここは「福智山ろく植物園」の駐車場らしいが、それらしき施設が見えない。周囲は野山に囲まれおりのどかであった。ただ、空を見上げると高圧線が覆っていた。
駐車場は、夏休みの良い天気にも関わらず3、4台ほどしか停まっておらず、恐らくはそのほとんどが従業員のクルマであろうと想像する。

しばらく歩くと植物園の入り口が見えてきた。園内に入ってみると、事前の予想以上に広く、かつ手入れも行き届いていた。入った当初、入場者は2組ほどしか見えなかったが、園芸作業者のほうは5、6人はいたろうか。

我輩は、それぞれの草花に対してストロボ撮影を行い、植物ごとの撮り方のバリエーションを試していった。広角でダイナミックに構図したり、上下にアングルを変えたり、ストロボバンクの発光面を背景にしてみたり・・・。

<植物撮影>
植物撮影
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F14/Tv=1/250sec.(FLASH) [2015/08/11 10:18]
植物撮影
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F22/Tv=1/250sec.(FLASH) [2015/08/11 11:22]

背の低い草花の写真を何枚もしゃがんで撮り、「さて」と立ち上がったところで眩暈がして目の前が暗くなった。我輩は必死に足を踏ん張ってこらえ、落ち着くのを待った。
その我輩の側を、園芸作業のオバちゃんが「暑いですねー」と通り過ぎた。確かに、暑くてかなわん。

我輩は木陰に移動すべく雑木林の小道へ向かった。そこはセミの大合唱の中で、セミたちが木々にたくさんいるのが見える。
ちょっとついでにセミを撮ってみるか、とカメラを向けてシャッターを切る。少し距離があるので、手元のマイクロフォーサーズ標準ズーム12-40mmのテレ側(35mm判換算80mm)では少々小さく写った。これではセミの写真とは言えない。

そこで、もう少し近付いて撮ってみた。
まだ、セミは逃げない。
どこまで近付けば逃げるのかを試すように、我輩はゆっくりとジリジリ間合いを詰め、何枚もシャッターを切った。

最終的に、撮影画面ではもうセミの姿が目一杯大きく入るくらいまで近付いたのだが、セミは全く逃げようとしないではないか。
どうやら、ゆっくり近付けばセミは逃げないようだ。(※この事実は、雑文847に書いたものである。)
ならばと、大きなストロボバンクをゆっくりと近付けてストロボ撮影してみたが、やはり気にする様子もない。
ストロボの強い閃光で驚くかと思ったが、まるで反応が無い。あまりにも一瞬なので認識出来ないのか?

<セミ撮影>
セミ撮影
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO400/Av=F10/Tv=1/160sec.(FLASH) [2015/08/11 10:35]

さて、撮影も一通り終わって気が済んだので、クルマに戻って一息ついた。
時刻は12時45分。
少々疲れもあったことから平尾台行きはやめておこうかと一瞬迷ったが、平尾台特有の「ノヒメユリ」を改めて写真に撮りたいと思った。ただそうは言っても、たった1種類の植物のためだけに行くには気力がちょっと足らぬか。
ポータブルナビの地図を見れば、帰り道のルートに近いわけではないが、ぐるりと回って帰るルートとして考えれば妥当な位置にあると考えて自分を納得させた。

途中、コンビニエンスストアに寄って弁当を買って昼食とし、そして平尾台に着いたのは13時45分頃。
「茶ヶ床園地」の駐車場にクルマを停め、平尾台に来た時はいつも歩く道を進んだ。この景色はいつも変わらないように見える。この景色は、何年前から同じなのだろう? そして、何年後まで同じ景色のままなのだろうか? 我輩1人の寿命ではとても確かめることは出来ない。

<平尾台>
平尾台
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F8.0/Tv=1/500sec. [2015/08/11 13:49]
平尾台
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F8.0/Tv=1/500sec. [2015/08/11 13:50]

道の途中で「ノヒメユリ」が現れるが、なかなかイメージに合うような状態のものが無く、また、見付けたとしても撮影しにくい場所にあったりして次々見送った。そして、この先に完全な状態の「ノヒメユリ」があることを期待して歩いていく。

ようやく1輪の「ノヒメユリ」にターゲットを定め、ストロボ撮影を始めた。

<ノヒメユリ>
ノヒメユリ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F8.0/Tv=1/250sec.(FLASH) [2015/08/11 13:49]

色々とライティングを変え、納得のいく状態で撮影出来るまでそれなりに時間がかかる。そうこうしているうち、オバちゃんの一団が通りかかり(話し声のおかげでかなり遠くから近付いてくるのが判った)、我輩に気付くと声を掛けた。

「ナデシコが咲いてるの見ませんでしたか〜?」
「いや・・・気付きませんでしたがね・・・。」
「じゃあやっぱりまだ無いのね〜。」

我輩もまだ来たばかりなのでそんなに見て回ったわけでもないが、オバちゃん連中はナデシコを諦めたのかそのまま引き返してしまった。

我輩はもう少し先のほうまで歩くことにしたが、しばらく歩いても植物の状況がほとんど変わらないので、我輩も引き返そうかと考えた。
しかし戻り方向にはまだオバちゃん連中の声がしたので再遭遇も気が引ける。
ふと見れば、小さな脇道に気付いた。この先に行ってみよう。

脇道とは言っても夏草が生い茂っており、草を脚でかき分ける状態で歩く。
しばらく歩くと草も開け、畑が現れた。そしてその先には散策路になっていた。
気付くと、散策路の脇にはカワラナデシコが花を広げている。その時当然、オバちゃん連中のことが思い浮かんだ。人に訊ねて得た答えが全ての情報だと思い込み、実際に自分の眼で確かめないから、結局は目的のものに行き着かないのだ。人に尋ねるのは最後の最後でよろしい。

<カワラナデシコ>
カワラナデシコ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F10/Tv=1/250sec.(FLASH) [2015/08/11 14:50]

その散策路は茶ヶ床園地に続いているようで、確か10年ほど前にも歩いたことがあった。
そこは「ノヒメユリ」が多く咲いており、ここでゆっくり選べば良かったかと思ったものの、先程もう気が済むまで撮ったので敢えて撮ることも無い。
ただ、1輪だけ奇妙なものがあった。
それは花の見た目としては間違いなく「ノヒメユリ」なのだが、他の株と比べて10倍以上も高く伸びており、一体何が起きたのかとビックリした。何か突然変異なのか?

<異常に伸びたノヒメユリ>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
異常に伸びたノヒメユリ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F10/Tv=1/250sec.(FLASH) [2015/08/11 14:45]

今回、平尾台の散策は植物中心であったため、他の地形を回ることはせず終了とした。
もっとも、疲れたということが第一の理由だが。

<茶ヶ床園地へ続く道>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
茶ヶ床園地へ続く道
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F10/Tv=1/250sec. [2015/08/11 15:17]

クルマに戻って運転席に座ると当然ながら車内は暑くなっていたものの、それでも一息ついた気分になる。
我輩はおよそ10年前まではクルマを運転出来なかったが、その頃は平尾台に行くにしても1時間に1本程度の乗り合いタクシーのダイヤに沿った行動しかとれなかったものだ。しかし今は、自分の好きな時に移動出来る。しかも座ったままで乗り換えも無く。

マーク2のエンジンをかけて茶ヶ床園地駐車場を後にし、北九州市街のアパートへの帰路についた。

なお、夜の涼しい時間になって、3人で紫川ほとりの紫江'S(しこうず)周辺を散策することにした。ここにはトケイソウが咲いているとの母親情報で、撮影しようということになった。豚児の調子が回復したのかということも散歩しながら様子を見たい。

<夜の紫江'S>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
夜の紫江'S
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO400/Av=F2.8/Tv=1/2.5sec. [2015/08/11 20:01]

トケイソウは紫江'Sへの橋近くにたくさん咲いていたが、照明が全く無かったのでピント合わせには大変苦労した。
ちなみに撮影の照明は丸形バンクによるストロボ撮影である。定常光の助けが全く無くとも光が柔らかくなるのが良い。

<トケイソウ>
トケイソウ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/125sec.(FLASH) [2015/08/11 20:15]


●8月12日(水)
昨日は叔母さんとの食事会がキャンセルになってしまったが、この日は午後に京都郡(みやこぐん)の実家へ行くことにしており、そこで叔母さん夫婦と待ち合わせすることになった。
現在実家は誰も住んでおらず、様子を見に行くのである。
その後、バアちゃんのいる養護施設に顔を出す予定。ちなみにバアちゃんは糖尿病のため片脚の切断手術をしたとのことで、実際に会ってみるまでは少々心配である。

午前中は、我輩1人で門司区にある「白野江植物館」へ写真を撮りに行くことにした。
天気はあいにくの雨だが、防滴カメラなので撮影に関しては特に問題は無い。むしろ、定常光が少ないのでピーカンよりはストロボ撮影には適している。

9時前にクルマに乗って門司区へ向かうが、当然ながらルートはポータブルナビ頼み。
ただし途中までは、フェリーでの帰省時に門司港ターミナルへ行ったルートと重なっていたので、全く初めての道では無かった。

「白野江植物館」の駐車場はゲート式有料で、300円かかるが、この日は無料入園日だったので駐車場代が入園料と考えればちょうど良い。
ちなみに駐車場には1台もクルマが停まっていなかった。まあ、昼頃には少し客も入るだろう。

雨は相変わらずザーザーと降っており、ストロボが濡れぬようレジ袋を被せるなど車内で支度をし、透明ビニール傘を差して外に出た。こういう状況ではレインウェアを着て撮影すべきかとは思うが、レインウェアの用意が無いので仕方ない。

「白野江植物館」は丘にあるようで、入口からして階段を上った所にある。入園無料の確認がてら、ガラス越しの窓口女性に会釈をして園内に入った。

<白野江植物館>
白野江植物館
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F4.0/Tv=1/125sec. [2015/08/12 09:39]

入ってすぐに、多くの鉢植えのハスの花が出迎えた。雨が良く似合う。
そこから坂道や階段を上っていくと、サルスベリ、カノコユリ、カンナなどの花が咲いているのが目に入った。
もちろんそれらを写真に撮っていくわけだが、傘を差しながら撮るのは大変な苦労。何しろ、右手にカメラ、左手に傘とバンク付きストロボを持たねばならぬ。しかも、ストロボが濡れるとマズイので、時々漏水チェックせねばならない。

風も強くなってきたせいで、傘があってもズボンが濡れる。
見たところ、ストロボを包んでいるレジ袋にも少々水が入ったようだが、タオルなども無く、口をキツク縛る以上は対処しようがない。とりあえずは、まだストロボも表面が濡れた程度で、動作に支障が出てはいない。
問題は、雨のせいでフィルターがズブ濡れとなりマトモなカットがなかなか撮れなくなったことである。
服の濡れていない部分を使ってフィルターを拭くが、ちょっとでも上を向くアングルでは雨が降り込んでしまう。

園内の一番高い所に登ってみたところ、眼下に海が広がっていた。そこにある案内板によれば、天気が良い日には洋上に浮かぶ北九州空港まで見えるらしいが、この日は雨のせいで白く煙っており見えなかった。
風は海側から吹き付けるようで、雨がその風に乗って横から叩きつける。我輩は早々に下へ降りた。

<植物園最上部から望む風景>
植物園最上部から望む風景
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F4.5/Tv=1/320sec. [2015/08/12 10:10]

途中、屋根のある休憩所を見付けたので、雨濡れが酷い時にはそこに避難してストロボを乾かすなどしたが、そのうち対処も限界となり、残念ながら途中で撮影を切り上げることとした。
シャツ、ズボン、そして靴の中まで水浸し状態。つまり、胸の部分から下は全部、雨に濡れてしまった。

時刻は11時20分。
駐車場に戻ると、来た時のまま、我輩のクルマ1台しか無かった。やはり豪雨の中に訪れる者など我輩のような物好きしかいないようだ。
服を乾かすために車内でエアコンを利かせながら、昼食として近くのコンビニエンスストアで買った弁当を食べた。

車内でしばらく休憩して服も生乾きとなった頃、母親のアパートに戻って母親と豚児を乗せて実家へ向かうことにした。
アパートに戻った時には、雨は一時期までの勢いが収まり、そして実家へ着いた15時過ぎには雨はほとんど止んでいた。

実家には叔母さん夫婦が先着しており、我々の乗ったクルマの音に気付いたのかすぐに出迎えてくれた。
現在は誰も住んでいない実家であり、この先も住む者がいないので、いずれは売却するか取り壊すことになろう。もちろん、交通の便の悪い田舎であるし、かつ生半可に広い土地なので売却も簡単ではない。
しかし現在の様子を写真に撮ることは重要であろう。

家の中を見て回ると、子供の頃の痕跡が今でも残っているのが印象的であった。
例えば、天井を見上げると星座が見える。これは我輩が中学生の頃、夜光テープを切って星空を作った、いわばプラネタリウムであった。

<実家の天井プラネタリウム> ※トリミング掲載
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
実家の天井プラネタリウム
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/10sec. [2015/08/12 15:23]

このようなものを写真記録とするには、現状では超広角レンズで撮るしか無い。そのために今回、高性能な超広角ズームレンズを携行した。
だがそのうち、周囲の状況をスキャンして3Dデータ化し、仮想現実として記録することも可能になろう。そうすれば、いつでもこの部屋の中に戻ってこられる。

現在はレーザーなどで縞模様を投影して3Dスキャンするアクティブ方式であるが、いずれは自然光のみで3Dスキャン出来るパッシブ方式も開発され、遠くの景色に至るまで3D化されるに違いない。もちろん形状だけでなくテクスチャマッピングも忠実なものとなる。そうなれば、写真という概念も変わろう。
(技術的問題は、物体の陰に隠れた見えない部分は再現出来ない点。)

さて、叔父さんが庭に植えた家庭菜園で恒例の収穫体験をしようと豚児を連れ出したので、我輩たちも付いて行った。
そこには、トマトやキュウリ、ズッキーニ、珍しいものではシカクマメ(カドマメ)などが実っており、叔父さんの解説のもと、それぞれ収穫した。

<収穫体験>
収穫体験
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F8.0/Tv=1/125sec.(FLASH) [2015/08/12 15:49]

我輩はその脇で「植物撮影の良い機会だ」とカメラを持ち出し撮影していった。

<植物撮影>
植物撮影
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F5.6/Tv=1/125sec.(FLASH) [2015/08/12 15:52]

1時間ほどして、そろそろばあちゃんのいる養護施設の面会に行くことにした。
叔母さん夫婦とはその場で別れ、クルマで20分ほどの養護施設へ。

3人で施設内に入ると、入口すぐのラウンジのところで車イスに乗ったばあちゃんが目に入った。
見たところ元気そうに見えるが、左脚を見ると確かに膝から下が無かった。切断手術のことは話で聞いていたことだが、実際に目にするとやはりショックである。

<ばあちゃんとの対話>
ばあちゃんとの対話
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F2.8/Tv=1/13sec. [2015/08/12 17:02]

話好きのばあちゃんであるから、車イスであっても口が回ればとは思う。
ただ、物覚えが悪くなってしまっているので、話が先に進まない。
ばあちゃんは豚児のほうを見て声を掛けた。

「ありゃー!もう中学生かね?2年生?」
「中学1年。」
「あー1年生かねー。大きゅうなったねー。もう中学生かね、2年生?」
「いやいや、1年生。」
「あーそう言いよったかね!中学生かね、2年生になっちょうそかん?」
「1年生1年生。さっきから言いよるやん。」
「あはは!そうやったかね! ・・・で、2年生っち言いよったかん?」

まるで志村ケンのコントのようで、みんなで大笑いする。
「ばあちゃんはボケても明るいけん、いいっちゃね。」
ただそうは言っても、我々が帰る時には少し寂しそうだった。もちろんすぐに持ち直して他のご老人たちとワイワイやるであろうが、下手をすると我々が来たことを忘れてしまうかも知れない。

さて、この日はレンタカーを返却する予定となっている。余裕をもって19時返却としており焦る必要は無い。
ただそれにしても、このクルマにも慣れてきた頃に返却というのもこれまた寂しい話。

このクルマの最後のドライブを終えてレンタカー屋に到着したのが18時半。
借り物のクルマなので、この瞬間まで小さな緊張が続いていたが、無事に返せたことでホッと肩の荷が下りた気がする。

帰りはバスに乗って母親のマンションへ向かい、最寄のバス停で降りた。
我輩はマンションに戻ることにしたが、母親と豚児はそのままスピナへ買い物へ行くと言うので、職場の土産に「くろがね羊羹」を買ってきてもらおうと考え、6個買ってきてもらうよう頼んだ。

部屋で待っていると、しばらくして2人が戻ってきたが、帰ってくるなり「重かったから4個だけ買ってきた」と言う。「6個程度で重いのか・・・?」と見てみれば、一口サイズではなく大きなレギュラーサイズを買ってきたので驚いた。明確に言ってなかったのが悪かった。改めて一口サイズを買うにしても、このレギュラーサイズはどうする?
この際、このレギュラーサイズを土産とするか。むしろこちらのほうがインパクトがあって良かろう。災い転じて福となす。残り2個は後で調達しよう。
ただし重いので、自宅に送る宅配便荷物の中に入れておく。

さてこの日の夕食は、実家で収穫体験した収穫物を早速食べてみることにした。

<収穫体験の収穫物>
収穫体験の収穫物
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F3.2/Tv=1/30sec.(FLASH) [2015/08/12 19:44]

種類が多いので、まとめて天ぷらとなった。あいにく油が足りず、部分的に焦がしてしまったようだ。しかしそれでも、香ばしい味が大変良かった。

<夕食は天ぷら>
夕食は天ぷら
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F3.2/Tv=1/100sec.(FLASH) [2015/08/12 20:22]


●8月13日(木)
帰省最終日、レンタカーを返したこともあり、特に遠出は考えておらず、帰りの新幹線出発までの間、小倉市内を散策することとした。
10時過ぎにマンションを出て、バスで魚町辺りに行き、紫川ほとりにある歴史的遺構(再現物)を見て回るなどした。

<歴史的遺構再現「長崎街道」>
歴史的遺構再現「長崎街道」
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/7-14mm F2.8/ISO200/Av=F3.2/Tv=1/800sec. [2015/08/13 10:38]

そしてアーケード街を駅方向に歩いてみた。
アーケードの商店は、我輩が子供の頃とはガラリと変わったが、幾つかは昔のままの店舗で懐かしい。

小倉駅に着いて駅ビルで昼食とし、その後は土産物を買ったりしばらく時間を潰し、14時の新幹線を待った。
我輩としては、この時間が落ち着かない。

本来ならば、「別れを惜しむ」とか「故郷を離れ難い」という感情があるはずだが、我輩の場合、「スケジュール通り行くように」ということが意識の大部分を占める。だから、新幹線に無事に乗車してシートに座ってようやく、我輩はホッとした。後は流れるまま、席に座っておれば旅が完了する。

この時になって初めて、「別れを惜しむ」とか「故郷を離れ難い」という気持ちが湧いてきた。 窓を見れば、白い煙を吐き出す紅白の煙突が遠ざかっていく。子供の頃から馴染んだ北九州の風景が愛おしく思い始めたのは、故郷を離れた時間の長さのせいだろうか。

<故郷との別れ>
故郷との別れ
OLYMPUS OM-D E-M5 Mark2/12-40mm F2.8/ISO200/Av=F7.1/Tv=1/500sec. [2015/08/13 13:50]

ただそれも、関門トンネルをくぐる1〜2分の間の話。本州へ抜けると、早く帰り着くこと、つまり時間が早く経つことを祈るばかり。

以前、夜も遅い時間に到着して自宅最寄駅からタクシーで帰ったこともあった。
今回は少々疲れがあったし、早く家に帰り着きたいということもあり、またタクシーに乗ろうかと考えたのだが、今回は東京駅到着が18時半と早いので躊躇した。豚児がタクシーに乗りたいと言えば乗ろうかと考えたものの、豚児は「歩いて帰ってもいい」と言うので、今回タクシーを使う理由を失った。
まあ、近距離の利用はタクシー運転手も嫌がるということを小倉で知ったので、まあ、やめておくのが無難。

●最終集計
今回、大阪の水族館での撮影と、北九州での植物撮影があったため、撮影枚数は2,700枚とかなり多く、RAW現像に大変な手間がかかった。同じシーンでは同じパラメータで一括補正してしまえば簡単だが、どうしても露出過不足やレンズ焦点距離による色収差の具合に対して個別に調整せねばならないところはある。
そのせいで少しずつの作業となり、全ての現像が終わるまで今までかかってしまった。

●期間 2015年08月08日〜2015年08月13日(6日間)
●デジタル撮影総枚数 約2,700枚
RAWデータにて撮影。ミスカットを除外した枚数。

<内訳のうち主なもの>
・海遊館 :約430枚
・通天閣 :約60枚
・道頓堀 :約100枚
・到津の森公園 :約200枚
・マリンワールド :約120枚
・福智山ろく植物園 :約420枚
・平尾台 :約210枚
・白野江植物館 :約110枚
・実家関係 :約280枚
●旅行費用 156,059円

<内訳>
・新幹線 :42,260円(特急券)
:42,680円(往復乗車券)
・電車賃(新幹線以外) :1,960円
・タクシー代 :1,240円
・食費 :14,348円
・レンタカー/ガソリン代 :25,521円
・ホテル宿泊費 :16,400円
・入館・駐車代 :10,260円
・病院受診 :1,390円 

※一部食事代等での母親払いの金額は含めなかった。
●レンタカー走行 ・走行距離:313km
・給油:34.22L
・単価:145円(レギュラー)
・合計:4,961円
・燃費:9.15km/L