2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
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10.アンケート
11.その他企画

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カメラ雑文

[615] 2008年01月31日(木)
「部下が配置された(2)」

先日書いた雑文606「部下が配置された」では、コメット製モノブロックタイプストロボの職場への導入について書いた。
実は、この導入は我輩の機材導入計画の前半に過ぎなかった。
導入計画の後半では、いよいよ一眼レフタイプのデジタルカメラの導入を進める。

しかしそうは言っても、安い買い物ではない。いや、安いものもあるが、安いカメラを選んで業務で使えなければ意味が無い。
少なくとも、今まで業務で使っていた我輩の私物カメラ「Nikon D200」に匹敵するものが欲しい。そうなると、交換レンズやストロボなどを含めるとかなりの額になる。

今回ばかりは、説得工作も緻密に計算し実行せねば、購入はかなり難しいと予想される。
そのためにも、まずは現状の把握が第一。

職場の機材庫を見てみると、20年近く前に購入したらしい「MINOLTA α-7000」と交換レンズ3本があった。カメラ本体は液晶パネルに若干の液晶漏れがあったが、それ以外の部分は特に支障無いように思えた。しかしレンズのほうは、絞り羽にオイルがベットリと染みており、その開閉が出来なくなっていた。修理が必要なのは明らか。工賃だけでもそれなりの金額になるはず。
まさかこのデジカメ全盛時代に於いて、雑文465「EOS7にすべきか、EOS Kiss-Dにすべきか」の時のように、「フィルムカメラを使え」という話にはならないとは思うが、もしそんな話になった場合には、修理無しには使えぬ現状を説明出来よう。

それから、200万画素のコンパクトタイプデジカメもあるはずだが、ここ最近誰かが持ち出したのか、行方不明である。
今回、その有無を再確認したが、やはり紛失したままであった。
「今どき、200万画素のデジカメなど持ち出してどうするつもりだ?」 その点が少し気になるが、まあ、この件は説得工作に利用出来る。

我輩は、機材を管理している総務課の課長殿のところへ行き、こう言った。
「業務で必要なのでデジカメを借りたいんですが、行方不明のデジカメはまだ戻ってないんですかね?」
課長殿は機材庫に探しに行ったが、当然ながら手ぶらで帰ってきた。
「やっぱり無いよ、どこに行ったんだろうねー。」
「えー、無いんですかー、困ったなぁ・・・。」
「じゃあ、みんなに捜索メール出してみようか?」
我輩はその言葉を待っていた。
「じゃあ私からメールを出しておきましょう。課長は忙しいんでしょう?」
「あ、そう? じゃあ、悪いけど頼んでいいかな。」

我輩は自席に戻り、早速、電子メールを書いた。
要約すると下記のような内容である。
「業務上、デジカメが必要だが、行方不明のため仕方なく私物のデジカメを使っている。心当たりのある者は返却して欲しい。」
この電子メールは、一見すると単なる捜索メールのように思えるが、実は"デジカメが無いため困っている"ということを上司らに認知させるための工作である。そのために、機材購入に関わる承認者である課長や所長も送信先として入れたのだ。全所員向けとは言いながらも、課長・所長がメールを読んで「デジカメを探してるんだなぁ」と思ってくれればそれでいい。今さら200万画素のデジカメが出てきても使い道は無いのだから、本気で見付かって欲しいと願っているわけではないのだ。

しばらくすると、何人かが声をかけてきた。
「デジカメ、無いんだって?」
「そうなんスよ。困ったなぁ〜。」

そういう会話を何度かやっていると、副所長殿が近付いて話に割り込んできた。
「デジカメ、新しいの買っちゃえよ。」
「えっ?! 新しいのを・・・?」
「無くて困ってんだろ?」
「いやまあ、とりあえず私物を使ってますんで、何とかなるんですけどね・・・。」
「私物かぁ、やっぱ買ったほうがいいな。買っとけ。」
「はあ、じゃあ機材選定して購入伺い出します。」

実は、副所長殿は雑文123「カメラつながり」に登場した当時の課長殿である。カメラ好きであるから、今回、このような会話になることを期待していたわけだが、あまりに狙いどおりになってしまい、自分でも驚いた。
まあ、こちらから要求すると、その必要性を説明するのが大変なのは事実。こういうトップダウンの流れになると非常に買い易い。

通常であれば、課長を経由して順に話をつける必要がある。ただしその場合、課長殿がさらに上司にうまく説明出来るとは限らない。かと言って、課長を飛び越えて直接所長殿に話をつけるわけにも行かぬ。
パソコンのように誰もが業務に使うものであれば、順に話をつけても購入は早いが、デジカメはどうしても使用者が限られるし、業務に結び付く印象があまり無い。そのため優先順位が下がり購入出来たとしてもかなりの日数を必要とするのだ。
まあともかく、"副所長の命令で購入する"という名目が立ったのであるから、もう他に気にすることは無い。

実を言うと、購入機種の選定は既に済ませ、「PENTAX K10D」とした。見積書もビックカメラで取ってある。

選定のための条件として、我輩は以下の4点を挙げた。
「(1)1,000万画素」、「(2)手ブレ防止機能付」、「(3)標準ズームと望遠ズームが必要」、「(4)シンクロコネクタ付」。
(1)については、印刷原稿として使うにはトリミング分を勘案してもこれくらいは必要だろう。
(2)については、所員の誰もが使うことを配慮せねば後々何を言われるか分からない。そういう意味で、手ブレ防止機能は良い配慮となろう。
(3)については、様々な撮影シーンに対応出来ることを期待した。必要になった時に追加購入は難しいと考えたため、最初の購入時に万全を期す。
(4)については、先に導入したコメットのモノブロックストロボが使えねば全く意味が無い。

我輩はまずSONY製カメラを考えた。職場のフィルムカメラがMINOLTA製であったから、同じマウントのSONYにすべきかと思ったのだ。
しかし肝心のレンズが要修理状態なため、SONYこだわる意味は無い。
かと言って予算枠は決まっており、いきなり「Nikon D200」などは選べない。

結果的に「PENTAX K10D」と決まったわけだが、シンクロコネクタの件は、ホットシューからアダプタを介して接続することにした。
もちろん、他にも条件に該当する機種は存在したが、予算枠内で最大の購入を考えると、これが一番近かったのである。
それでも、ストロボや予備バッテリー、そしてメモリなどの細かい物も入れると予算を超えそうになったため、望遠ズームはTAMRON製の廉価なものを選んだ。幸い、TAMRON製の望遠ズームはマクロ機能が強力で用途が広がるのが良い。

早速、購入伺いを作成し、見積書を添付して課長殿に提出した。
「副所長が買えって言うもんで・・・。」
「そうか、じゃあいいのか。」
いつもは「何に必要なんだ」とか「他で代用出来ないのか」などとすんなり通らない課長殿であったが、今回ばかりは副所長命令ということで突っ込みようが無い。

そういうわけで、2007年12月、我輩の第二の部下とも言える一眼レフデジタルカメラが配属された。
初仕事は、社内報に使う職場のポートレート撮影だった。コメットストロボと組み合わせは良好で、他の記事に掲載された写真に差をつける仕上がりとなった。


PENTAX K10D

PENTAX DA 18-55o F3.5-5.6 AL

TAMRON 70-300mm F4-5.6 Di


今回、我輩の緻密な工作が功を奏し一眼レフデジタルカメラの導入を果たしたわけだが、ただ、唯一計算外のことがあった。

今年度は会社の業績が良く、年度内に設備投資を色々と行うとのことで、導入したい機器についての募集がかかった。
ソフトウェアなどは数千万円もの投資をするらしい。
噂によれば、ダメ元で要求した高価な設備も、伺いがすんなり通ったという。
こんな調子ならば、フルサイズデジタルカメラ「Nikon D3」でも通ったかも知れない。

一眼レフデジタルカメラを導入したばかりで、今さら「やっぱりNikon D3が欲しい」などと言えるわけが無かろう・・・。