2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[804] 2013年12月16日(月)
「毒を以て毒を制す」


前の雑文803「闘病生活」では、我輩の軽度の"買い物依存症"について書いた。

依存症だった同僚に我輩の症状を伝えると、「そんなのは心の病じゃなく単なる物欲だな」と言うのだが、心の病気というのはハッキリとした境界が無いものであり、それゆえに厄介なのだ。何しろ世間的には、鬱病などはごく最近まで単なる怠けとしか思われていなかったのである。しかも最近は、本当の怠けにしか思えないような鬱病もあるという。
そもそも自分自身が「これはちょっと普通じゃないな」と思っているのだから、何でもないはずは無かろう。病気ではないとしても、自分が病気であると思い込む病気かも知れぬ。

いずれにせよ、我輩はマイクロフォーサーズカメラ導入以降、病的にカメラを買い続け、そして現在この瞬間では「Panasonic DMC-GM1」の購入に悩んでいる。病のままに購入するならばここで悩むことは無いのだが、病に抵抗しようとするから悩むのである。

ところが我輩にはもう一つの病があったことを思い出した。
それは、「ノイズ嫌悪症」である。

我輩は、銀塩文化を絶滅の危機に追いやっているデジタルカメラの存在が許せぬ。
そういう我輩も20世紀の時代からデジタルカメラを導入してきたわけだが、銀塩カメラとデジタルカメラの両者は共存出来るものと思っていた。しかし、21世紀になってからのデジタルカメラの増長と横暴は目に余るものがある。若造デジタルカメラはもう少し隅のほうへ寄り、大先輩である銀塩写真にもう少し敬意を払うべきだ。
だが調子に乗ったデジタルカメラは言う。
「世の中、実力っスよ。」
ほう、そこまでナメた口をきくならば、その実力とやらを見せてもらおうか。もしその実力が大したものでは無かったら、その時は容赦はせぬ。

それ以来、我輩はデジタルカメラの実力には必要以上のものを求めている。画素数、レンズ解像度、周辺描写、手ブレ補正機能は現状でも満足出来ず、そしてノイズについてはまさに病的な嫌悪を示すようになった。ノイズが少しでも認められるデジタルカメラ画像は、我輩にとっては"悪"でしかない。
もちろん銀塩写真にもノイズ(粒状感)はあるが、デジタルカメラが銀塩を駆逐しようというならば、当然ノイズレスでしかるべき。

このように順を追って書くと、「ノイズ嫌悪症」も理屈から来るものと思いがちだが、発端がナメた口をきく若造デジタルカメラに対する感情的反発であるから、「ノイズ嫌悪症」は理屈ではない感情的なもの、つまり心の病なのだ。ノイズの乗った画像はとにかく見たくない。

そんな我輩が、徐々に出てくるようになった「GM1」の等倍作例を見て少し戸惑っている。
高画質とされる「GX7」と同じイメージセンサーを積む「GM1」であるというのに、等倍作例を見るとノイズがハッキリと見えるのだ。

ノイズというのは、どんなに高性能なデジタルカメラで撮ったとしても、アンダー露出で撮ったものを強引に増感現像(RAW処理)すれば、いとも簡単に現れるもの。作例ではどのような現像やレタッチをしているのか分からないので、何とも判断しようが無い。
適正露出でこのノイズなのか、あるいは強いアンダー露出を補正した結果なのか・・・?

出来れば作例はRAWデータそのものを入手出来れば良いのだが、今のところそれは少なく、しかも現在我輩の常用感度であるISO200のものは2枚しか無かった。
それらを自分の環境で現像してみたが、それでも暗部が少し汚いようにも見える。少ないサンプルでは撮影条件のせいという可能性もあり判断出来ない。もっと良い条件で撮影したものならば問答無用で良い画となる可能性もあるとは思うのだが、そういった底力があるのかどうかは現段階では何とも言えない。
もし確証の無いまま購入すれば、また「GF5」のような意味の無い導入となってしまう危険性もある(参考:雑文772)。ここは時間をかけて慎重に見極めたい。

結局のところ、「ノイズ嫌悪症」が買い物病と対立して「GM1」を買わせないようにしていると言えよう。
まさに、「毒を以て毒を制す」。