少し前の日本では、飲み水はタダであった。水道水をそのまま利用すれば良く、飲料用の水として別に購入することは無かった。
そんな時、外国では飲料水がジュースと並べて売られているという話を聞いた。外国の水道水は飲料に適さないのだと言う。当時の我輩は、「ジュースと同じ値段で水を買うとはバカな話だな」と思ったものだ。
ところが現在では、当たり前のようにミネラルウォーターが売られている。
バカな話が現実となった。
東京都水道局のアンケート調査(平成13年)によると、ミネラルウォーターを購入しているのは55パーセントとほぼ半数。年々、水道水に対する安心感は低下している。
この調子では、SFジョークのように、いつか空気さえも有料となる日が来るかも知れない。まさに、星新一の小説の世界。だが、ジョークとしていつまで笑っていられるか・・・。
我輩は今まで何度か、写真・カメラ関係に於ける大胆な未来予測を立ててきた。その未来予測には「まさかこんな未来にはなるまい」と我輩自身でさえ苦笑したこともある。以前書いた
カメラ付き携帯電話の話題もまさにその類(たぐい)と言える。
だがこれらは、我輩の皮肉と警告を込めたメッセージでもある。
「こんな世の中になっても良いのか?」と。
意見を述べる場合、否定の言葉を並べるのは簡単なことだが、それによって何かが変わるとは思えぬ。否定される側にいる人間は、否定されれば反発する以外無い。だが、皮肉や警告として「こんな世の中になっても良いのか?」と問いかければ、また答えも違ってこよう。
未来がどんな世界になるかは誰にも分からぬ。
だが唯一確かなことは、未来を創るのは他でもない我々一人一人の意識と行動である。それぞれの問題に対して意識を持たぬまま過ごすならば、水を金で買う世の中になったように、バカな話が現実となろう。
我輩は、それぞれの良心を信じ、皮肉と警告の意味を込めて未来の姿を描く。