2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

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カメラ雑文

[665] 2009年05月07日(木)
「北海道ドライブ(5日目)」


<4月30日(木)>

いつものように、この日も目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた。6時前だった。
しかし朝食を摂ってしばらくすると再び眠気が襲い、しばらく寝て起きると7時半になっていた。

<道の駅「サーモンパーク」>
道の駅「サーモンパーク」
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 08:10

今日は、北海道で活動する最終日。
今夜もう一度車中泊するものの、翌日は朝からフェリーに乗るだけとなる。

では今日の午前中は、いよいよ石狩油田跡を見に行こうと思う。午後の予定は考えていないが、何か探して行ってみたいと思う。そしてその周辺で車中泊する場所を探そう。
そういうわけで、「サーモンパーク」を8時過ぎに出発。少し出遅れた。
石狩方面に向かってクルマを走らせ、9時45分に現地へ到着。

ただし到着とは言っても、そこから更に「五の沢林道」という細い道を進まねばならない。その林道は狭いため、途中でクルマが置けるかどうかが分からないし(GoogleEarthでも高解像度の画像が無く確かめられない)、しかもゴールデンウィーク前後までは冬季閉鎖だという情報もある。だからヘタにクルマを進めずに、近くにあるチェーン脱着場兼休憩所にクルマを置き、そこから歩いて行くことにしたのだ。
まあ、歩きでもそれほどかかるまい。

<チェーン脱着場兼休憩所>
チェーン脱着場兼休憩所
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 09:53

用意した機材は、66判のブロニカと、ハイビジョン動画撮影用としての「EOS 5D Mark2」、そして原油サンプル採取用のガラスビン、そして原油で濡れた地面を歩くために靴を包むビニール袋2つである。

早速歩き始めたのだが、予想に反して林道の入り口までの道のりは遠く、クルマを降りてから10分ほどかかった。
林道の入り口には「通行止めのお知らせ」という看板があり、それによればスポーツ競技会で占用するために5月24日まで通行止めとなっているらしい。冬季閉鎖は解けても別の理由でクルマは通れないのか。まあどうせ最初から歩くつもりだったのだから何も問題無い。
我輩は林道を進み始めた。

<五の沢林道入り口>
五の沢林道入り口
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 10:23

そこからしばらく歩くと、ゲートが見えてきた。ここからが本当の林道なのかも知れない。
それにしても、通行止めとは言ってもゲートは閉まっていない。林道を使うから占有しているのであるから、ゲートを閉められないのだろう。
ゲートの手前にはクルマが停まっており、そこから誰かが徒歩で入ったようである。我輩もここまでクルマで来れたかと思ったが、今さら戻るのもそれこそ時間の無駄。

<五の沢林道のゲート>
五の沢林道のゲート
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 10:30

事前の情報収集ではピンポイントに場所を特定することは出来なかったため、歩きながら探す以外に方法が無い。インターネットの情報によれば、昔の小学校跡の近くにあり、ガソリンのニオイを頼りに探し当てたなどと書かれていたりする。
我輩も、ある程度進むとクンクンしながら慎重に歩くようにした。心なしか、たまにゴムのようなニオイがすることがあったが、気のせいだと言われればそうかも知れない。

<ひたすら歩く>
ひたすら歩く
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 10:40

40分ほど歩いていると、だんだん不安になる。明らかに、事前に想定した距離を超えている。
「もしかして、通り過ぎたんじゃないのか・・・?」
平坦な道ならばともかく、上り下りのある道で疲労もそれなりに出てきた。いったいどこにあるんだ? このまま油田跡は見付からないまま終わるのではないだろうかという不安が大きくなってきた。
そう言えば、小学校の跡地の近くにあるという話だった。考えてみれば、このような林道沿いに小学校の跡地が本当にあるのか?

50分くらい歩いた時、ようやく何かを見付けた。
急いで近付いてみると、それはまさしく小学校跡地であった。

<小学校跡地>
小学校跡地
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 11:13

小学校跡地があるということは、油田跡はこの近くにあるに違いない・・・と思ったら、そのすぐ隣に「石狩油田跡」という碑が建っていた。
我輩が探しているのはこのような記念碑ではない。油田跡というよりも、原油が地面に染み出している場所だ。
いずれにせよここからは遠くないはず。

我輩は付近のニオイを嗅ぎながら、少しずつ道を進んだ。しかしニオイは全く何も感じない。
「そう言えば、火気厳禁の赤い看板が見えるという話だったなぁ・・・。」
そう思っていると、木々の間から赤い物が見えた。

<赤いものが見える・・・>
赤いものが見える・・・
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 11:17

「EOS 5D Mark2」のズームレンズを最大望遠にして覗いてみたが、105mmでは少し遠い。それでも例の「火気厳禁」の看板に間違いないと思った。
この時の気持ちは、言葉では言い表せない。
1時間近く歩きもうほとんど諦めかけて無力感が漂っていたところに、ようやく目標物を見付けたのだ。
これで、北海道の旅が完結する・・・。

<やっと見付けた火気厳禁の看板>
やっと見付けた火気厳禁の看板
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 11:18

意外にもそこは開けた場所で、林道からもよく見える。
そして、近付けばガソリンのニオイがするものの、それは林道には届いていない。もちろん風向きなどもあろうが、想像していたほどの強烈なものではなかった。
もし、夏場などで見通しが利かないほど雑草に覆われていたとしたら、もしかしたら見付けられなかったかも知れない。

それにしても、現場はまさに原油が染み出しているという状態であった。知識としては石油は地下にあるとは知っているものの、それを自分の目で見て確認することは今回が初めてである。
この時、自分の世界(外からの情報を得て脳内で再構築されている世界)がひとつ広がったと感じた。

<原油が地面に染み出している>
原油が地面に染み出している
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 11:18

近付いてみると、沼のように原油が溜まっているわけではなく、全体的に泥状で、所々に小さな油溜まりのようなところがある。
想像するに、揮発性が高い成分は飛んでしまい、地面には黒いタールが残っているのだろう。そして、油溜まりになっているところは、今、原油が湧いている場所ではないかと思う。

<ガソリンのニオイが立ちこめている>
ガソリンのニオイが立ちこめている
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 11:28

中央部には、薄緑色に見える比較的大きな油溜まりがあり、そこでポコポコと音を立てて泡が湧き上がっているのが見えた。
人類が初めて石油を発見した時も、このような光景を目にしたのだろうか。
この様子を「EOS 5D Mark2」のハイビジョン動画で撮影し、我輩の資料映像とすることにした。

<泡がポコポコと湧き上がっている (ハイビジョン動画のキャプチャ)>
泡がポコポコと湧き上がっている (ハイビジョン動画のキャプチャ)
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 11:30

また、付近の地形なども重要と考え、同じくハイビジョン動画でゆっくりパンしながら撮影した。

撮影を一通り終えた後、せっかくだからと、この原油をサンプル採取することにした。
揮発成分が飛んでいないなるべく新しいものをと考え、湧き出しているところを狙い、持参したガラスビンに採取した。ガラスビンの中では3つの層に別れたが、恐らく下の透明な部分は水であろう(数日前に雨か雪が降ったせいか)。そして中間に漂っているものは枯葉などのゴミかと思う。そして、上部の黒い液体が原油に違いない。

<サンプル採取した原油>
サンプル採取した原油

原油採取までを果たし、我輩は大満足で11時45分頃にその場を後にした。
帰りは、来た時のように周囲を探索しながら歩く必要も無いため短時間で戻れるかと期待したのだが、日頃の運動不足のためか脚(ふともも)が痛くなり、結局は1時間かかってしまった。

時間は、間もなく13時。
これから昼食を摂ってから行動するとなると、すぐに14時15時になってしまう。
原油採取という大きな目標も果たしたことでもあるし、もういいだろう。残りの時間をゆっくりと過ごそう。

そこで我輩は、映画を観ようと思った。
映画など、北海道でなくとも同じものが観られるわけだが、数日間とはいえ北海道で暮らしたため、最後の旅の締めくくりに北海道での日常生活の一つとして映画を観るのも良かろう。
それに、映画というのは意外にも時代のインデックスとなり得るもので、北海道に来た時の情動をパッケージ出来るのではないかと思う。

しかしながらカーナビゲーションで周辺施設検索で映画館を探したが、やはり林道のあるような場所には映画館など近くには無い。

ところで、最後の宿泊地は小樽港の周辺で探そうかと思っていたのだが、最終日に色々と探し回るよりも、実績のある千歳市の「サーモンパーク」でもいいかなと思い始めた。そうなれば、銭湯も自ずと「太陽湯」に決まる。出航港の小樽からはいったん遠ざかることになるが、最後の夜は何も悩まずに過ごせるほうがいい。

そこで、千歳市までの経路で探してみたところ、1つの映画館「東宝シネマ8」を見付けることが出来た。
途中のコンビニエンスストアで昼食を摂り、「東宝シネマ8」へ15時20分頃到着。広大な駐車場にはただ驚いた。

何かハリウッド系アクション映画など無いかと思ったが、特にそういうのはやっておらず、仕方無く「レッドクリフPart2」という三国志の映画を観ることにした。
期待せずに観た映画だったが、これがなかなか面白く、心にも響いた。

<映画を観た>
映画を観た
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 18:08

映画が終わって外に出ると、夕日が沈もうとしているところだった。
明日の朝には北海道を離れることを考えると、この日一日が終わりつつあることを寂しく思った。

駐車場で改めて自分のクルマを眺めた。
我輩は、物や動物などに対する擬人化というものを徹底して嫌うのだが、今回ばかりは少し違う気持ちである。もちろん擬人化をするつもりは無いが、このクルマとは寝食を共にし、もはや"相棒"と呼ぶにも抵抗が無いだろう。

<北海道最後の夕日>
北海道最後の夕日
[Canon EOS 5D Mark2/24-105mm] 2009/04/30 18:16

その後、前日と同じように「コープさっぽろ 高台店」で惣菜を買い、「太陽湯」で風呂に入った。
そして布団に入り、これまで撮ったデジタルカメラの写真などを見ながら旅の回想に耽った。

(追記 2009/05/08)
帰宅後に画像を詳細に分析したところ、五の沢林道の通行止めの件はどうやら予告掲示であって、「5月24日まで通行止め」ではなく「5月24日の1日間だけ通行止め」という意味らしいことが判明した。つまり、我輩が訪れた時は通行止めではなかったことになる。しかし、クルマで走行しながら現場を見付けることは難しいと思っていたし、見付けたとしても駐車スペースがあるかが分からなかったため、例え通行止めではないと分かっていたとしても、歩いて行かざるを得なかったろう。