2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[751] 2012年03月17日(土)
「マイクロフォーサーズでシステムを拡充(超望遠ズームレンズ編)」


ミニチュアというのは、実物に近ければ近いほど楽しい。
もちろん本物とはサイズが違うので、いくら出来が良くても実物に置き換わることはあり得ないが、サイズ以外の質感やギミックについてはその再現性が本物と比較・評価される。

中には本物と同じ機能を持ち、動作するものもある。例えばミニチュアカーであれば、ドアやボンネットが開き、エンジンの造形が造り込まれ、ステアリングホイールを回すとタイヤが左右に向く。
もちろんモーターなど無いので走らないが、自分が小さくなってその世界に入れば、このミニチュアカーに乗ってドライブを楽しむことが出来そうな気持ちになれるのが楽しい。

<ミニチュアカー>
ミニチュアカー

他にも、昔懐かしいお茶の間をジオラマによって再現したオモチャもある。これなどはミニチュアのテレビに実際の放送が映るようになっており、自分自身の意識がその空間に入り込むかのような錯覚を覚える。

<お茶の間ジオラマ>
お茶の間ジオラマ

こういうこだわりを持たず、オモチャということで質感やギミックで手を抜いてしまうと、結局は子供騙しにしかならないだろう。

子供は本物を良く知らない。だから、子供騙しのオモチャでも満足してしまう。
しかし大人は本物を知っている。だから、こだわりの無い子供騙しのオモチャでは満足しない。

ナノ一眼カメラ「PENTAX Q」というミニチュアカメラがある。レンズ交換というギミックを楽しめるミニチュアとして一度は購入を考えた(参考:雑文738)。
ところがこのカメラに用意されている交換レンズ5本のうち、実に3本がトイレンズ。MF専用・絞り固定の安物である。トイレンズは良いとしても、真面目レンズが2本しか無いというのはどういうことか。
結局は、肝心の交換レンズの少なさで諦めざるを得なかった。子供騙しのオモチャでしかない。

一方、マイクロフォーサーズカメラは、同じくミニチュアでありながらも数多くの交換レンズが用意され、画質も追求しており、本物のカメラのように十分使える機能と性能を持つ。
だから我輩は、先日発表された「OLYMPUS OM-D E-M5」を予約購入し、それを中心として本物の一眼レフと同様なシステムを組むことにしたのだ。小さなボディに本物のカメラを再現し、撮影機能やレンズ交換機能などのギミックを本物のカメラそのままに再現しているのが面白そうだと思ったのだ。

こうなると、サードパーティ製の特殊レンズ含めて全部揃えたくなってくる。
「円周魚眼レンズ」、「対角線魚眼レンズ」、「超広角レンズ」、「超望遠レンズ」、「マクロレンズ」、「大口径レンズ」、「PCレンズ」・・・。
コレクション趣味で言うところのいわゆる"コンプリート"を目指したい。
写真の撮れるミニチュアカメラで、意味も無くレンズを交換して写真を撮るのは、それはそれで面白いだろう。それでいて写りに妥協は許さない。本物を如何に忠実に再現するかということが、ミニチュアのあるべき姿なのだ。

<子供騙しのオモチャ?精巧なミニチュア?> ※写真はイメージ
子供騙しのオモチャ?精巧なミニチュア?

我輩にこのような気持ちを起こさせたのは、言うまでも無く「OLYMPUS OM-D E-M5」の登場がきっかけである。
現時点では未発売であるが、雑文745にも書いたように予約購入までしてしまった。

ただそれにしても、それが届くまでの約1ヶ月というのは実に長い。ようやく半月過ぎたが、残りもまた半月。
これまで、「超広角レンズ」と「超望遠ミラーレンズ(マウントアダプタ経由)」の導入について書いたが、いずれも「OM-D E-M5」の到着が待ち切れなかったせいでもある。そして今回、超望遠ズームレンズ「LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6」を導入してしまった。

<LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6>
LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6

このレンズはテレ側300mmであるから35mm判換算で600mmの超望遠となる。
しかし雑文747で紹介したミラーレンズでは換算値が1,000mmにもなる。なぜにわざわざそれよりも短い600mmを入手したのか?

それはやはり、AFレンズであることが大きい。
手ブレ防止機能も付いているが、「OM-D E-M5」の本体側にも手ブレ防止機能は付いているし、そちらのほうが効きが良かろう。実際、販促用のYouTube動画で手持ち600mmの実演があったが、見事にブレが止まっていた。
これがあれば、気軽な超望遠遊びが可能になる。

モノはもちろん中古レンズ。3万円台半ばのものも検索ヒットしたが、残念ながら売却済みとなっており、4万円のものを注文。
前回、「Nikon F2」と「PENTAX K-x」、そしてその交換レンズを売却し10万円分は金を返したので、また少し家計から借金させてもらった。

届いてみると、箱は少々くたびれていたがレンズ自体はほとんど未使用に近いものであった。
「OM-D E-M5」で使用するためのレンズではあるが、まだ手元に無いので「GF1」に装着して室内で試し撮りした。だが手ブレ補正機能が付いているとは言え、さすがに背面液晶しか無い「GF1」で超望遠レンズをしっかりホールドするのは難しく、少々ブレが出た。
(ちなみに、いくらブレ補正をしたとしても、映像の補正ズレ量が限界点まで達するとニュートラル位置に戻る動作があるので、その戻り途中でシャッターを切ると当然ブレる。)

そこで、カメラを顔に当ててEVF(電子ビューファインダー)を覗くような格好で撮影する。もちろん「GF1」にEVFは無いので、映像はハッキリと見えなくなるが仕方無い。
すると先ほどよりもかなりマシになった。やはり「OM-D E-M5」のEVFで使うのが一番良いだろう。

ただその時にちょっと思った。
「GF1の背面液晶でもルーペで拡大すれば普通のEVFになるのではないか?」
以前、浅沼商会だったかユーエヌだったか忘れたが、背面液晶用のルーペが発売されていたような気がする。
しかし我輩は中判カメラ用のルーペがあるので、それを流用してみようと思う。

一眼レフカメラは元々、フォーカシングスクリーンと呼ばれる擦りガラスにレンズの光を結像させる。その像を直接目で見てピントを合わせるのは難しいので、擦りガラスの上にルーペを載せて拡大させて見る。これがウェストレベルファインダーと呼ばれるものである。
ペンタプリズムファインダーの場合、ルーペの前にプリズムが置いてあるだけであり、結局は擦りガラスをルーペで見ているのは変わらない。
我輩などは、ポジの確認では一眼レフカメラのファインダーを愛用しているほど。

<一眼レフのファインダーはルーペそのもの>
一眼レフのファインダーはルーペそのもの

そこで今回、「MAMIYA645スーパー」用のウェストレベルファインダーを流用し、「GF1」をEVF化することにした。
偶然にも、「GF1」の背面液晶パネルは645判にジャストフィットした。粘着テープで固定して少々見栄えは悪いが、視野が大変広く、ヘタなフルサイズカメラよりも快適に感ずる。ただし液晶の目が粗いので、さすがにピントの山までは見えない。

<GF1をEVF化>
GF1をEVF化
GF1をEVF化

試しに撮影してみると、先ほどのブレが見事に消えた。脇が締まり、カメラが額で固定されるので、一眼レフで鍛えた撮影スキルが活きるのだ。
このレンズ、早く「OM-D E-M5」に装着したい。

屋外でのテスト撮影については、超望遠ということもあり散歩がてらや通勤途中での撮影は難しい。何か適当な被写体を見付けねばなるまい。
まずカワセミ撮影を考えたが、現れるのを待つ忍耐と追い回す素早さが必要なので、もう少し撮影頻度も多くジックリ撮影出来る被写体が良い。
そういうわけで、湖沼にのんびり浮かぶ水鳥を撮ってみることにした。

<水鳥をテスト撮影してみる>
水鳥をテスト撮影してみる

主なテスト項目としては、「テレ側600mmでの描写」と「手持ち撮影が可能か」という点である。この際、構図はどうでも良いので、とにかくテレ側目一杯でどれくらいの拡大効果があるのかを体感したい。

<換算600mmでの手持ち撮影>
換算600mmでの手持ち撮影
[LUMIX DMC-GF1/100-300mm/ISO200/1/1600sec. F6.3]


<換算600mmでの手持ち撮影>
換算600mmでの手持ち撮影
[LUMIX DMC-GF1/100-300mm/ISO200/1/1300sec. F5.6]

晴天のせいもあり、レンズ内ブレ補正でもブレた写真は少なかった(ゼロでは無かったが)。これが強力ブレ補正の「OM-D E-M5」であれば、完全にブレ写真は無くなるはず。
レンズの描写としては、特に目立つような問題点も無かった。色収差もうまく補正(光学的な補正なのかは不明だが)されており、RAW現像時にいちいち手当てする手間が不要なのが良い。

次に、空港で旅客機の撮影を行った。
以前、フルサイズカメラ「D700」と300mmレンズで少々望遠が物足りなかった被写体であった。今回は換算600mmということで、望遠には期待したい。

まず手始めに、駐機状態の航空機を目一杯引き寄せて撮影。
レンズ全長はズーミングによってかなり伸びたが、見た目は300mmレンズそのもの。しかし換算600mmなので望遠効果はかなりのもの。これは面白い。

<換算600mmでの手持ち撮影>
換算600mmでの手持ち撮影
[LUMIX DMC-GF1/100-300mm/ISO200/1/2500sec. F7.1]

飛行中の航空機を追ってシャッターを切るフォロー撮影は、当然ながら湖面で浮かんでいる白鳥よりも難しい。しかも手ブレ補正が「流し撮りモード」になっていなかったので、予想外の動きに翻弄された。残念なことに、その場ではモード違いに気付かなかった。

ところで、EVFは撮影結果がファインダー内に表示されるので、つい、撮影直後に表示される画像を見てしまう。そして2枚目の撮影をしようとして画面をライブビューへ復帰させると、もう被写体がフレームから外れてしまっている。そして、慌ててズームアウトして逃した被写体を探すことになる。
当たり前の話であるが、連続撮影中は確認など後回しにせねばならない。

<換算600mmでの手持ち撮影>
換算600mmでの手持ち撮影
[LUMIX DMC-GF1/100-300mm/ISO200/1/2000sec. F7.1]

また、ピントを外すと意外にも復帰が遅いのが気になった。
どうやらコントラストAFのためかフォーカス方向を見失い、いったんフォーカスが往復しているようだ。最新型である「GF3」ならばまた違う結果となったに違いないが、「GF3」はタッチパネル液晶のため貼り付け加工が誤作動を起こしそうで試していない。

少々苦労したものの、通常のライブビュー撮影をするよりもEVFで撮影するほうが超望遠撮影では断然有利だと感じた。当然と言えば当然である。
何度も繰り返すが、やはり本格的なEVF機「OM-D E-M5」が待ち遠しい。

ちなみに撮影時には気付かなかったが、この日は空気が不安定だったようで、被写体までの距離が離れれば離れるほど空気の揺らぎによる像の歪みが大きかった。

<空気の揺らぎによる像の歪み> ※トリミング拡大
空気の揺らぎによる像の歪み
[LUMIX DMC-GF1/100-300mm/ISO200/1/3200sec. F8.0]

それから最後に、超望遠撮影ではなく超広角撮影のほうの話になるのだが、ジャンボジェット機のコクピット内でも撮影を行った。雑文746で書いたようなスペースシャトルオービターのコクピットに限り無く近い条件での撮影と言える。

ここは「OM-D E-M5」で撮影したいものだがそれは叶わぬ望み。かと言って「GF1」や「GF3」ではレタッチ耐性が低いので、今回は「Nikon D700」を使わざるを得なかった。
ただしクリップオンストロボで直当てをすると、14-24mmレンズが大柄のため光を遮り大きな影が写り込んでしまう。だから、たとえ室内天井が黒色だったとしてもフルパワー発光させて強引にバウンスさせるしか方法が無い。

<狭いコクピット内での超広角撮影>
狭いコクピット内での超広角撮影
[Nikon D700/14-24mm/ISO200/1/200sec. F5.0]

もしこれがマイクロフォーサーズの超広角レンズであれば、レンズが小さくストロボ直当てでも邪魔をすることは無い。ストロボ直当てで硬調になり過ぎるのであれば、2光式ストロボを使ってメイン発光部はバウンス、サブ発光部は直当てとすることも出来るだろう。
いずれにせよ、狭い空間で大きなレンズを振り回す必要が無くなるのであれば有り難い。今度コクピットを撮影する時は、ぜひ「OM-D E-M5」で撮影してみたいと思う。