2000/04/05
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表紙

1.主旨と説明
2.用語集
3.基本操作法
4.我輩所有機
5.カメラ雑文
6.写真置き場
7.テーマ別写真
8.リンク
9.掲示板
10.アンケート
11.その他企画

12.カタログ Nikon
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 FE
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 FE10
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カメラ雑文

[570] 2006年05月28日(日)
「草津旅行」

ゴールデンウィークが目前に迫る4月下旬、家族3人で草津へ旅行に行くことが決まった。

それまでは単純に「どこか温泉にでも行こうか」という話はあったのだが、具体的な場所はなかなか決まらなかった。
どうせならば車のあるうちに車を活用しようという思いがあるため、車で一泊二日の範囲内で行ける場所を検討し、最初は箱根や熱海などが候補に挙がった。
しかしあの方面は道が混むような印象があり、どうも気が乗らない。そこで、草津はどうかと考えた。また草津ならば、有名な火口湖「湯釜」もある。

ただ、場所を決めたは良いが、宿の予約はこれからである。ゴールデンウィーク直前で、しかも幼児連れという条件では厳しいだろうと予想される。
また、草津のシンボル「湯畑」にも近いほうが良い。特に、夜の湯畑は夕食後に行くことになるであろう。
この条件で、旅行会社のWebサイトから検索してみたが、やはり良いところが無い。検索ヒットするのはかなり高価な宿泊コースのみ。

「シーズン中は高いな。平日と比べるとどれくらい違うんだ・・・?」
試しに、ゴールデンウィーク前日の4月28日金曜日の条件で検索してみると、数千円ほど安く、しかも宿の選択肢が増えた。
ただ困ったことに、この安い値段が気になってしまい、どうしてもゴールデンウィーク中の金額で宿の予約を入れることが出来なくなってしまった。
「うーむ、こうなったら金曜日に有休取るか・・・?」
仕事の関係上、ゴールデンウィーク前日に休めるかは微妙だったが、とりあえず職場で告知しておき、様子を見ながら「ホテル高松」という宿に予約を入れた。
仕事の状況が変わってキャンセルという事態にならないことを祈るばかり・・・。

我輩の祈りが通じたのか、客先での重要な打合せは木曜日に決まり、次の金曜日は何とか休めそうである。
豚児はしきりに「おんせん、行くんだよね!」とはしゃいでいた。


●旅行1日目(4月28日)

1日目は、その日の天候を確認して白根山の湯釜を見に行く予定とした。山登りは晴れている日を優先させたいからだ。
ただ、この時期でも白根山山頂では路面凍結の恐れがあるため、ふもとの駐車場で車を停めてロープウェイで登るつもりである。もちろん、ふもとでも雪が降ることを想定してタイヤチェーンは携行している。

朝、8時過ぎに家を出発。
いつものように、行程を記録するためのビデオカメラをセットした。今回は、山道のクネクネ道路を走る予定のため、ビデオカメラをミニ三脚に乗せておくだけでは不安がある。そのため助手席のヘッドレストを上方に伸ばし、シートとヘッドレストの間にビデオカメラを挟みこんで固定した。



こうすることにより運転者の挙動やスピードメーターも写り込まなくなってしまったが、反面、画面の中央でルームミラーが邪魔をしていたこれまでと比べ、ルームミラーが視野外となり見易くなった。
また大きなメリットとして、三脚等に固定したものではなくヘッドレストで柔らかく挟み込んだ関係上、走行中の上下振動をうまく吸収してくれるようになった。つまり、景色が揺れずに車側が揺れて見えるのである。これは思わぬ収穫で、景色が揺れないことにより長時間テレビ画面で鑑賞する時に疲れない。


今までの車載ビデオカメラ映像

今回の車載ビデオカメラ映像

さて今回、携行したカメラ機材は下記の通り。
「ブロニカSQ-Ai」
「PS40mm F4.0」
「PS110mm F4.0」
「自作魚眼中判カメラ」
「RICOH GR-Digital」
「SONYデジタルビデオカメラ」

これらのうちコンパクトデジタルカメラ「GR-Digital」については、露出計代わりとしての用途に加え、ODDメーター撮影用としても使っている。
デジタルカメラで撮影することにより、走行距離だけでなく時間や撮影場所(景色が写るため)も同時に記録出来るため非常に便利。燃費計算のための情報整理が楽になった。

さて、ゴールデンウィーク前ということもあり、渋滞に遭遇することなくスムーズに走ることが出来た。高速道路でも追越車線にはほとんど車が走っていない状態。
しかしながら、渋川伊香保インターチェンジを降りた後、クネクネと曲がる山道はペースが遅くなった。先頭に比較的遅い車が走っていたため、後続の車が列をなしていたのである。

草津に近付くにつれ、前方に雪化粧をした山々が見えてきた。快晴の青い空と白い雪が映える。景色が美しすぎると追突事故の原因となるようで、それなりに運転には慎重になった。

山道の勾配が強くなると、かなりアクセルを踏んでもスピードが乗らなくなってきた。床までベタ踏みするとギアが落ちて少し加速するのだが、ちょっとでも緩めるとすぐにスローダウンして後続車が詰まってくる。
仕方無いのでATレバーを3速、2速と入れると、エンジンが唸りを上げたもののグングン登り始めた。

途中、草津温泉を通り過ぎ、ロープウェイ駅までの山道を通ったのだが、道の両側の所々に雪が積もっており、4月も終わりだということがにわかに信じ難い。
また、だんだんと車内に異臭が満ちてきた。硫化水素が漂っているのだろう。ウェブでの前情報によれば、有毒ガスによる事故防止のために設けられた「停車禁止区間」もあるらしい。

到着したロープウェイの駅の駐車場は広大で、どこに停めようか迷うほどだった。そもそも、車も5〜6台ほどしか停まっていない。
外に出ると肌寒く、家族3人で防寒着を着た。

ロープウェイの営業時間は16時までとのことだった。
現時点で13時半。
思ったよりも余裕が無い。湯釜だけでなく鏡池なども行ってみるつもりだったが、今回は残念ながら諦めざるを得ない。まあどのみちこの時期は、温泉の湖でなければ氷結しているだろう。

ふもとの駅で切符を購入したが、他に誰も客がいない。
このロープウェイは循環式というタイプで、客が来るまでゴンドラは待機しており、客が来て乗り込むと、循環しているロープにゴンドラが引っかかって送られて行く。そのため、乗客は動いているゴンドラを追いかけながら乗らなくても良い。また、客が多くなるとその都度ゴンドラの数を増やすことが可能。



実際にロープウェイに乗ってみると、最初は宙に浮いている感覚が怖かったが、乗り心地は悪くなく、途中から急角度で登っていくため景色の移り変わりが面白い。豚児も怖がるどころか、むしろ楽しんでいた。

山頂駅に着くと、辺り一面雪が積もっている。 湯釜へ登るための基点となる白根山レストハウスまで無料送迎バスが往復している。



雪の回廊を通ってレストハウスに着くと、早速、湯釜を目指して登り始めた。道のりとしては300〜400メートルくらいか。この道も雪の壁が両側にあるが、ここは人力で除雪しているらしい。

我輩は、トレッキングシューズこそ履いていないものの、コンパクトジャケットを羽織り、ザックを背負っているため、豚児が「そんなかっこう恥ずかしー」とからかう。
「うるさい、おまえは疲れると抱っこをねだるから、わざわざ両手が空くようにとザックを背負ったんだ。おまえのためだぞ。」
しかし豚児はゲラゲラ笑いながら走り回っている。確かに、周囲を見渡すと他の観光客は軽装だった。
まあ、カメラ機材が多いこともあるから、ザックで正解。

坂を登り切ると、そこに湯釜が見えた。
雪景色の中に、青白い湖面がポッカリと見えている。まさに、写真で見たとおりだった。
ここは12月には凍結するようだが、内部の熱によってすぐに解けるらしい。
我々のいる場所は柵で囲まれており、湖面には近付けない。過去に、硫化水素の有毒ガスで死亡事故があったための措置と聞いている。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/RDP3

我輩は双眼鏡を取り出し、近付けない湯釜の地形を観察した。
しかし豚児が双眼鏡を貸せとうるさいので貸してやると、対物レンズ側から覗いて「見えた見えた」と喜んでいた。

早速、ブロニカで家族の記念撮影を撮影しようと思った。
ところが、ミニ三脚を車に置き忘れていた。仕方無いので、地面に直接置いてセルフタイマーを装着した。傾斜があるため、地面に置いても顔の高さくらいになる。
ファインダーが外せる一眼レフタイプであるから、地面に置いてもフレーミングに不自由は無い。

それにしても、冷たく強い風が吹き付けてくるため、家族3人で鼻水が垂れてきた。防寒着は着ているが、冷たい風が呼吸を苦しくさせる。
豚児とヘナチョコ妻は早めに下山させ、我輩はしばらく撮影を続行した。

まず湯釜の全体を撮ろうと思った。しかし、撮影位置が限られているため、66判の40mm広角では収まりきれない。
次に、110mm中望遠で部分を切り取った。事前に双眼鏡で興味深い地形を見ていたため、撮影時の迷いは無く、短時間で撮影を終えた。
また、成功率は低いものの、せっかく持ってきたのだからと全周魚眼レンズでも撮影を行なった。

下山後、暖房の効いたレストハウス近くの資料館に立ち寄った。
そこには白根山周辺のジオラマや、火山関係の資料などが展示されていた。
我輩は、そこの売店に置かれていた「白根火山」という書籍を購入。見ると、白根火山に興味を持ったアマチュア研究家がトヨタ財団の協力を得て研究した報告書であった。噴火時の写真も載っており、非常に興味深い。



時間が経つのは早いもので、あっという間にロープウェイ終了時間が迫ってきた。
我々3人は無料送迎バスに乗って山頂の駅に戻り、そこからロープウェイでふもとの駅まで下った。やはり公共交通機関を利用すると、その時間に縛られて自由に行動出来ないのがつらい。

我輩は元々、自家用車所有には否定的ではあるが、蔵王のお釜で経験した交通機関の不自由さに辟易として、ついに自家用車を所有するに至った。
ただ本来ならば、山行きだけに使うはずの車だったが、長年ペーパードライバーだった我輩の運転技術は未熟なため、日常生活でも定期的に運転せねばならなくなった。そうでなければ、現在持っている運転技術さえ維持出来ないだろう。

さて、ふもとの駅まで下りると、駐車場に停めてある車に乗り込んだ。豚児は座った途端に寝てしまった。
登りが2速だったため、下りも2速入れてエンジンブレーキを効かせながらゆっくり下りた。
草津の中心部まで到達し、カーナビゲーションに従いながら、狭い道を慎重に車を進めた。そして、今夜の宿である「ホテル高松」へ到着。
チェックインを済ませ、部屋でひと休み。
その後、食事を済ませて夜の湯畑へ繰り出した。

夜の湯畑はなかなか風情(ふぜい)がある。
ゴールデンウィーク前のためか、人影もまばらで少し寂しい。
ある時期には七色にライトアップされるそうだが、そんな派手なライトアップでは風情など消し飛んでしまう。通常のライトアップである今が一番良い。

三脚をセットして長時間露光での撮影をしたが、アングル的には不満が残る。近くの建物から湯畑を見下ろせれば全体の形がよく分かるのだが、それが出来ない。
次回宿泊する時があれば、湯畑に面した宿に泊まろうと思う。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E100G

豚児はしきりに「くさい、くさい」と言っていた。やはり硫化水素の匂いが強い。
見ると、湯気が風に流されてこちらに流れてきたりする。長時間露光中にカメラが湯気に包まれてしまうこともあり、シャッターを切るタイミングが案外難しい。

その後、宿に戻って温泉に浸かり、早めに寝た。


●旅行2日目(4月29日)

この日も快晴だった。
朝食前に湯畑に行き、「熱の湯」という場所で"湯もみショー"を見たり体験したりして楽しんだ。
もちろん撮影もしたが、室内で動きのある被写体を撮影するのは難しい。小型ストロボでは限界があるため、ある程度は定常光を必要とする。つまり、シャッタースピードが遅くなる。

BRONICA SQ-Ai/PS40mm/E100G

湯もみショーが終わった後、朝の湯畑を撮影。
ふと、別の角度を撮ろうとしたところ、首から提げていた眼鏡が落下した。
「?」
我輩は眼鏡にグラスコードを付けているため落ちることはありえないのだが、見ると眼鏡のネジが取れて片方のツルが外れているではないか。地面に這いつくばってネジを探したが、砂などが散っている地面のため見付からない。
「まずい、眼鏡が無ければ車を運転出来ぬ・・・。」
とりあえずは、観光を続行しながら眼鏡店を探すことにする。

いったん宿に戻って朝食を摂った後、チェックアウトして近くの「酸性河川中和施設」に入ってみた。
ここは、酸性度の高い温泉地の河川を石灰粉で中和するという施設である。中和を実施する前は、草津を流れる吾妻川は魚も棲めず、農業用水としても使えず、コンクリートの橋をも腐食させ、とにかく厄介な川だったそうだ。それが今では魚も生息するほどになったという。

ここでは、石灰岩に塗料で絵や文字を描くコーナーがある。その石灰岩は酸性の川の中に浸けられ、塗料の塗っていないところを溶かして作品として仕上げるのである。
我輩も面白半分に描いてみた。
溶かすのは2〜3日ほどかかるそうだが、出来上がった作品は着払いで送ってくれるとのこと。一風変わった土産が待ち遠しい。

その後、「西の河原」という場所へ歩いて行く。
途中、ヘナチョコ妻の育児サークルの知り合い家族にバッタリ出会ったのには驚いた。お互い、ゴールデンウィーク前から何やってるんだという感じだったろう。
また、道の途中では温泉饅頭の試食を配っているところを通り抜け、我々3人はいつの間にか温泉饅頭を手にしていた。ヘナチョコに至っては熱いお茶の入った湯飲みさえ持たされていた。

西の河原では温泉水が川として流れており、一見普通の川なのに手を入れると生暖かい。所々、水溜りのようにして温泉溜まりがある。ここは結構熱い。
我輩は古い十円玉を取り出し、その温泉に浸けてこすってみた。するとみるみるうちに金属光沢が現れてきた。酸性度が高い温泉だけのことはある。
豚児は温泉溜まりに手を入れている我輩を見て「カニがいるから気をつけてね。」などと脅す。温泉にカニなどいるかと思ったが、あまりに具体的な忠告に思わず手を引っ込めそうになってしまった。



ところで気になる眼鏡屋だが、いくら探しても眼鏡屋は見当たらない。
いくら観光地だからと言っても、土産店ばかりではなかろう。地元住民の生活を支える地味な店もどこかにあるはず。
意外にも、宿泊したホテル高松の近くに眼鏡屋が1軒あったのを見付けたが、この日は祭日だったようで店は閉まっていた。

「このままでは帰れない・・・。」
我輩はネジの外れた眼鏡を見つめた。
ふと、ネジ穴に針金を通すとどうなるだろうかと思った。やってみると、少しグラつくものの使用に問題は無い感じである。

帰りも、道はそれほど混んでいなかった。
高速道路では車が少し多めではあったが、流れは悪くない。やはり、ゴールデンウィークのタイミングをズラした効果であろうか。
そのため、片道200kmほどの道のりであったが、思ったほどの疲労は残らなかった。

帰った後、車を見てみると、前面は虫がたくさん当たって汚れていた。
今さらながら、山へ行ったという実感が湧いた。


○まとめ

今回撮影で消費したブローニーフィルムは15本である。
フィルム代、現像代、整理用品等を含めると1万5千円ほどの出費となった。
やはり豚児を絡めた写真となると、タイミングを見ながら同一構図でのカットを何枚も撮ることになる。

一方、湯釜や湯畑だけのいわゆる風景写真では、フィルム本数で言えば3本ほどと少ない。
特に、湯釜では撮影場所が限定されているため、せいぜいレンズを換えて撮り分ける程度で終わるしかない。Web上で湯釜の写真を探すと、どれも同じような写真しか載っていないが、これがその理由である。

湯畑のほうは、ゴールデンウィークのピーク直前ということであったが、それでもそこそこ人出はあった。そこから推察すると、ピーク時は大変な混雑となろう。そうでなくとも湯畑とその周辺は狭い場所である。車で乗り込んでも駐車場は一杯となり、立ち往生するのではないだろうか。
狭いゆえに、徒歩主体で十分に事足る。
時間に縛られる湯釜へ行かないのであれば、シーズン中に車で草津へ行くのはやめたほうが良いだろう。