2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[095] 2000年 7月24日(月)
「データ完全消滅の危険性」

昨日の夜、「特命リサーチ200X」という番組で、パソコンやビデオなどのデータ消失についてやっていた。
我輩も、以前この雑文でそのことに触れた。もはや写真も「データ」と呼ばれる時代であり、無視できぬ問題だ。
しかし、我輩は「CDは100年保たないだろう」とは書いたが、まさか20年ほどで劣化の可能性があるとは思わなかった。正直、我輩の所有する音楽CDやCD−ROMのことが心配になってきた。

番組では、「CDのレーベル面に塗布された保護膜が剥離し、アルミ蒸着層が腐食する」と言っていた。では、CD−Rではどうだろう?
CD−Rはご存知の通り「金」を反射層として使っている。金であれば腐食はしない。しかし最近、「銀」を反射層に使うCD−Rが増えてきた。コストを下げるためらしい。しかし、銀は酸化しやすい。事実、銀を使ったCD−Rで、一部のメーカーのCD−Rの外周部が酸化するという事故が頻発したことがあった。現在では保護層を厚くすることによって問題は無くなったそうだが、信用なぞ出来るものか。大事なデータには、銀のCD−Rは使うべきではない。

それでなくともCD−Rというのは、外周部でエラーが出やすい。なるべくならCD−Rにはデータを目一杯書き込むのは避けた方が良い。CD−Rでは、貧乏性が命取りになる。

さらに、CD−R特有の色素の問題がある。色素は光に当たると退色する。畳の色が変わったり、本棚の背表紙の色が薄くなるのは誰もが経験する。同じ事がCD−Rでも起こる。雑誌の記事によると、CD−Rの記録面を直射日光にさらすと数日で読めなくなるという。我輩の実験では、室内の蛍光灯であっても、長時間(数ヶ月)の暴露では色素が薄くなることを確認した。退色は紫外線の影響か・・・?


「特命リサーチ」では、「こまめにバックアップを取れ」と言っていたが、膨大な量の記録物をバックアップするのは不可能にも思える。

まず、「音楽CDをMDにダビングする」という点について、MDは光磁気記録なので、データ保持の実績が浅く、将来、裏切られることもあり得る。ましてや、MDは不可逆なるデータ圧縮をしているため、音質は低下する。それがイヤなら、CD−Rへコピーするしかない。オーディオ専用CD−Rでダビングするか、あるいはパソコンを使い、WAVEデータ経由で音楽CD−Rを作る。簡単そうに言うが、数百枚のライブラリを持つ愛好家にはキツイ作業だ。

次に、「ビデオはDVDにダビングする」という点について、これもまだ現実的でない。DVDはまだ普及しておらず、記録できる生ディスクが手に入りにくい。しかも1枚当たり3千円以上もする。高価なバックアップだ。ビデオが趣味になっていると、所有ビデオライブラリもかなりの数に上り、バックアップコストは莫大になる。
しかも、DVDのフォーマットはまだ固まっているとは言えず、静観が必要なメディアだ。DVDレコーダーで記録した映像は通常のDVDプレーヤーでは再生出来なかったりする。先走ると、それこそフォーマット的に孤立状態となり、ビデオのベータのような「後ろ指さされ状態」に陥る危険がある。過去にベータやVHD、DCCなどを買った者は要注意だ。

フロッピーディスクのバックアップについては、ほとんどのものが容易に行えると思う。今どきの媒体なら、フロッピーよりも容量が大きく、複数のフロッピーディスクを1つの媒体にまとめることもできる。ただし、OSのインストーラーや起動フロッピーなどはそのままバックアップできない。何らかのツール(※)を使い、ブートセクタのデータを正しく再現できるように調整してからバックアップしなければならない。そうしないと、再びフロッピーディスクに復元しても、フロッピーからは起動できなくなってしまう。
(※我輩は「VFATBAK」というシェアウェアを使用している)

CD−Rのバックアップは、今のところ、CD−Rしかない。DVD−Rが出回るようになれば、複数のCD−Rを1つにまとめることも出来るだろう。ただし、データが高密度であるため、ちょっとしたディスクエラーも損失が大きくなる。デジタルデータは、1バイトの消失であってもファイル全体を白紙化する危険性があるのだ。「特命リサーチ」では、企業のデータ消失の一例が紹介されていたが・・・、かなり悲惨なようだ。
そのような損失を考えると、そのDVD−R自体、さらにバックアップを作る必要がある。つまり、DVD−Rは2枚必要か。

また、パソコンのデータについては、ファイルのフォーマット(形式)によっては再生出来ないものもある。例えば、ワープロソフト「一太郎」で作ったデータは、「MSワード」では読めない。さらに、同じ「MSワード」のファイルであっても、バージョンの違いがあれば読めないこともある。
それ故、できるだけ汎用性のあるデータフォーマットを見極める必要がある。画像ファイルならば「BMP形式」、文書ファイルならば「TXT形式」というところか(それも保証は無い)。


データを自分1人の問題(子や孫は考慮しない)とした場合でも、少なくともデータ保持年数は80年くらいは欲しい。そう考えると、CDで20年というのはかなりショッキングなことだ。
ましてや、子や孫の時代まで残そうとするなら、不可能だと断言できる。それは、データのメンテナンス(常にバックアップを続けること)について、自分の死後は誰も保証しないからだ。なぜなら、皆、自分のデータのメンテナンスに忙しいのだ。1代くらいならまだ何とかなろうが、先祖代々の積み重ねを維持するのはまず無理だ。その点、木簡や和紙ならば、密封して保存したままで大丈夫なのだが。

全く、頭の痛い問題だな・・・。
しかし、もし画期的な解決策を見つけることが出来れば、それだけでビジネスになる。億万長者にもなれるだろう。いや、人類の知的財産を守った功績で、ノーベル賞すら夢ではないと我輩は考える。
あくまでも「画期的方法」でないとダメだが。