2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[556] 2005年12月12日(月)
「天文分野」

我輩が初めてSLR(一眼レフレックス)カメラ「Canon AE-1」を手に入れたのは中学生の頃だったが、その動機は天体写真を撮ることだった。

最初に天体写真を撮ったのは「Konica C35EF(ピッカリコニカ)」だったのだが、レンズ固定式のため星夜写真しか撮れなかった(シャッターはセロハンテープで強制的にバルブ状態とした)。望遠鏡などに接続して月面や惑星などを撮るなど不可能である。いや、もし物理的に望遠鏡に接続出来たとしても、ファインダーからは確認出来ないのであるから役に立たぬ。
それ故、SLRカメラが手に入ったということは、我輩にとって非常に大きな転機だったと言える。

天体望遠鏡については、小学生の頃に父親から買い与えられたものがあったのは幸いだった。当時既に父親と離れて暮らしていたため、我輩が望遠鏡をねだったわけでもない。
しかも不思議なことに、望遠鏡のドロチューブにカメラを接続するカメラアダプタも同梱されており、我輩が用意するのはカメラボディとFD用カメラマウントだけで済んだ。

SLRカメラのファインダーを通して見る天体は、今から考えると中央にスプリットプリズムなどが邪魔で、かと言って周辺のマット部でもザラザラした状態では天体の細部までは見えない。
しかしそれでも、「今見ているものがそのままカメラに投影されるんだなあ」という実感が強く、天体観測にのめり込むことになった。

中学時代は科学部に所属していたこともあり、天体観測の仲間には不自由しなかった。
中でも部長のオカチンやクラッシャージョウ、強がり者Kと4人で学校のグラウンドで天体観測をしたものだった。

オカチンは、自宅の近所に天体オヤジがおり、オヤジ作の反射望遠鏡を借りていた。またそればかりかビクセンの10cm反射望遠鏡も所有しており、6cm屈折式しか持たぬ我輩は少し羨ましかった。
(参考:雑文219「ミラーレンズ」

また、全天に広がる広大な星空を見上げ、この光景を写真に写し込みたいと思った。それには魚眼レンズが必要である。しかし中学生だった当時の我輩には、魚眼レンズのような高価で特殊なレンズなど所有することは不可能。いや、特殊過ぎて「手に入れたい」という発想すら無かったのが正直なところ。
(参考:雑文383「魚眼レンズ観」

さて、現在はSLRカメラも数えきれないほど所有し、しかも中判魚眼カメラも製作した。
金銭的にも、赤道儀付きの天体望遠鏡を買うことも不可能ではない(ただし要求仕様によって2万円〜40万円と幅があるが)。

ただし、我輩は現在関東に居住している。夜空を見上げても、星が見えない。うっすらと明るい空があるのみ。
都市部では天体望遠鏡など全く役に立たないのだ。
(参考:雑文159「撮れない写真」

ところが今年は、車を購入した。それにより、行動範囲が確実に広がった(参考:雑文536「車の撮影」

我輩は元々、鉄道や自転車、あるいは徒歩でどこにも行く気合いはあるつもりだが、終電を気にするような時間帯の行動は難しい。また、赤道儀付望遠鏡のような大きな荷物はさすがに手持ちは不可能である(望遠鏡関連だけならば可能かも知れないが、カメラ一式も加えるとさすがに無理)。
車はいつまで維持出来るか分からないため、天体活動をするなら今しかチャンスは無かろう。

我輩は、ビクセンのカタログをヨドバシカメラから持ち帰り、色々と吟味した。
「どうせ買うならば未経験の赤道儀式反射望遠鏡か。いや、やはり扱いの簡単な屈折望遠鏡か?中判カメラの重量を支えるために望遠鏡を同架させず頑丈なポータブル赤道儀にするのも一つの手。」

ただ、このようなことをいくら考えても、ヘナチョコ妻の説得が一番難しいと思われた。生活に必要なものではなく、ただ星を観たり撮影するためのものであり、しかも遠出しなければ使えない。
どのように説明すればヘナチョコが買う気になるのか。
もしこれを可能にする者がいるとすれば、恐らくトップ成績の営業マンであろう。

とりあえず、今季のボーナスは出たようなので、そのタイミングで話を切り出して反応を伺ってみた。
ところが、意外にも「うーん、どうしようか」などと考えているではないか。
ヘナチョコには考える余地など無いはずだが・・・?

我輩はふと、思い出した。ヘナチョコに隠された能力があることを。
ヘナチョコはなぜか、日本で見える星の一等星を全て知っているのだ。「ふたご座の一等星は?」と訊くと間髪入れずに「ポルックス」と答える。我輩は本を見ながらあまり聞いたことのない名前の星が当てられるかを試したが、それも見事に答えた。
それまで、ヘナチョコの知識は全ての分野に於いて我輩未満であると確信していたのだが、こればかりは圧倒された。後で調べてみると、一等星の数はそれほど多くないというのは分かったが、それでも全てを知っているというのは一般人にはいない。
ヘナチョコは天文少女だったのだ。

恐らく、もっと押せば天体望遠鏡は買う方向に進むだろう。そうは言っても、10万円前後の高価な買い物であるから、簡単に決めてしまうのも却って気が引ける。
しかも、今季のボーナスは出たが次はどうなるか分からない。リストラの空気が蔓延している職場では、あまりに危険過ぎる。

ヘナチョコが今回の案に反対しないものだから、逆に我輩のほうが危機感を持つことになった。
まさかとは思うが、ヘナチョコが敢えて我輩に判断を委ねることによって買わせないようにするという巧妙な戦略なのか・・・?

趣味というのは、一度手を出してしまえばどこまで行くか分からない世界である。
久しぶりに望遠鏡関係のことを調べてみたが、中学生の頃には聞いたこともないような用語が多くありビックリした。また接眼レンズなども、以前は小さいものしか無かったが、最近はもっと口径の大きなものが主流らしい。
そういうわけで、現段階では天文趣味の深さがまだ不明で恐ろしい。

天体観測が唯一の趣味であるならば良いのだが、他の趣味と両立させることが出来るかどうか。
我輩の求める観測対象をしっかりと決め、行き着く先を事前に見極めてそれ以上の出費をしない綿密な計画が必要と思われる。

もし、あまりに金がかかるようならば、残念ではあるが最初から天文分野はスッパリと諦めるのが吉か。