2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[730] 2011年08月18日(木)
「2011年夏 九州帰省日記(3日目)」−8月8日(月)


この日は、我輩の単独行動の日。25年前に散策した福岡市周辺の4つの地域について、記憶を辿る旅に出るのである。
天候としては、雲が多いながらも強い日差しがいかにも暑そう。クーラーの効いた室内から出るのは苦行にしか思えぬ。しかし、早めに行動を始めて早めに目的を終えたほうが良いだろう。

豚児とヘナチョコ妻、そして我輩の母親のほうは、3人で小倉の街(リバーウォークなど)でショッピングをするという。
我輩は朝食後すぐに支度し、8時頃部屋を出て、前日にクルマを停めた少し距離のあるコインパーキングに向かった。平日のせいか、途中、出勤・通学の人の流れとすれちがう。

コインパーキングに到着したのは20分後。遠過ぎる。
まあ、祭りは昨日で終わったのだから、帰りはいつもの駐車場に停めることが出来るはず。

クルマに乗ってエンジンを掛け、ポータブルナビをダッシュボードのマウントに固定。目的地設定は既に終えているので、すぐに発車可能。ポータブルナビは実に楽である。

千葉から大阪までの約530kmを走って以来給油していないので、ガソリンが残り1/4になっている。これから途中で給油しようと思うが、安いところはどこにある?
見当が付かないので、セルフスタンドらしきところをナビゲーション画面から見付け、そこに寄ることにした。

しかし小倉市街はバスが異様に多い。
目的のガソリンスタンドの手前左車線にバスが停まっていたので右車線に移って追い抜いたら、バスが発車して左車線に戻れず、そのまま目的のガソリンスタンドを通過する形になってしまった。
結局、走行しながらリッター単価表示の看板を比較しながら入るしかない。
幸い、大通りなのでガソリンスタンドはそれなりに多い。見ていると、ハイオクでリッター単価160円前後のところが多いようだ。千葉では154円で入れたのが最後だったが・・・。

ところがしばらく走っていると単価165円などというスタンドも見え始め、高い地域に入ってしまったのかと少々不安になった。
「こうなったら、次に160円の看板があればそこに入ろう。」
そう思った時にちょうど、単価155円の看板の店が目に入った。
「おかしいな、直前に通り過ぎたスタンドと比べて10円も安い。会員価格とか、何かの条件付きではないのか?」
安さが怪し過ぎるため左ウィンカーを入れるのを躊躇(ためら)ったが、後続車がいなかったので、通り過ぎるギリギリまで迷ったあげく入ってみることにした。

店員のオイちゃんに単価を確認後、ハイオク満タンを頼んだ。だが、まだ油断は出来ない。やはり安さが怪しい。単価詐称の可能性もある。というのも、2006年帰省時に京都郡の実家近くのJOMO豊津ステーション吉村石油店(福岡県京都郡みやこ町豊津389-1)というところで単価詐称被害に遭ったことがあるのだ。ガソリンスタンドは信用出来ん。

我輩は、給油が終わった後すぐに電卓を叩き、リッター表示の数字と単価を掛けて支払い予想額を算出しておいた。もしこれよりも少しでも高かったりすれば、徹底的に追求し、納得がいかなければ座り込みでもし、警察沙汰に持ち込むつもりだ(警察は民事不介入なので、営業妨害で警察沙汰にするしかない)。

<ガソリンスタンドで給油>
ガソリンスタンドで給油
[Nikon D700/24-120mm] 2011/08/08 08:34

ところが請求された金額は算出金額よりもむしろ数十円ほど安く、拍子抜けした。消費税分と分かれて計算されているようであるが、どうやっても計算が合わない。しかし、安い分には文句はあろうはずも無く、そのまま無事にガソリンスタンドを出た。
もっとも、給油量表示のごまかしなどであれば気付きようも無い。

さて、目的地は福岡市周辺にある4箇所の地域である。
遠いほうから攻めていくことを計画し、まず最初の地域へは、小倉から一般道で1時間半かかった。

第1地域では、役場の駐車場にクルマを停め、カメラの準備をする。中判「New MAMIYA-6」とNikon用ナノクリスタル広角ズーム14-24mmをバッグに入れ、手には「Nikon D700」を持って外に出た。
ところが、バッグを肩に掛けたところ、ジワジワと痛みが湧き上がってくるではないか。昨日のプールでの日焼けの痛みであった。そのバッグの肩ヒモは、たまたま幅広になっており、あまり食い込むような感じではないのだが、それでもカメラの重さがかかるせいで、歩く動作が痛みのリズムになってしまう。

「マズイな、このまま出て行くと途中で耐えられなくなり、生きて帰れなくなるぞ・・・。」

すぐにクルマに戻って携行機材の見直しを図ったが、エンジンを停めた車内は暑くなる一方で、あまり長く考えているヒマは無い。我輩は中判カメラを諦め、デジタル撮影だけで済ませることを決断した。
散策撮影では何枚撮影するかは事前には分らない。ふと感じたところがあればとにかく撮ることになろう。本来、主要なポイントを中判で押さえておいて、その間を補佐役のデジタル写真で埋めるというやり方をしたかった。しかし今回、両方持ち歩くことは諦めねばならない。となれば、撮影枚数に制限の無いデジタルカメラ「D700」とそのレンズだけに絞るしか無かろう。
まさに、苦渋の決断である。

結果的に、バッグには14-24mm広角ズーム1本だけになったが、今の我輩にとってはこの重さでもかなりの苦痛。重いというよりも痛い。


まず始めは、駅舎を中心にその周囲を散策撮影した。

<第1地域の散策撮影>
第1地域の散策撮影
[Nikon D700/24-120mm] 2011/08/08 10:27

驚いたことに、記憶に合致する風景がほとんど無いではないか。
決して、記憶が残っていないというわけではない。記憶と風景が異なるという感じである。もちろん、25年の間には建物が建て替えられたりするなどの変化はあろうが、全く別の町のように感ずるものだろうか?
我輩の記憶では、もっと家々が建て込んで狭苦しい印象だったのだが・・・。

結局のところ、記憶と合致する風景があまりないせいで、どこを重点的に撮れば良いのか分からなくなり、歩いた範囲をとりあえずまんべんなく撮影したに過ぎなかった。
それにしても、肩がヒリヒリ痛くてツライ。
ここでの所要時間は、約40分間。

再びクルマに乗り、第2地域を目指す。
ここは博多湾の近くで、我輩の予備校の寮がある場所。当時よく歩いていた場所については、既に2008年の帰省時に訪れて撮影しているため、今回の撮影では、1回しか行ったことのない散策路のほうを辿ってみることにした。
第1地域でデジタルカメラのみの撮影だったため、引き続き同様にデジタルカメラのみとする。
仕方無い・・・。


近くにあったショッピングモールにクルマを停め、そこから歩いて海岸線まで行く。暑くて汗がタラタラと流れるが、懐かしい鳥居が見えてきたので嬉しくなり、色々と角度を変え何枚も撮影した。
1回しか訪れたことのない場所であるのに、なぜか懐かしい。

<第2地域の散策撮影>
第2地域の散策撮影
[Nikon D700/24-120mm] 2011/08/08 11:49

ただし、鳥居自体は記憶そのままだったが、周辺の風景は全く違っていた。それもそのはず、この辺りは海の埋め立てが大規模に行なわれ、当時海だったところが完全に陸地になり、そこに道路が通り、建物が建っているからだ。

良く見ると、当時海辺の堤防だったと思われる所に行き着いた。そう言えば、ここに腰掛けて海を眺めた記憶がある。
今では陸地しか見えないその先に、消えた海の風景を想い出した。

<第2地域の散策撮影−右側はかつて海が広がっていた>
第2地域の散策撮影−右側はかつて海が広がっていた
[Nikon D700/24-120mm] 2011/08/08 11:57

さて、これ以上の散策の成果も無く肩のヒリヒリ痛も酷くなってきたので、クルマに戻り次の地域へ向かうことにした。
ここでの所要時間も、約40分。やはり体力的にこれが限界なのか。

次の第3地域に向かう途中、昼も過ぎていたのでコンビニエンスストアで昼食を摂り、その後、目的地近くのドラッグストア駐車場にクルマを置いた。
ここでの散策は、ほぼ記憶の様子がそのまま残っているようであった。

<第3地域の散策撮影>
第3地域の散策撮影
[Nikon D700/24-120mm] 2011/08/08 12:53

しかしながら、余計な深追いをして、一度も歩いたことのない路地まで入り込んで道に迷うことになってしまった。もちろん、道に迷っても最終的には戻れるくらいの能力は備えているが、体力の消耗に繋がるので無駄な歩きは極力避けたい。

そこでふと、ポータブルナビのことを思い出しポケットから取り出した。最初からこれを使って現在地を把握しながら歩けば良かった。最初に見た風景が記憶に合致していたので気が緩んだようだ。

とにかく、ポータブルナビを使えば最短コースで復帰出来る。
ちなみにこの機種は「クルマモード」・「自転車モード」・「徒歩モード」が切り替えられるようになっており、特に「徒歩モード」では細い裏道や石段までルートに入れてくれるのが有り難い。

この辺りは坂が多い。ナビの案内によれば、せっかく下った坂をまた上って戻れと出たので仕方無く戻る。
今回は過去の風景を辿る旅であるから、過去に歩いたことの無い道は全くの無意味。ただ歩くだけの道は疲労が重なるだけでしかない。特に、上り坂は肩が痛くて脂汗が滲む。

<第3地域の散策撮影>
第3地域の散策撮影
[Nikon D700/24-120mm] 2011/08/08 13:03

結局、この地域は過去にそれほど散策したわけではないものの、余計な回り道などがあったおかげで所要時間は40分間となった。
肩の痛みに併せ、体力の消耗も激しい。厳しい暑さが容赦無く、もうこれで切り上げたいという気持ちになる。しかし残すところあと1地域のみ。しかも帰宅方向である。行くしかあるまい。

最後の第4地域は、駅前の大型ショッピングセンターの駐車場に停めた。駐車場は比較的広く、屋外と屋内の両方があり、我輩は直射日光を嫌って屋内駐車場のほうを選んだ。
それにしても、通常、駅近くの店舗の駐車場は有料または買い物金額に応じた時間制となっていることが多いものだが、ここでは自由に停めることが出来るのが有り難い。

クルマを降りて駅まで歩いて行くと、鮮明な記憶が蘇ってきた。
今歩いている道は、確かに記憶に残るそのままの風景だった。

実は、この辺りの風景は事前に「Googleアース」の衛星写真でリサーチ済みであった。しかしその際、記憶の中の風景とどうしても合致しない点があった。

我輩は25年前にこの町を訪れ、高台から町を一望した記憶があるのだが、リサーチでは高台などどこにも見付からないのだ。地形図で確認しても、等高線は極めてなだらかで、とても高台など見付けられない。年月の経過の中で高台が切り崩されたかとも思ったが、記憶ではその高台は切り崩せるほど小さいわけでもなく、そもそも元から住宅地のだったはず。
しかし現実に存在しないのであれば、それは別の場所の記憶が誤ってこの場所に結びついてしまったと考えるべきだろう・・・。

ただ、頭では自分をそのように理解させようとしたわけだが、それでも納得しきれているわけではない。残念ながら地方都市のせいか、沿道の様子が詳細に見られる「Googleストリートビュー」は対応していないので、これ以上は現地調査でなければ分らない。

だが現地調査で最初に糸口となる地点が見付かるならば、そこから解(ほど)けるようにして記憶の場所が見付かるかも知れない。
そう言う意味で、最初に記憶がピッタリと合致した場所に出会ったということは、大きな期待を持たせるに十分だったわけである。

<第4地域の散策撮影−記憶と完全合致の風景>
第4地域の散策撮影−記憶と完全合致の風景
[Nikon D700/24-120mm] 2011/08/08 13:54

記憶の合致した風景は、次々に姿を現した。
「おお、確かにこの道は一度歩いたことがある。」
懐かしさが実感出来るのが非常に嬉しくてたまらない。

<散策撮影−記憶と完全合致の風景>
散策撮影−記憶と完全合致の風景
[Nikon D700/14-24mm] 2011/08/08 13:59

だがその感覚も、ちょっと進むと途端に薄れ、ついには無くなった。
それにしても、町を見下ろす高台がどこにも見えないのが気になる。町が一望出来るのであれば、町からその高台が見えていなければおかしい。やはり誤った記憶なのか?

実を言うと、25年前も道に迷っていた。だからこそ、どういうルートで歩いたのかを事前にリサーチし切れていなかったわけだが、やはり現地からでもそれは分からなかった。
唯一、高速道路のインターチェンジの風景が鮮明に残っているのだが、確かに地図上では近くにインターチェンジが存在する。その地点がキーになるかと思い、少々遠いが歩いて行ってみることにした。
途中、飲み水が切れたので自動販売機で買って飲んだ。飲んだそばから汗になって流れ落ちるかのよう。

20分ほどかけてようやくインターチェンジの見える地点まで来て驚いた。そこには、年月の経過では説明しきれないほど完全に違う風景が広がっていた。
「唯一の手掛かりが無くなったか・・・。」
この時点でもはや気力も途切れ、暑さはもう限界。諦めてこのまま駅の方向へ戻ることにした。

20分かけて歩いた距離なので、戻りも当然ながら同じくらいかかった。やっとの思いで駅に着き、冷房の利いた待合室で再度ジュースを買って飲み、30分ほど休憩。それくらい時間をかけて休まねば、クルマの運転も難しかったろう。

事前のリサーチがうまくいかなかったことで覚悟はしていたが、やはり最後の地域では消化不良に終わってしまった。
それにしても幻の高台はどこにあるのだろうか? まさか、実在しない夢の中の風景が混ざり込んだものなのか?
それは今後ゆっくりと「Googleアース」を見ながら再調査することにしたい。

さてこの日の夜は、祖母の住む京都郡の実家に泊まる予定だが、まず小倉の母親のアパートへ寄り、母親と豚児、そしてヘナチョコ妻を拾ってから行かねばならない。というわけで、小倉に戻ったわけだが、驚いたことに、祭りの翌日だというのにいつものコインパーキングは満車状態。結局、また別のコインパーキングへ停めることになってしまった。
方向は大体分るので迷いはしないだろうが、それでも初めて歩く道なので、こういう時には取外し自由なポータブルナビは役に立つ。

<歩きでも最短距離で誘導してくれる>
歩きでも最短距離で誘導してくれる
[Nikon D700/24-120mm] 2011/08/08 18:44

その後、京都郡の実家に着いたのは20時過ぎ。
久しぶりに会う祖母は多少ボケたところがあったが、身体は元気な様子。その点では安心した。
一段落した後、去年他界した祖父に線香をあげ、無事の帰着を報告した。
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イラスト提供:シェト・プロダクション