2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
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カメラ雑文

[780] 2012年11月25日(日)
「2012年観艦式」


我輩が小中学生の頃、祖父は焼酎片手に曽祖父の話をしてくれた。
曽祖父・虎太郎は、日露戦争の日本海海戦でバルチック艦隊を相手に戦った。当時は子供ゆえに祖父の話がよく理解出来ず、ただ漠然と「戦争の話か」と思った程度で、具体的な内容は全く覚えていない。
ところが10年前に祖父からのメモと手紙を受け取ったことから、虎太郎の海軍軍人としての姿を知ることとなった(参考:雑文「祖父からの手紙」)。

我輩は、戦時中に撮られたような不鮮明なモノクロ写真を見ても、想像力を総動員して当時の生の風景を頭の中に再生させることがある。しかしその想像力の源となるのは、これまで見てきた実際の風景、博物館で目にした昔の道具など、脳内データベースに収められた情報が基になっている。それらは画像だけでなく、音や匂い、空気感などあらゆる感覚にまたがる記憶である。

我輩は、日本海海戦の風景についての想像力をより具体的にするため、9年前に知人に同行する形で海上自衛隊の観艦式を見学した。
これにより、我輩の頭の中では100年前の遠い海の上の出来事がリアリティをもって映像化されることになり、時代を共有したことも無い曽祖父・虎太郎の意識に入り込むような錯覚さえ覚えた。

ところが今年、再び観艦式の見学を考えるようになったのだが、その理由は前回とは少々異なる。

最近、中国が経済発展を背景に軍備拡大を進め、フィリピンの領土を奪ったり、日本に対しても尖閣諸島への攻勢をかけている。
中国国内の世論も日本に対して挑戦的で、先日勃発した日系企業への破壊・略奪・放火などの反日暴動を見れば、今にも日本に飛びかかってきそうな勢いと言える。
こういった情勢から、ヘタをすると中国から戦争をしかけられるのではないかという危機感が出てきた。今の時代、戦争は珍しいものではなく、世界中では今この瞬間にも銃声は止むことが無い。日本周辺だけ例外ということは有り得ない。

こういったことから我輩は、日本の軍備について再び興味を持った。
ちょうど今年は観艦式が行われる年。今一度、観艦式を見学したい。

ただし、見学したいと思えばそれで見学出来るわけではない。ハガキやインターネットから応募し、抽選で当たらねばならない。3年に1度の開催ということもあり、競争率もかなり高いと聞く。
9年前の観艦式見学では、当選した知人に同行する形だったため応募時の苦労は無かった。しかし今回は自分で応募するため、当選まで気が気ではなかった。

我輩としては競争率のことを考え、「観艦式本番」よりも「事前公開」を、そして出港場所は人気の「横須賀」を避けて「横浜」を希望した。後は、虎太郎の導きを信じよう。

海上自衛隊公式ツイッターによれば、当選通知は9月14日(金)に発送するということで、届くとすれば翌週の17日(月)〜18日(火)くらいかと考えた。しかし待てども何も届かない。
19日(水)になっても届かず、さすがに「やはりダメか」と思った。次のチャンスは3年後か。虎太郎は我輩に霊的な配慮をしてくれると信じていたが・・・。

20日(木)にはもう完全に諦めており、いつもどおり自宅に帰ってカバンを畳の上に置いた。ふと、カバンを置く直前に何かあったような気がしたのでカバンを上げてみると、そこにはハガキが1枚あった。防衛庁から当選通知であった。
我輩は思わず歓声を上げ、豚児とヘナチョコ妻は目を丸くした。一度はダメだと思ったものが復活すると、気持ちが盛り上がるものだ。
1週間後、乗船券が封書で送られてきたので開けてみると、今回の乗艦は護衛艦「ちはや」ということが分かった。

さて、当日使用するカメラ機材についてだが、9年前の観艦式では66判として「New MAMIYA-6」、35mm判として「EOS630」を用いた。当時としてはフィルム撮影しか有り得なかった。
66判では望遠撮影が厳しいため、35mm判がメインとなったように思う。もちろん66判で良いカットもあったが、限られた場所からの撮影では広角系は構図に変化が付けにくく、あまりバリエーションは無い。

しかし今の時代であれば、望遠撮影については解像度的にはデジタルカメラのほうが良いだろう。色の深みを重要するならばフィルムを用いるところだがそういう撮影でもないし、フィルム撮影は以前実施済みであるので、今回は思い切ってデジタルのみとしたい。

一眼レフカメラのレスポンスの高さを考えると「Nikon D700」を使うべきかと思ったが、望遠撮影の敷居が低いマイクロフォーサーズも捨て難い。小型軽量であるし、画質の面でも遜色無い。ただし現状のミラーレス特有のレスポンスの悪さが懸念事項でもある。明るい場所でのAFそのものは高速だが、全体的な動きとなるとやはり切れが悪いとしか言いようが無い。

熟考を重ねた結果、狭い艦上での取り回しを考えると、やはりコンパクトなマイクロフォーサーズで行くことにした。高感度さえ使わねば、画質的にフルサイズに劣るところは無い。

今回は「OLYMPUS OM-D E-M5」をメインに、「Panasonic DMC-GF5」をサブとする。レンズは「14-140mm(換算28-280mm)」をメインとし、「7-14mm(換算14-28mm)」のほうは艦内や全体風景の撮影で用いることとする。
「100-300mm(換算200-600mm)」の投入も考えたが、あまり長望遠を使っても海上では空気の揺らぎが大きいと思い、やめておいた。ボディ2台にそれぞれレンズを着けた状態でシンプルに完結させたい。

港までの交通手段についても考えねばならぬ。
我輩は普段は電車を片道4本乗り継ぐ通勤者なので休日は絶対に電車に乗りたくない。これは肉体疲労の関係もあるが、精神疲労の面が大きい。そして出港前日まで色々と可能性を探っていたが、結局は駐車場料金のことや定刻到着性を考えると電車にせざるを得なかった。

当日は7時から8時までが受付となるため、7時20分頃に横浜港最寄の桜木町駅に着くように計画した。逆算すると、地元駅で電車に乗るのは6時頃。そうなると起床は5時頃か。

観艦式(事前公開)当日10月8日は晴れだった。
2日前は北海道苫小牧からのフェリーで酷い船酔いに苦しんだのだが、なぜかその状態が抜けない。船酔いそのものは治ったとも言えるものの、ちょっとしたことで目が回る。体調が良くないのは間違いない。
そのため、今回は念のため酔い止め薬を飲んでおいた。

早朝のため電車はガラガラで、いつもならば座れない電車が余裕をもって座ることが出来た。
桜木町駅に着いた後、駅を出てから港の場所を間違えないようポータブルナビの歩行モードを見ながら歩いていたが、観艦式に行くと思われる者たちが増えてきたので道に迷うことは有り得ない。
しばらく歩くと、自衛艦らしきシルエットが見えてきた。見るからに商船とは佇まいが違う。

<艦が見えてきた>
艦が見えてきた
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 07:28

港の入り口には、まるで運動会か何かのようなゲート。そこを抜けると、荷物チェック用として透明ビニール袋を渡され、ポケットに入っている物を入れるよう指示された。そしてカバンの中の点検を受け、乗船タラップへ進んだ。

<ゲート>
ゲート
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 07:29

我輩の乗船する艦は護衛艦「ちはや」だが、護衛艦「やまゆき」の外側に係留されているため、いったん「やまゆき」に乗った後、隣の「ちはや」へ乗り移った。

<護衛艦「やまゆき」経由で「ちはや」に乗艦>
護衛艦「やまゆき」経由で「ちはや」に乗艦
[LUMIX DMC-GF5/7-14mm/ISO200] 2012/10/08 07:39

そこで、海上自衛隊や「ちはや」についての広報パンフレットを受け取り、後方へ移動。毛布を配っていたが、我輩は特に必要性を感じなかったので受け取らず、そのまま急なタラップを上がって後部デッキへ行ってみた。

デッキには既に多くの者たちがおり、大きなデジタル一眼レフカメラを首に提げてる者もいた。
そこには観艦式の説明パネルが置いてあり、それによれば訓練展示は左舷で見られるとのこと。だが左側は人が多くいたので落ち着く場所が見付からず、再び急なタラップを降りて、艦中央部の左舷甲板にスペースを見付けてそこに陣取った。
隣を見ると、家族連れがブルーシートを敷いて座っている。そうか、いくら場所取りしても我輩1人ではトイレにも行けない。トイレに行くということは、場所を明け渡すということでもある。

ところでその場所の近くには、潜水艇が設置されていた。この「ちはや」は潜水艦救難艦という役割があるそうで、この潜水艇は潜水艦の救難時に使われるもののようだ。

<護衛艦「ちはや」の潜水艇>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
護衛艦「ちはや」の潜水艇
[LUMIX DMC-GF5/7-14mm/ISO200] 2012/10/08 07:59

8時半近くになり、後方からタグボートが2隻接近し、「ちはや」を少し押した後、「ちはや」はゆっくりと出港した。
港には海上保安庁巡視船にも数隻係留されていたが、巡視船デッキにいた数名がこちらに手を振っていた。

港内をしばらく進むと、「横浜ベイブリッジ」が見えてきた。
ベイブリッジには展望台があるようなので、向こうからこちらが見えているだろう。もし次回の観艦式に参加出来なければ、ベイブリッジ展望台から自衛艦の出港する様子を楽しむのも良いかも知れない。
(※後日調べたところ、この展望台は「横浜ベイブリッジ・スカイウォーク」と呼ばれ、2年前に閉鎖されたとのこと。大変残念であるが、そもそも閉鎖でなくとも観艦式出港は展望台営業時間前であった。)

艦はゆっくりとベイブリッジの下をくぐって行く。
我輩は橋の下から見える風景を超広角7mm(換算14mm)で撮影した。

<横浜ベイブリッジ>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
横浜ベイブリッジ
[[LUMIX DMC-GF5/7-14mm/ISO200] 2012/10/08 08:58

この艦の機関はディーゼルエンジンとのこと。前回乗艦した護衛艦「はるゆき」ではガスタービンエンジンだったので、ガスタービン特有の「キーン」というジェット飛行機のような音が印象的だったが、今回それを聴けなかったのは残念。しかしながら加速は素晴らしい。
また、艦のサイズはフェリーと比べると小さいが、揺れなどは全く無く、船酔いの心配をする必要も無かった。フェリーには揺れを抑えるスタビライザーがあるが、護衛艦のほうはそれよりもっと強力な効果を生むスタビライザーが付いているのだろうか?

そんなことを考えていると、海風に当たって少々冷えてきたのでポケットに入れてあったコンパクトジャケットを着た。寒いというほどではないが、冷えるとトイレが近くなることを恐れたためである。

前方を見ると、訓練展示場となる相模湾へ向かう護衛艦の列。
後方を振り返ると、始めのうちは特に船影は無かったが、左舷後方にボンヤリと自衛艦らしき姿が数隻見えてきた。横須賀出港の艦だろうか。周りを航行する商船とはシルエットが違う。そしてそれが段々と近付いてくる。

<遠くに自衛艦のシルエット>
遠くに自衛艦のシルエット
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 09:11

そのうちの1隻は異様に艦橋が高い。我輩はこれを見て、七福神の頭の長い「福禄寿」を連想した。こんなに高くて転覆しないのだろうかと見ているだけでヒヤヒヤするが、さすがにその点は問題無く設計されているはず。事実、横から見たシルエットではそれほどトップヘビーな印象は無かった。
我輩は個々の艦についての知識は持っていないが、このような異様な外見を持つということはそれなりに個性的な能力を有する艦なのであろうと想像する。恐らくはレーダー系か。

<我輩が勝手に名付けた七福神「福禄寿」>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
我輩が勝手に名付けた七福神「福禄寿」
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 09:59

その「福禄寿」は、後から来たにも関わらず後方から右に抜けて我輩の乗っている「ちはや」を追い抜き、列の前方に入った。

右舷からは、空母が追い付いてきた。
日本は戦闘機用の空母を持っていないのでこれはヘリ空母のはずだが、全通甲板を持つ艦影は米国の空母にそっくりなので、生で見ると一瞬ビックリする。
甲板上には多くの見学者がいるのが見えるが、全通甲板なので見通しが良さそうに思う。

<ヘリ空母>
ヘリ空母
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 10:51

他にもイージス艦らしき艦も追い付いてきた。前後も護衛艦が連なり、徐々に船団としての形態がまとまりつつあるようだ。

<イージス艦>
イージス艦
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 11:01

直進時は、前後部甲板に移動せねば前後の艦は見えない。しかし我輩は左舷で場所取りをしている状態なので移動は出来ぬ。
それでも隊列は何度か左右に方向を変えることがあったので、その時が撮影のチャンスであった。

<回頭中のシャッターチャンス>
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回頭中のシャッターチャンス
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 11:23

12時近くになると、観艦式会場に近付いたのか前方に多くの艦船が集まっているのが見えた。これほど多くの艦が見える光景はなかなか無い。もちろん、前回にも見た光景のはずだが、改めてその光景に圧倒された。やはり生で見る迫力と説得力は違う。

<艦が列をなして向かってくる>
艦が列をなして向かってくる
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 11:54

ただしそれは逆に言うと、ビジュアル的な凄さだけで戦略を語る過ちにも繋がりかねない。
例えば戦艦大和などは、それを実際に見た者は大きな衝撃を受けたに違いない。そして「これほどの艦が沈むはずがない」と思うであろう。今でこそ「大艦巨砲主義は既に時代遅れだった」と言われるが、当時その時代を生きてその場にいたとしたら、我輩はとてもそのような説には耳を傾けられなかったはずだ。いや、今でも信じられない。45口径46センチ砲を持つ7万トンの戦艦大和のような大艦が、4千トン程の小さな自衛艦に敵わぬとは。

そんなことを考えていると、訓練展示が始まった。しかしそれは我輩が待っている左舷のほうではなく、右舷のほうではないか。
「話が違うぞ。左でやるって言ったじゃないか・・・?」
急いで右舷へ移り、人垣の間から見える位置を探して撮影を始めた。
この時は勘違いしていたが、実はこれは訓練展示ではなく、「受閲」と呼ばれる最初の挨拶のようなものだった。しかし我輩は知らなかったので少々混乱してしまった。

<受閲>
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受閲
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 11:59-12:12

ひとしきり艦艇が通過すると、今度は航空機が次々に通過していった。
我輩は望遠レンズで空を狙ったのだが、フォーカスが中抜けするなどして手間取り、かなりのチャンスを逃してしまった。得られたカットもピンボケが多い。まだまだこの点は一眼レフには敵わぬか。

<各種航空機>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
各種航空機
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 12:21-12:26

それが終わると、我々の艦は大きく180度反転した。後続の艦もそれに続く。

続いて左側で訓練展示が始まった。ここからが本番であった。
まずは祝砲発射。
「バンッ!」という破裂音がして砲身が煙を吹いた。いや正確に言うと、煙が見えた一瞬後に破裂音がした。

<祝砲発射>
祝砲発射
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 12:42

周囲から「おー、煙の輪だ」と声が上がる。
見ると、砲の先に煙の輪がゆっくりと飛んで行くのが見えた。科学実験の"空気砲"で御馴染みの「ボルテックスリング(渦輪)」だった。

<ボルテックスリング>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
ボルテックスリング
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 12:43
ボルテックスリング
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 12:43

その後、潜水艦が浮上してきたが、以前見たようなザブンと飛び上がるような浮上ではなく、静かにコッソリと頭を出すという感じだった。

続いてヘリ空母からのヘリコプター発艦、そして洋上補給のデモンストレーションが行われた。

洋上補給では、以前乗艦した護衛艦「はるゆき」が現れたので感慨深く見送った。

<護衛艦「はるゆき」への洋上補給>
護衛艦「はるゆき」への洋上補給
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 12:57

次は2隻のホバークラフトの航走で、前方から後方へ抜けた後、Uターンして我々の船を追い抜いて行った。
ただしUターンして追い付くまで時間がかかるため、その間にミサイル艇がやってきて何かを打ち上げた。一瞬のことだったのでカメラの対応が遅れ、煙しか写せなかったのは残念。「D700」ならばメインスイッチを入れっ放しにしていても普通に使えるので、カメラを向けた瞬間にシャッターが切れただろうに。

航空機「P-3C」による対潜爆弾投下は、かなり離れた場所での爆弾炸裂だったため、足下から伝わる衝撃は皆無であった。前回はもう少し近かったので炸裂時の振動をかなり感じたものだが、今回は遠すぎた。

<対潜爆弾投下> ※トリミング
対潜爆弾投下
対潜爆弾投下
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 13:11

IRフレア発射もあったが、カメラのフォーカス操作に手惑い、思うようにシャッターが切れなかった。現時点ではミラーレスカメラで"動き物"はなかなか難しい。特に、画面に占める面積の小さい飛び物は・・・。

最後は救難飛行艇の離着水とのことだったが、見る限り着水する様子は無く、極めて低空かつ低速で我々を追い越して行った。アナウンスによれば、速度は飛行機にしてはかなり遅い100km/hとのこと。普通の航空機では失速するのではなかろうか。
目測では海面高度は10メートル程度しか無さそうだったが、その高度を維持したままずっと飛行して行った。

<救難飛行艇の低空・低速飛行>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
救難飛行艇の低空・低速飛行
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 13:18

訓練展示が終わったのは13時半近く。そのままの進路で艦は横浜港を目指して進む。
我輩は艦内に入ったりもしたが、居場所が無いので歩き回った末に結局甲板に出てきた。後部甲板に行くと簡易ベンチが何列も設置されており、そこに多くの者が座っている。我輩も空いているところに座った。やることが無いのでポータブルナビでも見てみようと思ったところ、バッテリーが消耗して電源が切れていた。仕方無いので座ったままウトウトした。

<後部甲板>
後部甲板
[LUMIX DMC-GF5/7-14mm/ISO200] 2012/10/08 13:31

15時半近くになると陽も傾き、段々風も冷たくなってきた。簡易ベンチなので、座ってしばらくは疲労回復には良かったものの、ずっと座っていると逆に疲れてくる。
我輩は立ち上がって後部甲板から降りることにした。
後部甲板には梯子のような細いタラップが2本しか無く、下船時には混み合って後部甲板から降りるのに時間がかかるだろう。今のうちに下のデッキで待機しておこうかとタラップを降りた。降りてみると既に混み始めていた。

港が近くなってくると、後部甲板から降りてくる者が増えてきて、我輩の周りもより一層混んできた。
寒さが一段と増してきたので、コンパクトジャケットのジッパーを目一杯上げて風を防いだ。しかしそれでも寒い。早く港に着かないかと思うのだが、港に近くなるにつれて速度が落ちて行くのでもどかしい。

その後、ようやく出港時と同じく護衛艦「やまゆき」の横に並んで止まった。しかしながら、係留作業に多少時間が必要とのことで、しばらくその作業を見守ることになった。
待っていると寒さが身体の芯まで伝わってきて辛い・・・。

<係留作業中>
係留作業中
[OLYMPUS OM-D E-M5/14-140mm/ISO200] 2012/10/08 16:30

寒さと疲れのため、帰りの電車を考えると少々憂鬱だった。恐らく行楽地からの帰宅で混んでおり座れまい。翌日は久しぶりの出勤なので疲れが抜けないだろう。
ところが意外にも空いており座って帰ることが出来たのは幸いだった。


帰宅後は画像をすぐにチェックしたかったのだが、2日前に北海道車中泊の旅から戻ったばかりで、そこで撮影した2,500枚ものRAWデータをまず調整・現像せねばならず、また他の用事で忙殺されたこともあり、実際に観艦式でのRAWデータを全て現像したのは1ヶ月後になってしまった。

今回の観艦式での撮影枚数は、2台のカメラを合わせて約700枚。
ホワイトバランスなどの色調整については全画像通しの一括処理でうまくいったが、色収差の調整や明るさのバラつきは1枚1枚手当てせねばならず手間がかかる。

画像をチェックしたところ、遠方の画像については像に揺らぎが認められた。やはり、100-300mm(換算200-600mm)級の超望遠ズームを投入したとしても活用出来る場面はあまり無かったろう。大艦巨砲主義はダメということか。

また驚いたことに、観艦式のスケジュール表と画像の時刻データとが1分単位でピタリと一致していた。そのおかげで、スケジュール表に書かれた予定時間を手掛かりにして該当する時刻の画像を開くと、まさにその演目の画像が現れる。
これは、海上自衛隊の装備の優劣の問題以前に、それらを操る隊員の錬度の高さ、そして彼らのやり遂げようとする意思の強さと責任感を表している。いくら立派な作戦を立てても、それを遂行出来ねば意味が無い。そういうことを隊員一人ひとりが理解しているのであろう。

今回は大変有意義な訓練展示を見せてもらった。
前回は荒天のため目を開けられずジックリと見るのも大変だったが、今回は落ち着いて見学・撮影することが出来た。そして多くの写真画像という大きな土産を持ち帰った。
今後、時間のある時にでも等倍表示しながらゆっくりと写真を眺め、自衛隊の装備について理解を深めたい。