2000/04/05
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カメラ雑文

[276] 2001年06月19日(火)
「シャッターの切りにくい時代」

シャッターチャンスというのは、スポーツ写真だけの問題ではない。写真を撮るという作業は、動いている現実世界の一瞬の時間を切り取る作業であるため、どれほどゆっくりとした動きであろうとも、シャッターチャンスというのは大事である。
露出やピントが自動化された現代に於いて、もはや「シャッターチャンス」というのが撮影者の感性を盛り込める数少ない要素でもある。

前にも書いたように、その場の情景というのは一期一会の無常の世界と言える。ほんのちょっとの時間差が、イメージを捉え損ねることになるかも知れぬ。ほんの小さな違いであろうとも、表現者の意図に関わる部分ならば、決して容認出来ることではない。
風になびく稲の穂、道を歩く人、風に流れゆく雲・・・。どれほどのんびりとした風景であろうとも、心にピンとくる瞬間というのは、タイミングを合わせた一瞬にしか無い。それを感ずる部分が、一人一人の感性というものなのだ。
稲穂の動きに風を感じ、それを写真に捉えようとしてシャッターを切る。しかし、タイミングに気付かず適当にシャッターを切るならば、稲穂から感じ取るべき風の存在が表現出来ない。

次の風が来るまで、およそ5分くらいは待った。


我輩がAFについて消極的だというのは、やはり事実かも知れない。それは、タイミングの掴みづらさを無意識の中で感じ、それを避けているということだろうか。
AFカメラというのは、通常はピントが合うまでシャッターは切れない。フォーカスフレームの合わせ方を間違えると、微妙な位置で迷ってシャッターがなかなか切れずにイライラすることがある。見た目にはピントは合っているのだが、カメラのほうが「コレで良いのか?う〜ん・・・」と迷っているのだ。いくら我輩が「それくらいで良い」とは思っても、なかなかシャッターを切らせてくれない。
いい加減な性格のカメラも困るが、真面目すぎるカメラもまた困る。

「ピントが合わねば、いくらシャッターが切れても意味は無い。」
確かにそうだ。だが現在のAFカメラでは、シャッターを切る権利はカメラ側に奪われ、人間側は「用意が出来次第、シャッターを切って下さい。」と陳情するのみ。だから、シャッターボタンは別名「陳情ボタン」と言える。押せばすぐさまシャッターが切れるとは限らない。それが聞き入れられるかどうかは、カメラ側の気分次第。
そのことを知らぬ撮影者は、タイミングがズレて調子が狂うことになる。ここぞという場面でシャッターボタンを押したが・・・、シャッターは切れない。「ん?」と思った途端にシャッターが切れる。これではタイミングが図れないのは当然と言える。

AFの使い方に慣れれば、陳情することも苦にならぬかも知れない。だがやはり、シビアなシャッターチャンスにタイミングを合わせるのはかなりの予知能力も必要とする。
もし、従来のように人間が最終決定権を持つならば、そのタイミングは自分の指にかかっている。タイミングを逃せばそれはすなわち自分の責任である。だが、押して確実にシャッターが切れるというのは、微妙なタイミングを図るには必要不可欠だと思える。少なくとも、シャッターを切ったつもりで切れないというのでは、石につまづいて前のめりになるような感じで、あまり気持ちの良いものではない。

もちろん、レリーズ優先可能なカメラもあることはあるが、それはやはりスポーツ撮影を前提としたプロ用カメラにしかない。そうなると、フォーカスモードをAFからMFに切り替えるしか無いが、それではAFカメラを使う意味も無くなる。


我輩は最近、一眼レフ型デジタルカメラの「Canon EOS D30」を室内撮影で使うことがあるが、このカメラはデジタルカメラ特有のタイムラグを持っている。それは、デジタルデータの記録という動作が大きく関係する。

このカメラで連続的に何枚か撮影すると、記録媒体(超小型ハードディスク)にデータを書込む作業が入り、撮影が一時的に止められてしまうのだ。もちろん、連続撮影モードで撮れば、カメラ本体のバッファに一時的にデータをホールド出来るのだろうが、1コマ撮りのモードで立て続けに撮るのはダメらしい。数枚分まとめてハードディスクに書込むよりも、1枚撮るごとに書込む作業が入るのだから、遅くて当たり前か。

まあ、我輩の用途では、ストロボチャージの時間のほうが長いので実質的な問題は無いのだが、試し撮りで人物を撮った時はやはり撮影テンポが乱される。妙な間が入るからな。
人物撮影ではやはり1コマ撮りが基本であるから、いくら連続撮影モードで何コマ撮影出来ようとも意味は無い。

少しでも早くデータが書込まれるように、ハードディスクではなく半導体メモリを使うべきなのだろうが・・・、やはりそれなりの出費は覚悟せねばなるまい。
ただ、それでもメモリの早さにも限界はあり、この方法は「解決」ではなく「緩和」にしか過ぎぬ。単に「テンポ良くシャッターを切りたい」というだけの話であるはずが、デジタルカメラでは話がだんだん大げさになってくる。

いやはや、シャッターの切りにくい時代になったものよ。