2000/04/05
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カメラ雑文

[706] 2010年08月31日(火)
「RAW記録」


<RAW記録についての確認>

デジタルカメラで撮影する場合、主にJPEG記録とRAW記録の2種類の選択肢がある。
しかし2種類の選択肢とは言うものの、JPEGのほうは"画像ファイル"と言えるが、RAWのほうは素直に"画像ファイル"とは言いにくい。と言うのも、RAWは「現像」と呼ばれる処理によってJPEG(あるいはTIFF)などの画像ファイルに書き出され、そのJPEGが画像として利用されるからだ。

さて、RAWで記録することのメリットは2つあるかと思う。

まず1つ目のメリットとして、RAWは画像を構成する色の記録ビット数が多く、レタッチ耐性が高いこと。
そして2つ目のメリットとして、JPEG圧縮のようなデータ圧縮劣化の影響が少ないということである。

RAWデータの場合、"レタッチ"というのは、実際にはRAWデータそのものを改変させるというものではなく、調整したパラメータの内容を予約しておき、RAWから画像ファイルへ書き出すタイミングで初めてパラメータを調整した内容が反映されるというもの。調整が固定化されるのは、書き出されたJPEGファイルなどの画像ファイルのほうで、ソースファイルとしてのRAWデータは改変されない。だから、レタッチの試行錯誤で無駄な行き戻りがあってもレタッチ劣化は最小限で済むし、そのつど新規にJPEGへ書き出すため圧縮劣化も蓄積しない(※)。やろうと思えば、レタッチ情報は簡単にリセット出来る。

いずれにせよ、デジタルカメラ撮影時にRAW記録を選択しようがJPEG記録を選択しようが、どちらも最終的にはJPEG画像で利用することになるのは変わりない。
ただその過程において、RAWデータというのは、レタッチ作業とそれに伴う保存について劣化無く作業するために役立つものと言えよう。

(※)画像の主な劣化について
「レタッチ劣化」
例えば色調整などでいったん色を抜いてしまえばもう色は戻せない。これは、情報を失うという意味では劣化と言える。拡大縮小処理も同様。逆に、色反転や縦横変換は情報を失うものではないため劣化とはならない。
「圧縮劣化」
不可逆データ圧縮保存による「圧縮劣化」である。この場合、JPEG保存を何度も繰り返すと圧縮劣化がそのつど蓄積していくのだが、圧縮率が高ければ劣化の蓄積度合いが大きく、圧縮率が低ければ蓄積度合いは小さい。ただし、いずれも最初のJPEG化の段階である程度の劣化が出る。


<我輩にとってのRAW>

我輩は当初、デジタルカメラでの撮影ではRAW記録を避けてきた。
RAW記録であってもJPEG記録であっても、日常撮影ではその違いがほとんど判らない。特に、1,000万画素未満の低画素時代には、RAWで撮るメリットがほとんど感じられなかった。
ならば、わざわざ容量が大きく、そのままでは画像が開けないRAWで撮る意味は無い。

ところが、2,000万画素の「Canon EOS5D Mk2」を使い始めるようになってから、細かい描写が気になるようになってきた。
その頃はクルマを撮る機会も増え、金属のエッジや塗装の滑らかさなど、ちょっとした画質の違いが際立つようになってきたのである。そういう場面では、RAWとJPEG同時記録の画像を比較してみると、RAWではエッジの甘さが見事に消え、金属らしいシャープな質感が再現されていた。

さらに、クルマの写真はどうしても屋外の直射日光の下で撮ることが多く、発色は素晴らしいもののデジタルカメラで撮るとコントラストが強くなり過ぎる(特に濃色ボディのクルマの場合)。
日常撮影では考えられないような大胆なトーンカーブ調整を強いられることも多く、RAWでなければとてもレタッチに耐えられない。

それからしばらくして「SIGMA DP2」を購入したのだが、このカメラのJPEG画質はとても我輩には馴染めないもので、こちらはこちらでRAW記録は必須となってしまった。

以上のことから、我輩は現在、デジタルカメラ撮影ではRAW記録を基本とするようになった。


<RAWで撮ることの手間>

RAWデータは、そのままでは画像として利用出来ない。だから、JPEGなどの画像ファイルへと書き出さねばならぬ。
しかし、撮影枚数が多い時には、1枚1枚調整する手間がかかりすぎる。

もちろん普通は、RAWデータから丁寧な調整を施すものは渾身の一枚というような選び抜いたもの・・・という使い方をするであろう。
しかし、例えば博物館写真のような、全てを採用カットとするような写真の場合、全カットを調整せざるを得ない。共通の照明の下で写された複数の展示物ならば一括で調整可能ではあるが、意外に適用可能な枚数は少なかったりする。

もちろん、それはJPEG画像で撮っても同じ問題を孕んでいる。RAW特有の問題というわけではない。
しかし、JPEG画像で撮った場合は未レタッチ状態であっても、とりあえずの画像利用は可能である。閲覧も支障は無い。しかしRAWデータはいったんJPEGに書き出すプロセスが必要となる。そしてそのせいで、「どうせJPEGに書き出すのであれば、その前のRAWの段階で調整しておきたい」という心理が働く。それが我輩の性格である。
その場合、早く画像として利用したいということもあり、眠い目をこすりながらというように、やや無理を強いられることになる。

特にクルマ撮影の場合などは「Adobe PhotoShop」などで切り貼り加工する機会が多いため、後からソースのRAWから立ち返って再び調整してしまうと、またそれをJPEGに書き出して最初から切り貼りせねばならなくなる。
だからRAWの調整というのは、出来るだけ最初の段階でやり尽くしておかねばならない。

<RAWデータを原版と位置付けた作業の流れ>
RAWデータを原版と位置付けた作業の流れ

結局、RAW記録は我輩に大きな労力を科すことになってしまった。
デジタル一眼レフ導入当初、RAW記録を避けてきた我輩の直感的判断の正しさが、今改めて解る気がする。


<我輩の現在の状況>

一般的には、カメラメーカーごとにRAWデータの仕様が異なるため、それぞれに専用の現像ソフトを必要とする。
我輩の場合、「Nikon D200/D700」、「Canon EOS5D Mk2」、「SIGMA DP2」、「Panasonic LUMIX DMC-GF1」と4種類のRAWデータがあり、そのせいで現像ソフトも4メーカー分がインストールされており煩わしいことこの上無い。当然ながらそれぞれに操作感が異なるため、統一した仕上げを得るのが難しい。

カメラを手放したとしても、そのカメラで撮ったRAWデータも消滅するわけではない。画像が必要になれば、カメラ亡き現像ソフトを使ったりもするだろう。
もしこの先、メーカーに拘らずにカメラを買い換えていったとしたら、メーカーの数だけ現像ソフトをインストールしておかなくてはならなくなる。いやそもそも、手放したデジタルカメラの付属ソフトをそのまま使い続けるのもライセンス上問題があろう。
頭が痛い・・・。

だがよく考えてみると、「LUMIX DMC-GF1」に付属していた現像ソフトは「SILKYPIX」であった。これは汎用の現像ソフトのはず。だとしたら、他のメーカーのカメラで撮ったRAWデータもこのソフト1本で取り扱えるのではないか?
これは、名案だ。

しかしすぐに、それは甘い考えだということが判った。
このソフトはバンドル版ということで、Panasonic製のデジタルカメラのRAWデータしか受け付けないよう制限されていたのである。
意地が悪いな・・・。

せっかくの名案が潰れるのも惜しいので、結局、製品版「SILKYPIX」を購入することにした。
ダウンロード価格16,000円は安くはない・・・。

だがちょうどこの頃、義母の自作DOS/Vパソコンを組み直す時に手間賃を頂いたため、ソフト購入費用に充てることが出来たのは幸運と言うほか無い。

<SILKYPIX Developer Studio 4.0>
SILKYPIX Developer Studio 4.0

それにしても、これまではデジタルカメラに付属していた現像ソフトを使っていたため調整出来る項目が少なかったが、「SILKYPIX」を使うことによってかなり大胆な調整が出来るようになった。最終調整は「Adobe PhotoShop」でやっていたところを、かなりの部分までこの「SILKYPIX」でやれるようになったのだ。
そうなると、RAWの調整でやれたほうが画質的には有利なのだから、ますますRAW調整の工程で頑張らざるを得ない。

やればやるだけ期待に応えてくれるRAWデータ。
だが我輩にとっては、時間泥棒でもあるRAWデータ。

やはり、我輩のような性格の人間は、RAWに関わるべきではなかったか・・・?
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イラスト提供:シェト・プロダクション