2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
 F3 (F3H)
 FM3A
 FM2
 FM
 FE2
 FE
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 FG
 FM10
 FE10
 F4
 F-401X

Canon
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カメラ雑文

[601] 2007年05月19日(土)
「タダでも要らぬ」

先週、東京ビッグサイトへ出向き、ビジネス系の某展示会を見に行った。
言うまでもないが、そこでは多くの出展企業がブースを構えていた。
まだ時間が早かったせいもあり、入場者はあまりいない。もちろんそれなりに入場者はいただろうが、会場が広大なため少なく見える。そのせいか、歩いているとチラシやパンフレットを渡そうとする手が我輩めがけて何本も伸びてくる。

我輩も以前、何度かこのような出展社側でパンフレットを配ったりしたことがあるが、明らかに"通行人"という感じの入場者には無理に渡すことはしない。というのも、事前に得意先へ招待券を配り、訪問された担当者殿に出展内容をご説明するのが主な目的であった。

それに比べ、不特定多数が対象となる多くの企業では、あらゆる工夫をしてパンフ類の手渡しや名刺を入手しているようだ。

コンパニオンを並べて配らせるのもその一つの方法か。確かに、長身茶髪美女に囲まれてパンフレットを差し出されると、うっかり受け取りそうになってしまうが、同時に「簡単に受け取るとシャクに触る、男をバカにすんな」という気持ちも起こり、かなり葛藤する(結局は受け取るが)。

それからもう一つの方法として、ノベルティグッズのプレゼントがある。
あるブースをチラリと見ていたところ、コンパニオンが我輩に近付いて「アンケートにご記入ください」と用紙を渡してきた。このアンケートに名刺を添えて出すと、立派な折り畳み傘がもらえるとのこと。ちょうど、外は雨が降っていた。

我輩はしばらく考えた後、アンケート用紙をコンパニオンに返してしまった。
「傘は・・・いらんですわ。」
コンパニオンは微笑み、「それではパンフレットだけお渡ししましょうか?」と言ったのでそれを受け取った。

ハッキリ言って、折り畳み傘は要らぬ。
何しろ、実家から色々な種類の折り畳み傘が10本ほど送られてきたばかり。それらはジイちゃんが現役のお偉いさんだった頃に贈り物としてもらったものである。そういうわけで高級品が多い。
「高級であるから素晴らしい物」というわけでもないが、手を抜いて作られた合理化尽くしの傘に比べれば、丁寧な作りの傘のほうが丈夫で長持ちして使い勝手も良いのは当然と言える。その中から自分に合うものを1本厳選し使っている。だから、適当な傘をタダでもらっても嬉しくもない。

また、ボールペンや卓上カレンダーなどをノベルティとして配っている企業もあったが、正直言ってどれも欲しいとは思えない。タダでも要らない。
こちらは我輩の愛用しているボールペンのほうが安物かも知れないが、自分の指にフィットする形状及び求める書き味に適うボールペンは長い時間をかけて探し出したものであるから、それに取って代わるものがそうそう現れるものではない。
卓上カレンダーもまたそうである。特定の企業の物が使い易く、それを毎年使っている。

かつて景気の良い時代には、腕時計をもらったことさえあった。アップルコンピュータのデザインされたアナログウォッチである。これは、欲しい者が見ればかなりのものらしいが、自分に似合うデザインでないことと、何よりデジタル時計ではないということが気に入らず、結局は友人に譲渡してしまった。


現在、我輩には不足している物は無い。
なぜなら、不足している時点で充足を考える。そして、自分の本当に必要とするものを選んで買う。多機能化の時代の中で不要な機能を嫌うのは、必要な機能を極限まで突き詰めたいとする気持ちからである。
そしてようやく手に入れた物は、我輩にとって長く愛用する道具となるのだ。

そのためには、我輩は金や時間に糸目を付けない。
参考雑文雑文553「少数派の苦労」でも書いたデジタルウォッチについても、今もなお探している最中である。5千円程度の安物時計であっても、我輩にとっては50万円のロレックス以上の価値がある。もちろん、50万円払ってそのデジタルウォッチを手に入れようというわけではないが、どちらかもらえるというのであれば、50万円のロレックスをもらうよりも、この5千円のデジタルウォッチをもらえるほうがはるかに嬉しい。
(当然ながら、両方もらえるのであれば両方もらうだろう。その場合、ロレックスは道具として使わず換金するだけ。)

カメラについても、我輩は自分の欲しい物は揃えてきた。よほど高価な物や稀少品以外では、欲しい物はもう手元にある。
もし、タダでカメラをもらえるようなプレゼント企画やイベントがあったとしても、全く関心は無い。いくら我輩が貧乏性と言えども、不要なものまで手に入れようとは思わぬ。

ただ、カメラの中でもデジタルカメラは少し事情が異なる。
我輩の欲しい物が、現実の製品として存在しないのだ。

先日、「RICOH GR-D」のCCDにゴミが乗って修理に出したのだが、それをきっかけにして「もっといい製品があったら買おうか」と思い始めた。実際、「RICOH GR-D」もかなりの不満がある。
ところが、どの製品を見ても、買い換えるだけの価値が無いものばかり。まさに、タダでも要らぬカメラばかり。もし本当に欲しいと思わせるようなデジタルカメラがあったならば、それこそ金に糸目を付けず、借金してでも手に入れるのだろうが・・・。

デジタルカメラの市場には、いつもイライラさせられる。

恐らく、デジタルカメラを使っている人間の多くは、カメラや写真を趣味としない一般人の割合がかなり大きいに違いない。そのことは、自分の周囲を見渡してもすぐに分かる。
何しろデジタルカメラはランニングコストがかからず現像処理も不要、そして小型化も著しい。そんな気軽な道具が写真人口の裾野を広げたわけだが、結果として「タダでも要らぬ」という層が減り、「タダならどんなカメラでもいい」という層が増えたため、とにかく安く、こだわりの無い製品しか発売されなくなったと思われる。

この状況、何とかならんのかデジカメ業界・・・。