2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[842] 2015年05月29日(金)
「デジタルでのモデル撮影会(3)〜再び団体撮影〜」


●再び団体撮影

いつものように撮影会のスケジュール表をチェックしていると、団体撮影のほうに新しいモデルがノミネートされた。仮に名前をN嬢とする。
宣材写真を見れば、なんともかわいらしく見えるではないか。
ただ、拡大画像が無いので、その宣材写真だけからの実物判断は難しい。しかも、それら全てのカットにて同じ笑顔で写っているので、素の顔が分からない。恐らくモデル初心者であるから表情の変え方に慣れていないのかと思う。

なお、宣材写真ページからN嬢のブログにリンクされていたので見に行くと、まだ開設されたばかりのようで記事投稿はほとんど無い。
それでも数枚の自撮り写真が載っていたので見てみたが、まあこの手の写真は 当然ではあるが照明の加減やピントが悪く、やはり肌の質感などの詳細が分からなかった。
ダメ元でN嬢の名前でGoogle検索してみたが、やはりピカピカの新人のようで全くヒットしない。

本来ならば、たったこれだけの材料で撮影するかどうかの判断は出せないのだが、それでもこの宣材写真に大変惹かれる。
団体撮影のため参加費3,000円と安く、確認を兼ねて行ってみようかと考えた。

ただし撮影日は日曜。だから会社帰りというわけにはいかず、わざわざそのためだけに出掛けねばならない。平日の通勤では、片道3回も電車を乗り継いでいるので(つまり4路線)休日は絶対に電車には乗りたくない。だからクルマで行きたいのだが、そうなると駐車場の問題がある。スタジオは都内なのでコインパーキングの料金は高め。
仕方無いので電車には乗るが、自宅からはクルマで出発し、乗り継ぎ無しで行ける範囲の郊外駅近くの安いコインパーキングに停め、そこから電車に乗ることにした。それならば苦痛の電車も最小限で済む。

さて、スタジオの公式ウェブサイトからは予約状況が分かるのだが、どうやらN嬢は大変人気を集めたようで、カメラマンの予約が撮影1週間前には定員の6名に達してしまった。
これはつまり、撮影時間として単純計算で60分÷6人=10分となる。衣装は2種類であるから、1着あたりでは5分しか撮影出来ないことになる。時間配分としては2分・2分・1分というところか?
なお、ストロボを使用せず目線も来なくても良いのであれば、自分の順番でない時に脇から撮ることも可能である。ただその場合、定常光の撮影がどんな結果となるかという確認の意味しか無い。

今回は大変な撮影になりそうだが、まあ、定員いっぱいの状況を経験しておくことも悪くは無かろう。
前回は1人で今回は6人と両極端なのが面白い。

カメラ機材については、シンクロスピードの関係で自ずと「OLYMPUS OM-D E-M1」となるが、縦位置でのフリーアングル撮影が可能な先日購入したばかりの「E-M5 Mark2」も使ってみようかと思う。

●撮影当日

撮影当日、朝から雨。自宅からの出発はクルマの予定なので雨でも大丈夫だが、途中で電車に乗るので、スタジオ最寄駅からは撮影機材を持ちながら傘をさして歩かねばならなくなった。

電車への乗り換え時、あらかじめ見付けておいたコインパーキングにクルマを停める。郊外駅なので駅前駐車場であっても最大料金500円と安い。
電車に乗ったところ、幸いなことに席が空いており座ることが出来た。ここまでは良い。
今回はカメラが2台あるので、傘をさしながらの歩きでは少ししんどい。たとえ軽量のマイクロフォーサーズカメラであっても、カメラとレンズが1セット加わるとやはり違う。次に来る時があれば、スタジオ近くの安い駐車場を探しておきたい。

スタジオでは、我輩を含めてカメラマン6人が入り、もちろん事前に分かっていたことだが少々狭くなった。
我輩は、まだ撮影会の始まらぬうちにテスト撮影を済ませておくため急いで用意を始めた。前回のようにストロボ2つを1本のスタンドに集約セットし、もう1つを直置きする。ただし、前回の反省点を加味し、斜め背後の光が背景白布を照らさぬよう、バウンスしない直光とする。

またそれに加え、今回はND8(3段減)フィルターを使って定常光のレベルを大幅に下げる試みをしようと思う。
ただしこの方法ではストロボ光も同時に減じてしまうので、ストロボ光は更に出力を大きくする必要がある。もしフル発光まで要求されれば、ストロボチャージタイムが長くなったり、電池消耗が早くなろう。
それでも、自宅でのテスト撮影では良好な結果を得ており、この方法が有効であることを確信している。

ところがスタジオにてぬいぐるみ相手にテスト撮影したところ、コントラストが大幅に低下してしまったではないか。ストロボ1灯が逆光気味の設定のため、光が直接NDフィルターに当たったらしい。

もし透明な保護フィルターであったならば少々の光が当たっても素通りするので問題無いが、NDフィルターのような有色フィルターではフィルターそのものが照らされるのでコントラストが低下するのは避けられない。たとえ画面フレーム内に光源が写っていなくとも、横からでも光がNDフィルターに当たればそうなる。
フードが深ければ防げたろうが、広角側に合わせた深さの標準ズームのフードであるから、こういう場合には無力であった。

本番撮影直前で対策に時間をかけるわけにはいかないので、今回のND8フィルターを使った撮影は急遽取りやめることとする。

そういうわけで、NDフィルターを使わぬ状態で再度テスト撮影した。
しかし今さらこういうことを言うのも何だが、ぬいぐるみ相手ではどうもよく分からない。人間の背丈でのライティングはやはり違うだろうし、そもそも白衣装と背景の対比が確認出来ない。もし白いぬいぐるみならば多少の参考にはなったかも知れぬが・・・。
そうは言っても、もうこれ以上我輩1人が場所を占有しているわけにもいかず、再調整は本番時に行うこととして取り急ぎ一時撤収した。

<ぬいぐるみ相手のテスト撮影>
ぬいぐるみ相手のテスト撮影

我輩のストロボ調整の様子を見て参加者の1人が「撮影時間が短いから大変ですよ」と声を掛けてきた。その通り、我輩もそれが心配だ。
今度は別の参加者が「ワイヤレスのストロボですか」と興味を示したので、「発光量も遠隔コントロール出来るんですよ」と一通り説明した。
「今回新しいカメラを投入しましたよ」と言っている参加者もいた。
和気あいあいというほどではないものの、参加者同士それなりにコミュニケーションが取れて雰囲気は悪くない。

さて撮影時刻となり、N嬢が入ってきた。
見た感じ、「ん?事前のイメージとはちょっと違うかな?」と感じたが、撮影が始まるのでそれどころではない。
我輩の順番はだいたい中間くらいだが、1人あたりの撮影時間が短いのですぐに順番が回ってきた。

慌ただしく挨拶しながらストロボを設置。事前準備のおかげで、ライティングはほんの数秒で完了。微調整はN嬢を撮りながらとする。
しかしそれでも2分程度の撮影時間なので、微調整と言っても露出の増減くらいしか出来ない。
あっという間に1回目の持ち時間が終わり、ストロボを一時撤収。仮にそのまま置きっ放しにしても他のカメラマンにはジャマにはならない場所だが、それでも目障りであろうかと思う。

他のカメラマンが撮影している間、我輩は自分の撮ったカットを確認するのだが、どうもこのカメラ「OLYMPUS OM-D E-M1」の背面液晶表示が信用出来ない。いつも思っていることだが、コントラストが実際よりも高く見えるようなので、ライティング調整は少々硬めになるようにしたほうが良かろう。しかしその見極めが難しい。

ちなみに我輩はEVF(電子ビューファインダー)はほとんど使わない。もしかしたらEVFでは見え方が異なるかも知れない。
いずれにせよ、1巡目の撮影結果を見て2巡目のライティングを変えるなど、一応のフィードバックはしたつもりではある。

さて、他のカメラマンの撮影スタイルを見る機会は今回が初めてで、我輩にとって非常に参考になった。
撮影のペースや、モデルに対する話題振り、ポーズの指示・・・等。世間話などを織り交ぜながら、落ち着いた口調できちんと会話しつつ的確なポーズ指示をしている。
それに対し、我輩は沈黙が嫌だという強迫観念があるようで、とにかくしゃべりまくって落ち着きが無い。

「あ、意外とそのポーズもいいね、キープキープそのままそのまま、そうですそうですハイ、もういっちょ、おりゃ、あ、もう少し右向いて、目だけこっち、そうそう、そんな感じイイ感じ、うりゃ、そりゃ、あれ?ピントが合わねーな、なぜか壁のほうに顔認識してるんだよ、なぜか! もしかしたら何かがいるのかも? まあいっか。あ、ダメだよ笑っちゃ、真面目な顔でハイ1枚。」

終始そんな調子なので、撮影が終わると喉がカラカラで疲労も最高潮。
帰りも最寄駅まで歩くことになるが、雨は相変わらずで、2台のカメラとストロボ一式は疲れた身体には重かった。

●撮影結果

撮影枚数は、ストロボ撮影が計100枚。
1人あたりの持ち時間が10分間の団体撮影ということを考えると、良く撮ったほうだと言える。

だがやはり6人で順撮りすると撮影時間がかなり少ない。費用の面で言うと1対1撮影の1/3の金額だが、もしカメラマン6人となれば撮影時間は1/6となり、かえって割高となる。
ただそうは言っても、財布に金が入っていなければ割高と言えども選択の余地は無い。
そうなると、参加者の数が問題か。3人くらいがちょうど良いのだろうが、これは開催日時やモデルにもよるのでその見極めは難しい。

それにしても、今回の写真の仕上がりは芳しくなかった。
やはりストロボの設置調整が甘く、前回同様、背景が明るくなり過ぎてモデルの白衣装が白背景に溶け込んでいる。完全にライティングの失敗。
撮影1巡ごとに調整したつもりではあったものの、時間が限られているせいで微調整で済ませたことが改善に繋がらなかった原因かと思う。やるなら根本的にライティングを変えなければいけなかったわけだが、時間が無い状況で大きな変更をするのは賭けである。

下の写真はRAW現像時に調整を施したものだが、失敗写真を救済するにしても同レベルの明るさのものを分離するには限界がある。やはり撮影時に何とかすべき問題。

<ライティングは完全に失敗>
ライティングは完全に失敗

いや、そもそも今回は、N嬢というモデル自体が事前の我輩のイメージと違っていたので、今から思えば、その時点で失敗写真という運命は決まっていたのだ。
よって、前回紹介した写真掲載ウェブサイトには今回の撮影分は無い。

ただしあくまで強調しておきたいことは、N嬢がモデルとして不足があったということではなく、単純に我輩のイメージとは違っていたというだけの話。
その証拠に、後日撮影会のスケジュールをチェックしてみると、N嬢の予約はかなり埋まっており、一般受けするモデルであることを窺わせた。

我輩はもうN嬢とは会うことが無いと思うが、多少なりとも縁があったわけなので、今後ますます活躍して欲しいと切に願う。