2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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カメラ雑文

[710] 2010年10月17日(日)速報版〜10月26日(火)完成版
報道統制 〜伝えられない出来事〜(2)


<デモ撮影の経緯>

10月17日の日曜日の昼頃、我輩はインターネットで検索をしていた。
前日参加した中国大使館デモの報道について、ウェブ上に掲載されていないか、あるいはSNSや掲示板などで話題になっていないかということを探していたのである。

そんな時、一つの情報に行き当たった。
17日の14時半に秋葉原にてデモがあるという。

「またデモがあるのか。しかし、なぜに秋葉原・・・?」

デモと秋葉原の結びつきがよく分からない。中国を始めとした各国大使館のある場所や日本政府の機関のある場所ならば理解も出来るのだが、秋葉原というのはどういうことだろうか。
そうか、買物客や観光客が大勢いるからか。だとすれば、特定の相手に対して抗議しに行くわけではなく、ただ日の丸やプラカードを持って歩くだけなのだろう。
見れば、集合が14時30分、デモ隊が出発するのは15時15分、そして終わるのが15時40分。つまり、デモ隊行進は30分程度のものらしい。

それにしても、昨日の「頑張れ日本!全国行動委員会」はこの秋葉原のデモには関連が無いようで、聞いたことも無い団体名が幾つも列挙されている。複数の草の根運動の団体が協力してデモを行うらしい。しかも、引き続き共闘団体の追加募集もしている。

デモの趣旨がどうもハッキリしない・・・。

最初、昨日のデモに参加した流れで秋葉原のデモにも参加すべきかと考えたのだが、趣旨のハッキリしないデモに参加するのはあまりにも軽率である。
複数の共闘団体が参加しているということは、一つ間違えば、思いもせぬ主張に我輩も賛同したという形になりかねない。
それに、寄せ集めの団体が行うデモゆえに秩序が守られるという保証が全く無い。もし暴動・暴力行為のようなことが起きれば、それこそどんな正しい主張も聞き入れられなくなろう。

しばらく考えた末、このデモには参加(賛同)せぬものの、外側から野次馬として写真撮影はしておきたい。マスコミの報道せぬ事実を取材し伝えるという意味は十分にあろう。
その情報を材料に、各人がそれぞれに何かを考えれば良い。


<出発>

さて今回もクルマで行くとなれば、駐車場を見付けておかねばならない。コインパーキングのウェブサイトで調べてみると3〜4台程度の小規模のものが多いようだ。そういう所は満車になるかならないかの変動があろう。
我輩はカーナビゲーション頼りのため、目指した場所が満車だった場合は目的地変更が難しい。だから、ある程度の大きさがある安いところを探しておいた。

撮影機材としては、まだ前日のデモの反省が十分ではなかったのだが、今回は16時くらいには終わるらしいので、ストロボや明るいレンズは必要無かろう。ただ、今回は「Nikon D700」を投入しようと思う。デモに参加しないのであるから、体力消耗もそれほど無いはず。

秋葉原のコインパーキングへの到着は15時ちょっと前。駅からは少々離れているせいか、他にクルマが停まっていなかった。
デモ出発は15時15分ということだから、急がねばならない。

少々距離があるという覚悟はあったものの、それにしても想像よりも遠かった。しかも、秋葉原公園はこちらから見て駅の反対側にあるようだ。
早歩きで頑張って歩き続け、15分くらいでようやく駅のところまで辿り着いた。これはちょっと遠過ぎる。

ふと見ると、人員輸送用と思われる警察車両が2台見えた。いや、その先にも1台見え、合計3台が待機していた。
ヨドバシカメラ近くの誘導員のオイちゃんが「今日はなんかあるんかねぇ?」と、もう一人の同僚と話している。これから何が起こるかを知らないようだ。

<デモ前、秋葉原駅近くに警察車両が3台待機>
デモ前、秋葉原駅近くに警察車両が3台待機
[Nikon D700/24-120mm] 2010/10/17 15:11

デモというのは、事前に警察へルートなどを届け出て、その後綿密な打合せを行うという。交通整理の問題や過去の実績から、警察からのルート提示もあるようだが、いずれにせよ、警察が全て把握しておくのは当然のこと。そうであれば、警察は沿道に対してアナウンスをするはず。
しかし、クルマを誘導するオイちゃんが知らないというのはアナウンスが無かったということだろうか?

まあとにかく、秋葉原公園へ急ぐ。
秋葉原は、いつもの休日とは何ら変わりないように見えた。そんな街を、大きなカメラを持って先を急ぐ我輩が場違いな存在のように思えて仕方がない。
「本当にこんなところでデモがあるのか・・・?」
そう思っていたところ、道のはるか先のほうで、日の丸を掲げた集団が見えてきた。そして同時に、拡声器の怒鳴り声も聞こえてくる。

拡声器の声は、ガラの悪い男性の声で、中国を挑発するようなことを怒鳴っている。我輩はすぐに、「これはマズイなぁ」と思った。遠くから見ると、まさに右翼系凱旋のよう。

<遠くに見える日の丸国旗>
遠くに見える日の丸国旗
[Nikon D700/24-120mm] 2010/10/17 15:19

しかし近付いてみると、ごく普通のなりをした者たちも多く、怒鳴っているのは一部の者たちだけのようだ。
とは言うものの、拡声器で怒鳴っているほうが目立つのだから、全体の印象がこれで決まってしまう。

デモ隊は、公園を出て、すぐ先の昭和通へ曲がった。我輩も信号が変わるのを待って横断歩道を渡り、その後をついていく。

<秋葉原公園を出て昭和通りへ出るデモ隊>
秋葉原公園を出て昭和通りへ出るデモ隊
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 15:21

それにしても、ここはさすが買い物客溢れる秋葉原だけに、いくらデモ隊が車道を歩くとはいえ、歩道側は見物人、警察関係者、そして一般通行者がひしめき合い、なかなか進むのが難しい。

<混雑を極める歩道>
混雑を極める歩道
[Nikon D700/24-120mm] 2010/10/17 15:22

しかし列に沿って進むにつれ、小さなイザコザがあちこちで起こった。どうやら、デモに反対する者(中国人?)が何かを言ってきたようだ。

<散発的に起こるイザコザとそれを制止する警官隊>
散発的に起こるイザコザとそれを制止する警官隊
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 15:24

これは帰宅後に知ったのだが、中国人2人がデモを妨害しようとした場面もあったらしい。それは動画で撮影されてウェブ上に公開されていたものだが、それを見ると、警官がこの2人を引きずりデモ隊から離し、路上で押さえつけていた。
いくら過激な内容であろうとも、デモを行う権利は保障されている(言論の自由)ため、それを妨害する行為は反社会的と見なされ、警察による排除が行われるという理屈だろう。

<イザコザをなだめる警官2人(制服と私服)>
イザコザをなだめる警官2人(制服と私服)
[Nikon D700/24-120mm] 2010/10/17 15:27

そういう意味では、警察は終始イザコザをなだめ、デモが滞り無く計画通り終わるよう配慮していた。
ヘタにどちらかに味方して警察が糾弾されることを望まないような、そんな雰囲気が感じられる。時には笑顔を作りながら「まあまあ」と穏便に事を済ませようと努力していた。

<散発的に起こるイザコザとそれを制止する私服警官>
散発的に起こるイザコザとそれを制止する私服警官
[Nikon D700/24-120mm] 2010/10/17 15:27

さて、そろそろブローニーフィルムの交換である。
列について行きながらマガジンにフィルムを込めるのはなかなかうまくいかない。フィルムのベロが少々折れ曲がり、焦れば焦るほどスプールに入らない。練習不足もあろうか。
そうこうしているうち、隊列は中央通りを目指して方向を変えた。
ここでようやく、我輩は隊列の先頭に追い付き、写真を撮ることが出来た。

<隊列の先頭>
隊列の先頭
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 15:31

しかし、先頭集団が掲げていた内容は少々過激なもので、中国人相手に商売している店を追い出せというようなことが書かれている。
どういう意味だ・・・?

途中、線路をくぐる地下道にさしかかる直前、少々大きなイザコザが発生し、隊列の行進が一時中断する場面が発生。写真やビデオを撮っている者が一斉にそちらに向かって走る。
さすがに我輩も、この時は緊張が走った。

<イザコザが起こり行進が一時中断>
イザコザが起こり行進が一時中断
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 15:33

我輩も現場に急ぎ、カメラを構えてシャッターを切る。
やはり中国人と見られる若者がデモの妨害を図ったようだった。
イザコザは警官たちによって直ちに個別に別れてなだめられ、すぐに騒ぎは終息した。これら警官の動きは見事で、事前に相当なシミュレーションをしていたのではないかと思われる。

<少々大きなイザコザが発生し、警官たちが迅速になだめる>
少々大きなイザコザが発生し、警官たちが迅速になだめる
[Nikon D700/24-120mm] 2010/10/17 15:33

隊列が線路をくぐる地下道を抜けると、見晴らしが良くなり、隊列の全体が見えるようになった。
事前に想像していたよりも、参加人数はかなり多い印象。200人以上はいるだろうか。そして、隊列の位置によって参加団体が違うのがよく分かる。中には、「在特会」と書かれた服を着ている集団もいるのが見える。これがどういう団体なのかは、帰宅して検索するまでは知らなかった。

<隊列の全体>
隊列の全体
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 15:39

さて、いよいよ秋葉原のメインストリートである「中央通り」へさしかかった。ここは電器店の看板が多いため、写真を撮る際は絵的に最適であろうと思われる。
秋葉原の代表的な景色が背景として写り込めば、写真を説明する言葉が少なくて済む。写真を説明する言葉が少なくて済むということは、それだけ、一目見ただけで状況が分かる写真に近付くということである。

<中央通りへ出る隊列>
中央通りへ出る隊列
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 15:44

我輩は普段、正方形の66判を使っていたせいで、縦位置の写真を撮る発想があまりない。そういうわけで、デジタルカメラを撮る際にもあまりフレーミングを考えず横位置で撮ることがほとんどなのだが、日の丸の比率が小さくなってしまうため、今回縦位置でも撮ってみたところ、これがなかなか巧い具合に画面に収まったように思う。

<中央通りへ出る隊列>
中央通りへ出る隊列
[Nikon D700/24-120mm] 2010/10/17 15:44

中央通りがメインだったのはデモ隊も同じだったらしく、拡声器の声も、より一層力が入ってきたようである。
昨日のデモとの大きな違いは、各自が拡声器を自由に手にしているという点である。昨日のデモでは、拡声器の持ち込みは禁止事項とされ、主催者のシュプレッヒコールにの後に続けて淡々と声を上げるだけだった。しかし今回は、各自思い思いに声を上げている。

ただ、多かったのは、中国人を相手に商売をしている店を秋葉原から追い出そうという主張であった。特に、ターゲットとしている店の前では、客に対して「こんな店で買い物をしてはいけませんよー!」などと営業妨害ともとれる拡声器のヤジが聞かれた。これは単なる言いがかりではないのか?
我輩はこの時ようやく、秋葉原でデモを行なう意図に気付いた。

<中央通りを行進中>
中央通りを行進中
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 15:52

ここでも少々のイザコザはあったものの言葉の応酬で収まり、先ほどのような大きな争いは見られなかった。
そして、最後の通りに向かって行進が続く。

<秋葉原駅南を行進中>
秋葉原駅南を行進中
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 16:01

やがて、隊列は出発地点の秋葉原公園へ到着した。警官隊もその周りを取り囲んで待機。あらためて見ると、ヘルメットや防具を着用した警官がやけに多い。
それにしても、多少のイザコザはあったものの、とりあえずはケガ人もいないようだったのが救い。

<出発地点の秋葉原公園に到着>
出発地点の秋葉原公園に到着
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 16:01

その後、主催者と見られる男性がマイクを取り、某電器店に対し公開質問状を渡してきたと言った(これから渡しに行くと言ったかも知れない)。誠意ある回答が無ければ実力行使も辞さないとのこと。それが何を意味しているのかは想像するしかないが、いずれにせよ挑発的な言動で少々面食らった。

続いてデモの終了が宣言され、我輩の撮影もここで終了。予定よりも20分遅い16時過ぎだった。

<主催者による終了宣言>
主催者による終了宣言
[PENTAX 645N/45-85mm/Kodak E100G] 2010/10/17 16:04

今回は短時間だったため前日ほどの疲れも無いが、日曜日の夕方ということもあり、早く帰って休みたかった。
しかし駐車場は遠い。
重い機材の入ったカバンが肩に食い込むが、クルマに乗り込めば後はなんとかなる。そう思って頑張って歩いたのだが、途中、歩いた覚えの無いところまで来てしまい、途中引き返して正しい道へ曲がり、ようやく駐車場に到着。
結局、最後には疲れることになったか・・・。


<報道と写真表現について>

今回もマスコミの反応は無かった。そもそも現地で報道記者を見かけなかったので予想はついていた。
もっとも、参加人数が16日のデモに比べて少ないため、逆にこちらのほうが報道されたとしたら不自然ではある。

それに今回は一般市民の意思を日本と中国の各政府に示すためのデモというよりも、特定小売店への抗議活動という面が強く、その主張内容をあまり詳細に報道してもマスコミが抗議活動に加担するようなことになってしまう。
我輩もその点が気になり、今回の雑文記述について少々迷った点もあるが、我輩なりに微妙な調整を考えながら書き分けたつもりではある。

それにしても今回の撮影した写真を見返してみると、説明文が無ければ誤解してしまうような写真も多かった。
例えば、警官が2人のイザコザをなだめようとしているカットでは、予備知識無しで見れば警官とのイザコザにも見えてしまう。中には警察がデモを弾圧しているようにも見える写真もあるが、事実はそうではない。
もしこれらの写真がキャプションから切り離されて転載されたり画像リンクされたりするとそのような誤解を生む可能性があるだろう。
そのことを考え、16日のデモと今回のデモについての写真は、画像に直接説明を書き込んでおいた。
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イラスト提供:シェト・プロダクション