2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
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5.カメラ雑文
6.写真置き場
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カメラ雑文

[633] 2008年10月08日(水)
「手写(てしゃ)リング撮影の応用」

我輩が中学生の頃、当然ながら気軽にカメラ機材を買うことは出来なかった。
祖父のレンズシャッター機「キヤノネット」や家族共用の「ピッカリコニカ(C35EF)」を使っていたのだが、なかなか思い通りに写すのは難しい。ファインダーで見たとおりに写らないのである。

そのうち、中古の「Canon AE-1」を手に入れた。我輩初の一眼レフカメラであった。
1万5千円もしたが、小遣いやお年玉などで貯めた全財産をつぎ込んで手に入れた。ただ、残念ながらレンズに回す金は無かった。
(参考:雑文085「想い出のファインダー」

しかし、一眼レフのカメラボディだけでも手に入ったことの意味はとてつもなく大きい。
これさえあればどんな撮影にでも対応出来ると思った。なぜならば、フィルム面に導かれる光がファインダーでも確認出来るからだ。つまり、ファインダーと撮影レンズが別々になっているこれまでのレンズシャッター機とは違い、ファインダーで見たそのままが写真に写せるのである。

さて、交換レンズがすぐには手に入らなかったことから、レンズを外したカメラでシャッターを切ることに違和感を感じなくなった。
かつて雑文に書いたような「手写(てしゃ)リング」や「根性ティルト」などの撮影法も、何かあるとすぐにレンズを外してしまうクセを持つ我輩独特の撮影法である。(参考:雑文339「根性」
まさに、貧乏の成せる業(わざ)と言えよう。

ここでまた一つ、レンズ外しの撮影術を紹介したいと思う。
名付けて、「逆さ手写リング」。
これは、広角系レンズを前後逆にすると接写能力が向上するという原理を利用している。つまり、バックフォーカス長と撮影距離が逆転してしまうほどのレンズ繰り出しを必要とする近接撮影においては、むしろレンズを逆さにしたほうが無理が無いという考え方である。これを実現するためのアダプター(一般名称:「リバースアダプター」)も、メーカーによっては用意されていることがある。
我輩の場合、これを手動で行う。

「逆さ手写リング」で接写したシャープペンシル先端部
「逆さ手写リング」で接写したシャープペンシル先端部
[Nikon D200/18-70mm] 2008/10/07 21:48

レンズを前後逆さにすると、バックフォーカス長を撮影距離とすることが出来るため、通常の手写リングのようにわざわざレンズをボディから離さずとも等倍以上の超接写が可能となる。カメラのマウント面にレンズの先端部をくっつけるよう押さえ付けていれば良く、通常の手写リングのように手元が狂って光軸がズレることも無い。

上の作例写真では、先端部にある絞り連動レバーを微妙に調節しながら被写界深度と露出の調整を行い撮影した。まさに神業と言える。専用のアダプターを使えば何の苦労も無いのだが、それを手動でやろうというのがいじらしい。

ここでもし、ピント面を傾けたいと思えば、この状態で「根性ティルト」をかましても良いだろう。
その場合のネーミングは、「逆さ根性ティルト」となろうか。

ところで、「逆さ手写リング」での注意すべき点は、メーカーによってはレンズを外すと最小絞りに固定されるものがあるというところである。
その場合、個別の工夫や器用さが必要となる。
例えば、Canon NewFDレンズの場合、スピゴットの内リングを回して最小絞りを解除するために2つの小さなロックピンを押す必要がある。
Nikonの場合でも、絞りリングの無いGレンズでは、絞りレバーを押さえながら写真を撮る必要がある。

このような撮影は別段目新しい原理によるものではないが、我輩のような貧乏性でなければ、このような「手写リング撮影」はなかなか思い付くまい。
いや、仮に思い付いたとしても、デジタルカメラを使う者であればCCD/CMOSにホコリが付くことを嫌い、レンズを外した状態で写真を撮ろうとすることに抵抗を感ずるかもな。

まあ、我輩と同じく貧乏人ならば、試してみても良かろう。

<手写リング撮影の分類>
手写リング 根性ティルト

(2008.10.08追記)
何気なく「手写リング」と「根性ティルト」でネット検索してみたところ、「根性ティルト」のほうで大量にヒットした。
何なんだこれは・・・?
ちなみに、「エアティルト」と呼んでいるサイトもあったが、まさか「ティルト撮影のふりをした演技」ということでもあるまい。まあ、本当に「エアティルト」という分野があるのなら、カメラとレンズが無くても出来るところがメリットと言えばメリットか。まあ、いかにもティルト撮影しているという雰囲気を醸し出すにはそれなりのテクニックが要ろう。