2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
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5.カメラ雑文
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7.テーマ別写真
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カメラ雑文

[380] 2002年11月04日(月)
中判魚眼レンズへの道(4)「残る後悔」

少し前の話だが、後悔無く生きるという我輩の気持ちは、Nikon F3関連のアクセサリを自宅に在庫するという行動を起こさせた。
自分に適したカメラに行き着いた我輩は、一生付き合うという覚悟が出来ていた。だからこそ、現状のシステムを拡充すべくアクセサリ購入に邁進したのである(参考:雑文152「7年目」)。

とは言うものの、実際には不必要なアクセサリもあろう。だが、それは現在の我輩が判断出来ることではなく、未来に於いて、その時その場で判断されるべきこと。
後になって、いくら必要を感じたアクセサリがあろうとも、それを所有していなければ話にならない。未来には最新カメラのアクセサリしか存在せず、必要を感じた旧製品のアクセサリ入手は困難を極める。場合によっては金次第、運次第ともなる。当時は必要と考えなかった程度のアクセサリであるから、それを所有している者も多いはずも無く、中古市場に出回るチャンスも少ないのだから当然。

もちろん、同一メーカーのカメラ同士であれば、新旧あれどそれなりのアクセサリ互換性は保たれよう。だが、1世代目と2世代目のカメラに互換性があり、また2世代目と3世代目のカメラにも互換性があろうとも、1世代目と3世代目に互換性があるとは限らない。それぞれの互換性とは近似でしかない。仮に互換性が残されていたとしても、それは「機能制限付き」という但し書きが付く。その結果、アクセサリはカメラを買い換えると総入替えを余儀無くされる。

例えば、所有する旧機種のカメラにリモートレリーズスイッチが必要となったとしても、もはやその時点では対応するアクセサリは入手不可能。現行機種対応のアクセサリしか無い。そのアクセサリがどうしても必要であるならば、状況によってはカメラそのものから丸ごと買い換えねばなるまい。
望みもしないタイマー機能などを盛り込んだために互換性を失ったならば、消費者としても「買わされる」という想いを強くする。新機種への買い換えの動機が、ただひとつ、その小さなリモートレリーズスイッチへの対応だとすると、これほどバカな話も無い。

旧いカメラを使い続けようとすればアクセサリの製造中止の問題に阻まれ、新しいカメラを導入しようとすれば既存のアクセサリが無駄となる。それならばいっそ、メーカーの在庫管理に委ねること無く、自らの努力範囲で在庫管理を行おうという考えも起こる。これならば、いくらアクセサリが製造中止になろうが、あるいはメーカーが倒産しようが、大きな影響は受けずに済む。新機種を追い続けなければならないという必然性も無くなる。

とは言うものの、本当に全アクセサリをくまなく揃えるのも無駄がある。自分にとって明らかに必要の無いアクセサリはある程度除外し、「いつか使うかも知れない」と思えるアクセサリを徹底的に買いまくるのだ。
特に、単価が安くかつ販売中止後には手に入りにくいと思われる小物は躊躇せず根こそぎ買うべし。我輩の例で言えば、F3のファインダースクリーンはこの手の買い方をした。とにかく全種類集めて在庫しておき、後で必要となった物だけを使えば良い。買った物全てを使わねばならないという規則など無い。

よく、「使わぬ機材が泣いている」などという子供じみた擬人表現をする者もいるが、いくらなんでも使わぬ機材に念が入ることは無いので、その点は安心しろ。逆に、使い尽くした機材は使用者の念が宿る場合があるため、廃棄するならば針供養の如く厚く供養し感謝ののち行うべし。
それでも使わぬ機材が泣くぞと言うならば、世界中に数多く眠る核兵器を余さず使い尽くしてやれ。核兵器ほど使われず無駄に終わる物も無かろう。

まあともかく、買えずじまいで後悔するのが一番バカらしくみじめだ。単価が安い物であれば、カタログに載っているものを片っ端から買い求めるのが大切。出来れば、1つよりも2つ、2つよりも3つあるほうが良い。もし不要であれば売却してしまえば済む話。今の時代、オークションでも気軽に出品出来る。

だが、買っておかなかったという後悔は、後々まで引きずる。
中古やオークションで手に入れば良いが、一期一会の出会いに期待するのはあまりにノンキと言えよう。その程度で良いのであれば、そもそも手に入れる意味などあるまい。


ところで先日、我輩の中判主力機ゼンザブロニカSQ-Aiの魚眼レンズが手に入らなかったという話を書いた(参考:雑文369「ドレイクの方程式」)。
我輩は、ブローニー判対応可能なフィルムスキャナを入手して以来、中判カメラの稼働率が向上した。意外にも、機動性ではなく画質にこだわる撮影が多いということか。
ところがふと気付くと、ゼンザブロニカSQ用レンズ「PS 35mm F3.5 フィッシュアイ」は、発売されてから4〜5年程度で販売終了となってしまった。その間、我輩は35mmカメラのシステム拡充のほうに気を取られており、しばらくはそのレンズの存在すら知らなかった。
しかも、購入を考えた時になってやっと、生産終了により注文出来ないとことを知った。何しろ、いまだにカタログには掲載されているし、タムロン(ブロニカ)のサイトには販売終了の文字は見あたらず、事前に気付く手段が無い。

今まで何度も後悔してきたが、今回だけは大きくしくじった。慌てて全国のオンラインショップを見て回ったが、新品はおろか中古品さえ無い。サーチエンジンにてどんなに検索しようと、メーカーのサイトと外国のショップ以外は何も出てこない。そればかりか、個人のサイトさえヒットしないのである。
この魚眼レンズを使っている者など、国内にはどこにもいないのか?
後悔無く生きるよう気を付けていたつもりだが、それでもこのような事態に陥るとは何たることか・・・。

製品の存在自体を知らなかったとは言え、それを逃したのは我輩の責任に他ならない。
主力機の最新カタログを常にチェックし、必要と思われるアクセサリは必要とする前にストックしておくべきだった。借金をしてでも手に入れるべきであった。
ゼンザブロニカなどという弱小ブランドのカメラでは、いつアクセサリが消えても不思議ではない。67サイズのブロニカGSシリーズがシステム丸ごと生産終了になるくらいである。ブランドそのものの消滅を覚悟した買い物を今のうちに済ませておく。それが、後悔を未然に防ぐ唯一無二の方法なのだ。


結局、我輩は自作への道を選ぶことになったが(参考:雑文371「最後の賭け」)、それによっていくつかの問題が発生したのも事実。
ゼンザブロニカSQ-Ai用フィッシュアイレンズを補うものは、やはり、ゼンザブロニカSQ-Ai用フィッシュアイレンズ以外に無い。我輩は、あらためてそのことを思い知った。

残る後悔は消えぬ・・・。