2000/04/05
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カメラ雑文

[860] 2016年01月16日(土)
「一般人用語辞典」


「ハードがバグった」
もし知人にこのような相談された時、どう理解すれば良い?

言葉そのままに受け取るならば、「ハードウェアがバグを引き起こしたのか」と考えてしまうのだが、「バグ」というのはソフトウェアのコーディングミス、あるいはそれ以前の設計段階の問題なので、「ハードウェアがバグを引き起こした」では意味不明となってしまう。

ここでは、「バグった」というおかしな表現に着目し、相手がパソコン知識の乏しい一般人であるという認識のもと、「ハードディスクがクラッシュした」と解釈するのが妥当だろう。
つまり、「ハード」とは「ハードディスク」のことを言っているのだと推測出来る。

他にも、「USBが足りない」と言われてパソコン裏側にあるUSB端子口の空きを調べてもムダ。この言葉の真の意味は「USBメモリの空き容量が足りない」というものである。
しかもこの場合、空き容量が足りないのではなく、社内セキュリティ規定のためにUSBメモリへの書き出しがブロックされていることによるもの。相手の真意と誤解を先読みせねば言葉に振り回されるだけ。

これらはパソコンの「初心者」と言うよりも、パソコンに関心の無い「一般人」の言葉である。
「初心者」というのは、スキルを積む過程のうち、初期の段階で通過するもの。そういう意味で、たとえ知識が不足していようとも徐々に学んでいけば良い話。
ところが「一般人」というのは、その分野に特に関心があるわけではないので、勉強するつもりなど毛頭無い。だから知識不足はいつまで経っても解消されない。それどころか変な思い込みがあって話がややこしくなることも多い。

さて、前回の雑文では、カメラに関する用語の上書き問題について述べた。これらは過去の経緯を全く無視した命名であるのだが、ある程度カメラ知識を持った者による組織的な犯行でもある。場合によってはカメラメーカーでさえ使い始めていることから、我輩としてはコンプライアンス上看過出来なかった。

一方、カメラや写真に全く興味の無い「一般人」が、無知や思い込みによって勝手に名付けた用語もある。これはある意味、ほほえましい面もあるのだが、まれにこの用語が原因で誤解や行き違いが発生しそうになることもある。
ここでは、我輩が遭遇した珍妙な用語について「一般人用語辞典」としてまとめ、今後意味の取り違いが無いようにしたい。
当然ながらこれが全てでは無く、現時点で表面化していない一般人用語もあろうが、思い出せる範囲で取り急ぎまとめてみた。

●ズーム
用例 「もう少しズームで写したい」
意味と解説 大きく写したいという意味。ズームレンズでなくとも望遠レンズで大きく写っていればそれで良い。カメラ購入の相談を受けた際に会話に混ざることが多いが、訂正しても分かってくれそうもないので適当に流すしか無い。
遭遇率

●*倍ズーム
用例 「5倍くらいのズームじゃないと遠いなあ」
意味と解説 肉眼で見たよりも5倍の大きさに拡大するレンズという意味。広角ズームレンズの存在は意識に無い。プリントした時に5倍なのか、あるいはディスプレイで見た時に5倍なのかは考えていない。とにかく5倍は5倍なのだ。いずれにせよ倍率の数字が大きければ大きいほど拡大率が高いはずだと考えている。これもカメラ購入の相談を受けた際によく出る言葉。
遭遇率

●等倍ズーム
用例 「等倍〜5倍のズームを買いました」、「等倍ズームだからズームできないなあ」
意味と解説 使う者によって微妙に意味が違う。前者では広角端がズーム比の基準という意味で「等倍」と呼ぶ例で、後者は見た目の倍率に近い標準レンズという意味で「等倍」と呼ばれていることもあるし、あるいはまれに単焦点レンズのことを指すこともある。
ただし、本当の一般人は「等倍」という言葉を使うことは無いので、写真歴自体はそれなりにある者と思われる。恐らく、言葉の使い方に対して無頓着なのであろう。
遭遇率

●現像
用例 「デジカメの画像を現像しておいて」
意味と解説 デジタル画像データを写真店でプリント依頼すること。RAWデータの現像のことではない。最初聞いた時は意味が分からず戸惑ったが、意味が分かればどうということはない。
なお余談だが、フィルム写真の場合、「現像」とはフィルム現像のことだけを指しプリント写真のほうは含めなかったのだが、それが逆になっているところが興味深い。
遭遇率

●デジカメ
用例 「デジイチ(デジタル一眼レフ)すごいですねー、私はデジカメしか持ってないし。」
意味と解説 コンパクトタイプのデジタルカメラのこと。一眼レフタイプのデジタルカメラは含めない。この言葉の遭遇率はかなり高く、もはや一般用語として確立しているものと思われるので慣れておいたほうが良い。その場でいちいち指摘し正すのは事実上不可能。
遭遇率 超高

●露出
用例 「こういう場合は露出を開けて撮りなさい」
意味と解説 絞りのこと。意外に中高年でも使う者が多いように感ずる。もしかしたらかつて使われていた「シャッター・オン」(=シャッターを切ること)のような昭和時代の言葉だったのかも知れない。・・・しかしそれならば我輩も知っているはずだが。
遭遇率

これらの言葉を使う者は、恐る恐る使うというケースは少なく、わりと当たり前のように自信を持って使うので、やはり基本的には思い込みの強い者なのだろう。
冒頭の例にしても、「ハードって何?」と聞き返しても「えっ、ハードってハードのことだよ、知らないの?」と自分を疑うことをしない。そしてしきりに「バグった、バグった」と言うのである。