2000/04/05
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表紙

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2.用語集
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5.カメラ雑文
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カメラ雑文

[403] 2003年03月03日(月)
「健全な平衡状態」

現在、我輩は本に埋もれて生活している。
くだらない本や雑誌が大部分だが、我輩にとっては有用な情報源であり、なかなか棄てるには惜しい。

以前、カメラカタログの電子化について書いた。
カメラのカタログは、一般的な本に比べ頁数も少なく、電子化の際に苦労が少ない。そのため、最初にカタログの電子化を始めたわけである。
それに対し、毎月出版される雑誌については、頁数も多くデータ量が膨れ上がる。カラー頁が多ければ、それこそ1冊分でも200MBを越えたりもする。そうなると、閲覧も大変である。
雑誌の電子化は見送るべきか、と当時は考えた。

さてその後、雑文262では、「月刊CAPA」を電子化したという話を書いた。「月刊CAPA」ならば、もうこれ以上購入することもなく、電子化が済めばそれで完結する。これ以上増えないと分かっているから気は楽。
データ量としてはそこそこに大きくはなったが、本のほうは安心して棄てることが出来た。どうしても見たい情報があるならば、重いデータながらも閲覧は可能である。

ところが「月刊CAPA」の廃棄によって空いたスペースも、ほどなく他の雑誌が埋めてしまった。毎月購読する雑誌のせいである。
毎月買う雑誌であるから、その量は少しずつ増えていくことになる。それを止めるには、少なくとも毎月1冊は処分せねばなるまい。1冊増えるごとに1冊棄てる。いわゆる平衡状態である。

ただし、健全な平衡状態に持っていくためには、今まで蓄積された分を処理せねばならない。そこで始めたのが、雑誌「写真工業」の電子化である。
これはカメラ雑誌ながらもカラー頁が比較的少ない。しかも有用な内容であるために電子化する価値がある。これから先も続けて購読するつもりであるから、どうせ電子化するならば後でまとめてやるよりも、早めに手をつけておいたほうが良いと考えた。

<本の背切り>
まず、本の背を切ることから始める。
「写真工業」は無線綴じではあるが、古いものはホチキスも2打ち入っている。そういう場合、ホチキスの針を丁寧に抜かねばならない。力任せにやると、紙が破れたりホチキス針が切れたりするので注意が必要。
その後、糊の付いた端の部分をハサミで切っていく。裁断機があれば・・・とも思うが、枚数を欲張ると紙を噛んでしまい台無しにする恐れがある。地道に切るのが確実で後悔が無い。

<原稿整理>
背を切ってバラの紙となったものを、カラーかモノクロかによって分類する。
カラーはカラーで、そしてモノクロはモノクロで、それぞれまとめてスキャンしたほうが効率良いのは言うまでもない。その場合、後で混乱無く再構成出来ねば落丁・乱丁となってしまうのだが、幸運なことに「写真工業」のカラー頁は巻頭部にまとまっているため、混乱することはあまり無い。

<スキャン>
スキャナで読込ませるには、ADF(オートドキュメントフィーダー)という自動給紙ユニットを用いる。これ無くして雑誌の電子化は不可能である。
ただし、ADFはスキャナの読取りヘッドを固定し紙のほうを動かすため、コンタクトガラス面にゴミがあると、画像に線引きを引き起こす。雑誌の背を切ったことにより紙粉が多く出るので、こまめな掃除は欠かせない。
また、紙粉は給紙をジャムらせる原因にもなる。
スキャン時の読取り設定は、dpiを大きくするとスキャン速度が低下するので、無闇に大きくできない。かといって最初から目的の大きさでスキャンしてしまうと、写真網点がモアレを発生する場合がある。モアレの出方は、写真の網目の大きさに左右する。それを避けるには、ハッキリと網が見える大きさでスキャンすれば良い。
「写真工業」をスキャンする場合、我輩は350dpiに抑えてスキャンしているが(本当は400dpiでやりたい)、それでもスキャナが旧いためか、1枚あたり45秒ほどかかっている。

<リサイズ・色数調整>
大きめにスキャンした画像は、レタッチソフトでリサイズする。
理想としては、キリの良い1/2縮小によって2画素で1画素(平面で言うと4画素で1画素)を生成したいが、それは無理なので2/3くらいに縮小する。縮小した後、文字がボケるのでシャープネスを若干上げる。
更に、紙の地が白のベタ色でないとデータ圧縮率が悪くなるので、レベル補正によって底上げする。
そして最後に色数を落とすわけだが、モノクロは16色あれば十分である。ただしカラーは256色は欲しい。
これら全ての処理は、バッチ処理によって一括して行う。

<頁組み>
そのままでは1枚1枚のデータが独立したファイルであるため、それらをまとめる必要がある。
最近では、アドビ・アクロバットPDF形式のデータにすることがトレンドであるが、我輩が書類の電子化を始めた頃はそのようなものは存在しておらず、何よりPDFファイルは我輩にとって"得体が知れない"という気持ち悪さがある。果たして、10年後も今と同様に読むことが出来るのか?バージョンアップによって旧いデータが読めなくなることは無いのか?
PDFファイルは、業界のデファクト・スタンダードではあるが、汎用データではない。これは重要。
我輩が現在利用しているのは、マルチTIFF形式のデータである。TIFFデータならば、汎用データとして特定のアプリケーションに依存しない。ウィンドウズ添付アプリケーションソフトの「イメージング」でも利用可能。
我輩は、富士通ミドルウェア製「イメージオフィス」というファイリングソフトを使っているが、操作性が違うだけで、やっていることは他のソフトと何も変わらない。
イメージオフィス上で行う作業は、複数の画像ファイルを1つのTIFFファイルにまとめるということである。注意すべきは、ADFで取込んだ画像は、そのままでは「表表表表・・・、裏裏裏裏・・・」という並び順になるという点。それは、イメージオフィス側で並び替え処理で解決させる。

<データ圧縮>
マルチTIFFのデータは、複数の画像が積み重なっただけのデータであるため、その容量はかなり大きくなる。そこでデータを圧縮することになるが、イメージオフィスはデータを取込んだ時点で自動的に圧縮処理を行っている。これは可逆圧縮であるが、これが非常に重要で、例えばJPEG画像などの不可逆圧縮であれば、小さな文字が潰れて読めなくなることがある。圧縮率が高い画像形式であるから大きめのサイズで画像を取ってもいいのではないかと考えがちだが、そうするとスキャン速度が低下する上にイメージファイルとしてのハンドリングが悪化するのは避けられなくなる。限られた面積のモニタ画面に、大きな画像を表示させるのはスクロール作業が多くなり閲覧が疲れるのだ。小さな画像サイズで文字と写真がクッキリ見えるのが理想的。

<データの保存>
我輩がファイリングを始めた最初の頃は、文字主体の本を選びモノクロ2値画像にして128MBのMO(光磁気ディスク)にデータを保存していたが、CD-Rドライブが10万円を切ったことによりCD-Rでの記録保存を始めた。1枚あたり「写真工業」6冊分くらいである。
しかし、その頃のCD-Rも今では劣化が進み、現在はデータ救済のためのバックアップを行っている。ただし、CD-Rではコピー元と同枚数が必要となるため、DVD-Rにまとめている。その流れから、新規データもDVD-Rに格納することにした。これならば1枚あたり40冊くらいは格納出来る。



・・・というわけで、以上の工程を経てイメージファイリング用データが得られる。
最近のパソコン性能向上により、かなり効率は上がっている。以前は2台のパソコンで分担していた工程も、今では1台のパソコンで十分にこなす。スキャナで読取りながら、同時にリサイズと減色のバッチ処理を走らせ、また同時に頁組みと圧縮処理を行う。要するに、常に3冊分の処理がパソコン上で平行して走っていることになる。
閲覧の問題も、現在のパソコン性能ならば十分に実用レベルに達しており問題無い。

ただし、「本の背を切る作業」、「ADFにセットする作業」、「定期クリーニングの作業」、「ソフトを操作して処理を走らせる作業」など人手を要する作業が含まれるため、完全な無人稼働は不可能である。ADFがジャムればまた手間も増える。

こうやって振り返ってみると、雑誌の電子化というのはやはり一苦労。何よりパソコンに付きっきりになるのがツラい。雑文もしばらくは後回しとなろう。
それでも、こうやってDVD-Rに「写真工業」が収まると疲れが消える。紙の状態ならば15kgくらいになるものが、たった1枚の光ディスクに収まりパソコンの画面上で閲覧出来るのである。
この達成感こそ、作業を継続させる力なのだ。

そのうち、インデックス作成も完了させ、必要な時に必要な情報が引き出せるようにしたい。
これが完成し、毎月1冊ずつの平衡状態に落ち着くまでが、今の我輩の目標である。

<写真工業の束>