2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[219] 2001年01月31日(水)
「ミラーレンズ」

我輩が中学生の頃、仲間内で天体望遠鏡を持っている者は何人かいたが、その中でも反射式望遠鏡を持っている者はたったの1人、オカチンだけだった(本当は借り物だという)。

反射式望遠鏡は、望遠鏡の底にお椀型の反射鏡が取り付けられている。そして、その反射鏡は上から覗き込むと何の障害物も無く間近に見えた。
何よりそのバズーカ砲のような太い鏡胴は、とても子供が触れることを許されていないような雰囲気をまとっていた。言うなれば、我輩には縁のない別世界のものだったのだ。

それから5〜6年後、我輩は大学生となり一人暮らしを始め、家計を自分の裁量でコントロール出来るようになった。つまり、生活を切り詰めれば、比較的大きな買い物が出来る。

そんな時、ケンコーからミラーレンズが発売された。
それはスポッティングスコープの形態のミラーレンズで、焦点距離は300mmと500mmの2タイプが用意されており、カメラ接続用のアダプタを介せば交換レンズとしても使用可能だった。
商品名は確か「ケンコー・ミラースコープ」だったような記憶があるが・・・。

値段は5万円前後と当時の我輩にとってはかなり高額だったが、昔から憧れていたミラーレンズが手に入るならばと無理をして購入した。
我輩が購入したのは、300mmのタイプだった。500mmよりもコンパクトで、開放F値5.0とまあまあの明るさだった。

下図は、頼りない記憶を基に作画したものである。多少の間違いはあるかも知れないが、だいたいの雰囲気は出ている。

<ケンコー・ミラースコープ>
スポッティング・スコープの形態 交換レンズ(300mmF5.0)の形態


このレンズ、ずんぐりとしているがかなり軽い。補正レンズが何枚か入っているものの、基本的には主鏡と副鏡の2つだけの構造だから当然か。

キヤノンAE-1Pに取り付けてみると、まあF5.0に見合う明るさだった。AE-1Pのファインダースクリーンは、F5.6までの明るさならスプリット・プリズムが翳らないので、ピント合わせに支障は感じられなかった。
ただ、ミラーレンズ特有の問題として、絞り機構が無い。もっとも、レンズの明るさの問題から実質的には絞り込む必要性は無いだろうが。

今度はカメラから離して接眼レンズを装着してみる。すると、カメラで見た時よりも映像が大きく見える。しかも、ファインダースクリーンのザラザラ感の無い透明感のある映像が直接目に入ってきた。
その瞬間、中学生時代の気持ちが甦ってきた。
「反射望遠鏡の映像を、今見てるんだなあ。」
そして、しばらく飽きずに景色や月を見ていた。

このミラーレンズ、鏡胴が白色でカメラの交換レンズっぽくなかったため、黒い粘着シートを貼り込んで使っていた。


その後、ミノルタα-7000やα-7700iを手に入れ、αレンズも「100-300mmF4.5-5.6」のような全長10センチのコンパクトなものが発売された。そのため、MFで、しかも絞りも変えられないというミラーレンズの欠点だけが目に映るようになり、やがてαレンズと入れ替わるようにして我輩の手元を離れていってしまった・・・。
(下取りして少しでも安くしてもらわないと買えない)

今思うと、あのミラーレンズを手放すとは惜しいことをした。マウントアダプターでニコンにも付けることが出来たものを。今なら、白い鏡胴がF3/Tの白いボディとお似合いだったかも知れぬ・・・。