2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[790] 2013年03月11日(月)
「年末年始帰省日記(6日目-1月3日〜7日目-1月4日)」


時々、「○○が写った昔の写真を探しています」という企画を目にすることがある。
昔の風景というのは、当時生きている人間にとってはごく当たり前の風景であるから、余程のことが無い限りは写真を撮る者はおるまい。昔の風景が価値を持つのは、時代を経た後のこと。しかしその時になって「撮っておけば良かった」では遅い。

それは現代に於いても同じこと。
観光地でもない日常風景を撮る者は少なかろう。現代の日常風景の価値を知るのは、数十年後の未来になるからだ。
近所の何の変哲も無い住宅地で写真を撮りまくっている者がいたとしたら、それはタイムトラベラーか不審人物かのどちらかということになる。

●1月3日(木)−6日目
九州帰省では、父方の祖母にも会いに行きたいと思っていたのだが、高齢による病院生活のためあまり長時間会うことは出来ない。そのため九州最終日であるこの日の午後、帰る直前に豚児と2人で寄ることにした。

午前中は母親のアパートでノンビリし、昼近くにバス停に歩いて行った。
北風がかなり強く、雪も舞って寒さはかなり厳しい。
事前にバスの時刻を見て出たのだが、正月ダイヤを見落としたせいかなかなかやってこない。バス停には他のおばちゃんたちも「なかなか来ないねぇ」と待っている。母親もバス停まで見送りに来てくれたので、この寒さでは気の毒に思う。
結局、20分ほど震えてようやくバスが来た。

小倉駅に行き、駅構内のコンビニエンスストアでおにぎりを買って待合室で食べた。
この待合室は、駅の広いホールの中に建てられた仮設のもので、ストーブも設置してある。逆に言うと、小倉駅のホールは天井の高い巨大空間でしかも開口部が広いため、気温はほとんど外と変わらない。そのためこのような仮設待合室が必要となる。

<小倉駅特設待合室>
小倉駅特設待合室
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 12:27

今回我輩はクルマで来ていないので、父親に電話連絡し13時に行橋駅前に迎えに来てもらうことにしている。
ソニックで行橋まで行こうと思いホームで待っていたが、アナウンスによれば10分ほどの遅れが出ているとのこと。ホームもかなり寒く、ただ待っているだけでもツライ。やはりクルマがあると便利だと改めて思う。

今回乗ったソニックもまたちょっと違うパターンだった。

<白いソニックが来た> (※トリミング)
白いソニックが来た
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 12:48

車内は少々満席に近かったが、小倉駅で降りる乗客が多かったおかげで豚児と2人で座ることが出来た。

<ソニック車内>
ソニック車内
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 13:04

父親は行橋駅で待っており、合流後いっしょに駐車場へ向かう。
毎年の決まり文句のようになっているが、豚児を見て「大きゅうなったのお」と驚いていた。

<父親と合流>
父親と合流
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 13:07

父親のクルマを見ると、普通車から軽自動車になっていた。
後部座席に豚児と2人で座ることにしたのだが、車内が狭いので車外から豚児のシートベルトをセットしていたところ、父親は全員クルマに乗っていると勘違いしたようでクルマを発車させ、後輪が我輩の足を踏み越えた。これにはかなり慌てたが、革の薄い靴にも関わらず意外にも痛くは無かった。
それにしても後部座席とは言え、ドアが全開になっていることに気付かないのか・・・?

<気を取り直して再出発>
気を取り直して再出発
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 13:10

祖母の入院している病院は、田舎の1本道をずっと走った先にあった。
祖母は、病室の窓際のベッドに横になっていた。1年半前に会った時に比べると、その月日以上に老いて見える。

<病院>
病院
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 14:01

父親がベッド下のクランクを回して上半身を起こすと、祖母は周りを見渡して我輩のほうに顔を向けた。
そして少し探るような顔をしてこう言った。
「あんたは−、えーっと、初めてかね?(初対面かね?)」
どうやら我輩のことを覚えていないようだった。
「あ、孫ですわ。ばーちゃんの息子の、その息子。」
「あー、そうかん、すまんねー、覚えてなくてねー。あーそうかん、孫ねぇー。」
その口ぶりからは、痴呆というよりも単純に記憶が消えているだけで理解力は普通にあるように思えた。
豚児も紹介したが、曾孫と言うとさらにビックリしたような顔をしていた。
その後、昔の話を多く話してくれたが、やはり昔の記憶というのは消えにくいらしい。

30分ほど滞在後、病院を後にしたが、父親に「これからどうするね?」と訊かれたものの、その後の予定は特に考えていなかった。
とりあえず思い付くのは、いつも豚児のために寄っていた知り合いの児童書店しか無い。

ただ、現地へ行ってみるまで考えもしなかったが、正月なので閉まっている雰囲気。
店舗は住居も兼ねているので、父親がオーナーを探しに行った。

オーナーは自家製の柑橘茶を出してくれ、それを飲んで身体を温めた。
正月の時間と田舎の時間が混ざり合って、ゆったりとした時間が流れているように思う。

<児童書店>
児童書店
児童書店
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO200] 2013/01/03 14:22-14:35

この後、また「これからどうするね?」と訊かれたものの、その後の予定は特に考えていなかった。
そこで、「ユメタウン」へ行ってみることにした。豚児にシールでも買ってやろうと思う。

店内は以前と変わっており、シールの売り場を見付けるのに少々時間がかかってしまい父親も少し疲れたようだった。
我輩は豚児のそばに行って「じいちゃんに"シール買って"と言ってみたら」と提案してみた。父親は豚児の買い物が出来て喜んでいるようだった。父親の経済状況は知らないが、シールくらいならば負担になるまい。

<ユメタウン>
ユメタウン
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO200] 2013/01/03 15:38

そろそろ頃良い時間になってきたので、行橋駅に送ってもらい、そこで父親と別れた。
行橋駅周辺は今では寂れてしまったが、駅舎だけは近代的になっている。寂れた駅前通と、小綺麗になった駅舎。昔の面影はほとんど無い。
しかし考えてみれば、この駅舎になってもう10数年は経つ。それなりに歴史を刻んでいると言える。

今撮らねば撮れない風景というものもあろう。
この駅舎が「趣が無い」と言えるのは現代の感覚かと思う。少し経てば、「レトロモダン」の範疇に入るようになるかも知れぬ。
そしてまた数十年後かに駅舎が建て替えられれば、「あの時撮っておけば良かった」と思うことだろう。そういった後悔の繰り返しの人生が、まさに我輩であった。

写真は、撮りたいかどうかなどという好き嫌いで撮るものではない。撮らねばならないかどうかという義務感で考えるべきである。それはつまり、特に撮りたい気持ちが無かったとしても、理屈として考えて必要性があるならば無理矢理撮るべきだ。なぜならば、その写真の価値は数十年後にしか理解出来ないからである。

<行橋駅を撮る>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
行橋駅を撮る
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO200] 2013/01/03 16:18

行橋駅から小倉へは各駅停車で戻ることにした。
遊び半分で車窓から風景流し撮りをしてみたところ、まるで回転しているような写真が撮れて驚いた。何度やり直しても同じようになってしまう。画面の中に、近付く部分と遠ざかる部分があるからだろうか。

<不思議な流し撮り>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
不思議な流し撮り
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO200] 2013/01/03 16:41

小倉駅では、前もって連絡を入れて母親と待ち合わせしていた。
東京行きの新幹線に乗るのが18時47分なので、アパートへは帰らずそのまま小倉駅で3人で過ごすほうが良かろう。

小倉駅前には、練乳入りフランスパン「サニーパン」という名物を売っている店「シロヤ」がある。新幹線に乗る前にそれを買って車内で食べようと思った。ところが残念なことにこの時間では売り切れてしまっており手に入らなかった。

<シロヤ> (※トリミング)
シロヤ
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO200] 2013/01/03 17:08

仕方無い、代わりに回転まんじゅうを買っていこう。
ただし回転まんじゅうは購入直後が美味しいので、出発間際になってから買おうと思う。とりあえず、新幹線車内で食べる夕食の弁当を買っておいた。
そして出発までの間、コレットの最上階の憩いコーナーで最後のひとときを過ごすことにした。

<コレット最上階の憩いコーナー>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
コレット最上階の憩いコーナー
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 18:15

さて、いよいよ出発の時間が近付いてきた。寂しい気持ちもあるが、家に帰って馴染みの空間に戻りたい気持ちもある。何より、撮影したデジタル写真を早く整理したいと思う。今回は何枚撮ったろう? フィルムのほうは本数を数えればすぐに分かるのだが、デジタルは数が多いだけに現時点では把握出来ていない。

回転まんじゅうを買ってコレットを出ると、辺りはすっかり暗くなり、イルミネーションが美しく輝いていた。
こんな風景が簡単に撮影出来るのは、強力な手ブレ補正機能を持つ「OLYMPUS OM-D E-M5」に依るところが大きい。手ブレ防止機能を持たぬ「OLYMPUS E-MP2」ではこうはいかない。
(※E-PM2はスペック上は手ブレ防止機能を持つことになっているが、実際には手ブレを増長させる不具合があるのでその機能は使えない。)

<小倉駅>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
小倉駅
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 18:33

母親はホームまで見送りに来てくれた。
最後に孫の豚児を抱き締めて写真に撮り記念とした。豚児はちょっと戸惑っていたが・・・。

<お別れ>
お別れ
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 18:46

間もなく新幹線が入線し、車両に乗り込んだ。指定席なので慌てることは無い。ただ、今回は2列シートではなく3列シートのほう。

<新幹線入線>
新幹線入線
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 18:49

停車時間が短いせいか、我々が席に座る前に新幹線は発車。手を振っている母親に応えるのが少々遅れた。加速の速い新幹線のため、母親の姿はすぐに遠ざかってしまった。こちらの応えは見えただろうか?

席に座ってすぐ、弁当を広げた。
我輩はすぐに平らげてしまったが、豚児のほうは「お腹が空いてない」とほとんど手を着けなかった。そう言えば、往路でもこんな感じであった。「調子が悪いのか?」と訊いたが首を振る。食いしん坊のくせに、案外、乗り物の中では食べられないのかも知れない。

<弁当を食べる>
弁当を食べる
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 18:56

そうこうしているうちに広島駅に着いた。
「なにっ、広島だと?!」
我輩はビックリして顔を上げた。小倉駅を出てからまだ45分だぞ。
我輩は小学校の修学旅行の行き先が広島だったが、当時はまだ0系新幹線しか無く、新幹線でもそれなりに時間がかかったように思う。正確な所要時間は覚えておらず小学生の感覚で少し誇張となるのだが、体感3時間くらいの印象だった。それがたったの45分とは・・・。

その後、我輩は読書をしたり、豚児はゲーム機で遊んだりしていたのだが、さすがに夜も更けてくると豚児も眠くなる。眠れるのであれば眠れば良いのだが、シートではなかなか熟睡も難しい。

<さすがに眠そう>
さすがに眠そう
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/03 23:17

23時半頃、ようやく東京駅に到着。通勤経路の駅なので、やっと帰ってきたという実感が湧く。
山手線から次の在来線に乗り換えると、さすがにこの時間帯では席もガラ空き状態。

●1月4日(金)−7日目
電車にしばらく乗っていると、途中で日付が変わってしまった。豚児も壁にもたれて寝ている。無理も無い。あと少し頑張ってくれ。

<新幹線から在来線に乗り換え>
新幹線から在来線に乗り換え
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/04 00:02

0時10分頃、最後の乗り換え駅に到着。
いつもはそこから各駅停車に乗り換えて最寄り駅まで行くのだが、今回はタクシーに乗ってダイレクトに家に帰ることにする。
駅前ロータリーに出てタクシーに乗り込む。ドアがバタンと閉まると周囲の雑音が遮断され、静かな空間になった。

<最後はタクシーに乗る>
最後はタクシーに乗る
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/04 00:13

最初は気付かなかったが、このタクシーの運転手はどこか変だった。
右折すべき交差点にさしかかった時、運転手が訊いてきた。
「ここ、右へ行くにはこの右折車線に入ればいいんですかね?」
「えっ、あ、そうですが。(右折なら右折車線は当然だろうに、大丈夫か・・・?)」
支払い時も、お釣りの端数が出ないように出したが単純な計算が出来ないようで「えーと・・・」と固まっていたのでこちらから言ってあげた。確かに我輩も暗算は出来ないほうなので人のことは言えないが、タクシー運転手であればちょっとくらい計算出来なければキツイのではなかろうか。

それはともかく、タクシーのおかげで最後の乗り換えと歩きを省くことが出来た。
もう午前1時近い。
豚児には「急いで風呂に入って歯磨きして寝ろ」と指示し、ようやく今回の帰省の旅を終えた。

さて、今回の帰省のまとめは下記の通りであった。

●期間 2012年12月29日〜2013年1月4日(7日間)
●デジタル撮影総枚数 約2,204枚
RAWデータにて撮影。別府撮影分の割合が大きく、それだけで1,000枚を越えた。
●フィルム撮影総枚数 4本
その全ては別府地獄巡りのもの。
●旅行費用 138,159円

<内訳>
・新幹線 :61,800円(往復割引)
・電車賃(新幹線以外) :12,920円
・バス代 :1,000円
・タクシー代 :3,340円
・食費 :9,964円
・レンタカー・ガソリン代 :10,010円
・ホテル宿泊費 :13,220円
・入館・駐車代 :17,370円
・土産その他 :8,535円 

また、今回得られた教訓としては以下の通り。

(1)新幹線
新幹線での移動は半日で済むのが助かるが、予約時には注意が必要。インターネット予約ではアクセス集中するので実際に窓口で買うほうが確実。

(2)寒さ
今回は年末年始ということで寒さが大変だが、夏の暑さのように体力を大幅に削がれることは無かった。
しかしクルマがあったほうが防寒的には良かったろう。しかし期間中のレンタカー費用と駐車場代は新たな問題。

(3)フィルム撮影
年を取ってきたせいか、最近は意識しておかないとフィルム撮影がどうしても少なくなってしまう。昔ならば67判の一眼レフでも平気で持ち歩いたものだが(2004年夏など)。