2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[788] 2013年02月17日(日)
「年末年始帰省日記(4日目-1月1日)」


我輩が生まれ育った実家の裏手には、一段低い場所に鬱蒼とした雑木林があった。
夏には下草が鬱蒼と生い茂ってとても入れないところだが、冬になると良い具合に空間が広がっているのが見えた。
考えてみると不思議な場所である。林の奥はどれほど続いているのだろう。当時小学生だった我輩の目には、いったん入れば、パンくず無しには二度と戻れない樹海のように感じた。

だがある冬の日、そこに降りることを決心した。上から見えるところに木製のブーメランが落ちているのを見付けたからだ。
つる草や木の枝を掴みながら降りると、下に積もった枯れ草はそれほど深くはなく、意外に普通に歩けることを知った。
降りた直後に見上げると、段差はだいたい1.5メートルほど。「ここを登れなければ戻れなくなるな」と少し緊張した。まあ、その心配は戻る時に改めて考えよう。

ブーメランを手に取ってみると、古そうだが本格的なものに思えた。とりあえずの目的は達成。
しかしせっかく入った雑木林なので少し歩いてみることにした。
耳を済ませると、風が吹いて枯れ葉がカサカサと音を立て、ヒヨドリか何かの野鳥が上のほうでキーキー鳴いている。しかしそれ以外の音は何も無い。
自宅からほんの10メートルくらいしか離れていないのに、まるで別世界のようだった。自宅家屋が、木々の間にかろうじて見えているだけ。
とにかく、行けるところまで行ってみようと、林の中を歩いて行くと、先のほうが明るくなってきた。
そしてついに、林を抜けることが出来た。
目に前に広がったのは思いもよらぬ光景、よく友達とザリガニを捕ったりイカダ遊びをした調整池であった。

通常、その調整池へ行くには回り込んだ道を歩く必要があるのだが、裏の雑木林から行くとダイレクトに到達することが出来たのである。当時の我輩には、まるで異次元空間を通って離れた場所にパッと飛び出たような錯覚を覚えた。地図上の位置関係を把握していない小学生の体験としては衝撃であった。
そこからはいつもの道を通って自宅へ帰ったのだが、これで1.5メートルの崖を登る心配も無くなった。

子供時代のこういった小さな体験は、今の我輩にも大きな影響を与え、昔感じたものに似た何かに触れるとハッとする。そのきっかけは物音だったり、空の匂いだったりするが、その時まで全く思い出さなかった気持ちがパッと蘇ると、無性に昔が懐かしくなるのだ・・・。


●1月1日(火)−4日目
正月のこの日、祖母の家に行く予定にしている。
祖母の家とは言っても、ここは我輩が高校卒業まで住んでいた実家と言える場所。そこには我輩の部屋もあったが、今は全て処分されてしまい、ガランとしている。処分の仕方も大雑把だったようで、我輩の小学校から高校までの卒業アルバムさえ処分され何も残っていない。参るな・・・。

数年前までは帰省時に泊まることもあったが、今は高齢となった祖母に負担をかけぬよう日帰りとしている。

それから、最近実家にみかんの木を植えたとのことで大量のみかんが送られてきたことがあったが、「なぜに今頃みかんを?」と思った。
送られてきたみかんを見ると、見事な温州みかんで、本当に庭先に植えたのかと思うほど。
今回、そのみかんの木の確認もしてみたい。


まず、小倉駅方面へ向かいながらも八坂神社に寄って初詣をしようということになった。
外に出ると空は晴れており、この時間でも日が浅いので眩しい。相変わらず寒さは厳しいが、風が無いので良かった。

高速道路下を抜け、中央図書館の脇を過ぎ、小倉城の前を通る。
昔は寂れていた小倉城も、今は小奇麗になっている。当然、写真を撮る。ふと見ると、豚児は写真を撮る様子は無い。自発的に撮るのが望ましいが、しかし放っておいたらそのまま何も撮らずに旅が終わる。
「せっかくのお城、写真に撮らないのか?」と促すと、「あ、そうか。」と背中のリュックからカメラを取り出し、小倉城のほうに向けた。
続けて「カメラは常に出しておくもんだ。そうしないと撮りたい時に撮れんぞ。」と言ってみたが、特に反応は無かった。

<小倉城の前を通る>
小倉城の前を通る
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 11:37

それでも色々と構図を考えたりしているようで、お堀の水面に映った城を"逆さ富士"のように撮ってご満悦。
その時、近くで同じように写真を撮っていたオイちゃんが、豚児のカメラを見て「えっ?!」という顔をしていた。想像するに「こんなガキんちょが一眼レフを?!」というところか。
落ち着け、それはフォーサーズカメラだ。大したカメラじゃない。

その後、八坂神社でお参りをした。人が多過ぎて近付けなかったが、とりあえず手を合わせた。

<八坂神社で初詣>
八坂神社で初詣
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 11:43

それが終わるとリバーウォークを通ってバス停へ。バスに乗って小倉駅に行く。

<バスで小倉駅へ>
バスで小倉駅へ
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 12:06

ちょうど昼食時なので「コレット」のレストラン街でうどんを食べた。
関東や関西のほうでは、麺の硬いいわゆる"コシの強い"うどんが主流だが、九州は柔らかい麺が特徴のはず。ところが最近は硬い麺が増えたように思う。案の定、この店でも麺は固かった。

<硬い麺のうどん>
硬い麺のうどん
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 12:34

硬い麺はくちゃくちゃ噛まなければ食べられないしツユの絡みも良くない。その点、柔らかい麺ではスルスルと喉を通り、ツユが良く絡むので旨いのだが。

食後、昨日買えなかった回転まんじゅうを買うことにした。
それにしても、「コレット」の地下食品街の回転まんじゅう屋は「蜂楽饅頭(ほうらくまんじゅう)」という名前が付いているが、小倉魚町には同じ回転まんじゅうでも「六法焼(ろっぽうやき)」という名前の店がある。
また我輩自身は昔から「回転まんじゅう」と呼んでおり、一方他の地域では「大判焼き」とか「今川焼き」などと呼んでいる。
名称が色々あるというのは、人に話をする時には大変やっかいである。統一名称としてはどう呼べば良いんだ?

<蜂楽饅頭(ほうらくまんじゅう)>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
蜂楽饅頭(ほうらくまんじゅう)
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 13:02

少々気になって、帰宅後に過去撮影した写真を見てみると、少なくとも「六法焼」は"高級廻転焼"という扱いであった。正式名称は"廻転焼"か・・・?

<幟に"高級廻転焼"と書いてある>
幟に高級廻転焼と書いてある
[Nikon D200/18-70mm/ISO400] 2010/02/19 13:55

さて、そろそろ電車に乗って実家方向の行橋(ゆくはし)駅に向かう。
各駅停車でゆっくり行こうということでコミュータートレインに乗った。エクステリアもそうだが車内も斬新で、吊り革にしてもいちいち面白い。

<面白い吊り革>
面白い吊り革
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 13:17

ドアには「床に座らないでください」というステッカーがあり、これをどう解釈すべきか少し悩んだ。田舎は床に座る者が多いのか、あるいは念を入れて貼ってあるだけなのか。
まあ、ここでしか見たことのない面白いステッカーなので、記念に撮っておいた。

<「床に座らないでください」>
「床に座らないでください」
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 13:27

行橋駅からは、実家方向に行くバスが無いのでタクシーに乗る。
道すがら、懐かしい風景が窓を過ぎる。変わっていない風景と変わってしまった風景が混在し、時々「お?」と身を乗り出すことも多い。
変わった風景については2パターンあり、新しく出来たり整備されたりしたものと、寂れて廃屋になったり空き地になってしまったりしたものが見える。タクシーを降りて実家周辺を歩くと、近所の家も廃屋になっていた。そこはモダンで立派な家(今で言うとレトロモダンな家)で、周囲の日本建築の中にあって目立っていたが、住んでいたオイちゃんオバちゃんが高齢で亡くなってそのままの状態らしい。
時代の流れを感じずにはいられない・・・。

実家に到着し呼び鈴を押すと、祖母が出迎えた。
最近はかなりボケてしまったようだが、パッと見た目はそんな感じはしない。

<実家到着>
実家到着
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 14:05

祖母の細かいことを気にしない性格や人の話を聞いていないで同じ質問を何度もするところは昔からのもので、いつも笑い話で済んでしまう。だから少々ボケても表面上の違いが分かりにくい。
しかしそれでも、今渡したものを「あれ?これ誰が持ってきたんやろうね?」と言われると「あー、やっぱりな」と思わざるを得ない。だがそれを本人が深刻に捉えず笑いとばすので救いがある。
それにしても豚児は祖母の性格と酷似しているので要注意か。

3年前に祖父が他界してから祖母も話し相手がいなくなり、今回は久しぶりの会話だったようで話は大いに弾んだ。とは言ってもあまり長居すると祖母も疲れるだろうという配慮から、1時間ちょっとで切り上げ、祖父の霊前に手を合わせてから戻ることにした。

帰り際、みかんの木のことを思い出した。庭に回り、件のみかんの木を見に行ってみる。
祖母によると、「実はぜーんぶ取ってしまったけん、もうなんも残っちょらんよ」とのことだったが、探すと1個だけ残っていた。

<みかんの実が1個残っていた>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
みかんの実が1個残っていた
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 15:57

改めて庭を見渡すと、昔に比べて殺風景に感ずる。葉の少ない冬の季節のせいもあるが、倉庫を撤去したり家屋を改築したりしていることも大きく影響しているように思う。もはや子供の頃に見た風景とは異なる。
しかしながら、裏手にある雑木林のほうは、今も変わらずそこにあった。

<庭に隣接した雑木林>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
庭に隣接した雑木林
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 15:57

いつもは夏に帰省していたので、雑木林は下草に覆われてとても降りられそうではなかったのだが、冬の今見ると、木々の間から林の中に降りられそうに見える。
皆は「そんなとこ、降りられんよ」と言っているが、我輩は思い切って降りてみた。枯れ草が堆積しているがそれほど深くなく、小学生のあの頃を思い出す。

<雑木林側から見上げる>
雑木林側から見上げる
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 16:04

ただ今回は時間も無いのであまり深く踏み込めず、先のほうまで探検出来なかったのは残念。いつかまた、帰省した時に探検したいと思う。そのためには再度冬に訪れる必要があるが。

帰りもタクシーを使い、行橋駅に向かう。
タクシーの運転手さんも祖母を良く乗せるらしく、「ばあちゃんも歳のわりに身体が元気やけんええねー。病気ひとつせんけんねー。」と言っていた。

<ばあちゃんの話題で盛り上がる>
ばあちゃんの話題で盛り上がる
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 16:11

行橋駅からはソニックで小倉に戻ることにした。
タイミングが悪かったのか席には座れなかったが、さすがに特急だけあってすぐに小倉駅に到着。

<帰りはソニックで>
帰りはソニックで
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 16:52

小倉駅に着くと、どうも天気が良くない。冷たい雨がポツポツ降っていた。
寄り道せず、バスターミナルからバスに乗って母親のアパートに向かう。
途中、バスからふと外を見ると、人力車が走っているのが見えたので思わずシャッターを切った。

<小倉にまさかの人力車>
小倉にまさかの人力車
[OLYMPUS OM-D E-M5/7-14mm/ISO400] 2013/01/01 17:21

「まさか? 人力車は観光地で走るものでは?」
後日検索してみると、個人のこだわりでやっているものらしいということが分かった。
ちなみに撮影は流し撮りとなったが、とっさの撮影のため「E-M5」の強力な手振れ補正がON状態で流し撮りを打ち消すはず。しかし大きくパンしたので何とかブレ補正機能に打ち勝ったようだ。