2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[411] 2003年03月30日(日)
「スキャンシステムの更新」

雑文403にて、書籍の電子化について書いた。
だがその直後、スキャナのドキュメントフィーダの不調が起こった。 見たこともないようなゴミ。それが、スキャンした後の紙に大量に乗っていたのだ。それは、強いて言うならば消しゴムのカスのようなものとでも言うのか。これが大量に画面上に散り、最悪、文字を覆い隠す。
これは、一体何だ?

詳細に調べていくと、それは用紙送りのローラーから出るものと判った。そのローラーは、表面がゴム引きされたスポンジのローラーで、ゴム部分と内部のスポンジが、長い間の使用によって剥離し、ゴムが浮いてスポンジを擦っていた。その際、スポンジが少しずつ練り出され、紙の上にこぼれ落ちたのである。

ゴミは厄介なもので、砂粒程度のゴミであっても、読みとり部分が止まったまま紙のほうを動かしてスキャンするため、止まったままのゴミがずっと邪魔をすることになる。その結果、紙送り方向にスジが入ってしまう。

まさに、大量の「写真工業」をスキャン中の出来事だった。


その時に使用していたエプソンGT-9600

我輩が書籍の電子化を始めた頃、スキャナもまだ高価で、その中で最も安価な「エプソンGT-6500WIN2」を5万円くらいで購入した。当時としては破格値であった。
このGT-6500WIN2は、NEC PC-9800シリーズ用のCバス経由パラレルポート接続で、使いたい時にスキャナの電源を入れればいつでも使えた。SCSI接続のように、パソコンが起動する時に認識させる必要など無い。
我輩は、このスキャナを使って本を1ページ毎にめくってガラス面に押さえ付けながらスキャンしていた。
今、それを思い出すと「よくそんなことをやったものだ」と感じてしまうが、まだ当時はスキャナで読みとること自体が便利なものであり、不便さの認識は無かった。

だがそのうち、パソコンがPC/AT互換機に置き換わると、このスキャナは使えなくなってしまった。
まあ、それはスキャナの買い換えも視野に入れたPC/AT互換機導入計画であったので、古いスキャナは同僚に引き取ってもらうことにして、その見返りに秋葉原まで車を出させて上位機種GT-9000を購入した。スキャンスピードを上げるための抜本策だった。
そして後日、ADF(自動給紙装置)を買い足し、ドキュメント取り込みの効率化を果たした。

数年後、結婚によって引っ越しすることになり、その機会に、それまで使っていたGT-9000を別の同僚に売ることにした。今度は3万円で売れた。この金を、次のスキャナ購入の足しにした。
その時に購入したのが、今回「写真工業」の読み取りで使っていたGT-9600である。
ADFも専用となっていたので同様に更新した。スキャナ本体だけでも10万円、ADFは4〜5万円はしたろうか。これは、もはや値段の問題ではなく、読み取りの早いハイエンド機にしたほうがトータルで得になると考えたからだ。
実際にはそれほど速度の差は無かったようだが、煩雑に使うADFが更新されたのは、給紙の安定性の面で良かったと言える。

それから数年、そのスキャナとADFは良く使った。特にADFはその長年の動作による振動のため、背面のネジが2本緩み、そのうち1つはいつの間にか紛失していた。それほど働いてくれた。
しかし、今回、給紙ローラーがダメになった。スキャナ本体も、内側にゴミが入ることが多く、画面にスジが入る度に筐体を開けてクリーニングして使っていた(隙間を目張りしたが、やはり長く使うとゴミは入ってくる)。

「よし、そろそろ新しいスキャナを導入することにしよう。」
我輩は決心した。これを機会に、業務用のスキャナをネットオークションで安く手に入れよう。両面読み取りならば、効率も格段に上がる。
とりあえず、作業中の「写真工業」を完結させたい。
応急措置として、ローラーの剥離面にボンドを塗り、ゴムとスポンジを一体にさせた。作動音が変わってしまったが、一応は正常に動いている。給紙が少し甘くなったが、後少し、踏ん張ってくれれば良い。

それと平行して、我輩はネットオークションでA3対応のスキャナ本体と、専用ADFを別々に落札した。一昔前の業務用スキャナ「エプソンES-8000」である。それぞれ、5万円ほどで落札出来た。金は、家計からの借金により調達。以前のロシア製シフトレンズの借金と合わせると30万円ほどに借り入れが膨らんでしまったが仕方無い。


エプソンES-8000と専用ADF装置

その新しいスキャナとADFは、宅配便によってそれぞれ送られてきた。
驚いたのがその大きさ。写真で見るよりもひとまわり大きな図体で、重さは2つ合わせて35kgはある。説明書にも、「設置作業には必ず2 人以上で行って下さい」と書かれてある。A3対応スキャナであるから、少なくともA4スキャナのGT-9600が単純に2台並んでいる以上の大きさか。
結局、箱自体が玄関を抜けられなかったため、その場で開封せざるを得なかった。

ヘナチョコ妻はそれを見て怒(いか)り、「もし自分しかいない時に届いていたら、蹴りを入れていた」などとほざく。金を借りていた弱みもあったが、さすがにそこまで言われると言い争いになる。

その後、我輩は一人でその巨体を設置し、セットアップした。確かに腰が痛くなる。しかしまあ、営業時代の納品物に比べれば、こんな重さなど大したものとは言えぬ。

新しいスキャナは、さすがに業務用として作られただけあり、非常に安定した動作で信頼出来るような雰囲気だった。何より、読み取り部が動いてスキャンする方式のため、原理的に画像にスジが入ることは無い。ただ、少し紙の厚さには気を付ける必要がありそうだ。薄い紙は詰まることがある。

しかし問題は、スキャナのユーティリティソフトウェアであった。
このスキャナのADFは両面スキャンが出来るのだが、その構造上、読み取り画像は下図のように偶数ページが逆さまとなる。しかも、給紙が逆順であるため、最終ページからスキャンが始まってしまう。



表裏2面読み取り時の画像の並び

これを並び替えるために、スキャナ添付ユーティリティソフト「Page Manager」というツールを使うことになる。
説明書によると、「Page Manager以外のアプリケーションには、順序を自動的に並び替えたり、表面/裏面を一括して回転する機能はありませんので、Page Managerを使うことをお薦めします。」と書かれてある。

我輩は、先に読み取らせておいたBMP画像ファイルを「Page Manager」に取り込み、早速並び替えを行おうとした。
「さあ、お手並み拝見。」

しかしどうしたことか、説明書に書いてあるような、偶数番目だけを回転させる機能が見付からない。どういうことだ?
色々調べると、「Page Manager」から直接スキャナを起動して画像を取り込まねば、回転処理用のウィザード画面が現れぬということに気付いた。
「この野郎、別途用意した画像は処理させぬとは心の狭いヤツだ。スキャナと組み合わせた使い方でないと仕事をしないということか。」
仕方が無いので、この「Page Manager」を使って画像を再度スキャンし直した。全く手が掛かる。

今度はスキャナから直接転送された画像であるため、正常に回転ウィザードが立ち上がり、処理も正常に行われた。
「よし、次は画像を汎用データに吐き出そう。」
ところが、どこを探してもそんな機能が無い。1枚1枚保存指定することは出来るのだが、数百枚に及ぶ画像を一括して連番保存することがどうしても出来ない。唯一、独自形式の画像フォーマットで擬似的にマルチドキュメントで保存出来るのみ。

何と言うことだ。
せっかく作業したスキャンデータが外部に出せないとは。しかも、作業ファイルは「Page Manager」をインストールしたディスクにしか作らず、OSやアプリケーションを格納したCドライブがどんどん容量が少なくなっていく。出来ればデータ用のDドライブを作業ドライブにしたいのだが、それは再インストールせねば無理らしい。馬鹿げた話だ。

幸い、ファイルの順列はフリーソフトで一括書き換えが出来ることが判った。最終ページから始まるファイルを、先頭から自動的に付番し直すのだ。
しかし両面スキャン時の、表面と裏面で逆さまになるものについては、フリーソフトでは使えるものが無かった。まあ、「偶数番目の画像ファイルだけを180度回転させる」などという妙な動作の必要性など、普通は考えもしないだろう。
全ファイルを一括して180度回転させるならば、「アドビ・フォトショップ」の一括処理で簡単である。だが、偶数番目のファイルを一つ一つマウスクリックで拾って別のフォルダに移すのは、非常に手間がかかる。200ものファイルについて、いちいち手動で行うのか?そして、そのような作業を、スキャンする本の数だけ続けねばならないのか?

我輩は、目の前が真っ暗になった。
「くそ、これはエプソンの嫌がらせか?今まで投資してきた恩を仇で返しやがって!」
もう、これは片面取り込みするしか方法は無い。せっかくの両面取り込みADFであるのに・・・。
そんな時、ふとひらめいた。
「なんだ、単純じゃないか!」
偶数と奇数を簡単に分ける方法。それは、エクスプローラーでファイルを表示させ、ウィンドウの幅を狭めれば良いのだ。二列のファイルが並ぶくらいにウィンドウを細長く調整すれば、上半分が奇数、下半分が偶数のファイルが並んでいる。あとは、後ろのファイルからマウスでドラッグして囲めば良い。


これで全ての問題が解決した。
「Page Manager」などという最低なソフトも使う必要が無い。

これからは、A3のような大きな原稿さえADFによって読み取りが出来る。両面読み取りによって、紙を入れ直す手間も半分に減る。ゴミ混入によるスジも入らない。

今日は、グッスリと眠れそうだ。


(2003.03.31追記)
しばらく使っていると、結構紙詰まりが頻発することが判明。静穏性と、線引きしないことについてはさすがだが、このADFは少しデリケートかも知れない。

(2003.04.01追記)
「エプソンES-8000」を業務用スキャナと書いたが、ADFスキャナとしては業務用とは言えないだろう。あくまでもフラットベッドスキャナとしての業務用である。

(2003.04.04追記)
確実に切れる裁断機(ディスクカッター)を導入したが、これにより紙詰まりが減ったように思う。