2000/04/05
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カメラ雑文

[057] 2000年 6月16日(金)
「長期保存のための充填ガス」

カメラは使わないと悪くなるという。未使用品と使用品、どちらもそうなのかという細かい情報は無い。まあ、多分同じだろうな。しかし、「使わないと悪くなる」というのは、どういう理由か? 我輩の周りには、そのことを論理的に説明できる人間はただの1人もいない。「〜ではないか」と推測する者はいるが、推測ぐらいなら我輩でもできる。

かなり前、保存用のニコンF3を購入するにあたり、ニコンに書面で問い合わせたことがある。それは、長期保存におけるカメラへの影響についてだった。ニコンの総務課にとっては迷惑な手紙だったろう。しかし、ニコンは丁寧な回答をしてくれた。
まず、技術的な回答については、技術部門に問い合わせるために時間がかかるという回答を頂いた。いいかげんな回答をせず、きちんと調べようという姿勢があり、とても好印象だった。我輩の不躾な手紙にまじめに応えてくれる。
しばらくして、技術的な回答が送られてきた。論理的に説明されており、納得がいくものだった。ただ単に「できません」、「お薦めしません」、「保証しません」などと書くのではなく、各部材の特性などに言及し、説明してくれた。まるでプロ向けだ。
長期保存の後、実際に使う場合は、オーバーホールに出すことも提案された。なるほど。

・・・話が逸れた。
要するに、長期保存の問題点は、「酸化」の問題だという。例えばレンズのヘリコイドに塗られた潤滑油が酸化すれば、ピントリングが固くなる恐れがある。電気接点が腐食する恐れもある。金属ボディが腐食するかも知れない。よって、酸素の存在が問題だ。
では、酸素が無ければ長期保存が可能なのか? もしそうならと、以下の方法を考えてみた。

<減圧>
酸素が問題ならば、カメラ保存ケース内のエアを抜けばよいのではないかと思った。まあ、エアを抜くとは言っても、一般人では少し気圧を下げる程度しか出来ない。また、密閉度の高いカメラでは、カメラ内部の気圧の差によって余計な力が加わる恐れもある。スペースシャトルの船外活動で使われるカメラであるから問題無いとは思うが、市販カメラと全く同じというわけではないので心配である。しかも、減圧させても酸素の分圧はゼロにはならない。あくまで通常の空気中での酸素の割合と同じなのだ。
また、潤滑油の揮発成分(常温常圧の下では揮発しないだろうが)が飛んで、不都合があるかも知れぬ。「宇宙カメラは使われている油が違うのだ」ということを前に聞いたような気がする。レンズ単体用の真空ケースは市販されているようだが、あれはマズイんじゃないのか?
何よりも、減圧すると保存ケースのフタが容易に開かなくなってしまったので、結局この方法はすぐにやめた。

<窒素>
次に、不活性なガスで保存ケース内を満たそうと思いついた。「不活性」というと、窒素が思い浮かんだ。大学時代なら、液体窒素が容易に入手できたものだった。これなら気化させて気体の窒素がすぐ手に入ったろう・・・。当然ながら、今から取りに行くわけにもいかない。

<二酸化炭素>
では、二酸化炭素で満たすことにするか?
一時期、エアソフトガンの分野では、「グリーン・ガス」が特定フロンの代わりに使われた。ちなみに「グリーン」とは、二酸化炭素のボンベの色である。ガスはそれぞれボンベの色が決められている。
しかし、このボンベは単体では使えない。レギュレータ無しでは高圧ガスが吹き出て危険である。検索すると、エアソフトガン向けのものは見つけることが出来なかったが、自家製ビール製造器の保守部品で手に入るらしい。すべて揃えると2〜3万円の出費だ。
待てよ、二酸化炭素と言えば、ドライアイス。これなら手軽か? しかし、アイスクリームをいくつ買えば足りるだろうか・・・?
いやいや、炭酸カルシウムに塩酸を加えれば、二酸化炭素が発生するではないか。炭酸カルシウムと言えば・・・半透明ゴミ袋か? 塩酸はサンポール? どちらも純粋な試料でないので、別の気体が発生しても困る。
まさか・・・コカコーラをシェイクして炭酸ガスを取り出すか・・・?(苦笑)

<フロン>
とりあえず手元にある材料を使うとするなら、フロンだろうか。 なぜか手元には、塩素原子を含む特定フロン(CFC12)とオゾン層を破壊しない代替フロン(HFC-134a)のボンベが両方ある。当然、代替フロンを使うべきだろう。好都合なことに、代替フロンは特定フロンに比べて液化しにくいという。温度が下がっても、結露するようなことは無いだろう。一応、自分でも冷蔵庫で冷やしてみたが、常圧下では特に結露していない様子だった。
ご存知の通りフロンは安定しており、金属に対して非腐食性である。


以上が、我輩の考えられる範囲内での方法だ。もっと簡単で確実な方法は無いものか。脱酸素剤の使用も考えたが、その特性がよく分からない。
いずれにせよ、機械は動かさないと油が回らないから、その点は少しマズイ。それはオーバーホールにて対処してもらうしかない。
とりあえず充填ガスについては、HFC-134aでやってみようと思う。

しかし・・・、以前「時の止まったカメラ屋」で書いた西日暮里のムツミカメラのデッドストック品、正常に動作していたように見えたが・・・。純機械製は大丈夫だというのだろうか。まさか、ラップにくるむのが長期保存のコツか?!(笑)