2000/04/05
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表紙

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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[517] 2004年12月13日(月)
「社会に貢献するのが企業の存在目的」

社会に貢献するのが企業の存在目的である。
そのことは、雑文377「キノン」でも書いた。

各企業には「企業理念」というものがあると思うが、「技術を通じて社会に貢献する」「お客様にとって最良のパートナーとなる」というものは良く見掛ける。逆に、「利益優先で突き進む」というような企業理念は悪徳企業以外では見られない。
(ちなみにキノンの企業理念は「共生〜世界の繁栄と人類の幸福のために貢献していくこと」だと。皮肉っぽいのが笑える。)

このことからも解るように、企業が存在する目的は利益を上げることでは決して無い。利益というのは組織維持・発展のためのものであり、あくまで結果的なものである。利益自体が目的化してはならない。

もし企業が利益だけに囚われるならば、客に求められるままに製品やサービスを提供することになり、その行き先は誰にも分からなくなる。
ある雑誌を見ると、ピッキングや盗聴・盗撮に使う道具の広告がズラリと並んでいる。カギ屋や探偵などには有効な道具類も、一般市民の手に渡れば別の問題を引き起こす。電動ピッキング装置など一般人に必要あるのか・・・?

もし、企業理念が「利益」であるならば、一般人にピッキングを広めることは市場拡大に繋がり、これは企業として当然の努力ということになろう。
その結果として空き巣が増加しようとも、「当社は自分の利益を考えただけのことですから、空き巣のことまでは関知しません」と言えるわけだ。
悪徳企業などはまさに利益優先であり、法の網をかいくぐって消費者から搾取する。効率的に利益を得るため、「こちらから与えるものは最小限に、相手から巻き上げるものは最大限に」ということを平気で行うのだ。彼らにしてみれば、法律さえ守っていれば良いのだというスタンスである。
こんなことが許されるものか。

企業は、「あるべき社会像」というビジョンを持ったうえで企業理念をうち立てるべきである。
そこには当然、自分たちの居場所があるはず。


先日、ニュース番組の特集で、晩婚化の問題をやっていた。
その中で、ある結婚式場では、結婚したくてもできない男性を対象として「お見合い講座」を開いていた。結婚式場の女性職員を見合いの相手に見立ててシミュレーションをさせ、話題の振り方や挙動などを指導するのである。

結婚式場として、結婚式の減少にどう対処するか。

普通ならば、同業者同士による奪い合いや、金額の水増しなど、消費者にマイナスになるようなことが容易に考えつく。サービス向上によって少ない客を囲い込む方法もあろうが、赤字ラインまで達すればどうすることも出来ない。ともすれば目立たないところで手抜きをすることにもなる。

しかしながら、晩婚化という根本的な問題に正面から取り組むというこの姿勢は前向きで素晴らしい。
手っ取り早く、結婚相手を紹介(マッチング)するというビジネスもあるにはあったが、単純に出会いの少ない男性の結婚についてのみ効果があるだけで、女性との付き合い方に不慣れな男性を救うことは出来ない。

そういう意味で、結婚式場による「お見合い講座」の開催は画期的と言える。
もちろん、この努力によって新たなカップルが増えたとしても、必ずしも自分の式場で結婚式を挙げるという保証は無い。だが、景気が悪いのを世の中のせいにしたままではなく、自分たちで世の中を変えて未来を創って行こうとする意気込みが感じられる。


カメラの業界はどうか。

「銀塩の市場が小さくなりましたので、もう銀塩は止めます」だと?
「画素数以外の価値観は市場に受け入れられないので画素数のみに力を入れました」だと?
「安ければ安いほど市場に受けるので、全体的な造りは安っぽくて故障しやすくなっております」だと?
もう、徹底的に流されてばかりだな。情けない。

そうやって流されて行くうち、いつの間にかバカばかりを相手することになり、市場が極めて不安定になった。ちょっとした流行り廃りで大きく会社が傾くのは、御輿を担がせる相手を間違えたとしか言えない。
もっと写真を趣味として楽しめる文化を育てることが必要ではないか。様々な価値観を受け入れる場を設けることが必要ではないか。

現在あるメーカー主催のサークルにしても、例えば尾瀬などに泊まりがけで行き、写真家講師の指導のもとに風景写真を撮る。あるいは写真講座を開き、それを受講する。
・・・実につまらない。
入会案内に掲示された活動の様子を写した写真を見ても、オヤジしか参加出来ないのではないかと思わせる。
実際には違うとしても、PRが足りないからそう思わせる。

もっと写真そのものが楽しいことだと思えるような、そしてベテランにも新鮮な企画は無いのか?
「若者にも面白いと思わせる企画」、「次のステップを考えさせるような企画」、「風景とポートレート以外のジャンルの魅力を体験させる企画」、「工場見学、一日体験開発者などの企画」・・・。

またサークルでなくとも、ユーザー登録した者に様々な案内を送ったり、パーソナルアンケートを実施しそれに基づく写真趣味的な提案を行うことも有効かも知れない。

我輩は現在、某財団法人に所属しているのだが、皆は利益ではなく一つの目的のために企画を立て活動している。
新しい写真の企画運営が企業単位で難しいのであれば、業界全体で社団法人などを設立し、魅力ある企画をどんどん立てて行けないものかと思う。


存在理由が無いにも関わらず無理矢理企業を存在させようとするならば、存在するための金が必要となる。だから利益そのものが目的化する。
しかし社会に貢献することによって企業の存在価値を高めるならば、企業は自然に社会に定着し、自ずと利益が生み出されることだろう。