2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[784] 2013年01月28日(月)
「業務実績を積むマイクロフォーサーズ」


我輩は現在、デジタルカメラについては主に2つのシステム、「35mmフルサイズ判(以下、"フルサイズ"と略す)」と「マイクロフォーサーズ」を所有している。
フルサイズ判のほうは一眼レフ形態のため、レスポンス良好で使い勝手も良い。そしてそのイメージセンサーの大きさから、画質も当然ながら良い。
一方、マイクロフォーサーズのほうはミラーレス形態のため、レスポンスはあまり良くない。画質についても、フルサイズに比べるとイメージセンサーが小さく不利である。

ただし、システム全体の大きさと重量を考えると、フルサイズとマイクロフォーサーズではゾウとネズミの差がある。もちろんこの表現は誇張が過ぎるが、通勤カバンや上着のポケットに入るマイクロフォーサーズには、これまでに無い用途が広がっていることは確か。
用途の違いは役割分担の違いであり、このことが2つのシステムの共存を可能とした。

ところが、しばらくマイクロフォーサーズカメラを使っていると、マイクロフォーサーズであってもフルサイズに匹敵する画質を持つことが判った。もちろんそれは、"低感度設定にて露出過不足が無い"という限られた条件でのことだが、それでも「気合を入れて撮れば画質は何とかなる」という可能性を見出した。
そんな中、画期的なマイクロフォーサーズ機「OLYMPUS OM-D E-M5」が登場した。

「E-M5」の画期的なところは2つある。
「低ノイズ性」と「5軸手ブレ補正機能」である。
この2つは画質に関わる大きなポイントで、もちろん「低ノイズ性」は画質そのものだが、「5軸手ブレ補正機能」はスローシャッターでもブレ無く撮ることを可能とし、低感度設定のままで撮影範囲が広がった。

我輩はこれまで、NikonとCanonのレンズ内手ブレ補正機能、PENTAXのボディ内手ブレ補正機能を経験してきたが、「E-M5」ほど強力に効くものは無かった。「E-M5」は、我輩の超人的ホールドとの組合わせでほとんど無敵となり、無茶な撮影でも「もしかしたら撮れるかも?」という気にさせる。先日の北海道旅行で手持ち1秒撮影で花火を撮ったもそんな感じだった。我輩は等倍鑑賞派なので、等倍時にブレが少しでも認められれば採用などしない。それはつまり、あの写真の手ブレ補正の凄さを物語る。

また、マイクロフォーサーズシステムには、ミラーレスカメラとしては多くの交換レンズが用意されている。今は「E-M5」のような優秀なボディがあるので、レンズも費用をかけて一通り揃える甲斐がある。自ずと超広角レンズから超望遠レンズまでが揃い、それにより更に撮影範囲は広がった。確かに、フルサイズ機にあるような高級レンズは少ないが、高級レンズのラインナップがあっても高価で手が届かないのであれば、それは存在しないのと同じこと。当面は問題無い。

そしてマイクロフォーサーズはシステムとして軽量コンパクトなため、多くの交換レンズを撮影現場に携行出来ることも活用を推し進めることとなった。

結果的に、ここ最近は大柄なフルサイズの出番は極めて少なくなり、軽量コンパクトなマイクロフォーサーズが実質的に我輩のメインデジタルカメラになっている。

当然ながら、このような状態になれば業務用途でもマイクロフォーサーズの投入を考えるようになる。
ここでは、マイクロフォーサーズで行った業務撮影の実績を幾つか紹介し、マイクロフォーサーズの可能性を示したいと思う。
もちろん、業務用途とは言っても使用目的(仕様)ごとに要求クオリティは異なるので、その点の見極めは重要となる。「何でもかんでも業務用途に適するものだ」などという主張ではないことは前置きしておきたい。


●某協会平成24年安全祈願祭(2012年1月6日)

<仕様>
(1)安全祈願祭での役員会社集合写真の撮影。機関紙表紙にカラー掲載。
(2)賀詞交換会(立食パーティー)のスナップ撮影。機関紙にモノクロ掲載。

<撮影機材>
「PENTAX K-x」+「18-55mm F3.5-5.6」+サンパックストロボ(メインカメラ)
「LUMIX DMC-GF3」+「M.ZUIKO 17mm F2.8」(サブカメラ)

GF3(サブ)
GF3(サブ)

<詳細>
我輩は勤務先を通じて某協会の運営役員として活動しており、協会機関紙に掲載するための写真撮影の依頼を事務局から受けることが多い。この撮影はその一環である。
それまでの撮影ではいつもフルサイズカメラ「Nikon D700」に頼っていた。これは、ボディとレンズを分離させれば我輩の通勤カバンに入らなくもないが、それではさすがに弁当など他の物が入らなくなるため、撮影業務がある時にはカメラバッグに入れて持って行く。これは、乗り換え3回の通勤電車ではかなり億劫。
そこで今回、やや小ぶりなAPSサイズの「PENTAX K-x」を投入することにした。このカメラは元々、当時の通勤カバン常備カメラだったので、特に準備など必要無く日常そのままで済む。またそれに加え、サブカメラとして「LUMIX DMC-GF3」を試用することにした。「GF3」は正月の衝動買い的なカメラで、マイクロフォーサーズ自体もまだ我輩の主力ではなかったのだが、今回、賀詞交換会のスナップ撮影のみの限定使用として投入してみた。このスナップ撮影は掲載スペースも小さくモノクロ掲載なので、コンパクトカメラを使ったとしても用が足るもの。だからもし予想以上に画質が悪くなったとしても大きな問題は無い。

(1)「安全祈願祭」
安全祈願祭は夕方行われるため、昼過ぎまで勤務先で通常業務を行った後、通勤カバンを持って神社に向かった。
社殿内での安全祈願祭では、まず最初に参加役員を集めて集合写真を「PENTAX K-x」でストロボ撮影した。
その後の祈祷については撮影依頼は無かったが、性能を試す目的で「GF3」で撮影してみた。社殿内は大変暗かったが、祈祷中はストロボ発光が出来ないので、レンズは明るい「17mm F2.8」を装着していたが、それでもブレが多発。最終的にはISO800まで感度を上げたがブレ根絶には至らず、「GF3」での撮影は断念した。

(2)「賀詞交換会」
安全祈願祭が終わった後は場所をホテルに移し、立食形式の賀詞交換会が行われた。ここでは我輩も参加者に交じって談笑するため、「K-x」のような一眼レフ形態のカメラは使いにくく、全カットを「GF3」にて撮影した。
当然ながら神社の社殿内よりも明るく、「GF3」+「17mm F2.8」ではISO400でブレはほぼ無かった。しかしながら「GF3」の露出計が室内に対してはアンダー気味のためかRAW現像時に明るさを持ち上げねばならず、結果的にノイズが多く出てしまった。ストロボを使用しても問題無いシチュエーションではあったが、正面直照では場の雰囲気が失われるし、かと言ってバウンス撮影では外付けストロボを必要とするため、ここではノンストロボとした。

<賀詞交換会での撮影>
賀詞交換会での撮影

<結果>
マイクロフォーサーズとしては賀詞交換会記録撮影のみで特に問題は無かった。ここはコンパクトデジタルカメラでも担える役割のため、「GF3」で画質の問題があるはずが無い。
しかしISO800はおろかISO400の撮影でもノイズが目立つのは残念であった。もちろんこれは撮影時の露出不足とRAW現像時に明るさを持ち上げたことが大きく影響しているが、マイクロフォーサーズのイメージセンサーはコンパクトデジタルカメラよりもかなり大きいので、ただ単に役割をこなしたというだけでは不満が残る。使用目的として要求されている画質は満たしてはいても、どうせならば高画質で要求元を驚かせたい。それは今後の課題。
ただ、「GF3」の小ささとライトなデザインにより、相手に撮影をあまり意識させずに済んだと思う。この方向性は正しいと判断した。
そういうわけで今後のマイクロフォーサーズの活躍の場を広げるため、マイクロフォーサーズでの高画質化を図ろうと(つまりISO感度をむやみに上げずに済むよう)手ブレ補正機能のある電動ズームレンズ「LUMIX 14-42mm F3.5-5.6」を導入した。しかしこのレンズを実際に使ってみると手ブレ防止機能の効果は期待したほどではなかった。それでも電動沈胴式パンケーキズームということでそのコンパクトさは有用である。


●某協会の総会(2012年4月23日)及び大会(2012年6月8日、9月7日)での会場撮影

<仕様>
(1)登壇する人物のアップ撮影、会場全体の撮影。機関紙にモノクロ印刷で掲載。
(2)表彰受賞者の集合写真を撮影。機関紙にモノクロ印刷で掲載。

<撮影機材>
「OLYMPUS OM-D E-M5」+「LUMIX 14-140mm F4-5.8」

E-M5
E-M5

<詳細>
4月始めに手に入れた新型マイクロフォーサーズカメラ「OLYMPUS OM-D E-M5」を4月の総会でいきなりメインカメラとして投入した。
会場が広く、そして撮影距離もあるため、ストロボ撮影は難しい。フルサイズカメラ「Nikon D700」ではISO800で撮影する場面だが、マイクロフォーサーズなのでISO400を上限とした。当然ながらシャッタースピードが遅くなるが、「E-M5」の強力な5軸手ブレ補正機能が役に立つと考えた。

また、受賞者の集合写真もあり、それはストロボバウンス撮影を実施。

<結果>
望遠撮影では、ファインダーを覗いているとシャッターボタン半押しで手ブレ補正中は画面の揺れが止まる。しかしながら室内での望遠アップ撮影はさすがに荷が重いようで、ホールディングに少しでも気を抜くとブレが出てしまう。LUMIXレンズ側にも手ブレ補正機能があるためそちらに切り替えてみたりしたが、やはり気を抜くとブレが出る。
ただしブレの無いカットが得られるまで撮影を続けるのは「E-M5」の静音シャッターは重宝した。「D700」ではさすがにカシャカシャと音を立てるのは気が引ける。
ちなみに、撮影後にブレ写真を詳細に検証すると、被写体ブレも多く含まれていた。これは被写体の動きに起因するものであるから、いくら撮影側で手ブレ補正しようとも被写体ブレまでは補正出来ない。結局のところ、ホールディングもさることながら、被写体の動きを見切るタイミングも重要である。その点、フルサイズカメラは高感度に強く速いシャッタースピードが使えるのが強みだが、マイクロフォーサーズの小型軽量の機材で済むというメリットを考えると、今後もこの撮影では「E-M5」の活用を続けたい。

表彰者の撮影では、カメラの存在感があまり無かったが(雑文762参照)、かろうじて役目を果たした。
全般として、画質の面では特に問題は無い。

<大会での撮影>
大会での撮影
大会での撮影
大会での撮影
大会での撮影


●某協会セミナーでの撮影(2012年11月5日)
<仕様>
講師のアップ撮影、会場全体の撮影。機関紙にモノクロ印刷で掲載。

<撮影機材>
「OLYMPUS OM-D E-M5」+「LUMIX 14-140mm F4-5.8」

E-M5
E-M5

<詳細>
会場は一般的な教室的広さ。
セミナーという性格上、受講者の気を散らさぬようやはりシャッター音には気を遣う。その点、「E-M5」の静音シャッターは大変重宝する。何枚撮ろうが受講者の気を散らすようなことは無い。
10倍ズームは広角から望遠までこなし、全体風景を撮影する際でもレンズ交換無く14mm(換算28mm)で撮影出来るのが役立った。

<結果>
大会ほどの撮影距離が遠くないため、そこそこの望遠拡大で足りたが、たまたま動きの激しい講師だったため被写体ブレは頻発した。しかし何度も撮り続けることでカバーした。
結果としては問題無い。

<セミナーでの撮影>
セミナーでの撮影
セミナーでの撮影


●某メーカーの製品カタログ写真撮影(2012年8月2日)
<仕様>
モノクロ印刷のカタログ用製品写真として、電子パーツの撮影を行う。既存のカタログから新規追加分15点が対象。写真は切抜きでの使用。

<撮影機材>
「OLYMPUS OM-D E-M5」+「MicroNikkor 55mm F2.8」+接写リング2連

E-M5
E-M5

<詳細>
撮影対象は、指でつまむくらいの普通の大きさの電子パーツからピンセットでつまむような米粒大のチップ部品などあり、マクロレンズと接写リング無しでは撮影不可能と思われた。
我輩はNikon製のマクロレンズと接写リングを所有しているが、たまたまマイクロフォーサーズボディにニッコールレンズを装着するマウントアダプタを持っていたので、これを活用して「E-M5」を投入することにした。マイクロフォーサーズならばフルサイズよりもイメージセンサーが小さく、その分、拡大率が上がる。また画素数も「E-M5」は「D700」よりも若干多いので拡大効果が上がる。
撮影場所は客先の会議室を借りたが、事前の下見が出来ず照明のセッティングに難があった。具体的には、ストロボをクリップ固定しようと考えたが、クリップを設置する場所が無く、テーブル直置きとなってしまった。
撮影対象が小さいため、組立て式の簡易撮影ボックスを使用。
既存カタログの写真と撮影角度を合わせるため、撮影結果を客先担当者と確認しながら作業を進めた。

<電子パーツの撮影>
電子パーツの撮影

<結果>
さすがに米粒大のチップ部品に対しての拡大率は十分ではなく、撮影後にトリミング処理で対処せざるを得なかった。しかし仕上がりは特に問題無く、既存写真と違和感無く並んだ。
このような撮影は我輩所有の機材ではこれが限界であったが、それでもマイクロフォーサーズカメラを所有していなければ、大きなイメージセンサーのフルサイズでは苦戦しただろう。

<パーツカタログ>
パーツカタログ
パーツカタログ


●某協会平成25年安全祈願祭(2013年1月7日)
<仕様>
(1)安全祈願祭での役員会社集合写真の撮影。機関紙にモノクロ掲載。
(2)賀詞交換会(立食パーティー)のスナップ撮影。機関紙にモノクロ掲載。

<撮影機材>
「OLYMPUS OM-D E-M5」+「M.ZUIKO 9-18mm F4-5.6」+サンパックストロボ

E-M5
E-M5(メイン)

<詳細>
(1)「安全祈願祭」
今回は安全祈願祭の集合写真が表紙カラー掲載ではなく記事中のモノクロ掲載とのことで、我輩としてはモチベーションが下がっているが、編集会議にて変更される場合も考えられるため、カラー印刷に耐えるようには撮影しておきたい。
ここでは、既に多くの実績を積んだ「E-M5」を使用する。

(2)「賀詞交換会」
賀詞交換会については引き続き「E-M5」を使い、去年の「GF3」での撮影よりも画質向上を狙う。これは撮影業務のための努力ではなく、我輩個人としての要求である。マイクロフォーサーズの画質が前回のものが限界ではないことを確かめたい。

<結果>
(1)「安全祈願祭」
ダメ元で社殿内にてバウンス発光させたが、天井の吊りモノに強い光が当たったようでハレーションが起きた。
仕方なくストロボ直当てとしたが、前後2列に並んだ距離の違いにより露光量の差が出た。去年は撮影位置に若干余裕があったためカメラから見て2列の相対的距離は小さかったが、今回は背後に引きが無い状況(後ろに宮司がいたため)で撮影距離が近くなり、前後2列の相対距離が大きくなってしまったのである。
社殿内が暗く落ち込むのでスローシンクロとしたが、顔に電球色が被ってしまい無念であった。今回はモノクロ掲載のため問題無かったのが救い。

<安全祈願祭での撮影>
安全祈願祭での撮影

(2)「賀詞交換会」
去年と同じく、ホテルに場所を移して賀詞交換会が行われた。
「E-M5」は背面表示パネルが上下に可動する(ただし左右には動かない)ので、ライブビュー状態でカメラを高く上げて見下ろすアングルで撮影すると、人垣に邪魔されず見通しの良いカットが得られた。
ISO感度をあまり上げなかったが「E-M5」の強力な手ブレ補正機能により手ブレはほとんど無い。しかしシャッタースピード自体は遅いので、当然ながら被写体ブレは多かった。ただモノは考えようで、被写体ブレは人物の動きを表現するという効果もあり、その場の雰囲気も伝わってくるという点では悪くは無い。
我輩はこのカメラ「E-M5」では限界感度をISO400と定めており、今回はその原則の下でISO400にて撮影して低ノイズ画像を得た。しかし、もしかしたらISO800でも良かったかも知れない。露出アンダーさえ気を付ければ、ISO800であっても去年の「GF3」よりも低ノイズで撮影出来たのではないかと思う。

<賀詞交歓会での撮影>
賀詞交歓会での撮影


<総括>
マイクロフォーサーズをデジタルカメラのメインに据えて約10ヶ月。
我輩の業務で使用した限りにおいては、マイクロフォーサーズでも特別支障は無かった。しかしながら某協会の撮影業務がほとんどのため室内撮影ばかりとなり、撮影条件にバリエーションが無かった。
例えば雑文707で紹介した大規模イベントのような野外撮影に投入したとしたら、どんな結果となったろう。もし屋外での撮影の機会があれば、とりあえずサブカメラとして使ってみたい。軽量コンパクトなので、重量増は最小限で済むはず。

さて、室内撮影のほうでは主に低照度下であることが撮影を難しくしている。
低照度撮影での対応としては、「感度を上げる」、「シャッタースピードを遅くする」、「明るいレンズを使う」などが必要になろう。
フルサイズカメラ「Nikon D700」では、高感度特性が非常に高いのでISO800くらいまで上げることに何の躊躇も無い。また、明るいレンズは高価なので手が出ないものの、普及価格帯のレンズでも望遠ズームならば手ブレ防止機能が付いており、低速シャッタースピードもある程度使える。そういう意味では、やはり低照度下ではフルサイズ「D700」に敵うものは無い。

一方、マイクロフォーサーズの「OLYMPUS OM-D E-M5」の場合、従来のものよりも高感度特性は向上し、手ブレ補正機能も強力である。
しかしながら高感度特性が向上したと言っても、やはり「D700」には敵わない。もし露出過不足があればその差はさらに広がる。その分、強力な手ブレ補正機能でカバーして低速シャッタースピードを使うことになるが、被写体ブレの悩みは残る。
また、AF速度そのものは位相差式に負けないが、やはり暗い場所では弱いと言わざるを得ない。
我輩の印象で言うと、低照度下の条件では「E-M5」は「D700」の80パーセントの撮影能力であると思う。

この"80パーセント"という表現については、「低照度下での画質がフルサイズの80パーセント」という意味でもあるし、「残り20パーセントを撮影時の努力(※)によって補うことが出来ればフルサイズ画質にも匹敵する」という意味でもある。
(※この場合の努力とは、被写体ブレの無いタイミングを見ながら成功カットが得られるまで数多く撮るという対処)

それにしても「E-M5」が登場するまでは、マイクロフォーサーズカメラでのメイン運用などはとても考えられなかった。それまでの「LUMIX DMC-GF1/GF3/GF5」では、感度を上げることも出来ず、そしてライブビューのみのためしっかり構えることも出来ず、低照度下での限界点はかなり低かった。撮影時の努力でもカバー出来ない。
しかし「E-M5」では、努力で何とかカバー出来るところまで性能が向上した。ここまで来れば、マイクロフォーサーズの軽量・コンパクトであることのメリットが大きく活きる。通常業務の傍(かたわ)らで撮影をこなす我輩には、このメリットは非常に大きい。

なお、「職場でカメラ機材を購入すれば、個人所有機材を通勤カバンで持ち歩かなくとも良いのではないか」という意見もあるかも知れない。
我輩の職場カメラは、以前雑文615でも紹介したとおり、「PENTAX K10D」である。1,000万画素で数値上は特に不足は無く、故障も無い。だから、新たなカメラを買う名目は全く無い。
しかし、いまだ発展途上のデジタルカメラにおいては常に最新カメラを追い求めることは重要で、今更「K10D」など使う気にもならないのが正直なところ。そういう意味では、我輩の職場での備品カメラの活用期間は非常に短かった。やはり、個人所有機材のほうが機材購入で小回りが利くので実用的であろう。逆に言えば、趣味を兼ねているからこそ可能なことである。

マイクロフォーサーズのフォーマットとしての限界点はどこまであるのか分からないが、今後「E-M5」を超える上級機が登場すれば導入するつもりである。むしろ、待ち望んでいる状態と言える。
最近になってPanasonicからプロ仕様の「LUMIX DMC-GH3」が出たが、耐久性や使用感などが向上しただけで画質は「E-M5」には及ばないようなので、これを導入するつもりは無い。