2000/04/05
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表紙

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カメラ雑文

[476] 2004年02月25日(水)
「液晶表示を活かす」

本サイトの中で最も中心となる主張、つまり"主旨"は、「このサイトの主旨」にてまとめてある。
一方、本サイトを立ち上げた動機や目的としてのいわゆる"趣旨"については、やはり液晶表示式のカメラが使いにくいということに対する反発が元となっている。

元々、我輩は液晶デバイスは嫌いではない。
任天堂ゲームウォッチやデジタル腕時計など、我輩が最初に液晶表示に触れた時、それはまさに"クール"なデバイスというイメージだった。ガラス板の中にフッと浮かび上がる輪郭のハッキリした黒いキャラクタと、それが落とす影。液晶を挟むガラス板が厚ければ影との距離が大きくなるのだが、当時の新鮮な眼にはそれが立体的に見えたものである。
しかも低消費電力で何日表示させたままでも電池が減らない。まさに理想的な表示デバイスだった。

ところが、液晶表示技術を大きく発展させた電卓やデジタル時計はまさに数字の機械であり、7セグメントで表現される数字が液晶の印象となってしまった。そして、電卓やデジタル時計が安くなればなるほど、同時に液晶表示もチープな印象となった。
そのうちカメラにも液晶が導入され、今では電子カメラには無くてはならぬデバイスとなった。

それにしても、液晶表示が導入されてかなりの年月が経つというのに、いまだにモノクロでセグメント数字の表示であるのは納得出来ない。そのことは以前も雑文256「カラーの時代」にて書いた。
もっと分かり易い方法を工夫しても良さそうなもの。

もちろん、カメラとして数値表示は欠かせない。ビジュアルに表示させようと思っても、せいぜい露出の増減をバーグラフで表示するくらいであろう。
ただ、数値を表示させるにしても、表示配列を工夫することによって操作性や分かり易さを向上させることが出来るのではないかと思う。

まず一つの例として、現在の液晶表示の問題点である一覧性を向上させるアイディアを提示したい。

我輩は電子ダイヤルを最初に回し始める時、いつも思う。
「右に回せば良かったか?それとも左か?」
試しに右へ回してみると数字が逆に動いてしまい、慌てて回し戻す。どちらに回せば数値が増えるのか減るのか。あらかじめ覚えていたとしても、とっさにやろうとするといつも迷う。
「確か、さっきは右に回して失敗したような気がするから、今度は左か。」
変に深読みすると、再び失敗したりする。
これは、液晶表示が一覧性を持たないことによる弊害である。せめて、前後の数値を小さく表示させれば、どちらに回せば良いのかということを直感的に把握出来るのではないか(下図参照)。

設定値の前後の数値も表示させた例
・・500  250  125・・



この方式は、SONYのVAIOノート(パソコン)などには取り入れられている。パソコンの横に設置されているダイヤルを回せば、画面上に表示されたダイヤルが滑らかに回るのだ。もちろんこれはパソコンの表現力豊かなディスプレイを利用して実現したもので、カメラではそこまで凝った表示は必要無い。しかし、概念として見習うべきものがあろう。


さて次に、ダイヤル式の短所をカバーするために液晶の良さを積極的に引き出すアイディアの一例を提示する。

液晶表示カメラというのは、それまでの操作性を踏襲するために設定値が順列を持っている。例えばシャッタースピードの最高速1/4000秒から1秒に変えたい場合には、途中の1/2000、1/1000、1/500、1/250、1/125、1/60、1/30、1/15、1/8、1/4、1/2を通過せねばならない。
しかし、液晶表示であれば、ダイヤルのように固定された表示ではないのであるから、自由な表示が可能であるはず。途中を飛び越えてダイレクトに設定出来れば、それはダイヤル式には無いメリットとなろう。

下図は、各シャッタースピードそれぞれにボタンを設置し、それを押せばダイレクトに値が設定出来るものとしてのアイディアである。

値ごとにボタンを配置
4000 2000 1000  500  250  125  60 
30  15   8    4    2    1    B  
250

これは長所として、両端に位置する数値の変更であっても中間値を飛び越えダイレクトに設定可能。反面、短所として、多くのボタンを配置するスペースが必要。無理して組込むと一つ一つのボタンが小さくなり逆に操作性が悪化する。


以上、液晶表示を改良するためのアイディアを2つ挙げたが、最初の例がダイヤル式に近付ける意味での改良であるのに対し、2番目の例がダイヤル式にこだわらず液晶表示式独自の世界を作っているところが魅力である。少なくとも、液晶表示を採用することの必然性を強く感ずる点が良い。これはダイヤル式では不可能なのだ。

我輩は、現在の画一化された製品よりも、これらの例のようにそれぞれの特長を活かす個性ある製品がもっと市場に出ることを望んでいる。
似たような製品が多くとも、それがすなわち選択の幅が広いと言うことにはならない。違いのあるものが多く存在して初めて選択の幅が広がるのである。