2000/04/05
OPEN

表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
 FA
 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
 AE-1P
 AE-1
 newF-1

PENTAX
 K1000
 KX
 KM
 LX
 MX
 MZ-5
 MZ-3
 MZ-M

OLYMPUS
 OM-3Ti
 OM-4Ti
 OM-2000

CONTAX
 ST
 RTS III
 Aria
 RX
 S2

MINOLTA
 X-700
 XD

RICOH
 XR-7M II
 XR-8SUPER

カメラ雑文

[763] 2012年07月17日(月)
「今さらながらのOLYMPUS E-20中古購入」


我輩が過去に使用してきたデジタルカメラは雑文755でも紹介したが、その多くは売却や知人への譲渡、あるいは廃棄などにより手元に無い。

確かに、新型デジタルカメラが出るたびに買い換え、デジタル写真のクオリティもそれに伴って向上してきた。しかし疑問も残る。
過去に使ってきたデジタルカメラは、実は今でもクオリティが低いわけでなく、当時の我輩が使いこなせていなかっただけではないのか?

10年くらい前を振り返ってみれば、我輩自身の状況が現在とはかなり変わっている。
思いつくままに挙げてみると、

(1)デジタルカメラを、フィルム撮影前のモニタリングや露出計用途としか見ていなかった時期があった。
(2)RAW撮影をしていなかった。
(3)パソコンの処理速度・ディスプレイ性能・キャリブレーション環境・ソフトウェア環境が整っていなかった。

(1)については、露出にシビアなリバーサルフィルム撮影では大変重宝したのだが、それだけにデジタルカメラのほうでは撮影に対して気が入っていない。特に「OLYMPUS C-700UZ」など露出計用途のためだけに買ったカメラということで、最高解像度で撮ったことが無かったほど。要するに、使いこなすためのスキル以前の問題として、使いこなす気さえ無かった時期があった。

(2)については、(1)にも関連する話だが「所詮はデジタルカメラなのだからRAWで撮る必要無し」とする意識があったし、RAWはこだわりの調整が効くだけに作業量が増大し(気が済むまで調整が終わらない)、大量撮影時には膨大な作業時間が必要で、RAW撮影を主体とする現在でもRAWで撮ることに疑問を感ずる時もある。

(3)については、RAWで撮れるデジタルカメラが限られていたこともあるが、そもそもRAWデータを取り扱う環境が最近まで無かった。またディスプレイの色があてにならないので気を入れてレタッチすることは無かった。当然、画質を追求出来たとは思えない。

過去に使っていた機材の中で、最も印象的なのは「OLYMPUS CAMEDIA C-2020Z(200万画素)」である。
これは、それまで使っていた「OLYMPUS C-1400L(130万画素)」や「FUJI FinePix700(130万画素)」とは異なり、シンクロターミナル(ストロボ用コネクタ)とマニュアル露出モードが搭載されていたのである。
これによってテーブルトップスタジオ撮影が可能になった。

<OLYMPUS CAMEDIA C-2020Z>
OLYMPUS CAMEDIA C-2020Z

我輩は、テーブルトップスタジオでは定常光を一切使わずストロボを用いる。なぜならば、ストロボならば色温度の補正が楽で、かつ大光量を得られるからである。
色温度の補正は、フィルム撮影ではかなり苦労させられる。もし定常光としてタングステン光や蛍光灯を使おうものならばCCフィルターによる補正しか無く、そのフィルターの取扱いにはかなり神経を使った(フィルターの素材が柔らかく傷が付き易い)。光量も十分でないと絞り込めず、被写界深度からハミ出て前後がボケてしまう。

そんな時に購入したのが「C-2020Z」であった。
今となってはどこでいくらくらいで購入したのかは忘れてしまったが、定価が11万3千円なので、多少割引があっても8〜9万円くらはしただろう。この値段は今考えると信じられないが、このカメラによりデジタルカメラで初めて外部ストロボ撮影が可能となり、外部ストロボ撮影でも事前確認が容易になった。ウェブサイト掲載用に限定すれば、フィルムで撮らずともこの「C-2020Z」だけで済む。そういう価値を考えると、8〜9万円出しても惜しくはなかったのだろう。

当初は、撮ったその場で結果が見られるのが面白く、色々とストロボ撮影した記憶がある。それほどにデジタルカメラでのシンクロターミナルとマニュアル露出は画期的であった。

その後、デジタル一眼レフカメラ「Canon EOS D30(310万画素)」を導入してレンズ交換による撮影の可能性を拡大させた。そして世代を重ねて画素数を拡大させ、現在に至っている。
しかし振り返ってみると、「C-2020Z」の導入時ほどデジタルカメラの世界が大きく広がったことは無かった。このカメラだけは特別な存在と言える。

さて「EOS D30」購入後、「C-2020Z」は知人に譲渡したのだが、今になってから懐かしく思い、中古品でも手に入れようかと思い始めた。何しろウェブで検索してみると、2,000円前後で手に入るようなのだ。このカメラを使い、現在の撮影方法で撮ってみたらどんな画を出すのか見てみたい。

しかしよく考えると、「C-2020Z」ではRAW撮影は出来ない。それに、200万画素はいくらなんでも小さ過ぎる。等倍表示でもディスプレイ上では6割くらいしか無い。それにメモリカードがスマートメディアというのも使いづらい。

そこで、ギリギリ実用になる範囲として、「OLYMPUS CAMEDIA E-20」にターゲットを移した。
500万画素でRAW撮影可能、シンクロターミナルとホットシュー装備と、発売当時(2001年)としてはプロ向スペックを持っていた。メモリカードはスマートメディアだけでなくコンパクトフラッシュにも対応している。単三電池仕様で電源にも不安が無い。
当時は定価22万円もしたようだが、ネットオークションにて送料込み9千円くらいで手に入った。

<OLYMPUS CAMEDIA E-20>
OLYMPUS CAMEDIA E-20
OLYMPUS CAMEDIA E-20
OLYMPUS CAMEDIA E-20

カメラが届いて早速見てみると、グリップ部のゴムがベタついていた。これは事前情報で知っていたのだが、グリップゴム素材が加水分解してこのようになっているものが多いという。明らかに設計時の素材選定ミスと言える。そういう意味で言えば、どの個体でも遅かれ早かれこのような状態となり、いくら程度の良い個体を手に入れることが出来たとしても結局は無駄な努力となろう。

最初、グリップ表面のベタベタをティッシュペーパーで拭いてみたのだが、紙の繊維がこびりついて収拾がつかなくなった。思ったより病巣は根深い。試しにマイナスドライバーで垂直に刺してみると、なんと抵抗がほとんど無いままボディ基部までゴムを貫通してしまった。もはや粘土と化している。
仕方無いので、マイナスドライバーでゴム全体を削ぎ落とし、グリップのプラスチック表面がキレイになるまで磨いてみた。
グリップの機能としては特に問題は無いし、遠目にも自然に見える。

メモリカードについては、手持ちのスマートメディアは最大でも8MBしか無く、とても実用にはならぬ。しかしコンパクトフラッシュも使えるので、2GBを入れてみたところ正常に認識した。ちなみに4GB以上となるとカードエラーとなり、このカメラでフォーマットしても使えなかった。

ボディのスタイルはOLYMPUSお得意のL型スタイルで「C-1400L」ともシルエットが似ているが、「E-20」は金属ボディでシッカリとしている。やはり元々の定価が22万円なのでそれくらいの質感が無いと納得出来ないだろう。ただしグリップ部分(ゴムの下)はプラスチック製となっている。

さすがに時代が旧いせいか、電源を入れて撮影可能になるまで数秒かかる。撮影時も、続けて2〜3枚撮るとバッファが一杯になり、次の撮影までこれまた10数秒かかる(バッファインジケーターがある)。
撮影はRAWで行ったが、RAWで撮ると撮影後の背面液晶表示は拡大出来ないのは意外だった(JPEG撮影ならば拡大可能)。これでは撮影直後のピントチェックは出来ない。
手動ズームのためズーミングの操作性は良いが、ピントが合ってシャッターが切れる感じは「C-1400L」に似ており、一眼レフらしい"切れの良さ"が無い。それもそのはず、「E-20」はビームスプリッタ(プリズム)で光を分割しており可動ミラーが無く、しかもレンズシャッターであるのでレリーズ時の手応えが無いのである。
それに、このカメラの2/3インチイメージセンサーはマイクロフォーサーズの半分(面積で1/4)でしかない。

現代の目で見ると何かと気になる点が多いが、テーブルトップスタジオでの撮影用途として限ると、現代機と遜色無いか、部分的には勝(まさ)っているところもある。

まず何と言っても、シンクロターミナルの存在によりホットシューからアダプタ経由で線を引かずともそのまま外部ストロボが使える。これは現代機のほとんどでは失われた機能である。
しかもNikon機のように外れ防止用のネジが切ってある。

そして撮影した画像をRAWデータから調整すると、なかなかのクオリティを見せた。
画素数の違いはあるにせよ、用途に悩むほどの不足は無い。画の表現力は現代機と比べても遜色無いのではないかと思う。いや、むしろテーブルトップスタジオ撮影では、「E-20」のほうがクッキリとした表現をするように感ずる。

<「OLYMPUS E-20」で撮影したテーブルトップスタジオ作例>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
「OLYMPUS E-20」での作例
「OLYMPUS E-20」での作例
[OLYMPUS E-20/ISO80/ストロボ使用]

これは、比較的小さなイメージセンサーが関係しているかも知れない。というのも、テーブルトップスタジオでは対象物が小さいため被写界深度内に収めるには目一杯絞り込む(絞り値F22やF32など)ことになる。そうなると光の回折の問題で鮮鋭度を欠く。
しかしイメージセンサーが小さいと被写界深度が深くなるため、そういう点では有利となろう。上の写真など、絞り値F11で撮ったとは思えぬ仕上がり。ちょうど「E-20」のイメージセンサーの大きさがテーブルトップスタジオの被写体とマッチしたのではないかと思う。

またそれだけでなく、このカメラはレンズシャッター式のため、ストロボでも最高速シャッターが使える。あまりシャッタースピードが速いと、発光時間が長いストロボでは露光に影響する場合もあるだろうが、フォーカルプレンシャッターで画面切れするよりはよっぽど良い。

おまけに好都合なことに、「E-20」の最低感度はISO80と低め。大光量となるストロボ撮影では都合が良い。

以上のように、「E-20」には旧いカメラと侮れぬポテンシャル(秘めたる能力)がある。
これだけの写真が撮れるカメラが9千円で買えるのだから驚く。それと同時に、当時このカメラを持っていたとしても使いこなせなかったろうという歯痒さもある。
そういう視点から改めて「C-2020Z」のことを思い返すと、もしかしたらもっと上手く使うことが出来たのではないかと少々悔やまれる。これからはこのカメラを手にするたび「C-2020Z」の時代を思い出し、「やれば出来るんだ」という精神を蘇らせてくれるだろう。

まあ今回、ほとんどシャレで買った「E-20」なので実用など考えていなかったが、テーブルトップスタジオ撮影では予想以上の働きを示したので今後も使ってみることにしたい。簡単なマクロモードもあり、そこそこ小さな物でも写せるはず。

さて最後に、「OLYMPUS CAMEDIA C-1400L」のことについて。
このカメラは遥か昔に知人へ譲渡したのだが、さすがに今は知人も使っていないとのことで、最近そのカメラを引き取ってきた。
こちらもグリップ部のゴムが油で濡れたようになってベタベタしており、拭いても拭いてもしばらくするとまた油が浮いてくる。これでは手に持って使えないので、こちらもやむなくゴム部を剥がした。
また、フィルターネジはプラスチック製で、こちらも経年劣化のためか、触るとビスケットのようにポロポロと崩れた。

なお、こちらもせっかくなので「E-20」で外観を撮影し下に掲載した。

<OLYMPUS CAMEDIA C-1400L>
(※画像クリックで横1200ドットの画像が別ウィンドウで開く)
OLYMPUS CAMEDIA C-1400L
[OLYMPUS E-20/ISO80/ストロボ使用]

「C-1400L」は、マニュアル露出モードも無ければ外部ストロボも使えない。プリ発光対応スレーブユニットも試してみたが、どうしても正常に同調させることは出来なかった。
そもそも画素数が130万画素(1280x1024ドット)と致命的なほど少なく、仮にRAW撮影が出来たとしても使い途は思い付かない。せっかく単三電池仕様なのにこれではどうしようも無い。

時代を考えれば、当時のビデオカメラのスチル画よりも少し画質が良い電子画像という位置付けで認識しておいたほうが良いだろう。
しかし現在ではデジタルテレビが1440x1080ドットなので、それよりも小さな画像となってしまい救いようが無くなってしまった・・・。