2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[606] 2007年07月23日(月)
「部下が配置された」

我輩はこれまで所内で色々と政治的活動を行い、自分の能力をPRしてきた(雑文589「政治的意図」は一つの例)。
そういった努力の成果は着実に実を結び、今では「写真撮影」、「印刷版下作成」、「ウェブサイト制作」などについては、必ず我輩に相談が来るようになった。例えば、関連会社の製品カタログパンフレットなどは、我輩がイラストや商品撮影、そして版下作りまで一貫して行った。

こういったことは、営業である我輩自身が制作作業を行うことでコストを低く抑えられるのが強みとなる。
他社との合い見積りの場面では、他社がスタジオやカメラマンの外注費用を乗せてくるのだが、こちらはそんなものは一切無い。そのため見積金額が他社よりも一桁安くなったこともあった。当然、その仕事は一発で受注した。

ただし、所内には撮影に関する設備が一切無いため、我輩は自前のストロボ機材「COMET ダイナライトM1000」(参考:雑文180「我輩のストロボ事情」)を自分の車に乗せて客先へ運び込むなどせねばならなかった。

商品の撮影というのは、形が歪んで写ってはマズイため、あまり近付いて撮影することは出来ない。そうなると距離を置いて望遠レンズで撮ることになる。しかし望遠レンズでは被写界震度が浅くなるため、目一杯に絞り込まねば商品の前後がピンボケしてしまう。
目一杯絞り込むためには、大きな光源が必要となるわけであるから、大型ストロボが不可欠となるのだ。

ただ、個人所有の機材を搬入したり使用したりするのは消耗や破損を早めるという心配がある。
また、自分の車も使わねばならないという点も負担に感ずる。かと言って社用車を使うと、自宅へ機材を取りに行ったり、車を会社に戻しに行くというところで余計な手間と時間がかかる。

このように、撮影作業一つとっても機材搬入などの作業が伴う。そして、それらを我輩一人で行っているわけである。
こんな時、部下がいれば助かるのだが・・・。

そこで我輩は、自分の作業を助けるための部下を付けてもらうことにした。前々から課長殿には相談していたことだったが、我輩の説得工作が実り、このたび我輩の下(もと)に部下が配置された。

それではここで、我輩の部下を紹介する。
名前は、「COMET TWINKLE 03 II」。出力400W/Sのモノブロックタイプストロボである。


我輩の部下「COMET TWINKLE 03 II」

「これが部下か・・・?」と笑うかも知れないが、コイツが来たことによって、我輩にとって非常に大きな戦力となったことは事実。

まず、この機材は会社に常備しているため自宅から車で運ぶ手間は無くなる。
さらに、電源部を内蔵したコンパクトなモノブロックストロボのため、ストロボヘッドが我輩の通勤カバンにスッポリと収まる。そうなると車でなくとも電車での移動も可能となる。もちろん、スタンドやアンブレラはカバンには入らないが、それらは畳んで束ねてしまえば、ちょっと太い杖のような感覚で邪魔にはならない。

このように、以前と比べると本当に手間が減った。


さてストロボ購入に際して、まず購入価格が10万円を超えて固定資産にならぬようにしなければならない。そのため、選定機材は価格で決定されることになる。
もちろん、ストロボヘッドだけでなくスタンドやアンブレラ、そしてアームも必要となる。それらを全て含め10万円以内にせねばならぬ。
400W/Sのモノブロックストロボ1灯だけというのは、そういうギリギリの選択であった。
(ちなみに我輩個人所有のストロボは、500W/Sが2灯であり、価格は35万円であった。)

当初、課長殿は我輩が購入について相談するたびに「考えておくよ」と答えるばかりで承認を渋っていた。パソコンのように誰でもその価値を認めるものについてはそれほど承認に時間はかからないのだが、ストロボなどはなかなか理解されにくいようである。
しかしパソコンは事務所内には数多くあり、少々我慢して旧いパソコンを使うならば用は足る。しかしストロボは、事務所内には1台も無いのである。有るか、無いか、この違いは大きい。

我輩も事務所内でパソコンを使ってはいるが、これまで新品のパソコンを購入してもらったことは1度も無い。他の所員が最新パソコンを買ってもらう際、リプレースされたパソコンを引き取りそれを我輩が使うのである。
実際、所内の半数近くの所員がこの10ヶ月の間に新しいパソコンに切り替わった。我輩はそれらのセットアップを任されているのだが、我輩自身は旧いパソコンのままである。まさに"紺屋の白袴"であった。

周りの所員からは「画像処理とか版下作る作業するんだったら、もっといいパソコン買ってもらったら?」とよく言われるが、最新のパソコンにしようが旧いパソコンのままであろうが、成果物として吐き出されるデータのクオリティに違いが出るわけでもない。
むしろ、我輩は自ら好んで新しいパソコンを避けていた。

というのも、今回のような絶対に欲しい機材がある場合に備えて切り札を育てていたのである。普段から新しいパソコンなどを買い続けていれば、ストロボのような理解されにくいものを買う時には苦労することが分かっていたからだ。

我輩は、渋る課長殿に最後の説得として、この切り札を使った。
「私、今までお下がりのパソコンしか使ったこと無いんですが、パソコンならそれでも事足るんですよ。けどストロボは他に代用出来ないので買ってもらわないと困るんですわ。いやホントに。」

課長殿は、その言葉で沈黙した。
そしてその場で、ストロボ購入の必要性についてのメモを書き、最終承認者である所長殿に上申してくれた。我輩は、すぐさま購入依頼の書類を作成し、所長殿が外出する前に一気に書類を回した。

ラッキーなことに、その日、我輩は田町のほうへ打合せがあり、その帰りに有楽町のビックカメラに寄ることが出来た。法人窓口で購入手続きをすることになるわけだが、ビックカメラに我輩の会社が登録されていなければ少し時間がかかるだろう。窓口の担当者と相談したところ、代金引換便でも送れるとのことだった。

早速、その場で課長殿に電話を入れ、代金引換で購入しても良いかと相談した。課長殿は「もう窓口にいるの?」とビックリしていたようだが、一応は代金引換の承認が取れた。
(ちなみに、担当者が念のため調べてみたところ、意外にも会社登録はされているようだった。本社のほうで何度かビックカメラを利用した実績があるとのこと。しかしまあ、ここまできたのだから当初の予定通り代金引換にしてもらった。)

実際にモノが届いてみると、「我輩しか使わぬような特殊な機材がよく買えたなぁ・・・。」と改めて感じた。


さてストロボの性能についてだが、400W/Sが1灯のみという意味ではそれなりに限界がある。主光を殺さぬようにしながら、レフ板など上手く使って光を回す技量が問われることになろう。しかし、出力が少し弱いこともあり、あまり光を回すと絞り込みが足らなくなるかも知れぬ。もっとも、仕事ではデジタルカメラでしか使わないだろうから、感度を上げて対処すれば良い話。
部下の能力が足りないところは我輩でカバーすべき問題である。


電源部を内蔵したヘッド部

もちろん、良い点もある。

本体にはスレーブ機能が内蔵されているため、シンクロコードを使わなくとも発光させることが可能。カメラ本体にはレフ代わりの小光量クリップオンストロボを装着しておき、その発光をトリガーとして使うのも良かろう。

また、アラームを備えているため、充電の状態が良く分かる。未充電のアラームが鳴っている間はシャッターを切らなければ良い。
いや実用性以外にも、客先で使う時にはプロっぽく見えるのが好都合。

これら2つの機能は、我輩所有のストロボには備わっていない。


スイッチの集中する操作部

カメラ本体については、これまで通り我輩所有の「Nikon D200」を使うことになろう。
使い慣れているという点もあるが、小物ゆえに自宅から持って来るにも苦労は無い。

それに比べてストロボの場合、我輩所有のものは車を使わねば移動が難しい。しかし今回のストロボは事務所に常備しているため、その点だけでも我輩を助けてくれる。その結果として気軽に使えるわけであるから、我輩の仕事の幅を広げてくれるのだ。

頼もしい部下が来てくれて、本当に嬉しい。