2000/04/05
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カメラ雑文

[841] 2015年04月20日(水)
「デジタルでのモデル撮影会(2)〜団体撮影〜」


●前回の反省と改善策

前回の1対1のモデル撮影では、不慣れながらもそれなりに結果を出すことが出来た。
そして同時に、「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と思う点が出てきた。

一番後悔したのが、バンク(ソフトボックス)の使用法を間違えたこと。
当日参考としてライティング状況を撮影していたのだが、何だかバンクの発光面の中央しか光っていないないような気がする。試しにその写真のコントラストを強調させてみたところ、確かに明るいのは中央部のみ。

<バンクの発光がおかしい>
バンクの発光がおかしい
(※分かり易くなるようコントラスト調整で強調)

さすがにこれには驚いた。これでは面発光を要求するバンクの意味が無い。
今回、撮影結果としてはバンクの問題が表面化することは無く結果オーライだったが、それでもバンクとしての機能が完全に発揮出来ていないことについては何とかしたいと思う。

「やはり折り畳み式のバンクは簡易的なので均一な配光は難しいのか?」と一瞬思ったが、よくよく見てみれば、バンクの発光部が縦長方向であるのに、中に入っているストロボヘッドの向きが横長方向の状態となっていた。これが原因か?
そこでバンクとストロボの縦横を合わせたところ、今度は見事に光が回って面発光となった。
しかし実際の撮影でこれを実施するには工夫が必要となる。

まず最初に、バンクを組み立てて普通にストロボをセットすると、構造上、バンクは横長として組み上がる。バンクとストロボ発光部の縦横が一致しており、これはこれで問題は無い。

<横位置で組み上がった状態>
横位置で組み上がった状態

ところがバンクを縦位置として組み立てても、ストロボはバンクのほうに固定されているのではなく、支柱に設けられたアクセサリシュー部のほうに固定されているので縦横が合わなくなる。

<縦位置でバンクを装着>
縦位置でバンクを装着

もし縦長方向で使うとすれば、バンクとストロボ本体を含めた装置全体を90度傾けるしかない。
ところがバンクを90度傾けると重心が中心線からズレてスタンドが倒れてしまう。

<横位置のバンクを90度倒した状態>
横位置のバンクを90度倒した状態

仕方無いので、ストロボは支柱側のアクセサリシュー部には装着せず、重心に近いところで回転した状態で汎用のクランプで挟んで固定した。それによりスタンドが倒れなくなったが、少々強引な方法のためストロボ部分が完全には固定出来ず、下手に動かすとストロボもろともバンクが落下するので注意を要する。

<重心に近い位置で回転設置>
重心に近い位置で回転設置

この改善について結果を早く確認したいところだが、1対1の個人撮影は費用がかかるので当分はお預けとなろう。

●団体撮影への参加と撮影計画

さて、1対1の撮影ではなく、複数カメラマンによる団体撮影の参加費は1枠で3,000〜4,000円くらいとリーズナブル(モデルにより金額は異なる)なので、一度参加してみたいと思った。もしこの団体撮影でうまく結果が出せるようであれば、持ち金が少ない時でも参加出来るし、あるいは宣材写真の不確かなモデル相手でも気軽に参加して確かめられる。ただし衣装は事前に決められているので、気に入った衣装の枠を選ぶということになる。

団体撮影のほうにもR嬢のスケジュールが2枠あったが、最初の1枠目の予定衣装のほうがイメージに合うのでそちらの参加申込みをしてみた。今回も平日の夜で、会社帰りの撮影となる予定。

なおスタジオ公式ウェブサイトの説明によれば、団体撮影のほうはかなり強い定常光が左右45度の両側から5対5の光量比で照らしているらしい。カメラ1台あれば何も考えず撮れるというコンセプトであるが、あいにく我輩の狙うライティングとは全く違うので、もし参加するとすれば、ストロボによって定常光を打ち消すしかあるまい。

なお、カメラマンの参加可能人数は上限6人までとなり、1人あたりの撮影時間が決められて順番に撮影するというシステムである。10年前に参加した撮影会のような、モデルの周りを囲んで同時に撮り、モデルが目線を配っていくというものとは異なる。
もしカメラマン6人が参加して1時間の枠で撮ろうとすれば、単純計算で1人あたり10分の撮影時間ということになる(60分÷6人=10分)。

実際の撮影では順番がこまめに回ってくるよう、3分・3分・4分というような時間配分となるわけだが、それはつまり、自分のライティングで撮影しようとすれば、その短い持ち時間でライトのセッティングをして撮影、そして撤収せねばならない。かなり慌ただしい。

我輩のストロボ撮影はラジオシンクロで行なうので、セッティングはそれほど時間がかかるまい。団体撮影ではバンクなど最初から使うのを諦めており、裸のストロボを配置すれば済む。
ただ、ストロボは3台使おうと思っているので、撮影の順番が回ってくるたびに3台を置いたり撤収したりするのはやはり手間がかかる。そこで、ストロボ2つを1つのスタンドにまとめてセットした上でそれぞれ別の方向に向けておくことにした。残り1つは床に直置きする。このようにすれば手間が1灯分省ける。

しかし問題は、照射方向と発光出力をどう決めるかということ。もし現場で試行錯誤していると、3分などあっという間に過ぎてしまい、本番撮影にまで辿り着かない。だから事前に決めておかねばならぬ。

そこで、まずは自宅でライティングのシミュレーションを行って十分吟味し、そのライティングをスタジオ現場で再現させることとした。
問題は、強い定常光をが当たっている状態をどのように減ずるかということだが、使用カメラ「OLYMPUS OM-D E-M1」のシンクロスピード上限は1/320秒、最低感度はISO200なので、スタジオの定常光ライトの光量を考えると、ストロボ光量をかなり上げ、F5.6以上絞り込むようにせねばなるまい。
当然ながらストロボ用電池の消費が増えるだろうから、予備電池は欠かせない。

●撮影当日

今回はバンクのような大掛かりなライトアクセサリが無いため、前回のような大荷物とならずに済む。
カメラ1台とクリップオンストロボ3台、そしてストロボを設置するスタンドは、いつもの通勤カバンに収まった。

その日の業務を終えた後、スタジオに向かうべく電車に乗った。今度は乗り間違えないよう注意したおかげで、スタジオ最寄駅まではスムーズであった。
ところが、駅地下構内から地上に出る口が前回とは違ったせいで現在地点が分からず、しかもポータブルナビも持っておらず、結果的にグルリと大回りしてしまい、今回も時間ギリギリとなってしまった。

しかしスタジオに入ってみると、意外にも我輩が一番乗りらしく、他のカメラマンは誰もいない。
ではその隙に、ストロボを配置してライティングの確認をしてしまおう。

持参した1本のスタンド上にはストロボ2つを設置し、それぞれ別の方向を向かせている。これでスタンド1本置くだけで2つのライティングが完了となるので迅速なセッティングが可能となる。
残りのストロボ1つは、そのまま床置きした。

テスト撮影では露光値はOKとなったが、やはり実際の人物がいないと陰影の最終確認出来ない。一応、自宅でのシミュレーションでは自分自身をWiFiリモート撮影して確認してあるが、本当に大丈夫なのか心配になる。

やがて撮影時間となり、R嬢が現れた。
なんと、この撮影枠は団体撮影でありながら我輩1人しか予約を入れなかったらしい。つまり、事実上1対1撮影となってしまった。
こういう状況はカメラマンとして喜ぶべきことではあろうが、団体での撮影を体験する機会を逸したことや、遠慮なくバンクを使える状況を逸したことに加え、低ギャラでの参加でR嬢に申し訳ないという気持ちがあり、正直言って困った。

このような状況で始まった撮影であるが、とりあえず今回のライティングで撮影を始めたところ、事前のシミュレーションとは何かが違うらしく、なかなか思うような結果が出ない。
しかし1対1での撮影ということが幸いし、ストロボの方向や光量などを細々(こまごま)と調整しながら詰めて行き、とりあえずのライティングが完成したので本番撮影に入った。ただしカメラの背面液晶での確認なので、一抹の不安は残る。恐らくパソコン画面で見るとまた違って見えるだろう。

約1時間の撮影が終わった後、撤収作業をしながら少々心配した。次の2枠目は誰も来なかったらどうなる・・・?
しかしそれは余計な心配であり、我輩とすれ違いにカメラマンが2人入ってきた。

●撮影結果

今回、団体撮影の枠ではあったものの参加者は我輩1人で、実質的に1対1撮影となった。しかしながら定常光が強いうえに決められた位置での限定された状況のためバリエーションが乏しく、事前に狙った結果はあまり得られたとは思えない。
なお、今回の撮影総数は約230枚だったのだが、前回の1対1撮影では2時間で約700枚、つまり1時間あたりでは350枚だった。今回それよりも100枚以上少ないというのは、やはり撮影しにくさの現れであろう。

ところでライティングについてだが、サイド光を強めにして立体感を出そうとすると、背景の白布のシワがかなり目立ってしまった。
本来ならば背景をボカしてごまかしたいところだが、定常光が強めなので絞り値をF5.6以上にせざるを得ず、せっかくのF2.8の明るいレンズのボケは活かせない。

かと言ってシワが目立たぬよう光を全体に回して陰を薄くすると、今度は衣服の白い部分と背景が溶け込んでしまい、立体感に欠けてしまう。

<背景布のシワが目立つか、白衣装が溶け込むか>
背景布のシワが目立つか、白衣装が溶け込むか

一般的に女性ポートレート撮影では、淡い諧調が好まれるかとは思うのだが、我輩は毛穴まで表現するような生々しい立体感を重視するので、この結果は悩ましい。
次はNDフィルターでも使って絞りを開けるように工夫してみるか。

確かに、「何も考えずに撮影出来るスタジオ」というコンセプトであるのに、わざわざそれに参加してそのライティングを否定するのは愚かなことかも知れぬ。
しかしそうは言っても、1対1撮影ばかりだと金がかかる。
リーズナブルに参加するため、団体撮影にて自分のライティングで撮れるような方策は是非とも考えねばならない課題の1つであろう。


さて最後となるが、今回の撮影写真を別のウェブサイトに掲載したのでこの雑文からリンクする。
この雑文上で写真を直接表示しない理由は、今後のモデル撮影に不都合があろうかと考えたため。それゆえ、別サイトとして分け、この雑文の記事が直接写真と関連を持たない一方通行リンク状態とした。