2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[427] 2003年05月28日(水)
「ベストミックス」

5月から職場が品川へと移転し、それに伴い通勤路も変わった。他の社員にとっては慣れない部分もあるだろうが、我輩は半年前までは品川の隣駅である田町へ通っていたため、当初から足に任せるだけで無意識に品川に到着出来た。
(ただし本当に気を抜いていると、手前の田町駅で降りそうになってしまう。)

品川は現在、駅周辺の再開発が行われており、新しいビルにはいくつかの大きな書店がオープンした。そのうち一つは、夜10時まで営業しているとのこと。便利ではあるが、自宅の本がこれ以上増えぬよう気を引き締めて立ち読みせねばなるまい。

・・・以上は我輩の近況報告であったが、これを前振りとして話を続けることにする。

先日、いつものように雑誌などを立ち読みをしていて、そのうちの「月刊天文」にて一つの記事が目に止まった。
業務用カメラとして知られるフジの6x8一眼レフカメラ「GX680 III」に、スーパーCCDハニカム採用のデジタルカメラバックがオプションとして発表されたとのこと。記録画素数は最大で約4000万画素だという。
CCD自体の画素数は2000万画素とのことであるが、ハニカムCCDというのは素子の特殊な並び方を利用して出力画素数を増やすため、この場合は事実上4000万画素として機能する。

現在、我輩は銀塩中判写真をスキャナで取り込む場合には3000x3000ドットになるよう調整している。画素数で言えば900万画素か。
これは我輩所有のスキャナ性能としての上限でもある。これはフジの出力サービス「メディアプリント」で言うとA4サイズ(210x297mm)に対応出来るデータ量であるが、もっと大きなプリントで出したい場合はお手上げとなる(ただし現状ではメディアプリントの最大サイズはA4まで)。

こう考えると、4000万画素というのは非常にデータが大きく魅力的に思える。
しかしながら、デジタルカメラの画像というのはそのまま使うことが出来ないのは定説である。ある程度縮小処理をして引き締めねば、デジタルカメラ特有の臭いが抜けない。それは平面CCDの特性か、あるいはJPEG圧縮の影響か。
いずれにしても、4000万画素がそのまま使えるわけではないということは確かで、少なく見積もって3000万画素として捉えたほうが現実的。少なくともそう考えたほうが、後でガッカリせずに済む。

しかし3000万画素として考えても、利用出来るデータは十分に大きく利用価値が大きい。
もちろん、画素数だけでデジタルカメラを語れないことは確かだが、画素数の少ないデジタルカメラは用途が限られることも確かである。少なくとも写真をプリント出力することを視野に入れるならば、画素数が多くなければ話にならぬ。
直接デジタルデータに吐き出すデジタルカメラであるから、撮影の時点で最大のデータ量を得なければ取り返しがつかない。撮影後にスキャンし直せる銀塩であれば問題は深刻ではないが、デジタルカメラでは画素数の大小がプリント可能サイズの大小となってしまう。

そういう意味で今回の中判4000万画素デジタルバックの記事を見て確認したことは、中判カメラの世界に於いてもデジタル化は実用的であるということだ。今後、中判の分野に於いても、デジタル化の波が押し寄せてくることだろう。
だが、銀塩派としての憂いは無い。

元々、中判一眼レフカメラの場合、フィルムを装填する部分は通常別のパーツとなっており、フィルムの種類を変更したりポラロイドで撮影したりも出来る。ここで、フィルムの代わりにCCDユニットが取り付けられても、特に違和感は無かろう。
中判に於けるデジタルカメラバックとは、数あるフィルムバックの中の一つの種類に過ぎないのである。

使い方として例を挙げれば、「フィルム撮影のバックアップとしてデジタル画像も撮る」、「デジタル画像のバックアップとしてフィルムも撮る」、「ポラ切りの代わりにデジタル画像を撮る」、「マルチユースに対応する」などと、非常に便利な使い方が考えられる。デジタルのみ、あるいは銀塩のみで考えるよりも遙かに有用であり無理が無い。これこそまさに"ベストミックス"と言える。

35mmカメラの場合、一眼レフ形式のものを比較しても、銀塩カメラとデジタルカメラは全く別の構造であり、同じボディを共用することは出来ない。そのため、「どちらを選択するか」という議論になり易い。
中判カメラの交換バックのように、1台のカメラが銀塩カメラとデジタルカメラを兼ねるならば、敢えてどちらかを選ぶ必要も無い。

仮に、将来世の中がデジタル社会となり、中判カメラでさえデジタルバックが標準装備になるようなことがあったとしても、メーカーがオプションとして銀塩フィルムバックを用意するのはたやすい。複雑で歩留まりの多い精密電子機器ならばいざ知らず、町工場でも造れそうないくつかの部品をネジ留めしてあるだけの単純なもの。片手間にでも造ってラインナップに入れてくれるだろう。

以上の理由により、我輩は中判カメラがデジタル化することは大いに喜ばしいことであると考える。