2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
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 FG
 FM10
 FE10
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カメラ雑文

[822] 2014年09月16日(火)
「2014年夏の帰省日記(計画〜1日目)」


●はじめに
我輩にとって帰省は毎年の行事となっているが、毎年のことだけに直近の過去の記憶はともかく、数年前ともなると記憶が曖昧になり複数年が混ざったりもする。
この現象は、写真や絵画で言うところの遠近感のようなもので、遠くの景色ほど圧縮されて重なって見えるのと感覚的に似ているように思う(参考:雑文267「年の差」)。

ただ、これまでの帰省の内容について、カメラ雑文に記述していることから、それさえ見れば当時のことが良く思い出せる。しかも当時撮った写真を参照することで、その場の様子を知るだけでなく、シャッターを切った時の気持ちまで甦ることもある。
写真と文章の両方があることで、まさに当時の行動が追体験出来るわけだ。

もちろんこういった内容は自分の日記に書けば良いことだが、我輩の日記はいつも3日坊主。ところが、当サイトに書くと続くのだから不思議な話。
ウェブサイトは一般に公開された場であるがゆえに見られている意識が働くせいかと思ったが、ここは元々ニッチを狙ったウェブサイトであるし、しかも最近のアクセス数は一頃に比べるとめっきり減り、ウェブサイトとしては旬を通り越して既に末期と言える。何のためにそんなところに掲載する必要があろう。

これは恐らく、帰省の記録が年々積み重なるにつれ、継続が途切れてしまうことに抵抗を感ずるせいではないかと思うのだ。もちろん、紙の日記帳に書いてずっと継続していけば途切れることに抵抗を感ずるのかも知れないが、我輩の場合はたまたまウェブサイトに掲載し続けていたため、このようになったのではと思う。

そういうわけで、今回もこの雑文にて事細かに帰省の内容を書いていきたい。少なくとも、いつ、どこに行ったかということは例年通りクドイほど書くつもり。
これは、未来の自分のための記録なのだ。
ただ、なるべくはカメラ・写真の記述も盛り込みたい。

●事前計画と準備
およそ半年前の年末に、我輩一人で帰省したことについて書いた。これにより、帰省のサイクルが狂ってしまった。
この夏はどうするか。まだ1年経っていないのにまた帰るか?

そんな疑問があって、あまり夏の帰省についての計画はなかなかその気にならなかったわけだが、よく考えるとこの夏に帰省しなければ豚児は2年の間が開く。実家のほうも年寄りが増えてきたので、あまり間が開いてもどうかと思う。

そう考え始めたのが、帰省時期の1ヶ月ちょっと前。2か月前から予約が入る大阪発のフェリーではもう間に合わず、自ずとフェリーでの帰省は選択肢から外れた。
一応念のために豚児に訊いてみると「フェリーがいい!」と言うので、「今年は間に合わん」と言ってやった。もちろん、往復2,000kmをクルマで走破することは難しく、結局、新幹線となった。

今年、職場の盆休みは木・金曜日のたった2日ということだが、月・火・水曜日の3日間を有給休暇で埋めれば9連休となる。
休暇取得は色々と駆け引きがあるが、ここでは本題ではないので省くことにする。

今回、往路で広島に途中下車して観光しようと思う。これは前回の帰省で計画したことと同じで、結局は我輩一人で行くことになったわけだが、今回、豚児やヘナチョコ妻としては初めての行程となる。
半年前と同じ広島ではなく別の場所、例えば大阪とか岡山などどうだろうかと考えたが、主目的ではない立ち寄りのためハプニングを極力避けたく、実績のあるほうを選んで無難にこなすこととした。慣れた場所ならば、いちいち考えたり悩んだりすることなく行動出来るからだ。主な場所の位置関係も頭に入っている。

改めて、全体の大まかな旅程を立ててみた。
出発日は、連休初日の8月9日(土)。
早朝出発し、昼頃に広島に到着して一泊、翌10日(日)の夕方に九州入りして小倉着。
そして11日(月)〜14日(木)まで九州で過ごし、14日夜に千葉自宅へ帰着する。

カメラ機材については、中判カメラはもういいかと思う。帰省ではこれまで何度も撮って来たので、もうフィルムで撮る必要は無かろう。後はメモ撮影として、目に付いたものを手当たり次第に撮るのはデジタルのみで割り切るのが合理的。
とは言うものの、マイクロフォーサーズは高性能レンズと強力な5軸手ブレ補正によって、メモ用途以上の画質が期待出来る。何より、ほとんどのレンズで開放値から使えるのはマイクロフォーサーズの特権であろう。

今回用意するのは、メインボディとして「OLYMPUS OM-D E-M1」、ポケットに忍ばせておく「OLYMPUS E-P5」。そしてレンズについては、「7-14mmF4.0(換算14-28mm)」が旅撮影には重宝するので携行するものの、高性能レンズ「12-40mmF2.8(換算24-80mm)」のほうを可能な限り使うよう心掛けたい。

それから、実は最近「SIGMA DP2 Merrill」の中古を手に入れた。というのも新型「SIGMA DP2 Quattro」の購入を検討していたのだが、動作レスポンスは大きく向上したものの図体が大きく、しかもFoveonセンサーで肝心な解像感が向上しているわけでは無かったので、どうせなら「DP2 Quattro」の半分の価格でボディサイズのコンパクトな「DP2 Merrill」のほうを選んだのである。
撮り比べのテストをしてみたところ、さすが3層構造のFoveonセンサー機だけのことはあり、解像感は飛び抜けている。

<ベイヤー機とFoveon機の等倍画像比較> (※全て等倍切り出し)
(※画像クリックで長辺2488ドットの画像が別ウィンドウで開く)
揺れも無く進むフェリー
上段写真の比較ポイントは建物壁面タイルと樹木の描写、中段写真の比較ポイントはバックネットの偽色の有無、下段写真の比較ポイントは文字の読み取り限界。なお、ここでは等倍掲載ではあるものの、JPEGノイズは若干ある。

ただ、「DP2 Merrill」はレスポンスが極端に悪い上、単焦点固定レンズのため最適な画角を選べないし、また被写体によっては色がおかしくなる(※)こともあり、メイン機とすることは出来ない。あくまでも、解像感を特に求める場面で画角が適切であれば使ってみるという位置付けとした。
(※特定の色を調整して中庸にしたつもりでも今度は他の色がおかしくなるので調整しようが無い。)

そして、ラジオシンクロシステムを装着したストロボ「SUNPAK B3000S」。さすがにポールスタンドの持ち歩きは旅人としての立ち回りのジャマとなるだろうから、ストロボは手持ちや直置き設置として使う。

<今回の撮影機材一式>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
今回の撮影機材一式

さて、帰省日が近付くにつれ、台風のニュースが入ってくるようになった。今年は台風が同時に幾つも発生したせいで、「1つ通り過ぎたな」と油断していたら次のものが来ていたようで、職場同僚から「台風どうするんだ広島。」と言われて初めて帰省に影響がありそうだと認識した始末。

見れば、台風11号が8月9日から10日にかけて広島を縦断するとの予報。まさに、我輩の帰省に合わせたかのようなルートであった。
まずいな、1日目は宮島行きを計画していたのだが、もし台風の真っただ中であれば、宮島渡しのフェリー便が欠航するに違いない。いや、行けたとしても帰れなければもっと最悪。島内で足止めになったりすれば、この後のスケジュールが完全に狂う。

ただ、台風11号は南方から四国・中国地方に接近しているわけで、当然ながら関東圏ではその影響はまだ無い。
そのため台風が来ると言う実感が無く、出発前日になっても「まあ、何とかなるだろう」という気持ちであった。

●8月9日(1日目)
帰省当日、新幹線の出発は7時13分。空模様はどんよりとしているが、雨は降っていない。
手に持てる範囲の荷物ではあるが、それでも最寄駅まで運ぶ苦労を省くため、まずクルマで荷物と家族を駅まで送り届け、そして自宅に戻ってクルマを置き、そして改めて歩いて我輩1人が駅へ向かう。
ヘナチョコ妻は駅にて荷物番、そして豚児は新幹線車内で食べるための朝食おにぎりを駅近くのコンビニエンスストアで買わせた。

東京駅に向かうため電車に乗ったところ、休日の早い時間でいつもならば電車はガラガラなはずだが、時期が時期だけに2人分しか座れない。まあ、どうせ新幹線で飽きるほど座るのだから問題無い。

東京駅に到着し、新幹線車内に乗り込んだ。席は3人掛けシート。

<東京駅新幹線乗り場>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
東京駅新幹線乗り場
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F3.2/1/80sec. [2014/08/09 07:03]

今のところ台風の影響は無いようで、定刻に出発。新幹線は静かに滑るように走り始めた。途中、我輩の職場の近くを通るはずだが、あまり気を付けて見なかったので、そのまま通り過ぎてしまった。

途中、雨の降る地域に入ったようで窓に雨滴が流れ始めた。台風に向かっているのだから当然だろう。そのうち風も強くなってくるに違いない。車内放送でも、今後台風の影響でダイヤが乱れる可能性があると言っていた。

<増水した川が見える>
増水した川が見える
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F4.5/1/20sec. [2014/08/09 10:23]

広島到着が11時15分。途中下車であるから、乗車券と特急券を投入して改札を抜けると乗車券だけ戻ってきた。外は小雨が降っていたが風は無い様子。
荷物をコインロッカーに預けた後、改めて電車に乗って宮島口駅へ向かう。年末に行った時はのんびりと路面電車に乗ったのだが、今回は宮島で昼食を食べようと思うので時間を考えてJRに乗った。

<JR線で宮島口へ>
JR線で宮島口へ
OLYMPUS OM-D E-M1/7-14mmF4.0/ISO200/F4.0/1/15sec. [2014/08/09 11:38]

宮島口駅に着いてみると、特に台風などの影響は無く、フェリーも運行しているようで安心した。時々小雨があるようだがほぼ無風で海面も凪に見える。行って帰れなくなることは無かろう。

これまで宮島へは、JRのフェリーしか乗ったことが無かったので、今回はJRと平行している宮島松大汽船のフェリーに乗ってみることにした。
乗り場に行ってみると、待合所が大屋根の下にあってゆったりとしており、土産物店が隣接しているので観光地気分が味わえた。

<宮島松大汽船の宮島口待合所>
宮島松大汽船の宮島口待合所
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F3.2/1/125sec. [2014/08/09 12:23]

しばらく待って対岸からやってきたフェリーに乗り込み、ヘナチョコは席に座り、我輩は豚児とともに右舷に立った。右舷にいれば、厳島神社の大鳥居が眼前に見えるはず。
ところが船は、出港するとそのままバック状態で宮島へ進んで行くではないか。てっきり反転するのかと思ったが、この船は電車のように前後の区別が無いわけか。なるほど、これは合理的。
そう言えば、JRのフェリーのほうもそうだったろうか。意識して見ていなかったのでこれまで気付かなかった。

フェリーは特に揺れも無く進んだ。すぐそこまで台風が迫っているがウソのよう。夕方から夜にかけて広島を通過するはずで、それは確かなことなのだろうが、心の底では信じ切れていない。
カメラの背面液晶パネルを上に傾ければ、手を伸ばして海側から撮影が可能となる。やろうと思えば、ポールにカメラを設置し、船から離してWiFiでモニタリングしながら撮ることも出来よう。さすがにそこまで調子に乗ることは無いが。

<手を伸ばして海側から撮影>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
手を伸ばして海側から撮影
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F4.0/1/160sec. [2014/08/09 12:42]

宮島に上陸すると、すぐに鹿たちの姿が目に入った。
豚児は鹿の出迎えに興奮して近付いて触ろうとしたものの、それなりに大型の動物なので気後れして手が出せずに固まってしまった。

<鹿に手が出せない>
鹿に手が出せない
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F6.3/1/320sec. [2014/08/09 12:48]

それにしても、この季節は暑さに覚悟していたが、この天気のせいか暑くないのが有難い。特に夏の強烈な日差しは体力を奪うので、陽が出ているかどうかの差は大変大きい。のんびりと歩くにはちょうど良い。

我々は取り急ぎ、食事処を探した。見ればどの店もカキ料理ばかりで、「宮島はカキが有名なのか」と今更ながらに気付いた。これまではもみじまんじゅうしか意識していなかったので、今後覚えておきたい。
ただしヘナチョコはカキに良い印象が無いようで、また我輩もそれほど好物というほどでもなく、結局普通にうどんとそばが食べられそうなところに入って昼食とした。

食後、我輩は少々物足りなかったのでバラ売りのもみじまんじゅうを買って食べながら厳島神社を目指して歩いた。
小雨が降ったりやんだりと安定しないが、風は相変わらず無い。
岸部から大鳥居をバックに豚児の記念写真を撮ってやった。

思い返すと、我輩が最初に宮島へ来たのは小学校の修学旅行の時。
当時の記憶がほとんど無いにも関わらず、厳島神社の様子は何となく残っている。もちろん最近数年間に訪れた時の記憶が小学生の頃の記憶を上書きしてしまいそうになるが、それでも集合写真を撮った時のことなどは記憶に残っている。やはりそれなりに観光地然とした場所は印象的なのだろう。
そういう意味では、物覚えの悪い豚児であっても、この場所に連れてくることは無駄では無かろう。

神社入口前に馬の造り物があり、そこへ鹿が寄ってきたので写真に撮ってみた。
「この写真のタイトルは、"ウマとシカ"だな。」
豚児にそう言ってやったら意味が分からないようでポカンとしていたが、「略して"馬鹿"」と言ったらようやく納得した様子。

<ウマとシカ>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
ウマとシカ
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F4.0/1/160sec. [2014/08/09 13:42]

厳島神社の渡り廊下を歩くと、ちょうど潮が引いていくタイミングだったようで、川のような流れがあちこちに出来ているのが地面に見える。
豚児はそこにカニが歩いているのを見て喜んでいた。
「なんでカニって横にしか歩けないのかなぁ。」と言うので、「カニのほうは、人間が縦に歩くのを見て笑ってんじゃないのか」と言ってやった。
ただし、カニの仲間でもコメツキガニのように縦に歩く奴はいるが。

ふと見ると、片方のハサミがやけに大きく非対称なカニがいるのに気付いた。シオマネキであった。
シオマネキは以前から知ってはいたが、よく見れば右が大きい個体もいれば左が大きい個体もいる。この違いは何だろう? 単純にハサミの片方が大きいということよりも、同じ種で左右両パターン存在するということのほうが興味をそそる。

<シオマネキ>
シオマネキ
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F5.0/1/250sec. [2014/08/09 12:23]

厳島神社の廊下を抜けた後、海岸へ降りて大鳥居のほうへ歩くことにした。ちょうど潮が引いて鳥居の足元まで行けそうだった。
あちこち水の流れがあって辺り一帯はぬかるんでいそうにも見えたが、歩いてみると意外に地面は固く、上手く歩けば靴も汚れない。

大鳥居で豚児やヘナチョコの記念写真などを撮っていたところ、1組のカップルにシャッターを押してくれるよう頼まれたが、我輩はこういうのが嫌いなので、とっさに豚児に「おまえやってみたらどうだ?」と言ってみた。豚児は声には出さないものの「え〜っ?!」という表情をしたが、「練習だ、練習!」と半ば強制的に仕向けた。
見ていると、カメラを向けて何も言わずにシャッターを押したので、「"撮りますよ"って言わないと」とアドバイスしてやった。
我輩はその様子を写真に撮ったのだが、相手は何とも良い笑顔に写っており(顔は見せられないが)、豚児が撮る効果はあったかと思う。

ちなみに自宅帰着後のRAW現像時、ふと、豚児のフレーミングが気になった。人物だけフレーミングして背景の大鳥居が入っていないのではないか?
そこで豚児の構えたカメラの背面液晶パネルを拡大してみたところ、キチンと大鳥居も入っており、少々驚いた。

<大鳥居もキチンと入れて写している>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
大鳥居もキチンと入れて写している
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F7.1/1/100sec. [2014/08/09 14:18]

その後、特に行くあてが無く、ブラブラと土産物屋の通りを歩きながら鹿などの写真を撮っていたところ、宮島水族館の案内矢印が見えたので、「行ってみるか?」ということになった。
ところが、案内板の示す方向に従って歩いていくと、途中で道が二又に分かれておりどちらか分からなくなった。右方向の先は小さな切通しの道で暗くひっそりとしている。手元にあるポータブルナビゲには不思議なことに「宮島水族館」が出ていない。そのうち雨も本格的に降り出した。
そこでダメ元でポータブルナビの地図表示を国土地理院2万5千分の1地形図に切り替えたところ、そこには水族館の表示が出ており、ようやく場所が判明した。

水族館は思っていたよりも立派な建物だった。まるで最近改築されたかのように新しい。
海の生き物は基本的にどの水族館も違いは無いわけだが、見せ方は水族館なりに工夫があり、そこそこ楽しめた。また何よりも人が少ないのが良い。台風のせいか、あるいは分かりにくい場所のせいかは分からないが、とにかくその点だけは有難い。

水族館内ではカブトガニなどを中心に撮影したが、やはり暗いので撮影には難儀する。F2.8の明るさと5軸手ブレ補正機能で補ったが、動きの早い魚はやはりブレる。こういう場合は高感度が使えるフルサイズカメラが良いかも知れないが、それでも演色の異なる光源が混ざっている水槽もあってRAW現像時のホワイトバランス調整に迷うことも多い。
ストロボで照明出来れば話は簡単だが、まさかそういうわけにもいくまい。

水族館を出ると、雨は本降りが続いていた。台風の影響が強まったか。そろそろ引き際かと思われる。風が強くなる前に海を渡って戻るほうが良かろう。
土産物屋通りを歩いて戻っていると、台風による浸水対策のためか土嚢やブルーシートを囲っている店舗が多く見られた。

<浸水対策する店舗>
浸水対策する店舗
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F3.2/1/80sec. [2014/08/09 16:42]

海に近付くと、心なしか風が出てきたように感ずる。風力としては弱いものの湿気のせいか台風的な圧迫感がある。フェリー乗り場のほうからはスピーカーで「台風のため今後欠航することがあります」というアナウンスが繰り返し流れており、危機を感じた我々は乗り場へ急いだ。

フェリーは雨の中を出港、約10分後に宮島口へ着いた。
航行中は特に揺れは無かったが、岸に上がって振り返ると、海の色が暗く、そして少々波打っているように見えた。いよいよ台風が来るか。

この日は宮島行きの予定だけだったので、この後は夕食くらいしかやることは無い。とは言ってもまだ17時過ぎなので時間が早い。ホテルは呉市に予約しているし、荷物は広島駅のコインロッカーに入れてある。
ともかく、まずは広島駅まで出ることとする。

JR線では宮島口は始発駅ではないので3人で座れない可能性もあるし時間も早いので、宮島口始発の広電路面電車でゆっくり行こうかと考えた。そのほうが旅としての趣もあり、豚児にも良い体験かと思う。ヘナチョコも少々疲れたようだったので、始発から座って眠らせておこう。

<広電宮島口駅のホーム>
(※画像クリックで長辺1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
広電宮島口駅のホーム
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F3.5/1/125sec. [2014/08/09 17:17]

しかし外気温がそれほど高くないにも関わらず、車内はクーラーが強く効いてとても寒く、ヘナチョコはますます体調を崩した様子。しかも広島駅まで長時間であることが裏目に出た。

<広島駅までの長時間の乗車>
広島駅までの長時間の乗車
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F2.8/1/40sec. [2014/08/09 17:29]

広島駅に到着後、コインロッカーの荷物を出し、今度はJR呉線の電車を待った。これが15分くらい待たされた。
そして乗ったら乗ったで、これまた寒い車内。ヘナチョコは呉駅までの40分間が長く感じたことだろう。我輩はポータブルナビの画面で現在地を見ながら、早く呉に着くことを祈るしか無かった。

そんな時ふと電車内を見上げると、車内天井から「大和ミュージアム」の吊り広告が下がっており、1/10スケールの大和の写真が良く写っていた。
我輩もこれまで何度かその大和の写真を撮ったが、どうしても上手く写らなかった。なぜならば船首から撮ると逆光になってしまうためである。艦橋部などは完全に逆光でコントラストも低くなる。これは博物館としての設計上の欠陥としか思えない。あるいは上手く撮影させないための策だろうか。

それにしても広告の写真は逆光を感じさせない写りである。恐らく夜間にストロボを用いて撮られたものであろう。なるほど、これを見習い、外光の少ない時を狙って室内光のみで撮るのも一つの手か。
だが冬季の夕方を狙うなどしなければ難しい。いつか機会があれば試してみたいとは思うが。

ようやく呉に到着した後、ポータブルナビでホテルまでの間にあるファミリーレストランを検索、「ジョイフル」があるようだったのでそこに向かう。
風が少々出てきたように思うが、まだ暴風ではない。
食事をしながらヘナチョコに体調を訊いてみたが、少々持ち直してきたようだった。

食後、ホテルに向かったところ、妙に細長い建物で、しかもフロントが狭く驚いた。
手続きを済ませると、実はこの近くのウィークリーマンション様式の建物が宿泊場所とのこと。カギを渡されてそこから1分ほど歩き、普通のマンションのような建物の9階に上がった。
部屋自体はキレイでアメニティも揃っているのだが、良くも悪くも普通のマンション。やろうと思えば自炊も出来る。
とりあえず一休みした後、近くのコンビニエンスストアに行って明日の朝食を買い込んで部屋の冷蔵庫に入れておいた。

風呂に入った後、部屋でテレビを観てくつろいでいると、四国や宮崎などは台風の影響でものすごいことになっている様子。

<テレビの台風情報>
テレビの台風情報
OLYMPUS OM-D E-M1/12-40mmF2.8/ISO200/F3.2/1/80sec. [2014/08/09 21:03]

こちらでも、外から「ゴウゴウ」と音がし、時々「ボウッ!」と強烈に風が吹き付けたりもしているようだ。しかし9階の部屋では窓を開けて確認する気にならない。
ベッドの上に座ってジッとしていると、何となくビルがゆっくりとした周期で揺れているような気がする。強風のせいに違いない。ヘナチョコ妻や豚児は揺れているのが分からないと言うが、風呂の水面を見れば揺れは明らかだった。