先日「PENTAX K-x」を導入した理由は、
雑文「PENTAXのデジタル一眼レフ導入記(その1)」に書いたとおり、常時携帯するメモ用途のデジタルカメラにも高感度特性を求め、ノイズの少ない画像を得たいというものだった。
我輩としてはデジタルカメラには、銀塩リバーサルのような深い色と緻密表現性を求めない代わりに、銀塩リバーサルを遥かに凌駕するノイズレス(フィルムで言うところの粒状性の良さ)を求める。そうでなければ、デジタルカメラが35mm判銀塩フィルム市場を絶滅のフチにまで追いやったことについてとても納得出来ない。
もしこの点を妥協するようであれば、我輩にとってデジタルカメラの存在は無価値となる。
一般的にデジタルカメラは、画素数が同じであればイメージセンサーの大きいほうが1画素分の受光面積(画素ピッチ)が広く、従って高感度特性が高いとされる。
ただ、イメージセンサーの技術革新や、ノイズキャンセルの後処理が加えられるなど、同じ画素ピッチの場合であっても時代が新しいほうが良い結果が得られることもある。
さて、我輩が現在所有するデジタルカメラの中では、ISO100などの中庸感度で撮影する限りにおいては、フォーサーズカメラであってもノイズはほとんど目立たず、我輩の要求仕様をクリアしている。だから、感度さえ上げなければフォーサーズカメラでも良いという結論になる。
(※ここではノイズの話題に限定しているため、被写界深度などの違いについては触れないこととする。)
そもそもISO感度を変えないこのような撮影は、銀塩カメラでは当たり前のこと。だから問題無いと言えば問題無いかも知れないが、デジタルカメラには銀塩カメラとは違う撮影用途を担わせているため、感度を上げてブレを防ぐような用法も必要となる。
もちろん、手ブレは撮影者側の努力で解決出来るものだが、被写体ブレとなると如何ともし難い。だから、結局はシャッタースピードを速くするために感度を上げざるを得ない状況も出てくる。
そうなると、フォーサーズカメラの高感度ノイズが問題となるのだ。
これまで我輩は、経験的に「これ以上の感度はヤバイ」という気分的なボーダーラインはあったのだが、ハッキリとしたルールは決めていなかった。そのせいで、後になって「やはり感度を上げ過ぎたか・・・」などと後悔することもよくある。
そこで今回、同じ被写体に対し、「K-x」を始めとする我輩所有のデジタルカメラにて同条件で撮り比べてみた。そしてそれをもとに、それぞれのカメラについての使用上限とする感度を決めておきたい。
用いたカメラは、(1)我輩が現在所有する唯一のフルサイズデジタルカメラ「Nikon D700」、(2)今まで使っていたメモ用途フォーサーズカメラ「LUMIX DMC-GF1」、(3)今回新たに導入したメモ用途APSサイズデジタルカメラ「PENTAX K-x」、(4)そして比較として職場の「PENTAX K10D」、以上4機種。全て1,000万画素級カメラである。
豚児所有の「PENTAX *istDS」も参加させようかとも思ったが、そのカメラだけ600万画素機と他とは足並みが揃わず、今回はやめておいた。
画像ファイルについて、JPEG劣化が少しでもあると画質の良し悪しが分らなくなるため、ここでは全てRAW撮影したものを使い、原寸画像はPNG形式で保存した。ただし、さすがに画像全体を掲載することは出来ず、狭いエリアを切り出している。
各サムネイルをクリックすれば、原寸PNG画像が別ウィンドウで表示される。
我輩の判定については、それぞれの画像サムネイル下に書き添えてある。常用感度と、緊急時にやむを得ず使う場合の感度、として記述した。
その判定となる基準は、「LUMIX DMC-GF1」を使ってきた経験を基にしている。というのも、「GF1」でメモ撮影した画像のうち、ISO400で撮ったものがどうにも満足出来なかったことによる。これが動機となって「K-x」を導入したわけであるから、この判定基準を尊重せねば意味が無い。
そして、その判定基準を他の機種へ横展開し、それぞれに限界感度を導き出したわけである。ここでは、青空の描写の滑らかさを一つの指標とした。
「Nikon D700」は、常用でISO800が使えるというのはさすがと言うほか無い。
「LUMIX DMC-GF1」については、やはりISO400での運用には無理があったと言わざるを得ない。
そして肝心の「PENTAX K-x」については、フルサイズには及ばぬものの、ISO400が常用出来るコンパクト機という意味で大きな可能性を感ずる。
「PENTAX K10D」については、もしかしたら「K-x」と同程度なのかも知れないが、ここでは僅かに劣るように見えた。
結果だけを書くと少々厳しい判定に思えるかも知れないが、画質変化の出ない安全範囲だと理解しておけば、この範囲内であればシャッタースピードや絞り値を調整するかのごとく感度も気軽に調整出来ると言える。
その上で、もしそれ以上の感度が必要になれば、その時あらためて画質の妥協を覚悟すれば良い。
とにかく最も避けたいのは、意図せず画質が低下すること。そうならぬよう、常に使用上限感度を意識しておくことは重要である。
さて次回は、所有PENTAXレンズの使い分けについて我輩なりに整理し、運用に手間がかからぬよう考えてみたいと思う。
(その6へ続く)